コンパクトな見た目でありながら、広々とした室内空間と高い燃費性能を併せ持つN-VAN(エヌバン)。車内には収納スペースやコンビニフックが豊富に装備され、なにかとギアが増えがちなアウトドア&車中泊ファンからも支持を集めています。
今回のカエライフでフィーチャーするのは、N-VANをDIYしながらアクティビティに親しむchigisukeさん。テレビや電子レンジ、簡易キッチンや換気扇まで備えた「第二の自宅」ともいえる愛車で、自宅の庭、近場の景勝地、遠方のキャンプ場などさまざまな場所で家族との時間を満喫しているようです。
本記事では、chigisukeさんが家族と一緒にN-VANライフを楽しむために行った珠玉のカスタム術をご紹介していきます。
目次

- chigisuke(ちぎすけ)さん
- クルマ関係の企業に勤める機械設計エンジニア。2019年11月にN-VANを購入して以来、週末二日間を愛車のカスタム&家族とのアクティビティに費やしている。二男一女の父。chigisukeさんの週末の過ごし方は、Instagram&YouTubeでチェック!
- Intsagram @chigisuke
- YouTube chigisuke
N-VANとの出会い
chigisukeさんが所有するN-VANは、「オートカラーアウォード2018」でグランプリを受賞したガーデングリーン・メタリック。ブラックのラバースプレーでボンネットなどの外装をカスタムしているため、純正カラーとはひと味違うクールな印象を与えます。
chigisukeさん:2019年、当時乗っていたフィットを車検に出したときの代車がN-VANでした。以前から、妻には「次は軽自動車を!」と釘を刺されていたし、長男はYouTubeで車中泊動画を見たらしくN-VANを推してきていましたが、この時点ではまだ「これがN-VANか」ぐらいの気持ちでしたね。
最初は狭い運転席に驚いたというchigisukeさん。しかし、実際に乗ってみると、それまで抱いていた軽自動車のイメージを良い意味で覆されたといいます。
chigisukeさん:意外に広くて快適な車内空間と、力強い走りに魅力を感じました。でも、購入の決め手になったのは、座席が全部フラットになって車中泊ができるという点。
長男と一緒に車中泊動画を見ていて「おもしろそうだな」「いい趣味だな」という憧れがあったんです。でも、まさかここまでDIYにハマることになるとは思いませんでしたけどね(笑)。車検が終わって代車を返却した後すぐに購入しました。
chigisukeさんの N-VANカスタム遍歴
N-VANに乗る以前のカスタム経験は、車内のライトをLEDにしたり、自宅の棚を作ったりする程度。そんなchigisukeさんがカスタムにハマったきっかけは、ベッドキット制作とコロナの感染拡大でした。
chigisukeさん:自身のN-VANで、初のカスタムがベッドキットです。N-VANの購入を決めたときからカスタムしようと思っていたもので、納車される前からDIYに取り掛かっていました(笑)。木材とクッションにカーペットを巻いた簡易マットを作成し、骨組み用のイレクターパイプに載せています。
内装カスタムは初めてでしたが、子どもの頃からものづくりは好きだったのでこれが面白くて! それからすぐコロナ禍となりましたが、車中泊なら密にならずに家族と出かけられる、じゃあもっと快適にしよう! と、どんどんのめり込んでいきました。
カスタムをするにあたってイメージしたのは、実の兄が乗っているキャンピングカー。電子レンジから簡易トイレまで付いた快適空間に強いあこがれを抱いたといいます。
chigisukeさん:兄が家族と車中泊でスキーを楽しんでいるのを見ていたので、いつか自分もという思いはありましたね。ベッドキットを皮切りに、電子レンジや簡易キッチンを設置しようと考えたのも兄の影響です(笑)。
ただ、具体的なカスタムに関しては、やはりYouTubeやSNSを参考にすることがほとんど。いろいろな人のカスタム動画を見ながら、そこに自分のオリジナリティを加えて形にしています。
テレビやスライド式のテーブル、冬場は小さなこたつを設置するなど、なんでもそろった車内はまるで自宅。「くつろげる空間」をコンセプトに、カスタムは日々進化しているようです。
chigisukeさん:とにかく居心地の良い空間づくりにこだわってここまでやってきました。設備を充実させていく一方で、就寝スペース確保のために電子レンジ台の下に足を伸ばせる空間を作るなど、より快適に過ごすための工夫をしています。自宅のように落ち着ける雰囲気を目指したいですね。
細部までこだわり抜いたカスタムで理想のキャンピングカーを作り上げてきたchigisukeさんに、一番苦労したポイントを尋ねてみると?
