お気に入りの愛車、「もっとカッコよく撮りたい~!」と思ったことはありませんか? 基本プラスちょっとした工夫で劇的に変わるTipsを、編集部かまやんが体験してきました。
目次
- フォトグラファー 堤 晋一(つつみ しんいち)
- 大学で写真学科を専攻し、出版社を経てフリーカメラマンとして独立。自動車媒体を中心に活躍し、被写体はクルマ、バイク、そしてレースクイーンと幅広い。日本写真家協会の正会員。
プロ用カメラもスマホも基本は一緒
高性能なカメラとレンズがあれば、たしかに素晴らしい「画質」を得ることが可能です。でも、いくら画質が良くても「撮り方」が大切なのは言うまでもありません。今回はフォトグラファーの堤 晋一さんに「スマホ」のカメラを使ってご指導をいただきます。
とっても大事な撮影場所選び
自宅や旅行先の駐車場など愛車を撮影できそうな場所はいろいろありますが、まず大前提として「安全に撮影できる」ことが重要です。公道に路上駐車して撮っていたら事故の危険がありますし、なにより違反になってしまいますよね。
今回撮影場所に選んだのは神奈川県と静岡県にまたがる「芦ノ湖スカイライン」。雄大な富士山を眺めつつ気持ちよく走れる全長10.7kmの有料道路には、「三国峠」「杓子峠」など広い駐車場を備えた撮影スポットがあり、絶景とともに安全に愛車を撮影することができます。
もちろん貸し切りではないのでほかの利用客と譲り合って、気持ち良く撮影を楽しみたいですね(芦ノ湖スカイラインでは駐車可能場所での個人的な撮影であれば特別な許可は不要です。商用撮影の際は管理事務所への届け出などが必要です)。
安心してSNSで見せびらかせるように(笑)、ドライブ途中に素敵な撮影スポットを見つけたら、まずは「駐車してもよい場所なのか」を確認し、あわせて「管理者の許可を得る」ことを忘れずに励行しましょう。
晴天だけがチャンスじゃない!? 雨も霧も味方にしよう
数カ所考えた撮影場所候補から芦ノ湖スカイラインを選び、期待に胸を膨らませながら現地に向かいます。天気予報は雨ですが、小田原を過ぎるあたりまではなんとか青空も見えています。そのまま芦ノ湖方面へ山を登っていくと……圧倒的な濃霧!(汗) 堤先生、この天気でも大丈夫でしょうか!?
「だーいじょうぶ。心配ご無用!」と笑顔を見せる堤先生。最初に何をするのかと注目していたら、おもむろに布クロスを取り出してクルマについた水滴を拭き始めました。
まずはスマホで撮ってみよう!
クルマを停めて、水滴も拭き上げ完了。まずは2人とも自由に撮ってみましょう! さっそくスマホを構えるかまやんに対して、堤先生は最初にスマホのレンズを拭き始めました。
ちなみに今回は2台のクルマを並べて停めましたが、この配置を通称「ハの字(前ずらし)」と呼ぶそうです。ほかにも「ハの字(ツラ合わせ)」「ハの字(前後ずらし)」などバリエーションがあるそうなので、友達と一緒に撮る場合などに思い出してみてください(呼び方は諸説あります)。
スマホは2台ともiPhone 8、撮影者以外はまったく同じ条件で撮影してみます。
続いてクルマを「ハの字(前後ずらし)」に配置して撮影します。
手前のS660 Modulo X(青)に比べて奥のSHUTTLE(白)は一回り大きいので、高めの位置から撮影しているようです。
基本の基本、構図と画角と水平と
堤先生とかまやん、同じような位置から同じように撮ったのですが、撮った写真を並べてみると「なにか」が違います。
堤先生:「まずは身体を安定させるのが第一です。無理な姿勢で撮ろうとすると手先が震えたりしてしまうので、地面にヒザを付けたり、壁や柱があるときは寄りかかるなどして、できるだけ身体を安定させます」
ここでは「水平」「右上がり」「右下がり」と撮影しています。被写体や写真を見る側の個人差もあると思いますが、印象としてはおおむね「水平」は“基本”や“中庸”を、「右上がり」は構図としての“安定”を、「右下がり」は“不安定”を与えるかと思います。「右上がり」にすると“勢い”や“力強さ”にもつながるかもしれませんね。
クルマが左を向いている場合、同じように「左上がり」は“安定”、「左下がり」は“不安定”になります。これは被写体が静止状態でのポイントです(被写体が動いている状況での撮影方法はまたの機会に)。
フレームのなかで被写体をどう配置するかも重要ですから、バランスを考えながら、そして自分がこの写真を見る人にどういう印象を持ってもらいたいのかを意識しながら撮影してみましょう。SNSでたくさん“いいね”が付く写真を撮れるようになるかもしれませんね。
