Instagramで車中泊やキャンプの様子を発信しているAtsuyaさん。DIYした素敵なバンの外観とスタイリッシュな内装に憧れている人も多いはず。一体どうすればそんなバンにできるの? 内外装の作り方、車内を広くおしゃれに見せるコツ、キャンプがさらに楽しくなりそうなAtsuyaさんのお気に入りギアなどをたっぷりと伺いました。
- Atsuyaさん
- 大学時代にキャンプにハマり、2023年4月からバンキャンプをスタート。平日は企業に勤める管理栄養士としてフルタイムで働き、週末はバンに乗ってキャンプを楽しむ。その思い出を残すためにInstagramでスタートした「管理栄養士とキャンプ / Atsuya」は現在12万人のフォロワー数を誇る人気アカウントに。
- Instagram @campers_photo
目次
実はバンライフ1年生! スタートのきっかけは
木目の美しい壁、おしゃれなベッド、整然と並ぶキャンプ道具…。まるで外国の山荘みたいですが、バンキャンパー Atsuyaさんの愛車です。
バンに乗り始めたのはわずか1年前のこと。
「キャンプ歴は長かったのですが、普通のクルマで出かけていました。バンに興味を持ったのはキャンパーのヘンミマオさんのバンライフを知ってから。自然に溶け込むバンに乗って、設営の手間を省きながら遊びに全力投球していくスタイルに強く惹かれたんです。」
そこで、自らもバンライフを始めるべく、2023年の冬にクルマを購入。選んだのは、価格や積載量がちょうどいいと感じた「ボンゴバン DX」でした。
「購入後は、ものづくりが得意な父と共に、外装と内装をイチからカスタムしていきました。アイデアがどんどん形になっていく過程がすごく楽しかった!」
Atsuyaさんがそう語るカスタムのステップを、順番に追いかけてみましょう。
DIY好きの父と中古ボンゴを大改造!
入手した当初のボンゴは、どこにでもある普通の白いバンでした。
「外装はツートンカラーにしたくて、タカラ塗料が出しているベージュの塗料『ビスケット』とホワイトの塗料『クリームブレッド』を塗りました。車体が白かったから地の色を活かせるかとも思ったのですが、ちょっとツヤがありすぎて…。改めて白い部分も塗り直したんです。」
一方、内装のカスタムでは、後部座席、床、壁をすべて剥がしました。積もった汚れと油を拭き取って、全体に「制振シート」を貼ります。車体の鋼板に貼ることで騒音を減らせる効果があるそうです。
「実際に、貼る前後を比べてみたら、確かに全然違うんですよ。走行時のガタガタという音が一気に静かになりました。」
続いては、床作り。元の床材を型として使い、ホームセンターで買ってきた大きな板をカット。その上からフローリング材を貼ります。
最後に家具を運び入れ、車体にボルトで固定しました。主な家具は、カウンターキッチン、ベッド、そして収納棚の3つ。
いつでも復元できるよう、これらの家具はすべて取り外しが可能なんだとか。痒い所に手が届くDIYです。
では、バン全体のナチュラルで洗練された雰囲気はどうやって生み出したのでしょう?
「コツは、色使いです。ぼくの場合は、使う色を3色にとどめています。例えばこの内装は、グレーのモルタル×ダークウォールナット×ブラックがテーマ。厳密に同じ色じゃなくても、近い色で構わないから、この3色ルールに従ってそろえると、きれいにまとまります。」
ちなみに、クルマの外装も3色。車体のベージュ、ホワイト、そしてホイールやスチールキャリアのシルバー。外で使う家具やギアも、なるべく3色にリンクさせながらそろえられていました。
車内を広くおしゃれに演出するコツ
限られたスペースを広く快適に過ごすためのポイントの一つが「伸縮式」です。
例えば、助手席の後ろにあるカウンターキッチンは、天板の下にもう一枚の板を設置して、外に向けて伸びる仕様になっています。
運転席の後ろにあるベッドも伸縮式で、縮めればソファに早変わり。
「伸ばした状態なら176cmあるぼくでもしっかり眠れるサイズになるんです。」
縮めれば、折り畳み自転車や川下り用のパックラフトなどの大きな荷物を積むスペースが生まれます。また、ベッドの置き方にもコツがありました。
「クルマの左右ではなく、前後に伸びるように設置しました。そして、収納棚をベッドから少し離して置いています。こうすることで、小さな通路ができるんです。だから前後に”抜け”が生まれて、広く感じるんだと思います。」
収納棚には、焚き火セット、身だしなみグッズ、薬箱といった旅の必需品がしまわれています。そのままなら作業台としても使えて、天板を伸ばせば広いテーブルに。さらに、天板の向きを変えることでL字テーブルにもなるんです。グッドアイデア!