chigisukeさん:うーん、ルーフデッキですかね。12枚の板をすのこ状に並べているのですが、板と板の間隔が少しでもずれると全体がずれてしまう。だから、まず仮組みで間隔を決めてから一度解体し、翌週末に塗装して組み直しています。板も、1枚1枚バリを取るのが大変で……子どもたちが手伝ってくれて本当に助かりました。
車内はベッドキットのイレクターパイプ&マットを組み替えることで5パターンのシートアレンジが可能。出かける人数や目的によって自由に使い分けています。




chigisukeさん:子どもを習い事などに送っていくケースが多いので、基本は2人乗り。状況に応じて人数が増減する形です。最初にベッドキットを自作した時点でシートアレンジを想定していたので、どのパターンにも数分で組み替えられるようにしました。
後部座席を完全に潰して就寝スペースにする方も多いようですが私はあくまで日常使いができるキャンピングカーにしたかったので、最大4人が乗れるパターンは壊さないよう心がけています。
日常のくつろぎを表現する、5つのカスタムポイント
自宅のように家族みんながゆったりとくつろげる空間を目指したというchigisukeさん。理想を叶えるために工夫を凝らしたカスタムポイントを5つピックアップ!
ポイント1 自宅のように落ち着ける内装
ご自宅を建てた際に使った塗料の余りを、簡易キッチンや収納棚に再利用。木材はコーナーをゆるい曲線に加工して使い、自然で落ち着ける雰囲気に。
chigisukeさん:自宅の家具類を作って頂いた大工さんに余った塗料をもらい、簡易キッチンや収納棚を塗装しました。自宅と同じウォールナット風の見た目なので、車内にいても自宅でくつろいでいる気分になれます。
ポイント2 レトロ&アースカラーで統一された居住空間
車内のいたるところにこだわりがギッシリ。N-VANと同じグリーンのグッズを集めたり、家具類のパーツをリメイクしたりするうちに、いつのまにか統一感が生まれました。
chigisukeさん:このクルマに乗るようになってグリーンが大好きになり、100円ショップや雑貨屋に出かけては緑色のグッズを探しています(笑)。食器棚や引き出しの取っ手も懐かしい形に。電子レンジもあえてレトロなタイプを選びました。


ポイント3 大容量のポータブル電源
車内で使うほとんどの家電をまかなうのは床下に収納されたポータブル電源。エコフローリバープロ720Wh+専用エクストラバッテリー720Wh=1440Whの大容量で、ルーフキャリアに設置したソーラーパネル(175w)からも充電できるのだとか。
chigisukeさん:平日にソーラーパネルから蓄電しておけば週末のキャンプや遊びで不安なく楽しめます。日照不足で充電量が少なくても、1時間の給電で80%まで充電されるので急な外出にも安心。
このポータブル電源は1000wの家電の消費電力を600wに落として使うこともできるのですが、一体どんな仕組みなんだろう? さまざまな電化製品を使い、快適な車中泊をするには電気がなにより大切。ポータブル電源は一番の肝ですね。


ポイント4 調光式のメイン照明&間接照明
天井の板張りにメイン照明としてLEDを3個、板の周囲には間接照明としてLEDテープを設置。いずれもダイヤルスイッチをまわすことで無段階の調光が可能です。
chigisukeさん:メインは1個300円のLEDですが明るさは十分。間接照明は、子どもたちが車内泊で眠る際にまっ暗になるのを嫌がるので常夜灯として使っています。
照明スイッチはもともとプラスチックのダイヤルでしたが、Seriaで見つけたアンティーク風のツマミを取り付けてリメイク。SNSのフォロワーさんからは「そこまでやるの!?」と言われます(笑)。
ポイント5 換気扇の横の小窓
換気扇の横に作られた小さな引き戸には、家族とのコミュニケーションを大切にするchigisukeさんの思いが込められています。
chigisukeさん:換気扇を設置するために右後部の窓を板で覆ったのですが、当時小学校1年生だった息子がクルマのなかから妻に“バイバイ”ができないと泣いてしまって(笑)。急きょ板ごと取り外し、三層構造にして小窓を作りました。本人も手伝ってくれて、でき上がりには満足しているようです。
車内環境を快適にするおすすめグッズ
なくても過ごせるけれど、あれば車中で過ごす時間がより快適に!
