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東京オートサロン2019特集 ホンダアクセスブースを見に行こう ~「Well concept」編~

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東京オートサロン2019 ホンダアクセスブース出展車両の、つくり手の想いに迫るこの企画。前回は「楽しみ上手な家族の家」をテーマとしたブースデザインをご紹介しましたが、今回からはいよいよ展示車両のご紹介です。

家族の思い出にも残るようなファミリーカーを作りたい

展示車のなかでは一番大きくてブースでも目立つ存在となる「Well concept(ウェル コンセプト)」。解説してくれるのはこのクルマ作りの中心人物であるデザイナーの隈 泰行さん。では最初にこのクルマを作ろうと思ったきっかけを教えてもらいましょう。

隈さんが幼い頃に好んで読んでいた絵本には VW(フォルクスワーゲン)バスが描かれていました。とても楽しそうなクルマで、これをきっかけに子どもの頃ミニバンに興味を持ったそうです。
そんな隈さんですが、近頃はミニバンに違和感があるとか。理由はいくつかあります。STEP WGNを含めて現在のミニバンはファミリーカーであるのにどれも“コワそうな顔”をしていることです。
そして運転するお父さんの中には、特にミニバンが好きというわけではないけれど、家族のためにガマンして乗っている人もいるのではないか。さらに内装などは凝った作りになっているけど、それは鉄道や航空機の客室やシートが豪華になっているのと同じ印象で、ただ人を運ぶだけの作りに見えてしまう。そんないまのミニバンとは違ったかたちのミニバンがあってもいいのではないか…そんなところから隈さんがこうあるべきだと考えたミニバンの姿が「みんなが楽しい時間を過ごすことができて、家族の思い出にも残るようなこれからのファミリーカー」というものでした。

このような考えから作られたのが「Well concept」です。このクルマには特徴がたくさんありますが、まずは隈さんの思いがハッキリ表れているインテリアから説明しましょう。

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デザイナーの隈 泰行さん。STEP WGNをベースにファミリーカーであるミニバンを改めて家族のためのクルマに作り替えた。

目指したのは家族が楽しめる車内空間作り

まずはインテリアで真っ先に目がいくのは助手席がないことでしょう。家族で出掛けるクルマなら見晴らしのいい助手席は人気のポジションと思うところですが、隈さんはこの車を作るにあたり小さい子どもがいる家庭でのミニバンの使われ方も調査しました。結果としてはお母さんと子どもは2列目シートに乗り込むケースが多く、助手席は荷物置き場になる傾向があることがわかりました。
それならばと助手席の代わりにユーティリティーボックスを設けたのです。ここは小物が収納できる作りになっていたり、フタを閉めれば赤ちゃんのオムツ替えができるベッドとしても使えたり、ボックス下部には靴を収納できるスペースもつくりました。さらにサイドにはサーキュレーターも組み込んでいます。

また、助手席がないことで通常のグローブボックスは使い勝手が悪くなるので、運転席側からも手を伸ばしやすいインパネ部にポケットのフタを追加しました。このように車内の使い勝手を家族の使い方に合わせて大胆に作り替えたのです。

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製作途中のユーティリティーボックス。このまま商品化するのは難しいですが、ここに盛り込まれたアイデアのどれかは今後の純正アクセサリーにとりいれたいとのこと。

つぎに注目して欲しいのが2列目のシート。ここは前後スライドに加えて180度回転する機構を盛り込んでいます。これは乗員向けの空間としては使いにくさがあるラゲッジスペース(3列目シート収納時)を有効に使うための装備で、当初はベース車に標準装備されているキャプテンシートに回転機構を追加することを検討しましたが、調べてみると回転機構を組み込むと構造的に前後スライドができないことが判明。そこで対策を探ったところ、なんと前席用シートなら回転機構もスライドも同時に組み込めることを発見しました。そういったことから「Well concept」の2列目シートには前席用のシートが流用されています。

こうして狙いどおりの快適さを実現した2列目シートですが、シートに追加された「家族のためのギミック」は他にもあります。
クルマに小さい子どもを乗せる際にはチャイルドシートを使いますが、チャイルドシートは5歳までの使用を前提としており、それ以上の歳の子は普通はジュニアシートに座ります。そこで「Well concept」では、シート座面の前半分を次のイラスト(下段中)のように動かすことで、ジュニアシートになる機能を持たせました。これなら子どもが安心して乗ることができ、ジュニアシートを乗せたり降ろしたりする手間がなくなります。

また、このシートは子どもが靴を履いたまま座ることを前提にしているので、足元にあたる部分は防水シートにして汚れても拭くだけできれいにできるつくりにするなど、実際に使うことを考慮した作り込みになっているのがポイントです。

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「Well concept」インテリア。 上段:車内のカラーも明るくしている。 下段左:助手席の位置に装着するユーティリティーボックス。鞄やティッシュなどを入れるスペースやごみ箱も。 下段中:2列目シート座面を上げてジュニアシートとしてもつかえる。 下段左:3列目ラゲッジスペースに設定されたベンチ。

