雨の日洗車のメリットとデメリット。本当に効果はあるの?

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記事提供元/くるくら
文/くるくら編集部 大槻 祐士

 

雨の日に洗車をしても、また汚れてしまうから、天気のいい日に洗車をしたいと思う人は多いだろう。しかし、雨の日の洗車には、雨だからこそのメリットがあるという人もいる。雨の日に洗車を行うことのメリットについて、日本洗車ソムリエ協会に意見を聞いてみた。

雨の日洗車のメリットはある?

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洗車といえば、天気のいい日にするイメージがあり、雨の日が続くと、愛車を洗車できずにフラストレーションがたまる人も多いのではないだろうか。しかし、雨の日こそが洗車に適しているという人もいる。果たしてどうなのだろうか? 雨の日の洗車のメリットとして一般的にいわれている「通説」について、一般社団法人 日本洗車ソムリエ協会に意見を聞いてみた。

※一般社団法人日本洗車ソムリエ協会:洗車の技術や知識などについての資格「洗車ソムリエ」の検定試験を行う協会

メリット1:汚れが柔らかくなる

通説:雨の日の洗車では、ボディが雨で濡れているため、鳥の糞や虫の死がい、泥などの付着した汚れがふやけて柔らかくなるため汚れが落としやすい。砂などの細かな汚れが、ある程度流されているため、クルマ全体に水をかけて、水洗いする必要がない。

洗車ソムリエ協会:確かに、雨によって汚れが柔らかくなり、乾いている場合よりは、洗車はしやすくなります。しかし、雨には、霧雨からどしゃ降りまで、さまざまな状態があります。弱い雨では、砂埃などはほとんど流されていないと思われます。どんな場合でも、ホース(水道水)を使って水洗いをした方がいいでしょう。

メリット2:水シミができにくい

通説:晴れた日に洗車をすると、水の蒸発が早いため、水道水に含まれるカルキがボディに残り、水シミ(ウォータースポット)ができやすい。一方、雨の日では、水が蒸発しにくいため、水シミが残りにくい。

洗車ソムリエ協会:雨の日の方が、晴れの日に比べて水シミが残りにくいのは間違いありません。ただし、雨の中には、花粉や黄砂、PM2.5など、水以外の不純物が混ざっている可能性があります。これらがボディに残ると水シミの原因になります。なお、雨の降り始めから30~50分は、不純物が多く含まれているといわれています。雨の日に洗車する場合は、降り始めから1時間以降に開始するといいでしょう。

メリット3:水道水の節約になる

通説:雨によって既にボディが濡れているため、最初に水洗いする必要がない。さらに、カーシャンプーを洗い流す際にも、雨によってある程度流されるため、水道水を節約できる。

洗車ソムリエ協会:雨量が多い状況であれば多少の節約にはなると思います。しかし、最初の水洗いや最後のすすぎでは、水道水を使った方がいいでしょう。ボディのつなぎ目などの細かな隙間に入り込んだカーシャンプーの泡は、雨だけでは落ちない可能性が高いです。

メリット4:拭き上げが不要

通説:雨の日は、洗車後にボディを拭き上げても、また、濡れてしまうので、屋外に駐車する場合は、拭き上げの作業が不要になる。

洗車ソムリエ協会:屋外に駐車する場合でも、洗車後には拭き上げをすることをおすすめします。拭き上げをすることで、水流だけでは落ちなかった汚れを取り除くことができます。できれば一度、屋根のある所に移動して、拭き上げた方がいいでしょう。

雨の日洗車のデメリット

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雨の日の洗車について、洗車ソムリエ協会に意見を聞いたところ、確かにメリットもあるが、多くの場合、そのメリットは決して大きくないことが分かった。また一般的に、下記のようなデメリットも挙げられている。

デメリット1:雨具の準備が必要

雨の日の洗車では、クルマだけでなく洗車する人も濡れてしまうので、カッパなどの雨具を着用する必要がある。カッパを着ると動きにくいだけでなく、ボタンや裾などがクルマのボディに当たって傷が付く可能性があるので注意が必要。

デメリット2:ワックスやコーティングに適さない

雨によってワックスやコーティング剤が流れたり、ムラになったりするため、塗布するのに適さない。

洗車に適した天候は「風のない曇り」

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では、洗車に適しているのはどんな天候だろうか。洗車ソムリエ協会によると雨の日よりも洗車に向いている天候があるという。それはずばり「風のない曇りの日」だ。

洗車ソムリエ協会:曇りの日は、晴れの日のように水分がすぐに蒸発することがなく、水シミができにくいです。さらに、風が吹いていなければ、空気中に漂う不純物が少なく、洗車中にボディに付着する可能性が少なくなります。また、ワックスやコーティング剤も蒸発しにくく、ムラになりにくいため、洗車の全工程に適しているといえます。

なんと雨の日よりも風のない曇りが洗車に適しているそうだ。さらにこう教えてくれた。

洗車ソムリエ協会:洗車時に気を付けたいのは、ボディの温度です。水分がすぐ蒸発しない春や秋くらいの気温が適しています。しかし、季節や天候を狙って洗車をするのは難しいので、夕暮れ時に洗車をするのもいいでしょう。日中に運転をしてきた場合は、エンジンの熱でボンネットなどが熱くなっているので、最初に打ち水をして、ボディ全体を冷やしてから洗車してください。

夕暮れ時に洗車をするというのは目から鱗。晴れの日であっても、曇りであっても、夕暮れであれば、気温が上がりにくいため、水シミが残りにくいというのだ。

このように、雨の日の洗車には大きなメリットはなく、風のない曇りの日や夕暮れ時が洗車に適していることが分かった。とはいえ、雨の続く時期には、タイヤではねた泥汚れなどが蓄積しやすいため、洗わないよりは洗った方がいいとのことだ。くれぐれも風邪をひかないように、愛車をいたわってあげてほしい。

 

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※この記事は、くるくらに2022年6月4日掲載されたものです。