燃費のよさで人気の軽自動車。なかでも車高・全長・全幅を最大限に生かした広々とした車内空間があり、積載容量が多い「ハイトワゴン」は大人気です。
その代表格がHonda N-BOX。4年連続で新車販売台数No.1&6年連続で軽自動車販売台数No.1の座を獲得している超人気モデルにして、普段使いからアウトドアまで、シーンを問わずに活躍してくれるクルマでもあります。
今回はキャンプコーディネーターとして活躍している野あそび夫婦のおふたりに登場いただき、N-BOXのアウトドアシーンでの使い勝手を検証! 豊富な純正アクセサリーの使い心地や、キャンプシーンでのアクセサリーの活用方法についても提案してもらいました。
目次
そもそもN-BOXってどんなクルマ? 実はキャンプにぴったりの広々サイズの軽なんです
自動車税や車検代、高速料金などのランニングコストの安さから、独身世帯やファミリー層のメインカーやセカンドカーとしてはもちろん、商用に至るまで活躍している軽自動車。そもそも軽自動車とは排気量660cc以下、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下のクルマのことで、そのなかでもN-BOXはその全長・全幅・全高をほぼフルに使って極限まで室内空間を確保した、いわゆるハイトワゴンと呼ばれるタイプのクルマです。
毎年のようにモデルチェンジ&リニューアルがおこなわれるハイトワゴンのなかでも、N-BOXはキャンプやアウトドア好きの人たちから支持されています。人気の理由のひとつが、この地上高47cmという荷室床の驚異的な低さです。
前述のとおり、軽自動車の全高には2.0m以下という制限があります。そのため荷室床が低ければ低いほど空間が広がり、さらに重いギアや自転車など持ち上げるのが大変な荷物でも楽に積める。つまり、たっぷり&楽チンにキャンプ道具を持ち込める、というわけです。
キャンプインストラクター・野あそび夫婦がN-BOXの使い勝手をチェック
そして今回、いかにN-BOXとキャンプの相性がいいのかについて、徹底的に確かめてくれるのが、「キャンプ民泊NONIWA」を拠点にアウトドアの魅力を伝えている野あそび夫婦のおふたり。
というのも、実は野あそび夫婦のアオさんは大学在学中に自動車部に所属し、Honda シビックでジムカーナ(複数台同時に走行するレース競技とは異なり、規定のコースを1台のみで走りタイムを競うモータースポーツ)をやっていたというクルマ好き。しかもふたりは以前にN-BOXを借りて、友人たちと4人で沖縄にキャンプ旅行へ行ったこともあるのだそう。率直な意見を聞くにはピッタリな人選ではないでしょうか。
- 野あそび夫婦(左:エリーさん、右:アオさん)
- ともに日本大学芸術学部出身で、アフリカ民藝を扱う商社に勤めていた青木達也(アオ)さんと、テレビ制作会社でディレクターを勤めていた江梨子(エリー)さん。キャンプ好きが高じて2019年に埼玉県比企郡ときがわ町へ移住し、日本初のキャンプ民泊「NONIWA」をオープン。キャンプインストラクターとして講習会を主催するかたわら、ときがわ町の名産を使ったグッズの企画制作などもおこなっている。
野あそび夫婦 公式サイト https://noasobifufu.com/
Twitter @noasobifufu
Instagram @noasobi_fufu
Youtube https://www.youtube.com/c/noasobifufu/
キャンプ民泊NONIWA 公式サイト https://noniwa.jp/
ということで、さっそくN-BOXの走りの面からチェックしていただきました。
走行したのはNONIWAの横にある砂利道の坂。キャンプ場にありがちな未舗装の道は、二駆の軽自動車では走行するのがちょっと不安ですが……。
アオさん:今回の取材前に連日降った雨で砂利が流されて轍やギャップができているのですが、まったく底を擦ることなく通過できましたね。この道は車種や路面の状況によってはタイヤが滑るクルマも多いんですが、坂の途中で停止してから再発進してもしっかりと登ったのは驚きました。
アオさん:舗装路に出ても軽自動車らしからぬハンドリングというか、普通車を運転しているような印象です。それにこのステアリング、樹脂と合皮巻きのコンビネーションでスポーティーな見た目なだけでなく、質感が違うので握っていて飽きないですし、舵角(ハンドル、タイヤの切れ具合の角度)の状況もわかりやすいですね。
エリーさん:それに軽自動車はエンジンの音がうるさいイメージがありましたが、N-BOXはとても静か。これなら長時間乗っても疲れにくそうですし、運転中も会話が弾みそうですね。
N-BOXは広々とした室内空間に加え、リアシートにセンターアームレストが標準装備してあるのが他のハイトワゴンには無い特徴。ひとりでゆったりと使いたければ、写真のように収納してもOKです。
N-BOXにキャンプ道具を積み込むときのポイントを教えてもらいました
続いて、キャンプ道具をN-BOXに積むときのポイントを解説してもらうことに。今回は3人でのキャンプを想定して荷物を用意しました。
N-BOXのリアシートは独立式のため、片側だけ倒すことも。それぞれの座席が19cm前後にスライドできるため、荷物の量に合わせて調整できます。
エリーさん:これなら3人クルマに乗ったまま、荷物も十分載せられそうです!
