休日は9割ソトアソビ! “旬”を追って出かける自然満喫のバンライフ旅

ミントグリーンの愛車の前で、旅先で収穫した素材を料理するまりりんさん

ログハウス風にカスタムしたHonda「バモス ホビオPro」で、キャンプやハイキング、釣りなどアウトドアを楽しむまりりんさん。オリジナルカラーに塗装したバンとともに「休日は9割ソトアソビ!」な生活を送っています。バンライフとの出合いや、カスタムを始めたきっかけ、まりりんさん流アウトドアの楽しみ方を聞きました。

まりりんさん

まりりんさん
千葉県在住
四季を味わう景色や、旬のおいしさを追い求めて旅を続けるバンライファー
Instagram:@mari_jam_club
YouTube:まりじゃむくらぶ

目次

 

コロナ禍のモヤモヤで見つけた、バンライフという新しい生き方

四季折々で味わえる“旬”の景色やおいしさを求めて、休日は海や川、山へ「思い立ったらすぐに出かける」というまりりんさん。旅の相棒は、唯一無二のオリジナルカラー“ミントグリーン”がかわいいHonda「バモス ホビオPro」です。

Honda「バモス ホビオPro」とまりりんさん

愛称は「BOBBY(ボビー)」。こだわりの色は3年かけて悩みに悩んで作り上げたオリジナルカラー

バンライフとの出合いは、大学生のとき。観光学を専攻していましたが、コロナ禍が学生生活を直撃。外出制限で学びの機会が失われ、ふさぎ込みがちだった日々の中、唯一心を解放できる瞬間が「クルマで旅をする」時間でした。

「実家が中古車販売・修理の自営業で、クルマは子どもの頃から身近な存在でした。父からは『自分で乗るクルマは自分で直せるようにしなさい』と言われて育ったので、中古車を自分仕様にカスタムするバンライフのスタイルは自分に合っていたのだと思います。大学生のときに初めて乗ったダイハツ アトレーでも、簡易的に車中泊仕様にカスタムして1~2泊の旅を楽しんでいました」

愛車のBOBBYを運転するまりりんさん

運転するのも大好きと話すまりりんさん

本格的なカスタムへと動き出すきっかけの一つが、「大学を辞退する」という大きな決断でした。在学中はオーストラリア留学も果たしたまりりんさんでしたが、1年の予定が、コロナによって半年になってしまったそう。学びの機会が、自分ではどうすることもできない要因で中断されていく。本来学びたかったことが学べないなら、形式的に卒業しても意味がない。そう思ったんだそうです。

「だからこそ、逆境を力に変えたくて、自分が思いっきり打ち込めるものを求めていたのでしょう。手探りで始めていたDIYに本気で取り組んで、バンを徹底的に自分好みの空間へ変えていこう。そんな、一つの“目標”を見つけた気がしました」

2022年4月から社会人として家業を手伝うことを決め、同時に「バモス ホビオPro」の2015年式中古車を手に入れたまりりんさん。

改装前のバモス ホビオProとまりりんさん

2015年式Hondaバモス ホビオProを約50万円で取得(写真提供:まりりんさん)

自分なりのカスタムを進めていく上で、コロナ禍以降に増えたアウトドアのバンイベントが世界を広げてくれたと話します。特に「VANCAMP JAPAN」を通じた仲間との出会いが、DIYを形にする原動力につながったんだそうです。

「出会った仲間は、お互いのDIYを肯定し合い、気持ちよく過ごせる人たちばかり。バンを展示するイベントにも多く呼んでもらえるようになり、期日ができたことで『仕上げなくちゃ!』と本腰を入れられるようになりました。イベントの日を目標に、1週間で塗装を仕上げる“塗装チャレンジ”を自分に課したこともありました」

バモス ホビオProを清掃中のまりりんさん

まずは徹底的に磨き上げるところからDIYはスタート。中古車販売・修理の家業を手伝っていた経験をふんだんに生かせた(写真提供:まりりんさん)

バモス ホビオProを改装中のまりりんさん

天井からカスタムを始めたのは、作業中にゴミが上から落ちてきても、あとで掃除がしやすいから(写真提供:まりりんさん)

当時DIYをすればするほど正解がわからなくなるなか、イベントで自分のバンを見た仲間やお客さんからの反応が答えだったと振り返ります。こうしてまりりんさんらしさが詰まったBOBBYへと変貌を遂げていきました。

カスタム後のバモス ホビオProとまりりんさん

イベントで来てくれたお客さんに見るだけでなく楽しんでもらえるようにと、木製のスマートボールもDIY

 

