東京オートサロン2019特集 ホンダアクセスブースを見に行こう ~「FIT Elegant Color Collection」編~


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女性だけのチームがつくる女性向けのコンセプトモデル

最近は大人向けの作品も増えているので、大人でもアニメーション好きが増えていますが、アニメーション製作において線画に色付けするスタッフは圧倒的に女性が多いそうです。なぜかというと「女性は色彩感覚に優れているから」ということのようです。

言われてみるとふだんの生活において「色」と接することが多いのは圧倒的に女性です。洋服、バッグ、アクセサリー、化粧品、それに部屋の装飾などなど女性向けの商品は色の種類がとても多いのが特徴ですが、女性はそれらをとても上手に使っています。

そのように日頃からたくさんの色を見て、それを使いこなしている女性だからアニメーションの作品作りでも重要な作業を任せられるということでしょう。

さて、そんな女性の「色を使う力」をクルマのカスタムに取り入れたのが、ここで紹介する「FIT Elegant Color Collection」というクルマです。

製作チームは全員女性、しかも20歳~30歳代という若い世代で構成されていますが、そのなかで中心的な役割を担っているのが今回集まっていただいた開発部の斉藤さん、商品企画部の武井さん、藤巻さんの3人です。

メンバーはふだん女性をターゲットにしたクルマのトータルコーディネートを提案する純正アクセサリーの企画やデザインを手掛けています。昨年の東京オートサロンには世界的な人気キャラクターである「バーバパパ」とコラボした「N-BOX 《BARBAPAPA》COLLECTION」を出展、2018年5月には純正アクセサリーとして発売しました。今年の開催に向けて企画したのは、FIT Modulo styleをベースとした働く女性の願いをかなえるコンセプトモデルです。

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製作に携わるのは全員女性。(左から)斉藤さん、藤巻さん、武井さんの3名に集まっていただいた。

色を使って作りあげるのが女性流のカスタマイズ

クルマ作りでイメージしたのは20歳代後半の働く女性。まだ若手ですが社会に出て数年活躍しているので新人気分はなく、後輩もできているのでまわりからは「キチンとしている」と見られたい気持ちを持っていることを想定しました。

この大人の女性像を意識しつつ、かわいらしさも欲しいと思う気持ちに対して、チームがまず用意したのはインテリアに使用する紺色のスエード生地でした。

この紺という色はどことなく気品があり、しかも凜とした雰囲気を持つカジュアルすぎない色です。それだけに働く女性からの人気が非常に高い色といえます。同じように落ち着いた色として黒もありますが、こちらはイメージがカッチリしすぎてしまうので今回のコンセプトとは合いませんでした。オトコ目線では紺と黒は近いものというイメージですが、なるほどそういう違いがあるのですね。

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リーダーを務める開発部の斉藤さん。製作中、メンバー同士の意見はそれほど変わらなかったとチームワークのよさを語ってくれました。

そんなところから選ばれた紺色のシート生地ですが、ここにはもうひとつのこだわりがありました。そう、素材です。
シート生地の素材には色々な種類がありますが、選んだのはスエード調の人工皮革でした。革シートというとちょっとハードなイメージがあるかもしれませんが、今回選んだスエード調の人工皮革は見た目にもやわらかさがあり、実際の触感もいいので、革シート特有の硬い感じはありません。また、スエード調だと紺がよりきちんとした色に見えるというのもポイントです。

こうして選んだ紺色のスエード生地ですが、開発メンバーの色へのこだわりはさらに続きます。シートには生地の縫い目がありますがこのステッチに使う糸にはピンク色を選択。このピンクの色調も化粧品やネイルの見本を揃えて、「大人のかわいらしさ」のイメージにあうモノを探したとのこと。そして見つけたのがボルドーピンクという濃いめのピンクです。

