友だちや同僚と「今度ドライブへ行こうよ!」と盛り上がっても、メンバーがみんなペーパードライバーだったり、そもそも免許所持者が少なかったりしたことはありませんか?
本当は「私が運転するよ」と言いたいけど、「運転がこわい」から結局移動が電車になったり、計画そのものが立ち消えになったり……。
そこで今回はドライブを楽しむために、「運転がこわい」ではなく、「運転がたのしい」と思えるようになる、とっておきのドライビングノウハウを紹介しましょう!
主役はスーパー耐久シリーズなどを応援するレースクイーン「Moduloプリティ」の「ミカリン」こと山口ミカさん。バリバリのペーパードライバーです!
訪れたのは埼玉県比企郡川島町にある「交通教育センターレインボー埼玉」というHondaの安全運転研修施設です。
こちらはクルマや2輪車の運転免許を持っている人を対象に、安全運転研修を行っているところです。個人だけでなく、いろいろな業種の企業も、業務で運転を行う社員の運転スキルやマナーを向上させるために利用しています。
- 教習を受けてもらうのはModuloプリティの「ミカリン」こと山口ミカさんです。ミカリンも運転免許は持っているけど「クルマの運転がこわいな」と感じている人です。
- そして先生はこちら。交通教育センターレインボー埼玉の教育課に所属するインストラクターの瀬尾友二郞さんです。優しそうな先生で、教習所以来の運転のお勉強ということでちょっと緊張気味だったミカリンもほっとひと安心!?
「こわさ」を克服するには「認知」をすることから意識していきましょう
瀬尾先生
早速ですがミカリンさんは「認知」「判断」「操作」という言葉を聞いたことはありますか?
ミカリン
え~と……運転用語という意味では、聞いたことないと思います。
瀬尾先生
人は情報を目で「認知」して、アタマで「判断」して、それからカラダが「操作」をしますが、とくに大事なのは「認知」です。認知ができていなければ判断も操作もできないからです。
ミカリン
なるほど、それは分かります。
瀬尾先生
運転中、前方のクルマだけではなく周辺の状況にも気を回すことを心がけてください。認知できる幅が広がれば、より多くの判断や操作ができるようなります。そうすると、漠然とした「こわさ」は感じにくくなると思いますよ。
ミカリン
ハイ、気をつけてみます!
瀬尾先生
認知に関して一つ実験です。両手を前に伸ばして、人差し指を立てます。そこから徐々に手を広げていくと左右の指がギリギリ見えているポイントがありますよね。
ミカリン
……あ、あります、あります。
瀬尾先生
では、手の位置は変えずに首を左右どちらかに倒してください。すると見えていた指が視界から消えるところがあるでしょう。
ミカリン
本当だ、片方が見えなくなりました。
瀬尾先生
これは運転中の姿勢に通じることで、疲れているときなど首を曲げた姿勢で運転していると、本来見えるものを見落とすことにもなるのです。つまり正しい姿勢で運転することは、飛び出しとか、思わぬ方向からの危険を事前に察知するのに大切なことなのです。
ミカリン
いわれるとナルホドですけど、視野が狭くなったことは自分では気がつかないところですね。でも、運転中の姿勢ってどんなのが正しいんですか?
瀬尾先生
では、次は実際にクルマを使って説明していきましょう。
- ミカリン☆ポイント
- ポイントは、認知の幅を意識して広げること! 何が起こるか分からない不安が減れば、運転がこわいという気持ちも和らぎますね。
教習車は新型N-WGN!
ミカリンが乗ってきたのは2019年8月にフルモデルチェンジをした軽乗用車の「新型N-WGN」です。この新型N-WGNはシンプルながら特徴のある顔つきが印象的ですが、こちらのN-WGNには純正オプションの「フードエンブレム 」と「フロントグリル」それにドアエッジモール、ドアハンドルプロテクションカバー、14インチアルミホイールが装着されていて、よりスタイリッシュになっています。
その「こわさ」は運転の姿勢が原因かも?
今度は運転姿勢のお勉強です。まずは、ミカリンがいつも座っている位置にシートを合わせてもらいました。
ミカリン
ハイ、準備できました。
瀬尾先生
では、見せてください……そうですね、まずは腰が背もたれに当たるまで深く座り直してください。そしてシートを起こしてみましょう。
ミカリン
どれくらいですか?
