この記事では、軽バンの内装DIY、天井の板張りの方法について、実際の作業プロセスをくわしく紹介します。
女子キャンパーとしてさまざまなメディアで活躍中の森 風美(もり ふうみ)さん。
愛車の軽自動車Honda「バモス ホビオ※」をDIYでカスタムしながら、キャンプ好き女子の車中泊スタイルを提案しています。
※2018年5月に販売終了
愛車バモス ホビオの内装を板張りにカスタムする3回シリーズ、「準備・買い出し編」に続き、今回は「天井編」をお届けします。
前回はホームセンター「ジョイフル本田」でどんな材料を選んで買ったかをレポートしました。
↓↓↓軽バン内装板張りカスタム(材料の選び方)↓↓↓
DIYを指導してくれるのは、現役大工でバンライフビルダーの鈴木 大地さん。
今回は、天井を板張りにするプロセスを詳しくお届けします。
↓↓↓バンライフ車の内装、板張りについて解説した記事はこちら↓↓↓
↓↓↓連載記事の一覧はこちら↓↓↓
目次
- 鈴木 大地(すずき だいち)さん
- その道20年のベテラン大工で、本職ではマンションや店舗などの改装を手がける。2018年からは自らもバンライフをスタート。クルマをバンライフ仕様にカスタムする「バンライフビルダー」として、テレビや雑誌、イベントなどで活躍。愛車はメルセデス・ベンツ「トランスポーターT1N」。
- Instagram @daichi_suzuki.jp
- 森風美(もり ふうみ)さん
- 年間80泊するキャンプ女子。女性ひとりでも気軽に楽しめる独自のキャンプスタイルをSNSで発信。女性向けアウトドアWebメディア「なちゅガール」の編集長を務める。愛車はHondaの軽バン「バモスホビオ」。初めての著書『はじめよう! ソロキャンプ』(山と溪谷社)が好評発売中。
- Instagram @fu_u.m
- Twitter @fu_uyu
- 撮影協力:Hayama RV-SITE by Star Home
- 神奈川県葉山町にある車中泊スポット。AC電源、水道、Wi-Fi、シャワー室もあり、快適に車中泊するための設備が整う。テント泊もOKで、ウッドデッキでくつろいだり、焚き火をしたりとアウトドアなステイを楽しむことも可能。キャンピングカーや車中泊スポットの予約サイト「カーステイ」から予約可能。
- 公式サイト:https://www.hayama-rvsite.info/
板張りに改造! 憧れのバンライフ車に変身
こんにちは。キャンプ女子からますます車中泊女子が板についてきた森 風美です!
さて、前回に続き、私の愛車バモス ホビオの内装を板張りにカスタムする様子をお届けします。
ちなみに、私が着ているコロンビアのオーバーオールは、YURIEさんがコロンビアとコラボしたもの。ポケットがたくさんついているのでスマホやカギなどの小物を入れられるし、フロントジッパーで脱ぎ着しやすいし、撥水性のストレッチ素材なのでアウトドアにもピッタリ。可愛いくて最近のお気に入りです!
ジョイフル本田で購入した材料と、使用する工具類はこちら。工具は、電動丸ノコ、インパクトドライバー、仕上釘打機などを使います。
ルーフライニング(天井の内張りの仕上げ材)を剥がす前に、純正アクセサリーの「ルーフインナーサイドパイプ」をいったん外します。
ルーフインナーサイドパイプは、このクルマを中古で購入したときからついてきたオプション品。ハンガーで服をかけたり、S字フックで物を吊るしたり、いろいろ活躍してくれるアイテムなので、天井の板張りが終わったら、あとでまた取り付けます。
荷室の天井や壁についていたパーツ類をすべて外して、がらんとした状態。ここから作業を行っていきます。
問題発生! いきなりピンチに
「さあ、始めるぞ!」
と思ったら、いきなり問題発生です。
天井に張るために買ってきた板には、オスとメスがあり、凸凹を組み合わせてつなぐようになっているのですが、板と板のあいだにできる溝が、想定よりも広いことがわかりました(買うときに、もっとチェックすればよかった……)。
もちろん、溝の幅が広くても機能的にはまったく問題ないのですが、私がこれまでに見た板張り天井は、隙間なく張っているイメージが強かったので、自分のクルマの天井もそうしたいと思いました。
そのため、急きょ、鈴木さんがこのオス、凸の部分を削って調整してくれることに。
想定外のこの作業に、かなり時間がかかってしまいました(汗)。
ベテラン大工の鈴木さんなので、「よし、じゃあ削って調整しよう!」となりましたが、素人の方にはちょっと難しい作業かもしれません。
ですので、板を買うときは、
「オスとメス、凸凹を組み合わせたときにできる溝の幅をよく調べてから板を買ってください!」
という注意点をお伝えしておきます!