そんな便利グッズをchigisukeさんに10点選んでいただき、おすすめポイントを伺いました。
①温冷式ドリンクホルダー
chigisukeさん:飲み物1本だけを冷やすのに冷蔵庫を使うのも大変だな~と思って購入。保温60℃、保冷-6℃に設定できて、キャンプや旅行、普段使いにと1年中大活躍です。
②バグネット
chigisukeさん:虫が多くなる夏場の換気用アイテム。真ん中にジップがあるタイプなので外からの出入りがラク。下に隙間ができないように、裾にマジックテープをつけてベッド部分に密着させています。
③換気扇
chigisukeさん:パソコン用のUSBファンを板に取り付けて換気扇に。ファンの裏側には網戸用のネットをアルミテープで固定して防虫対策。風量は3段階に調節可能です。
④テレビ(16インチ)
chigisukeさん:アーム可動式の金具で取り付けて自由に向きを変えられるようにしました。電源を入れると、連動しているFire TV Stickが起動。子どもと一緒に動画配信やYouTube チャンネルを楽しんでいます。
⑤ベアボーンズ レイルロードランタン
chigisukeさん:気泡の入ったホヤ(LEDを覆うガラス製の筒)がオシャレで、いま一番のお気に入りです。はめ込み式のスタンドは、走行中の揺れによる破損を防ぐために自作した完全なオリジナル。使わないときは折りたためるので邪魔になりません。
⑥冷凍冷蔵庫
chigisukeさん:ベッドキットの下に収納するためサイズで選びました。コンパクトながら容量は15リットルもあり、キャンプ1回分の食材なら余裕。-20℃から20℃まで1℃ずつ温度設定ができるのも便利!
⑦ちょこっと家電 おひとり様グリル鍋
chigisukeさん:焼き肉や餃子を作りましたが、火力は問題なくひとりで楽しむには十分。電子レンジを買う前はコンビニで買ったフレンチトーストや総菜パンも温めていました。焼き目が付いて美味!