瀬尾先生
ハンドルのいちばん上の位置を両手で握っても、両肩が背もたれから離れない位置までシートを起こします。
ミカリン
えっ!? こんなに前になるんですか?
瀬尾先生
最初はそう感じるかもしれませんね。でもハンドルをスムーズに操作するにはこの位置がベストなんですよ。それに姿勢が起きていると、前方や周囲もよく見えるでしょう。
ミカリン
(ハンドルを据え切りしながら)あ! 確かに自然に力が入るので、ハンドルを回しやすいです。まわりも見やすくなった気がします。
瀬尾先生
運転しやすい姿勢を取ることはリラックスすることにもつながるので、クルマに乗ったらまずシートの位置を正しい姿勢になるよう合わせてくださいね。
N-WGNには前後/上下にハンドルの位置が調節できる「テレスコピック&チルトステアリング」や、シートの上下位置を調節できる「運転席ハイトアジャスター」が装備されています。ミカリンはそれらの機能も使い、よりフィットする運転ポジションに合わせることができました。
- ミカリン☆ポイント
-
- 深くしっかりとシートに座ること。
- しっかりとハンドルを握れるポジションに調整すること。
いざというときに反応できる姿勢で運転することの重要性が分かりました!
出かける前に「ブタと燃料」をチェック!?
瀬尾先生
走行前に車両のチェックもしておきましょう。そうすれば運転により集中することができるので安心です。
ミカリン
どんなポイントを点検すればいいですか?
瀬尾先生
「ブタと燃料」です。
ミカリン
私、ブタじゃないです~!(笑)
瀬尾先生
いやいや、これは出発前にチェックしておきたいポイントを略した教習用語なんです。
- ブレーキ液:残量をきちんとチェックして、ブレーキの効きも確認しましょう。
- タイヤ:空気圧や溝の減りをチェックしましょう。
- 灯火類:灯火とはランプやウインカーのこと。点灯の確認をしましょう。
- 燃料:ガソリン残量の確認は、運転に集中するためにもしっかりと。
※チェックに自信がない方は、ガソリンスタンドや販売会社などに聞いてしっかり確認しましょう。
- ミカリン☆ポイント
- 「ブタと燃料」をきちんとチェックしておけば、運転により集中できるので安心できますね。
「短く強く思いっきり踏む」急ブレーキ体験
走行前点検を済ませたら、いよいよ実技の時間です。一般道での教習の前に、レインボー埼玉の教習コースで「急ブレーキ」を体験してもらいます。
瀬尾先生
ミカリンさんは急ブレーキって踏んだことがありますか?
ミカリン
いえ、ないです。
瀬尾先生
では、一般道で急ブレーキを踏んでいいと思いますか?
ミカリン
え~、あんまりよくないのでは?
瀬尾先生
そうです。ブレーキに限らず一般道では「急」の付く運転は禁止されています。ただ、いざというときにしっかりとブレーキが踏めるようにしておいたほうが安心です。一般道では飛び出しなど予想しない状況に出会うこともあるからです。
ミカリン
そうなんですか、でもなんかちょっとこわいですね。
瀬尾先生
そこがポイントです。急ブレーキをかけることは経験していないとこわさを感じるところでもあります。でも、実際はこわいものではありません。だからどれくらいのものなのかを体験してみることが重要なのです。
ミカリン
うぅ……がんばります!
瀬尾先生
急ブレーキのかけるときのポイントは、「短く強く思いっきり踏む」です。簡単なことなので、とにかく思いっきり踏んでください。スピードは50km/hまで出してください。
ミカリンが運転するN-WGNは50km/hまで加速したあと、ブレーキ開始の目印に置かれたパイロンを通過後、急ブレーキ! クルマはグーンと前のめりになりつつもすぐに停止しました!
ミカリン
……面白い! めっちゃ前のめりじゃないですか! 遊園地のアトラクションに乗っているみたいです!
