「キャンプに行きたいけど、準備や設営が面倒でなかなか動けない…」という方は多いのではないでしょうか? そんな方には車中泊キャンプがおすすめです。
車中泊キャンプにはメリットがたくさんあり、テント泊よりも気軽にアウトドアを満喫できます。
ただし、楽しむためのコツや注意点もあるので、しっかり確認しておく必要があります。楽しみ方は多種多様なので、自分に合ったスタイルを見つけましょう。
この記事では、車中泊キャンプの魅力や楽しみ方について詳しく紹介します。記事を参考にして、休日を効率よく、思い切り楽しめる車中泊キャンプにチャレンジしてみてください。
車中泊キャンプのメリット
テント泊と違い、クルマで寝る車中泊キャンプ。単純に寝る場所が違うのはわかるけれど、どんなメリットがあるのかピンとこない人も多いのではないでしょうか? ここでは車中泊キャンプのメリットを紹介するので、自分の重視するポイントにマッチするか確認してみましょう。キャンプの幅がぐっと広がるかもしれませんよ。
クルマに鍵がかかるのでテント泊より安全
車中泊キャンプの大きなメリットは、クルマに鍵をかけられるところ。テント泊は就寝時や一時的にテントを離れたときに盗難や侵入などの被害を受ける心配があります。いざとなればテントを破られるリスクも。しかしながら、クルマは鍵をかけられる上に頑丈なため、安心です。
さらに、目隠しやシェードを併用すれば中を覗かれる心配もありません。テント泊よりも安全に野外で宿泊したい人は、車中泊キャンプから挑戦してみてはいかがでしょうか。
また、人為的な被害だけでなく、野生動物によって被害を受ける可能性も低くなるでしょう。テント泊では夜間に食べ物を放置すると野生動物に荒らされてしまう場合があります。クルマの中に食べ物を保管しておけばそのようなリスクもありません。
準備、片付けが少ない
準備や片付けが楽な点もメリットのひとつ。車内を過ごしやすいようレイアウトする必要はありますが、テント泊と違って大掛かりな準備はありません。現地での設営だけでなく、積み込みの手間も減り、事前の準備も大幅に楽になりますよ。
また、テントを乾かしたり、汚れを拭き取ったりする手間もなく、撤収作業もスムーズ。思い立ったときに気軽に出かけやすいのが魅力です。普段はテント泊がメインの人も時には車中泊キャンプにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
雨が降ったり風が強くても気にならない
天候に左右されず楽しめる点も見逃せないポイント。通常のキャンプと違ってクルマの中で過ごすので、雨や風が強くても気にならずに過ごせます。テントやタープを使わないので、メンテナンスのことを考える必要はありません。
クルマの中は音が漏れにくいので、映画、音楽などをゆっくり楽しむこともできます。途中で天気がよくなったら外に出て焚き火や料理も可能。当日の天候に応じて、柔軟に過ごし方を変えられるのが魅力です。
ただし、いくら悪天候に強いといっても、台風や豪雨などが予想される日の外出は控えてくださいね。
初心者が車中泊キャンプを楽しむアイデア
続けて、初心者でも車中泊キャンプを楽しむためのアイデアを紹介します。テント泊よりも簡単で、かつ楽しみ方の幅が広い車中泊キャンプ。ぜひ自分らしい楽しみ方を見つけてください。
アウトドアブランドのギアで簡単に車中泊キャンプができる
まずは車中泊に適したギアを手に入れましょう。車中泊キャンプと聞くと難しく感じるかもしれませんが、そんなことはありません。アウトドアブランドから車中泊に特化した商品や、テントのみならずクルマでも使えるアイテムが販売しているので、うまく活用しましょう。
たとえば、コールマンから販売されている「キャンパーインフレーターマットハイピーク/ダブル」。厚さが10cmあり、テント泊での地面の凹凸だけでなく、車中泊での微妙な段差も気にならず、快適に眠れます。
車中泊に特化したモデルではありませんが、車種によってはピタッと収まるので、自分のクルマに合うか確認してみましょう。ダブルサイズだけでなく、ソロ車中泊に適したシングルサイズも販売されています。