3人分のキャンプ道具を積んだ状態がこちら。
荷室自体はまだまだ積めそうなほど余裕ありですが、N-BOXで4人キャンプを経験した野あそび夫婦いわく「4人だとかなりギリギリなので、3人がベストだと思います」とのこと。
アオさん:リアシートを倒したときに荷室床がフルフラットにならず、なだらかな段差ができるので積み込みにはちょっと頭を使いますね。インフレータブルマットなど柔らかい長尺物のギアをうまく使って段差を吸収するように工夫するとよいと思います。
エリーさん:それから赤のボックスは、キャンプ場に着いてからすぐに使う道具をまとめて入れてあります。なかでも一番取り出しやすい位置に収納しておきたいのが、チェアなんです。
アオさん:というのも、長時間運転してキャンプ場に着いたのに、いきなり設営をスタートすると気が休まる暇がないじゃないですか。なので、まずはサイトに着いたらチェアを出してひと息ついて、周りの景色を眺めてどんなサイト作りをするか考えたり、キャンプ場の空気感を楽しんだりする時間を設けるのがオススメです。
実際にN-BOXに積み込んだ3人分のキャンプ道具一式がこちら。これだけ積んでもまだ余裕ありとは、積載力に優れるN-BOXだからこそでしょう。
アオさん:N-BOXのようなハイトワゴンの場合、どうしても荷室の天井高を活かしてどんどん上に積み重ねる方法になってしまいます。そのぶん荷崩れするリスクも上がるので、本当は荷掛け用のフックや、荷崩れ防止用のネットがあると、よりキャンプで使いやすいですよ。純正アクセサリーで発売してもらえると嬉しいですが(笑)。
キャンプシーンでも人気な無印良品の「ポリプロピレン頑丈ボックス・大」(幅60.5×奥行39×高さ37cm)を使って、どれくらいの積載量があるかもチェックしてみました。リアシートを倒せば、平置きで5個収納可能。車内高も高いので、重ね置きすれば一気に10個運ぶこともできます。
キャンプシーンでも大活躍! N-BOXの純正アクセサリーをチェック
アオさんが「最新モデルはすごい」と驚いたN-BOXの装備の数々。実はこれ、新型車だからというわけではなく、純正アクセサリーを装着したクルマだからなのです。
そのなかでも野あそび夫婦が気に入った、キャンプ向きのアクセサリーたちを紹介します!
オールシーズンマット
まずは泥だらけの靴で入っても車内を汚す心配無用な「オールシーズンマット」。フチつきのため、足元が濡れているときでも車内に水が溢れにくいのもポイントです。
エリーさん:フロントシートの下の部分までしっかりとマットで覆ってあるので、シート下に履き替え用のサンダルを入れておくなど、いろいろ使えそうです!
アオさん:フロアの形状に合わせてぴったりハマりますね。純正品だからあたりまえですが(笑)。
ラゲッジトレイ
そして同じく、荷室を汚れや水から守る「ラゲッジトレイ」。
アオさん:薪をそのまま積んで木屑が散らばっても、はたくだけで掃除が済みますし、ウォータージャグやボトルが倒れたときも安心ですね。
エリーさん:キャンプ場に着いてからの荷物運びや普段の生活でちょっとした汚れ物を載せるときに活躍しそうな気がします。
テールゲートストラップ
こちらは背の低い人でもテールゲートの開け閉めが容易になる「テールゲートストラップ」。
エリーさん:手が泥や炭で汚れているときにクルマのボディを触らずに開け閉めできるのがいいですね。それに、ランタンハンガーとしても使えそうです。
ワンタッチスライドドア、ハンズフリースライドドア
荷物を持っているときでも開け閉めが簡単な、ボタンひとつで右のリアドアが開く「ワンタッチスライドドア」と、キーがポケットに入っていれば、クルマの下に足をかざしてリアドアを開けられる「ハンズフリースライドドア」。
アオさん:荷下ろしのときは、ついドアを開けっ放しにして車内に虫が入ったりしがちですし、こまめに開け閉めできるのはありがたいです。
エリーさん:重い荷物を持って手がふさがっているときにも活躍してくれますね!
