「オープンカーってモテるの?」
という素朴な疑問をいだいてしまったカエライフ編集部のカミーです。
オープンカーと聞いてみなさんはどんなイメージが浮かびますか?「あこがれのクルマ」「華やかなクルマ」「かっこいいクルマ」…いろいろありそうですが、実際にどんなクルマなのかを知っている人は少ないと思います。
そこでオープンカーの実態紹介のために、オープンカー乗り4人に集まっていただき、お話を伺うことにしました。
4人全員、オープンカー歴10年以上のツワモノたちです!
その酸いも甘いも知りつくしたメンバーで座談会を開催し、徹底的に議論していただいた内容を下記で紹介していきます。この記事はその前編になります。
長文なので目次から飛んで気になるところだけ読んでもOK!それでも分かるように書いてあります。
なお、後編である「雨の日は不便?オープンカーあるあるについて語る座談会」では、
- 雨が降ったらどうなるか&雨漏り問題
- オープンカーの必需品
- ベストシーズンはいつ?
- オープンカーの運転についてのあるある
などの話を紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。
それではさっそく座談会いってみましょ~!
※この記事は個人の感想や体験をベースにした内容です。掲載している情報は車種や状況によって違ってきますので、あくまで参考としてください。
オープンカー乗り・ホンネ座談会メンバー紹介
最初に、座談会のメンバー4人を紹介します!
- 山口 哲也さん
- オープンカー歴18年。現在はHondaのスポーツオープンカー「S2000」で片道50キロ以上を毎日通勤。夕飯の席でそのS2000のカタログを広げ、3年間、毎日奥さんを説得しつづけたという愛妻家かつ愛車家。Hondaの軽自動車オープンカー「ビート」にも3年間乗っていた経験あり。
- 深尾 なつみさん
- オープンカー歴10年。現在はHonda「S2000」を乗りこなすが、以前はダイハツ「コペン」を2台、マツダ「ユーノス・ロードスター」も乗っていたことがある。この見た目と若さですでに計7台のクルマを乗りこなしてきたハンパないクルマ好き。
- 澤田 修一さん
- オープンカー歴14年。現在所有する3台のうち、カスタムしたHonda「ビート」で毎日通勤中。ビートの他、オープンカーとしてはポルシェ「ボクスター」、Honda「S660」も所有していたことがある無類のクルマ好き。
- 佐藤 友昭さん
- オープンカー歴13年。FIAT「バルケッタ」というマニアックなオープンカーを一途に乗り続けるすこし変わった車歴の持ち主。車歴だけではなく性格もすこし変わっている(いい意味)。
デメリット一覧を大議論!買って後悔したか聞いてみた
ワクワク感がデメリットを上回る
オープンカーのデメリットについては、購入を検討している人なら気になるポイントですよね。
そこで率直に「オープンカーのデメリットは?」と4人に聞いたところ、数秒間、みな押し黙って何も言えないようす。もしやデメリットはタブーの質問だったか…と心配しましたが、それは杞憂でした。
オープンカーの魅力や楽しさはいくらでも思いつくけれども、ネガティブ面はなかなか思いつかない(というか慣れてしまった)、というのがホンネのようでした。
それでもいくつかポイントを絞って聞きこんでみました。
荷室の狭さ、積載量の少なさ
「荷物を積む場所が小さいまたはない」というのはオープンカーの短所として共通した認識があるようです。
ただ、座談会メンバーはそのことを不便さとして感じていないようす。こちらから質問をすれば「荷物があまり載らない」「〇〇が載らなかったことがある」などの話は出てくるのですが…。
不便さをあまり感じないのは、オープンカーへの愛ゆえの「アバタもえくぼ」なのか、それとも「住めば都」で慣れてしまっただけなのか。
山口さん
私が乗っているHonda「S2000」というクルマは、トランクにゴルフバックは入ります。ただ、ミカン箱が入らなかったことがあり、荷物の形状によって荷物運びには不便さがあるかもしれません(笑)
澤田さん
屋根をオープンにすれば、助手席の上部がすべて荷室ともとれる。だからおおげさにいえば荷室は無制限(笑)※ 大きめの家具をもってかえったこともあるし、クリスマスツリーなんか乗せたらおしゃれですよね。
佐藤さん
私のクルマは2人で2泊3日分くらいのキャンプでも荷物を積めます。テントに調理道具も含めてね。だからキャンプじゃなければ4泊5日くらいでもいけるんじゃないかと…言い過ぎですかね?(笑)
深尾さん
冬のゲレンデには必ずオープンカーを見かけます。スキー・スノボにもオープンカーでけっこう行けるみたいですね。かくいう私もですが…笑
みなさん、荷室についてはポジティブな側面しか見えていない!でもまぁ大きな荷物を運ぶ機会が少なければ、不便さはそれほど感じないのかもしれません。
※ 積載できる大きさや重さ、高さには車両により法定制限があります。
雨・雨漏りについて
荷室の小ささに加えて、「雨・雨漏り」問題はオープンカーでよく話題になるところ。こちらについては後編の記事でまとめて取り上げていますので、あわせてご覧ください。
招かれざる客:虫や鳥のフンについて
オープンカーには屋根がないから空からいろんなものが降ってくるんじゃないか?と勝手に想像していたのですが、案外、そうでもないようです。座談会メンバー4人とも鳥のフンの被害にあったことはないと。
みなさん運のよい方々というだけかもしれませんが、ただ、他のモノが入ってくることはあるようです。
山口さん
夜のまっくらな田舎道。信号待ちのときに、バッタが入ってくるときがあります。街灯だと思って寄ってくるんですね。走りだすと、別の明かりに飛び去っていったりする。オープンカーはまさに自然と一体なんですね!