ogawaからは、クルマに吸盤で取り付けられるカーサイドタープ「 カーサイドタープAL-Ⅱ」を販売しています。ワンタッチで取り付けられ、簡単にリビング空間を拡張できます。アンカーバッグが付属し、砂や水を詰めたペットボトルを入れて固定すればペグを打てない場所にも設営できますよ。リアハッチにも取り付けられ、柔軟にレイアウトを変えられる点もメリットです。
このほかにも、アウトドアブランドから車中泊に適したアイテムが多数販売されています。車中泊に特化したアイテムを買うのもよいですが、テント泊でも使えるアイテムをそろえれば、テント泊も車中泊もどちらも楽しめてお得です。
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キャンプ飯で満足度アップ
キャンプ飯にこだわるとキャンプ気分が盛り上がります。車中泊とはいえ、天気がよければ寝るとき以外は野外で過ごし、焚き火を眺めながら食事を楽しんではいかがでしょうか。
車中泊なら、寝食する場所に直接クルマを停められるため、ダッチオーブンのような重い調理器具を宿泊地点まで持ち運ぶ手間がかからないので、豪快なキャンプ飯にもチャレンジできます。道の駅などに立ち寄り、地元の特産品を購入するのもおすすめです。
のんびりした時間を過ごせるキャンプなら、スパイスに漬けた塊肉を炭火で焼いて、じっくりダッチオーブンで煮込むような凝った料理も楽しめます。
バナナを皮ごと焼くだけでも立派なデザートになるので、普段料理をしない人もぜひチャレンジしてみてください。
ただし、クルマの中では火器類は使えないので注意が必要です。手の込んだ料理を作ってもいいですが、惣菜、弁当、レトルト食品などをうまく使って手を抜いてもOK。
雨の日は料理に時間をかけず、そのぶん映画、音楽、読書などをゆったり楽しむのも素敵な過ごし方です。絶対に料理をしなければならない、と縛られずに自由に過ごしましょう。
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観光地に出かけて気軽にキャンプできる
準備や片付けに時間がかからないので、観光地を散策する時間があるのも車中泊キャンプの魅力です。海岸線をドライブしたり、景色が綺麗なスポットや有名な寺社仏閣を訪れたりでき、キャンプと旅行を同時に楽しんでいる気分になれます。
道の駅や市場などに立ち寄って、地元の新鮮な野菜や海鮮類を購入するのもおすすめ。行きに購入した食材をキャンプ場で調理するのも醍醐味です。
少し離れた温泉にも出かけられるので、シャワーで済ませたり、お風呂に入らずに寝たりすることに抵抗がある人にも適しているスタイルです。
ただし、宿泊するキャンプ場やRVパークによっては、チェックイン時間が早い場合や、夜間にクルマでの移動が禁止されている場合も。車中泊プランを立てる段階でよく確認しておきましょう。
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インテリアをコーディネートすると居住性が高まる
インテリアを自分好みにアレンジできるのも車中泊の楽しみ方のひとつ。インテリアにこだわることで居住性が高まるだけでなく、自分だけの秘密基地を作っているような感覚になって気分が盛り上がります。
足元のスペースなどデッドスペースをうまく活用するのも車中泊を楽しむコツ。シンデレラフィットするコンテナやテーブルなどを探すのも楽しいです。
うまく配置できるものが見つかればスペースを有効活用でき、広々と過ごせます。ポータブル電源を導入すると冷蔵庫や電気毛布なども使用でき、さらに快適に車中泊を楽しめるでしょう。
DIYをするとさらに快適に
やや上級者向けですが、DIYで車内を自分好みにアレンジするのもおすすめ。折りたたみ式のテーブルを配置したり、フルフラットで眠れるベッドを作ったりしてみてはいかがでしょうか。車中泊アイテム専用のメーカーからも販売していますが、自作したほうが費用を安く抑えられる場合もあります。
マガジンラックを作ってお気に入りの本を置いたり、プライバシー保護のためのカーテンを設置したりアレンジの仕方は無限大。ベッドを自作すれば家にいるような気分で寝ることもできます。まずは簡単なものからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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どこで車中泊キャンプができる?