瀬尾先生
すごい感想ですね(笑) でも、いい踏みっぷりです、上手でした。ところでブレーキを踏んでいるときにペダルがガタガタガタと振動していたのは分かりましたか? それが短い距離で止まれるよう、クルマがブレーキの効きを自動で調整するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)という機能が効いている状況なんです。
ミカリン
ABS! 聞いたことはあります。あの感覚がそうなんですか。
瀬尾先生
ABSを効かせると短い距離で停止できるのですが、この機能は“急ブレーキをかけないと作動しない”んです。だから危険回避のときにABSに助けてもらうには、ブレーキを思い切りかけることが必要です。そしてブレーキを強く踏むためには正しい運転姿勢であることが大切なので、さっき合わせてもらった運転姿勢が役に立っているはずです。こうして体験しておくと、危険な場面に遭遇したときに、躊躇せずにブレーキを思い切り踏めますよね。
ミカリン
もう一回やってみましょう!
- ミカリン☆ポイント
- 急ブレーキ体験の前はすごくドキドキしたけど、2回目からは落ち着いて踏むことができました。一般道で急ブレーキを踏むことになっても落ち着いて対応できそうです。
一般道での運転チェック。右折時の注意点は?
つぎは、一般道と高速道路での運転教習です。助手席に瀬尾先生を乗せて、ミカリン、いざスタート!
瀬尾先生
まずはまわりをよく見ることを心がけてくださいね。
ミカリン
そうでした! 落ち着いていかないと。
瀬尾先生
まず停止線について。クルマの先端が停止線に被らないように止まることは一番の基本です。停止線から飛び出てしまうと、曲がってくるクルマのジャマになることもあるからです。
ミカリン
道路でほかのクルマに怒られないためにもそれは大事ですね。怒られるのはこわいですから。
瀬尾先生
交通ルールを守ることは自分の身を守ることでもありますが、ほかのクルマに迷惑をかけないためにも大事なことなんです。停止位置を守るなどちょっとしたことですが、そうしたことの積み重ねが安全運転であり、こわさを感じないために必要なことなんです。
瀬尾先生
では、右折してみましょう。どうです、クルマはセンターラインに寄せて止めていますか?
ミカリン
寄っていないですね……。
瀬尾先生
右折レーンがない道路ではセンターラインに寄せて止めると、空いた左のスペースを後続車が抜けられるので、安全な範囲でできるだけセンターラインに寄せましょう。
ミカリン
車体感覚がまだいまいち分からなくて……。
瀬尾先生
そのときの目安は、アクセルを踏んでいる右足の延長線上のイメージです。運転席に座ったとき、自分の目線→自分の右足→その先に右の前輪がある感覚を想像してみてください(右ハンドル車の場合)。これは直進しているときにもどこを走っているかの目安になるのでぜひ覚えてください。
ミカリン
カーブや交差点だと、クルマが道路のどこらへんを通っているか分かりにくくて緊張していたんですけど、それを意識すると楽になりますね。
瀬尾先生
ちなみに左側に寄せたいときですが、イメージとして、自分の目線→ダッシュボードの真ん中くらいの延長線上に左の目標物がきていればそこそこ寄せられていると思います。
- ミカリン☆ポイント
- 車線内のどこにいるのかが分からないと、寄せすぎちゃってぶつかるんじゃないかと不安になりますが「運転席目線の目印」があればその不安もなくなりますね。
合流車線では本線側と速度を合わせる
ミカリンの運転するN-WGNの行く手には圏央道(高速道路)の入口が見えてきました。最初の難関は本線との合流ですが、ミカリンはここが苦手のようです。
瀬尾先生
高速道路の合流は加速しながらが基本です。加速の目安は、本線を走るクルマに近いくらいスピードを上げること。そうすれば本線を走行しているクルマのほうもタイミングを合わせやすくなります。ウインカーは本線側に向けて出しておいてください。
ミカリン
こわがって速度を上げないと逆に危ないんですね。入れてくれるほうのタイミングの取り方もあるというのは、言われるとなるほどです。
瀬尾先生
ミラーでは真横の少し後ろくらいが見えないので、合流するときはミラーで見るだけでなくて顔を横に向けて目視でのチェックも必要ですよ。
ミカリン
分かりました!
- ミカリン☆ポイント
- 高速道路への合流は、本線と同じくらいまで加速することが基本! ウインカーもしっかり点灯して、最後は目視で安全確認ですね。
車間距離の目安は? 「車間時間」も覚えましょう!