佐藤さん
虫やフンはないですが、落ち葉なんかは入ってきます。ただ私は全然気にならず、季節を感じる楽しさがありますね(まるでボートに乗ってるようです)。
深尾さん
桜並木の下を通ったときは、舞い散った花びらが吹き込んできて…とっても印象的でした。花粉の時期にはダッシュボードが真っ黄色になっていることがありますね。黄砂の時期もけっこう積もったりします。
維持費は?
オープンカーは特別なクルマというイメージがあるので、維持費についても気になるところ。ただこれはもうマチマチです。
幌自体や、幌を自動で開く装置が付いているオープンカーではその機能が故障した場合にはそれなりの費用がかかってきますが(幌や屋根について詳しくは次項参照)、普段のメンテ次第。オープンカーだからといって膨大な費用がかかってくる、ということは言えなそうです。
澤田さん
中古車で幌が劣化している場合は別ですが、それ以外はふつうのクルマと一緒です。オープンカーだからという理由で特別に費用がかかることはないですね。
山口さん
オープンカー(特に国産)は生産期間が短く、出回っているクルマの数自体が少ない。維持費とは少し違いますが、「リセールバリュー(買取価格)」という意味ではふつうのクルマと違ってくる。車種によっては10-20年経ってもいい値段がつきます。
音漏れ事情:音楽を流すとどれくらい聞こえるの?
オープンカーって音漏れが気になりそうですよね。音楽や会話が外に丸聞こえになってしまうのではないか?そんな懸念について伺いました。
深尾さん
オープンだと音漏れしやすいので止まったときに「ハッ」となることがあります。減速して信号待ちになったときに、音量の大きさに気付く。スピードを出して走ると、音を大きくしないと聞きづらくて。これは普通のクルマでも同じですけど…。
山口さん
減速とともにボリュームの「-」ボタンを連打したりするね(笑)
澤田さん
昨今のナビには普通に装備されている車速連動でボリュームをコントロールする機能が、古いクルマにはついていないことがあります。ビートのスカイサウンドコンポには最初から装備されていて便利ですよ。
音が漏れやすいということは逆に、外の音も聞こえやすいということ。外界と一体化できるという意味では、裏返せば音漏れがしやすいのは醍醐味ともいえそうです。
その他のデメリット
座談会では議論にはなりませんでしたが、その他のオープンカーのデメリットとして、
・2人乗りが多いため乗員人数が限られる。
・スポーツカー仕様のため乗り心地が固いことが多い。
・古いクルマが多いため装備が限られる。
といった点があげられます(特に国内メーカーのオープンカー)。
これらは今回の座談会メンバーも当然感じてきたはずですが…オープンカー乗りにとってはわざわざ人に話すほどのことでもない、ということでしょうか(笑)
また、視界や音に関してのデメリットについては後編の記事に詳しいので合わせてご覧ください。
オープンカーのメリット・楽しさ・魅力
デメリットばかり語ってきましたが、オープンカーのメリットや魅力について聞いてみました。
深尾さん
オープンカーで初めてドライブしたときに見上げた星空は今でも忘れられず、オープンカーに乗り続ける理由になっています。桜並木の下を走ったことも印象的。外の世界をそのまま感じられるのがいいですね。
山口さん
なんといってもワクワク感がたまりません。子どもができたため屋根付きのクルマに変えましたが、オープンのワクワク感が忘れられず、妻を毎日説得しつづけて3年、念願かなってオープンカーを再購入したほどですから。
澤田さん
運転している感覚をダイレクトに感じられるところがよいですね。車高が低いからスピード感もあります。「屋根を開けられる」という選択肢がつねにあるのは捨てがたい魅力ですよ。
佐藤さん
クルマを通じて得られる「縁」が何よりもオープンカーを選んでよかった点だと思います。オープンカーをきっかけに仕事以外で人とのつながりが得られたり(オフ会などについては
後編の記事を参照)、こうして座談会も楽しませていただいたり(笑)
深尾さん
デザイン的に
オープンカーはフォルムがかっこいいと思います。屋根がない分、重心が下がって視覚的な重さもなくなるので。それから洗車好きとしては車高が低いから洗車がしやすいことも魅力ですね(洗車については
次項参照)。
佐藤さん
いまだに新鮮さがあって、「あれ、先月納車だったかな?」と思えるほどです(笑)←車歴14年の人
モテるの?デートにはどう?オープンカーのイメージ談議
パートナーにとってのオープンカーの二面性
「オープンカーってモテるの?」
「デートにはどうなの?」
みなさんが一番気になる疑問を(あ、気になるのは僕だけ?)紹介してみたいと思います。