旬をめがけてどこへでも! そのときだけの景色や味覚を求めて

カスタムを始めた当初は、車中泊での日本一周旅行を計画していたというまりりんさん。もともと旅行が大好きで、国内の主要観光地はたくさん巡っていたのだそう。でも、オーストラリア留学を経験し、「自分がいかに日本について知らなかったか」を改めて感じたといいます。

「留学先では、ホストファミリーや友人たちに『日本に行くならどこがおすすめ?』とよく聞かれました。いざ答えようとすると、地方の暮らしや旬の食など、日本の知られざる魅力について、全然伝えられない自分がいました。日本には四季があり、その季節にしか見られない景色がたくさんあることも、日本を離れて初めて気づきました。『帰国したら、もっと日本を歩いて、日本を味わいたい』と強く思い、以来、日本一周の旅は人生の中でやりたいことの一つになりました」

ただ、一緒に行く予定だった友人の仕事の関係などで、計画はいったん中止に。それならば、休日のたびに自然を味わいに出かけようと、今のライフスタイルが確立されていきました。

私にとって愛車BOBBYは、行きたい場所ならどこへでも連れていってくれる頼れる相棒です。春は桜を見に、秋は紅葉を見に山登りに出かけたい。旬の食材も逃したくないので、ホタルイカの身投げシーズンの4~5月には富山県に出かけて、浜辺に打ち上げられた大量のホタルイカをすくっては、その場で調理して味わいます。茨城県大洗の潮干狩りでは蛤(はまぐり)も採れますし、タケノコ掘りも春がベストタイミング。夏には桃を求めて福島県まで出かけます」

ホタルイカを採ったり、タケノコ掘りをするまりりんさん

「採れたての食材ほどおいしいものはない!」と言い切るまりりんさん。その時期、そこにしかない絶品に出合えるのであれば、何の躊躇もなく出かけていくそう(写真提供:まりりんさん)

大洗で採れたはまぐりを使ったアヒージョを作るまりりんさん

キャンプでは自分で採った食材で料理を楽しむ。取材では、大洗で獲ったはまぐりのアヒージョをスタッフ分までたっぷり作って振る舞ってくれた

「今思えば、家族全員、アウトドアが大好きでした。小学生の頃は、釣り好きな父に連れられて、車中泊をして夜釣りしたことも何度もあります。そんな体験から、釣りたての魚のおいしさを身体が覚えているのかもしれません」

父の夜釣りに連れていってもらった幼少期の頃のまりりんさん

この頃は車中泊仕様にカスタムされていない父親のクルマで寝泊まりしていた(写真提供:まりりんさん)

 

バンライフだからこそ生まれた、忘れられない景色や人との出会い

旅先ではバンがあったからこその出会いも多くあります。紅葉を見に行った福島県の安達太良山(あだたらやま)では、季節外れの大雪に見舞われ、止む無く通った迂回ルートで温泉に遭遇。冷えた足を入れたときには、「これまで入った温泉の中でもトップレベル」な心地よさを感じたそうです。

安達太良山で偶然、遭遇した自然の中の温泉

日本百名山のひとつ安達太良山の火口跡からのびる谷の周辺には、多くの源泉が湧き出しており、壮大な野湯地帯となっている(写真提供:まりりんさん)

「BOBBYがいるだけで、現地のおばあちゃんが話しかけてくれたり、手を振ってくれたりと交流が生まれます。千葉県の海に行ったときには、コーヒーを飲んでいると『かわいいクルマですね』と多くの人が声をかけてくれました。こだわりのミントグリーンの外観が人を引き寄せてくれ、内装を見てさらに会話が弾みます。出会いを作ってくれる、いいクルマだなと思っています

コーヒーを楽しむまりりんさん

旅先では必ず手挽きしたコーヒーを飲む。一人用ハンモックもお気に入り

祖母から譲り受けたコーヒーミル

「タイパ重視の価値観にあらがいたい!」と時間をかけて手挽き。コーヒーミルは祖母から譲り受けた大切な一品

現在、計画が頓挫している日本一周の旅ですが、「諦めたわけではなく、どんなテーマで行こうかと考え中」とのこと。その土地ならではの楽しみ方を、最大限に引き出して味わい尽くす姿が想像でき、ぜひまた話を聞かせてほしい……と期待してしまいます。

後編では、ログハウス風にカスタムしたクルマの様子を紹介します。

 

文/田中 瑠子
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/ 有野実苑オートキャンプ場