シートバックテーブル
グレードや年式によっては標準装備ですが、アクセサリーとしてもラインナップしているのが「シートバックテーブル」※。いわゆるピクニックテーブルとも言われ、ドリンクが多くなりがちな夏場のキャンプシーンなどにぴったりなアクセサリーのひとつ。
※走行中は使用できません。
エリーさん:水はちゃんと用意しているけれど途中のパーキングエリアでコーヒーを買ったりと、なぜかキャンプのときって飲み物の種類が増えがちなんですよね(笑)。 片方のドリンクホルダーはスマホの置き場にしてもいいかもです。
ルーフコンソール
アオさんが試乗中に気になっていたのが、運転席と助手席の上部に取り付けられる「大型ルーフコンソール」。
アオさん:デッドスペースを有効活用できて、室内空間や視界を圧迫せずに収納が増える、ありがたいアイテムですね! サングラスやキャップなど小物類もすぐ取り出せます。ボックスティッシュなど車内に置いていると見栄えがよくない物をしまっておいたり、助手席側にブランケットを入れておいたりしても便利ですね。
ドアエッジモール
もうひとつ、アオさんが気に入っていたのが「ドアエッジモール」。エクステリアのアクセントになりつつ、ドアを傷から守ってくれます。
アオさん:キャンプ場で荷物を積み下ろしするとき、ドア付近に荷物を固める場面も多いですよね。自動スライドドアのクルマの場合、荷物をおいたままリアドアを開けてしまって、ぶつけてしまい傷がつくことがあるという話も聞きます。ドアエッジモールをつけていれば安心ですし、見た目のアクセントにもなりますね。
そして純正アクセサリーと言えば新車購入時にしか取り付けられないと思っている人もいますが、実はディーラーに相談すればいま乗っているクルマにも取り付け可能なのも嬉しいところ。
エリーさん:ワンタッチスライドドアなども後から取り付けられるんですね。新車を買うときにオプションでつけないと無理だと思っていました!
【番外編】ogawaのカーサイドタープをN-BOXのリアに取り付けました
純正アクセサリーではありませんが、せっかくなのでこちらの記事でも紹介したogawaの「カーサイドタープ」を使用して、N-BOXでデイキャンプ的なサイトをコーディネートしました。本来はこちらの写真のようにクルマの横に取り付けるアイテムですが……
リアゲートに取り付けたところ、N-BOXの高さを存分に活かした広々空間が完成しました。
カーサイドタープを取り付けるためには、付属品の吸盤を使用。設置穴が複数箇所用意されていて車幅に合わせて取り付けることができ、全幅147.5cmのN-BOXのリアにも設置できます。
先ほど紹介したテールゲートストラップが、ランタンの設置場所にベストマッチ!
アオさん:1.8m近い高さが出るので、大人の男性でも屈まずに過ごせる広い空間になりますね! 両サイドからの日差しが避けられなくなるので設置する方角は気をつけないとですが、そのぶん景色を楽しめると思います。
キャンプサイトの設営完了後も、N-BOXの車内を活用!
先ほどのキャンプギアを使って設営したサイトがこちら。編集部も入ってみましたが、3人で過ごすには十分すぎる快適なサイトが設営できました。
エリーさん:スノーピークのタープとテントがセットになった「ヴォールト エントリーパック TT オリジナルセット」を使えば、3人用の十分なサイズのサイトに仕上がります。ヘキサタープは大型ですが、ひとりで立てることもできるのでオススメですよ。
アオさん:N-BOXに乗って4人でキャンプ旅行に行ったときは途中で買った飲み物をフロントシートの下に無理やり詰め込んだり、荷物の積み込みに四苦八苦した思い出があるのですが、3人なら余裕ですね。
アオさん:キャンプ初心者の方だと、テントで寝るのに抵抗がある場合もあるかもしれません。そんなときは車中泊を検討するのも手です。
エリーさん:N-BOXの場合、リアシートを全部倒せば車中泊もできそうですが、倒したときにできる床の段差をなくす工夫が必要ですね。あとは窓やリアゲートにワンタッチで取り付けられる蚊帳があると、暑い時期の車中泊もやりやすそうな気がします。
アオさん:正直なところ車中泊を考慮すると、N-BOXのようなハイトワゴンより商用バンのほうが適していると思います。だけど運転時の疲れにくさはN-BOXのほうが上だし、室内空間が圧倒的によい。それにインテリアの収納やアクセサリーが至れり尽くせりなのも驚きました。やっぱり最新のクルマって進化しているんですね。
ちなみに、フロントシートを倒せばゆったりと足を伸ばせる空間をつくることも。
エリーさん:このまま就寝用に使うのはキビしいと思いますが、キャンプの際にリビングスペースとしても活用できますね! 荷室をつぶさないでもこのシートアレンジにできるので、パーキングエリアなどで仮眠するときにもよさそうです。
まとめ:N-BOXはキャンプでも大活躍! 純正アクセサリーを組み合わせればさらに快適に
老若男女を問わず、普段の暮らしから休日のキャンプまで幅広いシーンで支持されているN-BOX。軽自動車ながら、3人で過ごせる快適なキャンプサイトを作れるほど圧倒的な積載力に、アウトドアのプロも満足していました。
さらに純正アクセサリーを使えば、自分の目的や用途に合わせてアップデートすることも可能です。「大掛かりなカスタムをするほどの不満はないけれど、アウトドアに使うならココがこうなってるといいのにな……」という悩みをお持ちのみなさんは、ぜひ純正アクセサリーのラインナップをチェックしてみてはいかがでしょうか?
お手頃な予算で自分のニーズに合った、カユいところに手が届くオリジナルなクルマができあがるかもしれませんよ。
文/廣田 俊介
写真/木村 琢也
編集/井上 寛章(LIG)
撮影協力/キャンプ民泊NONIWA