4人とも意見が一致していたのは、「男女問わず誰でも1回目は喜んで乗りたがる」という点。とはいえ、実用面を考慮するとパートナーからは受け入れづらいこともあるようです。
佐藤さん
2人乗りの空間は特別で、屋根を空けるとリゾート感覚、夜なんかはエキゾチックな気分でいられます。パートナーと楽しい時間を共有するには最高です。
山口さん
十何年も乗っていますが、妻を乗せたのは数えるほどしかありません(笑)。 妻はオートマに慣れてしまっているのでマニュアル車だとギアチェンジの動作がせわしなく見えるらしく、助手席で落ち着かないようです。乗り心地も硬めなことや車内がタイトなことも同乗したがらない理由ですかね。私的には戦闘機のコクピット気分でとても気に入っているんですが…。
深尾さん
女子ウケはとてもよいです。友人からは「似合ってる、かっこいい、かわいい」といつも好評。乗せてあげると、みんなテンションがあがりますよ。
澤田さん
初めは物珍しさから乗りたがりますが、ずっと乗るクルマとなると「う~ん」と悩んでしまう。オープンカーを2台持っていた時期もありましたが、パートナーに不評で泣く泣く手放し、結果的に今でも普通のクルマと併用してオープンカーに乗ってます。
オープンカーは「彼氏・彼女」としては受け入れられやすく、「生活のパートナー」としては受け入れづらいという印象を受けました。
「オープン」でドライブを楽しめるというクルマとしての趣味性は高いものの、「実用性」という点で不便さを伴うことが多いのかもしれません。
Honda「S660」の情報はこちら
乗らされる側=助手席から見たオープンカー
助手席に乗る側としてのオープンカーはどうなんでしょうか?
多くのオープンカーは走りを重視して車高が低く、そのため座席もグッと沈み込んで座ります。もしデートなどに誘われれた場合には、そうした格好でも大丈夫なファッション・服装を意識したほうがよさそうです。
深尾さん
たとえばミニスカートだとかなり乗りづらさはありますね。そして、ロングスカートは裾が挟まれやすいです(笑)
また、大きな荷物は乗らないことが多いので、その意味では同乗者としての不便さを感じることもあるでしょう。それと、高速に乗る場合には念のため髪型には注意したほうがよさそうです。
山口さん
駅まで送るよと妻にいっても断られる。助手席に置いてある荷物を片付けなきゃいけないから、それに気を使って遠慮されてしまうんです。
深尾さん
パートナーは助手席でいつも荷物を抱きかかえて乗っています(笑)
佐藤さん
高速での話になりますが、100キロ近くになると髪がなびきだして、状況によっては前になびいた髪がバタバタと顔をたたいて痛い(笑)、配慮して運転しています!
山口さん
私のクルマはウインドデフレクター(風の巻き込みを防止するパーツ)があるから高速で走っていても、風は頬をなでるように静かですよ。
高速で走ると風はどうなるか?ウインドデフレクターの役割
オープンカーと風ってどうなんでしょうか?風の巻き込みとかで車内がうるさすぎたりしないのでしょうか?高速道路での走行も気になるところです。
佐藤さん
車内で会話は普通にできますよ。ただ私のクルマの場合、90キロを超えると風の巻き込み音で、会話がしづらくなってきます。それに加えてウインドデフレクター(風の巻き込みを防止するパーツ)がついてないので、髪が長いと大変なことになります(笑)
深尾さん
風の音がうるさいので、高速走行時は話しにくい、というか基本的に話さないですね。特にトンネル内は反響した音がそのまま車内に入ってくるので、出した声はすべて騒音に飲み込まれます…
山口さん
ウインドデフレクターを使うと車内の風向きが変わります。だから高速でも車内に入ってくる風は静かですよ。ウインドデフレクターは昔はオプションでしたが、最近のクルマはデフォルトでついてるか何らかの工夫がされていると思います。
オープンカーと幌と洗車機と私
ハードトップとソフトトップ
オープンカーの屋根には大きく分けて、
・ハードトップ
・ソフトトップ
の2種類があります。
ハードトップとは、ふつうのクルマと同じように金属製の硬い屋根のこと。一方で、ソフトトップはテント生地のようなごわっとした布製の屋根のことで「幌」と表現されることも多いタイプです。
ハードにしろソフトにしろ「可動する部分」であることには変わりないので、ほかの箇所に比べたら不具合が発生しやすい、という傾向はあるようです。ただ、丁寧に扱えば長く使えるという点では、ほかのクルマと変わりありません。
また、ロードノイズや雨の音、エンジン音などがどの程度車内に入ってくるのかという「遮音性」は、ソフトとハードで大きく違うようです。
屋根・幌のメンテナンスはどうしてる?