夜はこの作業台にiPadを置いて、お酒を飲みながら好きなアニメを見るのが定番の過ごし方だそう。
さらに、車内をすっきりと見せるため、荷物の収納方法にもコツがありました。ベッドの下に手を入れたAtsuyaさんが引っ張り出したのは、折り畳みチェアとテーブル、タープ、ストーブといった大物の数々。
また、ベッド上にさりげなく置いてあったクッションのジッパーを開けると…中から大きな寝袋が登場!
小さなスキマも見逃さずに収納スペースに変えることで限られた空間もより広く使えます。また、目から入る情報はシンプルなほうが脳に負担がかかりにくいため、室内を雑多な状態にせず、きちんと整理整頓しておくことも疲れない車中泊のコツといえそうです。
Atsuya式キャンプの定番ギアと選び方
Atsuyaさんがバンに乗り始めて1年。振り返れば、キャンプスタイルにも大きな変化があったんだそう。
「バン泊にするか、テント泊にするかを自由に選べるようになったんです。冬はテントを張ってリビングにし、バンを寝室にして過ごすことが多いですね。たまにテントで眠ることもあります。一方、夏は暑いのでテントは張らずに、クルマにタープをつなげて影を作り、バンの中で窓を開けた状態で寝ます。」
そんなバン泊・テント泊で重宝するのがコンテナ収納です。
「調理器具やランタンなど必ず使う定番アイテムは、コンテナの中にまとめています。こうすれば野外でもテントの中でもどこにでも持ち運べて便利なんです。」
コンテナの中には、鍋やコンロ、お皿など、「必ず使うスタメン」たちが整然と並んでいました。付属のパーテーションを使って縦に収納しておくと、必要な道具を見つけやすい。ここにもワザあり。
「そろそろお腹が空いてきましたね。今日のランチはホットサンドにします。スノーピークの『ヤエンストーブ ナギ』はコンパクトだけれど火力が強くて、大きな鍋からカップ一杯のお湯まで広く対応できて優秀なんです。早速焼きますね!」
できたてのホットサンドを頬張りながら、お気に入りのギア話に花が咲きます。Atsuyaさんの持ち物は、どれも多機能で美しい精鋭ぞろい。普段はどんな基準でギアを選んでいるのでしょうか?
「基本的には、ものの価値と価格が釣り合っているかどうかを重視しています。機能的かどうか、デザインは良いか、カラーがインテリアに合うかどうかもチェックして、長く使えそうだと思えば価格が高くても取り入れます。一方で、使っているうちに壊れる可能性があるものは最初から廉価版を買うこともありますね。」
持ち物のすべてに理由があり、ストーリーが詰まっているAtsuyaさんのキャンプスタイル。自身の“好き”を追求してたどり着いた、この佇まい。選んだときの思い、使いながら増えた思い出がたくさん詰まって、とても豊かに見えました。
車中泊を始めたい!という方向けに、最低限必要なものは3つだけ
「1年前までは出かける前の荷造りに苦労して、テントの設営のことで頭がいっぱいでした。でも、バンキャンプを始めた今は車内のベッドでたっぷりと眠り、遊びや料理に体力を使えるようになりました。」
愛車に乗って、旅先やイベントに出かければ、いろいろな仲間と巡り合い、新しい情報も次々と舞い込んできます。
「教わったアイデアを実践したり、“これだ!”と思ったギアを手に入れたりして、自分の理想を形にしていく工程も楽しいんです。あれこれ試行錯誤するうちに、きっといろんなアイデアが湧いてきますよ。」
車中泊の世界に一歩を踏み出したいとき、Atsuyaさんが最低限の持ち物として挙げたのは3つ。
「最低限として、バンとテーブルとチェアがあればサクッと始められます。ギアをそろえるのはそのあとでも大丈夫。旅先でいろんな発見をして、アクシデントを経験するうちに、もっと自分が心地よい空間を求めて車内を作り込みたくなるはずです。」
愛車と共に自然の中に飛び込んでいくスタイルは十人十色。「バンキャンプ」や「車中泊」というワードにピンときたら、早速調べてみてください。自分らしい“好き”を目指して走り出せば、きっと新しい世界が開けていくはず。
文/矢口 あやは
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/FOLKWOOD VILLAGE 八ヶ岳
https://folkwood-camp.com/