車中泊ができる場所は主にRVパークとオートキャンプ場の2か所です。それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説するので、場所選びの参考にしてください。
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RVパーク
安心して車中泊を楽しみたい場合は、RVパークが最適。RVパークは日本RV協会が認定した車中泊専用の駐車場です。道の駅や温泉施設などと提携し、併設されている場合も。
気軽かつ快適に車中泊を楽しみたい人にぴったりです。トイレや水道のほか、シャワーブースを備えた施設もあります。
ただし、火器の利用やテント設営などのキャンプ行為が禁止されている場合があるので注意が必要です。よりキャンプに近い感覚で車中泊を楽しみたい場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
オートキャンプ場
自然を満喫したい場合は、オートキャンプ場を選んでみてください。オートキャンプ場はキャンプサイト内にクルマを乗り入れてクルマを横付けできるキャンプ場です。キャンプ場なので焚き火やテント、タープの設営はもちろんOK。
寝るまではキャンプサイトをリビングにして自然の中での時間を楽しみ、夜はクルマで快適に眠れます。テント泊は不安だけど、自然を存分に味わいたいという人にぴったりです。
数は少ないものの、なかには車中泊を禁止しているオートキャンプ場もあるので、事前に確認するようにしましょう。
車中泊キャンプの注意点
車中泊キャンプにはメリットがたくさんありますが、一方で注意しておくべき点もあります。特にマナーや防犯面で注意すべき点が多いので、しっかりと守って気持ちよく車中泊を楽しんでください。
音や光が漏れないように
車中泊キャンプでは、音や光が漏れないように注意しましょう。日常生活では気にならない小さな音や光でも、自然の中では気になる場合があります。車内で映画や音楽を楽しむのは素敵な過ごし方ですが、外に音が漏れていないか確認しておきましょう。
ドアの開け閉めの音も響くので、夜間や早朝などは可能な限り出入りは控えてください。車内の光の漏れやヘッドライトの明かりなどにも注意が必要です。
また、ありがちなミスですが、車内でスマートキーでロックをかけ、その状態で車内からドアロックを開けようとすると盗難、侵入防止のアラームが鳴ります。運転席の集中ドアロックで鍵をかけるか、スマートキーで開錠してからドアを開けるように注意しましょう。
暑い、寒いからといってエンジンをかけっぱなしにするのはNG。夏場は網戸を設置し、サーキュレーターを使う、冬場は厳冬期用のシュラフを用意するなどエアコンを切っても快適に過ごせるよう工夫してみてくださいね。
車中泊してはいけない場所ではキャンプをしない
車中泊をしてはいけない場所でのキャンプは避けましょう。公共の施設や駐車場での車中泊はNG。また、道の駅も車中泊ができない場合があるので、事前に確認するようにしましょう。施設によってはRVパークが併設されている場合もあります。
また、車中泊ができる場所でも傾斜があり、寝づらい場合も。傾斜がある場所は避けるのが無難です。もし場所が限られている場合は、車輪の下にレベラーを敷いて車体を水平に近づけるとよいでしょう。
夏や冬は専用のグッズが必要
車中泊は悪天候には強いものの、夏場は暑く、冬場は寒いのでしっかりと対策する必要があります。クルマは鉄の塊なので気温の影響を受けやすく、通気性も悪いので対策しないと快適に過ごせません。
夏はサーキュレーターやポータブルのエアコン、冷感のシーツなどを利用しましょう。クルマ用の網戸を設置すればドアや窓を開けられるので、息苦しさも解消されます。
冬場は底冷えと窓からの冷気の侵入を防ぐのがポイント。10cm以上の厚手のマットを使用し、窓には目隠しにもなるシェードを設置しましょう。コストをかけたくない場合は、厚手の銀マットなどを窓型に切ってはめ込むだけでも車内の保温性が高まります。
加えて、厳冬期用のシュラフと重ね着できる服を多めに用意するようにしましょう。電気毛布や湯たんぽなどの小物もあるとより暖かく過ごせますよ。
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キャンプ道具の盗難などセキュリティに気を付ける
テント泊に比べて防犯面に優れているものの、盗難などセキュリティには注意が必要。外にキャンプギアを出したままにしておくと盗難にあう可能性があります。とはいえ、クルマの中にギアを片付けると寝るスペースが圧迫されるので、うまく収納できるよう工夫が必要です。
たとえば、天井や側面にラックを設置したり、下にものをしまえるようにベッドを配置したりすると収納スペースが増えます。また、寝るときはクルマに鍵をかけ、窓も閉めておきましょう。
ゴミは指定された場所に分別して捨てる
ゴミは指定された場所に分別して捨ててください。無料のキャンプ場や格安で泊まれるキャンプ場などではゴミを捨てられない場合もあるので、その際はゴミを残さず、責任を持って持ち帰るようにしてください。
車中泊キャンプを楽しもう!
テント泊よりも気軽に楽しめ、楽しみ方の幅も広がる車中泊キャンプ。テントやタープなどの大掛かりな準備はなく、撤収もスムーズなので、アウトドア初心者にもぴったりです。
観光地や温泉を巡る時間的余裕も生まれるので、キャンプと旅行のいいとこどりのようなスタイルともいえます。普段はテント泊がメインの人も車中泊に出かけられるように愛車をカスタムしてみてはいかがでしょうか。ラックを取り付けるような簡単なカスタムでもキャンプの充実度が上がります。
マナーや防犯に注意した上で、車中泊キャンプを楽しんでみてくださいね。
文/ヨシダ コウキ
写真/ヨシダ コウキ、井手 勇貴、木村 琢也、観音クリエイション、いとうみゆき、Mojahrney、KEI KATO(ヒャクマンボルト)、カエライフ編集部、渡辺 圭史、和田清志、藤永 祐人
編集/ヨシダコウキ、TAC企画