さて続いて3列目のシートについて。もともとSTEP WGNの3列目シートは2席とも折り畳んで床下に収納できる作りで、片側のみを収納したり、背もたれを倒したりと色んな動きができる秀作です。そこで「Well concept」では3列目シートはあえていじらず、3列目シート横の内張にクッションを追加しました(上図上段イラストを参照)。
これはどういうことかというと、STEP WGNにはリアゲートの左側が分割して開く「わくわくゲート」という機能があります。ここを後方からの出入り口とした場合、左側のシートは通路確保のため床に収納することになります。そこに乗り込んで3列目右側シートを使うわけですが、通常だと、2列目シートとの間隔が近いので足元が狭く使い勝手は今ひとつ。でもここで右側シートの背もたれを倒して平らにしたあと、シート右側の内張を背に横向きに座ると、前に十分な空間ができ、着替えや靴の履き替えなどに便利な新しいスペースに作り替えることが出来ます。

これだけでも3列目シートの使い道は広がるのですが、さらにリアゲートを上に開けた状態で後ろ向きに座れるベンチも装備しました。構造は床面からパタッと起き上がる背もたれを追加しただけですがこれが実にいい雰囲気。海や山に遊びに行った帰り際、お父さんと息子がベンチに並んで座って夕陽を見ながらオトコ同士の話をする…。そんな光景が似合うような場所になりました。

そしてインテリアでの「とっておき」として紹介したいのが電動キャンバストップです。これは隈さんが強くこだわった装備で、その理由はズバリ、「子どものため!」
というのも最近は車内のエンターテインメント装備が充実しているので、目的地に着くまで子どもは後席モニターで映像ソフトを見ることも多いと思いますが、隈さんはせっかく出かけるのだから外の空気を楽しんで欲しいと考えました。
そんなことから装備したのがキャンバストップで、開口部は子どもが座る2列目シートのちょうど真上。キャンバストップを開ければ風と外の景色を感じられる設定になっています。

インテリアに関してはまだまだ紹介したいところはあるのですが、ここからはエクステリアの話をしましょう。
まずフロントまわり。これが冒頭に書いた「現在のミニバンはどれも“コワそうな顔”をしている」ということを解消したデザインで「強くよりも優しく」がテーマになっています。
優しさという面を作るのに効果的な丸目のライトを使用していますが、それに加えてエンジンフードの部分の造形もポイントです。これはを赤ちゃんの額をイメージしたもので、赤ちゃん特有の「オデコの広さ」をボンネットのカドを少し盛り上げて面積も広く取ることで表現。さらにフロントバンパーの開口部も必要最低限の大きさまでサイズダウンすることで顔っぽさを作り出しています。
しかし、このクルマはお父さんが乗ることを前提にしているのでかわいくしすぎるのは禁物。そこでグリルやライトの位置をいろいろ試し、赤ちゃん顔をキープしながらかわいすぎないバランスに仕上げています。だから初見でかわいい顔と感じてもすぐに慣れるし、男性としてこのクルマに乗ることにも抵抗はないはずです。

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オデコ部はただ出っ張らせるだけだとロボットっぽくなってしまうので、張り出したカドに2段階の折り込みを設けて柔らかさを出しています。

つぎにリアまわりです。ここはフロントまわりに合わせてシンプルなデザインに変更しています。現行STEP WGNの特徴である「わくわくゲート」は活かしていますが、わくわくゲートのノブをレトロな冷蔵庫っぽい大きな取っ手のような形状に変更。これがリアビューのポイントになります。

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リアビューはシンプル。わくわくゲートのノブをあえて大きくし、便利な道具っぽさが出ています。

ボディーカラーはソリッドのブルーとなりますが、これは社内のオートサロン出品車選考投票でこのクルマに「いいね」を押してくれた従業員たちの意見を取り入れて決めたものです。最近のクルマでは主流のメタリックではなくソリッドとしたのは、色でも優しさを表現したかったと言う理由があったからです。
ただ、ソリッドのブルーは色の感じによっては安っぽく見えることもあるので、ブルーにグレーなどを混ぜることで落ち着きのある色合いにしています。
そしてホイールも全体の雰囲気に合わせてシンプルな形状のディッシュタイプにしました。タイヤも、あえてサイドウォールが厚くなって丸みが出る16インチを選んでいるので、足元もどことなく優しい雰囲気になっています。

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「いいね!」を押した皆さんとの意見交換の現場で撮った1枚。皆さん多忙ですが、なんとか時間を作って、楽しみながら製作を行っているそうです。

最後につくり手としてこのクルマに込めた気持ちを聞いてみたところ、隈さんは「ボクは子どもの頃、クルマで移動する楽しさを体験してきました。そしていまクルマを作る側になったので、今度はいまの子どもたちにクルマで移動する楽しさ、クルマならではの魅力や楽しさを体験させてあげたいんです。このクルマを見に来てくれた子ども達には、ぜひ実際に乗り込んで、キャンバストップからひょっこり顔をだしてみてほしいですね」と語ってくれた。

そんな隈さんの思いが詰まったこの「Well concept」をはじめ、ホンダアクセスブースの展示車は見るだけでなく、全車室内に乗り込むことがOKなので、ぜひブースへ足を運んでその作り込みや遊びごころを体感してみてください!

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モデル製作の作業場に貼られた仕様書。多くの部分に手が入っているのがわかります。会場ではぜひじっくりと見ていただきたいクルマです。

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商品企画部 隈 泰行さん
2007年入社。N-BOX SLASH、CHUMSコラボ、FIT(Cross style)などの用品デザインに携わってきた。「Well concept(ウェル コンセプト)」では発案からデザインを担当。モットーは「どんなときも楽しむこと」。

 

東京オートサロン2019 ホンダアクセスブース特設ページ

 

企画/カエライフ編集部
文・写真/深田 昌之