⑧車載Wi-Fiルーター
chigisukeさん:シガーソケットから給電しているのでエンジンをかけると自動で起動。エンジンを切った後はスイッチでポータブル電源に切り替えます。2016年発売の商品ですがクルマとの連動機能に惹かれて中古で購入しました。


⑨Toffy 全自動ミル付きアロマコーヒーメーカー
chigisukeさん:ステンレスのメッシュフィルターを使っているので、豆の油分まで一緒に抽出されて強いコクと香りを楽しめます。毎朝これで飲む一杯が至福なんです。
⑩DULTONのツールキット
chigisukeさん:雑貨店で見つけてN-VANと同じグリーンの車体に一目ぼれ。見た目はかわいいけれど意外に使い勝手がよく、自作した棚のネジが緩んだときなどに活躍してくれます。
日常生活〜アウトドアまで 家族との過ごし方
chigisukeさんのこだわりが散りばめられたN-VANは、ご家族と過ごすさまざまな場面で活躍しているようです。シチュエーション別の過ごし方をちょっぴり覗いてみましょう。
アウトドアでの過ごし方
N-VANの乗車定員は4名。家族5人全員で出かけることはできませんが、お子さんとはキャンプ場で車中泊、奥さまとはデイキャンプなど、場所や目的に合わせて家族との時間を満喫しています。
chigisukeさん:お風呂やトイレを考えると、どうしても息子2人と男3人でのキャンプが多くなっちゃいます。昨年は「ふもとっぱら」や「みはらしの湯オートキャンプ場」などにでかけました。
たき火ではDIYで出た木の廃材で火を起こし、焼き肉やジャガバターに舌つづみ。車中泊はテントの設営や片づけの時間を節約できるのがいいですね。
自宅の庭での過ごし方
出かけられない休日や、なんでもない日の夜などに、N-VANを「第二の自宅」として楽しんでいるというchigisukeさんファミリー。いつもは自宅でしていることも、車内に場所を移すと気分が変わって面白いそうです。
chigisukeさん:タープを広げて本格的なバーベキューやプール遊びをすることもあれば、ただ車内に入って家族とお弁当を食べたり、ダラダラとYouTubeを見たりすることもあります。自宅だと日常生活の一部になることも、車内という空間だとなぜか違う気持ちで楽しめるんです。
近所での過ごし方
遠くのキャンプ場に行かなくたって、自宅の近所にも特別感を味わえるスポットがいっぱい。天気の良い日はN-VANで近くの河川敷などに繰り出します。
chigisukeさん:お弁当やアイスを買い、子どもたちと河川敷へ行って食べるだけ……というドライブをよくやりますね。よく「外で食べると3倍おいしく感じる」って言うけど、まさにそんな感じ。
ルーフデッキに並んで座るといつもの景色も変わって見えます。妻と二人で子どもたちの習い事のお迎えをするとき、コーヒーを飲みながら待つ時間も好きですね。
これからの過ごし方
日常生活からアウトドアまで、N-VANで過ごす家族との時間は、chigisukeさんにとってかけがえのないものになりました。今後N-VAN×家族でやってみたいことは?
chigisukeさん:やっぱりおいしいものを食べたいですね。車内でできる調理は限られるので、「なにが作れるかな?」「家族の誰を誘おうかな?」と考えるのが楽しくて。
あと、コロナ禍が収束したら妻と大分県へ行く計画を立てています。車中泊をしながらご当地の名物を食べて、湯布院や別府温泉でのんびりしたい。2年前にも計画していましたが、新型コロナの感染拡大で断念せざるを得なかったので、今度こそと思っています。
今後のカスタム展望
N-VANを手にしてからの約2年間でカスタムに費やした時間は約120時間、費用は30万円ほど。進化を遂げてきた居住空間ですが、chigisukeさんにはまだまだ「野望」があります。
chigisukeさん:私のイメージする「キャンピングカー3種の神器」は、電子レンジ、シンク、FFヒーター。だから次はFFヒーターを導入したいですね。ボディに穴を開けて、排気と給気のダクトを分けて、とかなり大変な作業になりそうですが、1リットルの燃料で8時間という暖房効率はやはり魅力です。
あと、サスペンションも交換したい。総重量80㎏も積んでいるので、どうしてもリアが下がって乗り心地が悪いんです。この2年間は内装を優先してきましたが、そろそろサスかなと考えています。
では、N-VANカスタムの最終地点は?
chigisukeさん:うーん、トイレが付いたらゴールです(笑)。兄のキャンピングカーには付いているので……これも兄からの影響ですね。こうして取材されたことを伝えても全然驚いてくれないのですが、時々情報交換をしながらお互いに楽しんでいます。
正直なところ、私がカスタムを続けていけるのはSNSのおかげ。皆さんからのコメントに助けられている部分が大きいので、ひとりでやっていたらたぶんベッドキットで終わっていたんじゃないかな(笑)。カスタムする楽しさをみなさんと共有しながら、これからも続けていきたいですね。
文/ほそい ちえ
写真/よねくら りょう
編集/望月 祐 (LIG)
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