今回、天井を板張りにするのは荷室部分だけです。運転席と助手席の天井はそのままルーフライニング(天井の内張りの仕上げ材)を残しておきます。
ルーフライニングをいったん切り外して中の構造を確認するため、カッターで思い切って切り目を入れます。境界線はあとできれいにカットし直すので、このときは適当に切っても大丈夫。
真っ直ぐに切ろうとしてもなかなか切れないので、カッターを入れて、ザクザクと上下に動かしながら切っていきます。
荷室部分のルーフライニングをすっかり剥がしました。天井の金属面はサビも汚れもなくて、意外にきれいでした!
まっすぐきれいな直線になるようにカットします。ここは技量が試されるところなので、師匠の鈴木さんにやっていただきました!
天井を剥がして、むき出しになった車内はこんな感じ。電気系統の配線は垂れてこないように、天井の金属面にアルミテープでとめてありました。
後部座席のシートベルトが固定されている部分を、一時的に少しゆるめて、ルーフライニングを取り外しました。
ちなみに、このクルマには後部座席を残しているので、シートベルトもそのまま残します。
断熱材+防音材を貼っていく
次は、天井のむき出し金属の部分に、断熱材を貼っていく作業です。
鈴木さんが愛用している断熱材は、その名も「断熱材+防音材」。断熱と防音の機能が合わさったスグレもの。
天井のサイズに合わせて、断熱材をカットします。板で隠れる部分なので、アバウトでも大丈夫。隙間ができてしまったら、重ね貼りもできます。
断熱材にはもともと裏面に接着テープがついているので、両面テープのようにフィルムを剥がして貼っていきます。断熱材を天井に張り付ける作業は、慣れれば1人でもできそうです!
断熱材の次は、天井の板を張るための下地材を取り付ける作業です。クルマの屋根に直接取り付けるとネジが車体を貫通してしまうので、もともとある梁のような骨組みの出っ張り部分に木材を付けます。ここでは12㎜厚のベニヤ板をカットして使っています。
【天井板張りの下地について詳しく説明した記事はこちら↓↓↓】
下地材を付けたら、いよいよ天井の板を張っていきます。
左右対称にするため、車内の横幅を測ります。ちょうど中央の位置のところに最初の板を取り付け、接着剤の「床棟梁」を塗ってから、仕上げ釘を打って固定します。クルマの中は振動するので、ずっと地震が起こっているような状態。接着剤と仕上げ釘を併用することでしっかりと固定できます。仕上げ釘は、前回、ジョイフル本田で購入した「WAKAI 仕上げ釘 PF25C」(ベージュ)を使いました。
これは電動の「仕上釘打機」です。「フィニッシャー」と呼ばれているそう。
釘が打てない金属部分には、接着剤の「床棟梁」をつけて固定します。
板の表面に、マグネットをつけているのが写真に写っていますが、その裏側にはマグネットを仕込んでおきました。
私はマグネット式の収納グッズを愛用しているので、板の裏側にマグネットを仕込んでおくことで、天井にも使えるようになりました!
きれいな曲線を作るのがいちばん難しい
天井の板張りでいちばん難しいのが、この天井から壁へとつながる曲線をきれいに作ることなんだそうです。
自然なカーブにするには、どうしたらいいのでしょうか?
鈴木さんのお手本を見ることにしましょう。
天井用の板を当てながら、ちょうどいい角度のところで止めて、金属の骨組みから板までの距離を測っています。
そして金属の骨組みの上に、下地材用の厚みのある木材を当てます。その上に、天井板の切れ端を当ててテストしながら、下地材の厚みがどのくらいだとちょうどいいかをチェックします。
ここで使っている下地材は、縦70×横40×奥行45㎝くらいの木材ですが、このサイズはクルマの形状によって変わってくるので、当てはめてテストしながら、少しずつ削って微調整します。
「天井から壁につながっていくカーブをどう作るか。カクカクしてるとあまり美しくないので、きれいな曲線になるように作っていくのがプロの腕の見せどころですね」
採寸にもとづいて、事前に緻密な設計図を描いてから作業する人もいれば、鈴木さんのように実際に板を当ててみて、少しずつ削って調整していく人もいるそう。
「曲線が多いクルマの作業は計算通りにいかず、イレギュラーが発生しやすいので、初心者の方も、作業は現場合わせのほうが最終的に失敗しにくいですよ」とのこと。
下地材のサイズが決まったら、インパクトドライバーでネジ用の穴を開けます。
金属の骨組みの部分に噛ませるように、下地材には切り込みも入っています。こういう工夫も、さすがプロならでは!