山口さん
私のS2000はソフトトップ。購入してからずっと野ざらしの駐車場でカバーもかけていないのですが、不具合がおきたことはほとんどありません。
澤田さん
ソフトトップの幌なので、日差しや雨でダメージを受けないように、屋根のある駐車場にしています。幌ができるだけ痛まないように専用の薬剤でコーティングをしている知り合いも多いですね。
佐藤さん
屋根無しの駐車場を覚悟していたのですが、クルマ好きなアパートの大家さんがクルマを見て、屋根付駐車場を特別に貸してくれることになりました。
深尾さん
冬は幌をあたためてから畳まないとバキッと折れてしまうことがあるから注意が必要ですね。私は樹脂製の幌で一度やったことがあります…。
澤田さん
別のクルマですが、一度電動の幌が閉まらなく なったことがありました。何度か試したら奇跡的にしまってくれたので、それ以降開けませんでしたが(笑)
洗車は洗車機か、それとも自分で洗車か?
洗車のことについても聞いてみましたが、自分で洗車する人、洗車機にいれてしまう人、車種と好みによってさまざま。
全員一致でうなずいた点は、オープンカーは「洗車がラク」ということ。理由は、車高が低いのでトップにも手が届きやすいから。さらに幌の場合にはそもそもボディパネル部分が少なく、掃除する部分が少ないということもあるようです。
山口さん
自分で洗車しています。洗車機でもできるんでしょうが、機械でガリガリとやられるイメージが先行してしまい、気分的に嫌だなぁと。だからいつも自分で洗車しています。手洗いしてるとさらに愛着が湧いてくるんですよ。
澤田さん
容赦なくいつも洗車機で洗車しています。3台所有しているので自分で洗っていると大変で…。洗車機を使っても今まで問題はありません。
佐藤さん
洗車後にスタッフから「水が浸入してしまい・・・」と謝られたことがあります。少しの水なら大丈夫ですよと答えたのですが、かえってきた答えは「いえ、水没に近いのですが…」見てみると車内はどっぷりと水につかってました。洗車のいい思い出です(笑)普段は高圧洗浄機で気を付けながら(雨漏りするので)自分で洗車しています。
深尾さん
すべて自分で洗車します。大学時代から洗車が趣味のひとつで…。
幌は猫ちゃんたちのお気に入り
座談会中、幌の上によく猫ちゃんが乗っている、という話題で盛り上がりました。4人中3人が強くうなずいたのでオープンカーの幌は猫ちゃんにとって居心地のよい場所なのでしょう。
山口さん
うちはこないだ3匹乗ってましたよ。高さ的にもちょうど乗りやすいんでしょうね。
澤田さん
幌の少したわんだ部分によく猫が乗っています。屋根付き駐車場なので日向でもないのですが…。柔らかいことも気に入られている原因なんでしょうね。おしっこされたりしたら嫌ですが、かといって何か対策をとっているわけではありません。
まとめ:オープンカー乗りはデメリットではなく「好き」を優先してクルマを選ぶ
座談会中、印象的だったのは佐藤さんが「自分の“好き”に純粋でいられる」と語っていたことです。
ともすればクルマは「荷物が詰める」「燃費がよい」「値段が安い」といった実用面を重視して選ばれることが多い買い物。それでもオープンカー乗りは「好き」を優先してクルマを楽しんでいるのが印象的でした。
そんな「好き」なクルマに乗り続けることで、つねにワクワク・前向きでいられるのがオープンカーの魅力…目を輝かせながら楽しそうに話している姿が記憶に残りました。
この記事ではオープンカーのデメリットを中心に紹介しましたが、それらを上回ってあまりある魅力がオープンカーにはあるのでしょう。
僕もオープンカー欲しくなっちゃいましたよ~!
さてさて、後編ではオープンカーあるあるを中心に語ってもらった内容をまとめました。ぜひあわせてご覧ください!
文/カエライフ編集部
写真/カエライフ編集部
現在日本で販売されている国産オープンカー