
Honda「バモス ホビオPro」をカスタムした旅の相棒「BOBBY(ボビー)」とともに、休日アウトドアを楽しんでいるまりりんさん。ログハウスへの憧れから「木のぬくもりあふれる空間」を目指し、今もカスタムを続けています。丁寧なものづくりにあらわれる、まりりんさんのこだわりポイントを聞きました。

- まりりんさん
- 千葉県在住
四季を味わう景色や、旬のおいしさを追い求めて旅を続けるバンライファー - Instagram:@mari_jam_club
YouTube:まりじゃむくらぶ
唯一無二の外観にこだわった旅の相棒「BOBBY」
大好きなアウトドアを楽しむ旅の相棒として、Honda「バモス ホビオPro」を車中泊仕様にカスタムしているまりりんさん。子どもの頃からログハウスに憧れていたことから、カスタムのコンセプトは「ぬくもりが感じられる木の家」へと、自然に固まっていきました。
バンの愛称は、「ホビオ」をもじって「BOBBY」。2022年からカスタムをスタートして4年目の今も「まだまだ未完成」だと言いますが、車内は木の色合いが統一され、まさに“暖かなログハウス”の空間が広がっています。


中古車販売・修理業を営む実家に育ち、「自分のクルマは自分で直すもの」という“英才教育”を受けてきたまりりんさん。2015年式のBOBBYのカスタムは、まずは新車のようにピカピカにキレイにすることから始まりました。
「今は家業を手伝っているのですが、クルマをキレイに仕上げることは得意分野。職人気質の父に『クルマはこうやって扱うものだ。見て覚えなさい』と厳しく育ててもらった甲斐あり、自分のクルマも隅々まで磨き上げられるようになりました」
外装では、ホイールキャップを変え、フロントライトを丸くすべくフロントバンパーフェイスを交換し、BOBBYの“顔”をカスタム。「ワーゲンバス(Volkswagen Type2)が好きで、イメージを近づけたかった」と言います。

そして、BOBBY最大のチャームポイントの一つが、「ミントグリーン」という世界にたった一つのオリジナルカラーです。3年以上悩みに悩み、何度も配合し直して完成したのが、淡くマットな質感のカラーなのだそう。
「実家にある塗料を、何種類も組み合わせてようやく完成したのが、今の色です。街の中でも、緑の下でも、景色にすっと馴染みますし、あえて光沢感のないマットな仕上がりにしたことで、素朴なかわいらしさも出せたかな。もし剥がれてしまったら、二度と同じ色は作れないので、大切に大切に扱っています」

緻密な設計と、旅先で出合ったものに囲まれた内装
ドアを開けると車内には、これまでの旅先で出合った流木や木の実、車輪まで、まりりんさんの好きなものが詰まっています。

内装で最初に取り組んだのは天井づくり。制振材、断熱材を入れたあとに角材を天井に打ち付け、そこに縦長の板をネジで止めて固定していきました。
リラックスできる空間づくりのために、「現実味を出さない」ことを大事にカスタムしてきたそう。配線もすべて見せないようにするなど、細部まで工夫が凝らされています。


床板は経年とともに深みが出る木材を選び、ワトコオイルを塗っています。車検対策として、大きな一枚の板を5分割にした上で、板を取り外し可能な仕様に。床下には収納スペースを作りました。



床下中央には引き出しを作り、収納のほか、ロールテーブルとしても使えるように設計されています。


床下の高さは約15cm。床板に座っても頭が天井に届かず、それでいて、きちんと床下収納できるギリギリのバランスが追求されています。

ログハウス風へのこだわりは、カーテンレールにも表れています。使っているのは、千葉の海岸で拾ってきた流木です。100均で見つけたクリップが流木のサイズにジャストフィット。カーテンには「母の趣味であるものづくりで使っていた、麻の布の余り」を使っています。

「旅先で出合うものから、カスタムのインスピレーションがどんどん湧いてきます。流木はすべてが世界でただ一つのもの。今では、いいものに出合えたら拾っておくクセがついていますね」
電源不要。ランタンひとつで過ごす自然派な車中泊
車内でのんびり過ごしたいときには、壁につけたサイドテーブルの出番。キャンプなど1泊旅をするときは、夜の晩酌を楽しんでいます。
「1~2泊なら夜は寝るだけ。ランタン一つあれば十分明るいので、ポータブル電源は積んでいません。調理器具はガスコンロなので電気は不要。冬は火を起こすことも多く、自然派なスタイルで旅を楽しんでいます」


イベントでバンを展示する機会も多く、「そこでの子どもたちとの出会いもまた、バンライフを始めてよかったことの一つ」と笑顔を見せます。
見に来てくれた子どもたちが楽しんでくれるようにと、手作りした「スマートボール」が車内に常備されているというホスピタリティの高さも、まりりんさんの魅力の一つ。スマートボールがかなりの収納スペースを占拠しているのですが、人を楽しませたい、という思いのほうが優先度が高い様子。「せっかくなら楽しみは共有したい。そのほうが自分も楽しいから!」と屈託がありません。

細部まで計算され、完成された車内ながら、「まだまだ未完です!」と笑うまりりんさん。今後は引き出しの左右にある“デッドスペース”を活用し、折りたたみの椅子やテーブルをぴったり収納できるようにしたいと構想は広がります。

限られたスペースだからこそ、工夫のし甲斐があり飽きることがない――。まりりんさんの言葉の端々から、バンカスタムにはものづくりの面白さが詰まっているのだと実感させられました。
文/田中 瑠子
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/ 有野実苑オートキャンプ場