インパクトドライバーでネジを打ち込み、下地材を骨組みに固定します。
「天井の板を組み合わせていくときに、少しカーブをつけたほうがきれいな仕上がりになります」
と鈴木さん。中央が少しだけ幅広く、両端は幅が狭いようにカーブをつけてくれました。
「クルマの中は、一見すると直線に見えても、よく見るとゆるやかな曲線になっていることが多いので、まっすぐな板をまっすぐに張るだけでは、きれいに仕上がらないんです。車内の曲線に合わせて、板を少しずつ加工して微調整していく必要があります」
匠のワザが光っています。
仕上釘打機は、照明がつくようになっているので、暗い場所でも手元が明るく、作業に支障がないようになっています。
天井の板を半分くらい張ったところで、外がだんだん暗くなってきました。
もう夕暮れの時間です。
本日の作業は、ここでいったん終了。続きはまた明日の朝から再開します。
天井板張りの仕上げ。作業再開!
翌日も気持ちのいい快晴です。朝から作業再開、さあ、はりきっていきましょう!
今日は、我が家の愛犬ドンちゃんも一緒です。
今回、撮影に利用させていただいたRVサイト「Hayama RV-SITE by Star Home」は、ペットもOK! ウッドデッキで日向ぼっこしながら、静かに作業を見守ってくれています。
さて次は、取り外しておいたルーフインナーサイドパイプに塗装します。
ステンレスなどの非鉄金属は、塗料をスプレーするだけでは定着しないので、まずは下地として「非鉄金属用密着スプレー」をまんべんなくスプレーします。夏場で20分ほど、冬場だと40分ほど、そのまま放置して乾燥させます。
その後、「シリコンティッカースプレー(黒)」で塗装しました。
「コツは、一気に塗ってしまおうと思わないで、数回に分けて塗ること」
鈴木さんのアドバイスで、3回くらいに分けて少しずつスプレーしました。
また、塗料が飛び散らないように、レジャーシートや新聞紙などを地面に敷いてくださいね。写真では、剥がした天井のルーフライニング(あとで小さくカットして廃棄しました)を敷いて作業しています。
天井には電気系統の配線もあるので、それをうまく板の後ろに隠すために、板の端を少し加工します。
配線が通るように、天井板の端に丸い凹みを鈴木さんが作ってくれました。
DIYと言いつつ、難易度の高い作業は、鈴木さんにすっかりお任せしてしまっていますが、床棟梁を塗るのは私の役目。今回、床棟梁が大活躍しました。
天井の板張りも、あともう少しで完成です!
せっかくなので、板を張って隠れてしまう金属の部分に、記念の寄せ書きをしました!
天井の板をすべて張り終えたあとで、取り外しておいたルーフインナーサイドパイプを元通りに取り付けます。
大仕事をやり遂げて、ついつい笑みがこぼれます。
「ルーフインナーラック」も、元通りに設置しました。「ルーフインナーサイドパイプ」と同様、このクルマを中古で購入したときからついてきた純正アクセサリーです。今回、サイドパイプを黒く塗装して、ラックとカラーを揃えたので、インテリアの統一感が生まれました。
とうとう憧れの天井板張りが実現!
憧れていたバンライフ車のインテリアが実現しました。
パイン材のやさしい風合いがとても気に入っています。木の色が明るいので、室内がとてもあたたかく落ち着いた雰囲気になりました!
さて次回は、両サイドの壁に、飾り棚とテーブルを作ったプロセスをレポートしますので、どうぞお楽しみに!
文/森 風美
写真/木村 琢也
編集/平林 享子(LIG)
撮影協力/Hayama RV-SITE by Star Home
※1 本記事を参考にされる場合は、自己責任にもとづいたご判断のうえ行ってください。
※2 本記事に掲載された情報は、記事公開時点のものです。
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