瀬尾先生
次は車間の取り方です。たとえば100km/hで走っていれば車間は100m必要とされています。
ミカリン
でも、距離がどのくらいか分かりません……。
瀬尾先生
高速道路に書いてある破線(白線)の長さは1本12m。その間隔は8mあって、セットで20mになります。だから前走車との間にこれが5セット分あればよいわけです。
ミカリン
そうなんですか、だけど100mってけっこう間隔が広いですよね。
瀬尾先生
交通状況によってはそれだけの車間が取れないこともあったり、白線が見えにくいこともあります。そんなときは「車間時間」というものを使います。
ミカリン
「車間時間」ですか、初めて聞く言葉です。
瀬尾先生
たとえば前走車が道路にある掲示板を越えてから「0、1、2」と数えたあたりで自車が同じ掲示板を通過するという感じです。人は認知して判断、反応するまでにおよそ1秒くらいかかるので、我々は前走車との車間時間は2秒以上取ってくださいとお願いしています。
ミカリン
気をつけることが多いように感じますが、落ち着いていれば普通にできることばかりですね。
瀬尾先生
そうなんです。運転のこわさを解決することから少し離れてしまう内容ですが、運転においては感情のコントロールがいちばん大事です。安全運転のコツが分かっていても、それを実行できるには平常心であることが必要なのです。イライラしたり、あせったりすれば運転が乱暴になることもあるでしょう。ミカリンはどうですか?
ミカリン
そうですね、私はあまりイライラしたりしないのですが、落ち込んだりすると考え込むことがあります。
瀬尾先生
考え込むのもダメですよ。周囲への注意力が散漫になるので危険です。
ミカリン
確かにそうですね~気をつけます。
- ミカリン☆ポイント
- 時間で車間を測るのはとても分かりやすかったです。適切な車間を取ることは自分の安全のためでもあるし、周辺のクルマに安心感を与えることにもなるのでここも気にして走りましょう。
これで安心、駐車のコツ
普段運転をしていないと、特に駐車が「こわい」と思ってしまう人は多いのではないでしょうか。
ミカリンもその一人! でも、駐車に苦手意識を持っていては、いくら運転のコツを覚えてもクルマで出かけることに積極的になれないでしょう。そこでここでは駐車のコツを紹介します。
普段よくあるバックして駐車したいケース。コツは駐車のための操作を開始するときの後輪と駐車スペースの関係です。いったんスペースの前を通過して、スペースの端の目印(ここでは赤いカラーコーン)の延長線上に後輪がきたら停車します。
次はハンドルを左にいっぱい切ってゆっくり前進します。そして目印(カラーコーン)が車体右側の延長線上になったところで停車します。
今度はハンドルをまっすぐにしてゆっくりバックします。リアモニターの「リアカメラdeあんしんプラス2(ダブルビュー)」も活用しましょう
後輪とカラーコーンが近くなったらハンドルを右にいっぱいに切って車体を駐車スペースにあわせます。このとき後輪がカラーコーンから大きく離れないようにするのがポイントです。
「運転がこわい」から「運転が楽しい」になってきた
さてさて、無事にN-WGNでの教習を終えたミカリンに印象を聞いてみました。
ミカリン
クルマを動かすのと道路を走らせることは別ものなんですね。動かすだけだと一つの操作に集中していればよかったけど、道路では同時にいくつかのことをやらないといけないことを改めて知りました。でも、それは難しいことじゃなくて、正しい姿勢で乗って、落ち着いて、ちゃんと周りを見ていれば、なんとかできることでした。「運転がこわい」という気持ちはまだありますが、そこに今までなかった「運転への自信」みたいなものが出てきたので「運転が楽しい」とも思えてきました。もう少し練習して、今度は友だちを連れてドライブにも行ってみたいです!
瀬尾先生、ミカリン、お疲れさまでした!
↓教習でレベルアップしたミカリンのドライブ旅をトラベル Watchで公開!↓
travel.watch.impress.co.jp
N-WGNの情報はこちら!
N-WGNのカスタム情報はこちら!
文/深田 昌之・カエライフ編集部
写真/和田 清志
取材協力:交通教育センターレインボー埼玉
道路使用許可:埼玉県東松山警察署 第1200号/埼玉県警察本部高速道路交通警察