前にも書きましたが女性は、日頃から多くの色と接しているので色に対する考え方、意識は男性の想像をはるかに超えているでしょう。だから紺にしてもピンクにしても「色の感じ」にはとてもこだわっているのです。つまり女性がつくるカスタムカーにとって「色」とはクルマづくりの大切なピースということです。

選んだ色の見せ方も女性仕様では大切なポイント

色が重要なものいうことは理解していただけたと思いますが、色の話はまだ終わりません。こだわりの色選びのあとは色をクルマの中でどう使っていくかです。

今回のクルマにはキチンとしたイメージを作り出すため、インテリアには紺色が多く使われていますが、これだけでは女性らしさが少し足りません。そこでボルドーピンクをシートだけでなくステアリングやシフトノブのステッチにアクセントとして取り入れていますが、この使い方もまた特徴的でした。

一般的に革巻ステアリングでは革同士の縫い合わせに野球のボールに使われる「ベースボールステッチ」という縫い方をしますが、この仕上がりは男性的な印象であることから、洋服の縫製に使われる「千鳥ステッチ」を採用しました。

そしてシートのステッチですが、こちらはひと針ごとの糸の見える長さを4ミリとしたことがポイントです。その理由は「見え方が長すぎるとシートから受ける質感が落ちてしまうし、短いとせっかくの色が見えにくくなる」ため。また、糸の太さも色と縫い目にあわせた最適な太さのものを選択しています。色選びのこだわりも女性らしいですが、糸の縫い目の長さにまでも着目しているとは…作り込みの細やかさに脱帽です。

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商品企画部の武井さん。デザインを担当されています。苦労したのはエクステリアで、色使いについては試行錯誤を重ねたとのこと。

細部まで色調にこだわって仕上げたエクステリア

つぎにエクステリアの紹介をします。画像を見ていただくとわかるのですが、エアロパーツなどは一切使われていません。変えているのはここも「色」です。

目立つところではボディカラー。選んだのはプラチナホワイト・パールでルーフには大人っぽさとキレイさを持つキャンディブルーを使用。ちょっと派手にも思えますが、今回はオートサロンという場所での展示なので、そこを加味したカラーコーディネートでもあるそうです。

そしてボディには差し色としてシャンパンゴールドが入っていますが、このゴールドも化粧品からインスピレーションを受けて決めた色合いで、その使い方はまさにメイク。ライトからつながるグリルにアクセントとして入れています。

ただ、使う面積が狭いので離れてクルマを見たときにゴールドと分かりにくくなることも。そこでなんと20色以上の色のサンプルを作って離れて見てもゴールドであり、しかも品のいい色を作り出しています。

この色はサイドミラーカバーにも使っていますが、ここをシャンパンゴールドにすることで、ミラーという機能パーツを女性が身に付けるアクセサリー的なイメージに変えています。

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商品企画部の藤巻さん。ご自身も最近フィットを購入したとのことなので、より自分ごととしてクルマ作りに取り組めたそうです。

いかがでしょうか、クルマのカスタムとはパーツを変えたり追加で装着したりするモノというイメージが強いのですが、この「FIT Elegant Color Collection」はパーツの形状を変えていません。変えたのはほとんど色だけです。だけどここまで読んでいただくと、このクルマは随所に作り手のこだわりと工夫が入っているれっきとしたカスタムカーであることをご理解いただけたでしょう。

そんな女性が女性らしさを表現するためのカスタムというちょっとほかでは見られない特別な1台だけに、この「FIT Elegant Color Collection」をホンダアクセスブースでじっくりと見ていただきたいと思います。なお、エクステリアの一部に「女性らしい遊び」が入っているので、それもぜひ探してみてくださいね。

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プラチナホワイト・パールとキャンディブルーの組み合わせは清潔感と華やかさを両立する選択。オートサロンの会場でも目立つでしょう。

東京オートサロン2019 ホンダアクセスブース特設ページ

 

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企画/カエライフ編集部
文・写真/深田 昌之