さらに、文字やイラストを書き込んで“デコる”ことを想定すると、フレーム内での被写体の角度や位置も決まってくるでしょう。これらのことを考えながら撮ってみましょう。
いわゆる「クルマのプロフィールが一番伝わりやすい」とされている「7(側面):3(正面)」に見える位置に立ち、レベル(高さ)を変えて撮っています。
レベルが上がるにつれて語れる要素・情報も多くはなりますが、決してそれが1枚の写真としてベストとも限りません。スポーツカーか、ミニバンか、それともほかのタイプか……といった基本から、エアロパーツの有無、車高の高低、ホイールなどなど……要素はキリがないくらいあります。
今回はエアロパーツを装着し、ホイール換装済みのS660 Modulo Xですが、エアロの伸びやかさ、フェンダーアーチとホイールの一体感をより表現するために、おそらくミドルアングルあたりに落ち着くのが定石かと思います。
しかし一方、S660 Modulo Xは意外に厚みのある「マッシブな一面」も持ち合わせています。そこで敢えて、ローアングルから狙ってみます。マッシブな部分が少し薄まりますが、意外にエアロやフェンダーアーチの隙間もそう気になりません。結果、このレベルが成立することが理解できるかと思います。
このように、愛車の新たな一面を発見できるかもしれませんので、いろいろなレベル・目線で試してみましょう。
「顔のイイクルマ」はさらに目、ヘッドライトを強調したくなります。その顔の良さを活かせる高さはクルマによってことなるので、先ほどの「7:3」のときと同じように、いろいろなレベルを試してみましょう。
なるほどなるほど。身体を安定させて、位置と高さを考えて撮影。これを意識するだけでも随分差が付きそうですね。
スマホで気軽に撮るのがテーマなので脚立を使って超ハイアングルというのは無理ですが、超ローアングルなら簡単に試せます。
地面ギリギリまでスマホを近づけて撮ってみると、さらに迫力がでただけでなく、地面にある継ぎ目などを目立たなくする効果も確認できました。
写真のどこにクルマを置くか、構図のヒミツ
スマホならではのメリットを活用しよう
堤先生の普段の仕事道具は、もちろんスマホカメラではなく一眼レフとさまざまな交換レンズです。スマホを「ほいっ!」と渡して「いろいろ教えてください」というのは少々失礼かとも思いましたが、堤先生もノリノリでスマホカメラを楽しんでいるようです。
スマホ撮影のポイント
- 安全安心な場所で撮影する
- 安定(脇を締める、壁や地面などで身体を支える)
- 水平(グリッドを表示する、角度を付けるなら意図を持って)
- 位置(クルマのどの面から撮るか)
- 構図(画面のどこに被写体を置くか)
- 標準アプリも意外とツカエル
最後にムチャぶり!?
さーて、霧がますます濃くなってきましたが、最後の今日の成果を確認するべく、堤先生とかまやんにお題を出します。
「S660 Modulo Xの決めカットを撮ってください!」
S660 ModuloX
編集後記
- かまやん
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見ての通り、スマホ撮影でもプロとの差は歴然ですね。でも、ほんのちょっとの工夫でグッとよくなることを実感しました。
当日は、せっかく芦ノ湖スカイラインまで遠征したのに、ひどい濃霧で何も見えず・・・。どうなることかと心配しましたが、さすがはS660 Modulo Xと新型SHUTTLE。しっかり存在感を発揮してくれて、モデルの良さに助けられました♪
ちなみに芦ノ湖スカイラインは、天気が良いと雄大な富士山が見られる最高の撮影&ドライブスポットになるのでぜひ立ち寄ってみてくださいね。さいごに・・・
ホンダアクセスのマスコットキャラクターくるタムの撮影会の一コマを。かまやん「先生どうでしょうか・・・?」
堤先生「これは驚いた・・・くるタムを中心とした消失点構図によって奥行きがうまく表現されているね。今日イチの作品だよ。君は天才か!?」
かまやん「それほどでも、ありますよ♪」
「S660 Modulo X」の純正アクセサリー情報はこちら
文/石岡 宣慶、カエライフ編集部
講師/堤 晋一
写真/安田 剛
取材協力:芦ノ湖スカイライン
道路使用許可:小田原警察署 第2523号 / 三島警察署 静二交 第4-122号