写真家とN-ONE e: ─ 電気自動車で目指す最果ての地

N-ONE e:

電気自動車で本当にロングドライブはできるのか。その答えを確かめるため、秋の中国地方へ向かう。高速道路も山道もある道程を走り、充電もたくさんするだろう。旅に出るとそのクルマの本質が見えてくる。最終章で描くのは、N-ONE e:とともに走る2500kmの記録。

目次

 

“EVが導く旅のかたち──写真家が辿ったもうひとつの景色”

─前夜まで散らかったデスクを片づけ、カメラとレンズを丁寧にバッグへ収めた。旅の準備はいつも簡単。持っていくのは必要最低限の道具と、ワクワクな心だけ。

出発の瞬間はいつだって特別だ。これから向かう場所の空気、匂い、温度。“知らない土地”という自由が胸を満たしていく。ナビに“出雲大社”とだけ入力し、アクセルを軽く踏み込む。

街の喧噪が少しずつ遠ざかり、高速道路ICにさしかかる頃には心が旅の速度を取り戻していた。「安全運転で、ただいまを言いたくなる旅をしよう」そう思いながらN-ONE e:は東の空を背にして静かに走り出す。青く澄んだ空がフロントガラスを満たしていく。

晴れていく空

空を覆っていた雲がどんどん晴れていく

長距離移動では充電の計画が大切だ。普通充電で約4.5時間・急速充電なら約30分程度ひと息つけるのがうれしい。なぜなら目的地が遠方の場合、ついつい「もう少し行けるかな」と無理をしてしまうことがあるから。それが半ば強制的に止まることになるのはN-ONE e:が「ちょっと休もうよ」と言ってくれているみたいだ。

サービスエリアで充電

サービスエリアで充電中

N-ONE e:を充電

慣れれば充電操作は簡単

充電中は休憩と創作の時間。充電ケーブルを接続したらカメラを肩にかけて散歩したり、執筆を進めたり。

そして取材したときは読書の秋。せっかくだからこの時間をデジタルデトックスとして本を読む時間にしてみても良い。そんな思いつきから、なんとなくタブレットではなく紙の本を読む習慣ができた。

なんだろう、N-ONE e:に乗るようになって、気づけばQOLがあがっていたことに驚く。豊かなひとときは、探さなくても目の前にあったんだ。

読書の秋

N-ONE e:との旅では待ち時間も不快にならない

N-ONE e:と空

クルマを停めて散歩もたくさんした

出雲大社を目指す旅の途中、まず寄ったのは美保関に鎮座する「美保神社」。朝の静かな港町でエンジン音のないこのクルマは神域に溶け込むよう。

ここは全国に広がる「えびす社」3385社の総本宮。ご祭神は、えびす様として知られる事代主神(ことしろぬしのかみ)とその母神・三穂津姫命(みほつひめのみこと)。そして父神が、出雲大社の大国主神(おおくにぬしのかみ)である。親子の神をそれぞれに祀る二社を巡る“だいこくえびす両参り”は、古くから「より深いご縁を結ぶ」と伝わってきた。

N-ONE e:と海

美保関は釣り人も多い

無料駐車場に停める

無料駐車場に停める

漁港

美保神社の前は閑静な漁港

出雲大社の壮大さに対して、美保神社にはしっとりとした優しさがある。本殿は左右二棟が連なる独特の美保造、または比翼大社造とよばれる。その美しさと、感じる悠久の時間は見ているだけで不思議と心を鎮めてくれる。

参道を歩きながらふと、N-ONE e:という存在そのものが“現代の美保造”のように思えた。無駄を削ぎ落としたその整いと、宿る温もり。美保関の静謐な空気の中で、その“小さな均衡美”がいっそう際立って見えた。

美保神社

美保神社

青石畳通り

青石畳通り

美保神社をあとにして、西へ。

道が開けてくると「宍道湖(しんじこ)」の水面が広がる。湖沿いの道に入ると車列は少しずつ速度を落とし、軽い渋滞に飲み込まれた。けれどこの足止めがむしろご褒美になった。雲の隙間から一筋、二筋と薄明光線が湖面に落ちる。あの光は出雲の方角。まるで道の先に導かれているようだ。

N-ONE e:と宍道湖

周囲約47kmの宍道湖

宍道湖

出雲大社方面に光が降りてきた

出雲は古代から目に見えぬ力を信じる文化が根付く地であり、"縁を呼び、願いを現実にする"波動のある場だ。出雲の神在月(新暦11月頃)は、全国の神々が集まり縁を結ぶとき。ちょうどこのタイミングで来れたのもうれしい。

鳥居をくぐり、参道が長く続く。石畳は歩幅に合わせて柔らかく響き、松の香りが時折風に乗って鼻に届く。「出雲大社」の境内は、空気から違う。

因幡の白うさぎの像

因幡の白うさぎの神話にちなんだうさぎが境内に66羽いる

まず目を奪われるのは、圧倒的な威厳をもつ拝殿と注連縄(しめなわ)。その存在感は、言葉にするより先に体の中心に何かが落ち着くような力を持っている。

写真を撮るときは参拝者の邪魔にならない距離を保ち、静かにシャッターを押す。時にはカメラをおろして、その場の空気だけを記憶に刻む選択をすることも、写真家として大切な仕事だと思っている。

出雲大社は参拝という行為はもちろんのこと、そこに至る道程すべてが意味を持つ場所だ。地球環境に優しく、雑音のないN-ONE e: はその旅路のパートナーとしてベストな選択だった。

出雲大社

出雲大社

勢溜の大鳥居

勢溜の大鳥居

お店が並ぶ神門通り

お店が並ぶ神門通り

無事目的地に到達し、ここからは復路だ。

次に向かったのは、その美しい山容から伯耆富士(ほうきふじ)ともいわれる鳥取県の「大山(だいせん)」。秋の伯耆大山は、まさに錦秋の山。麓から標高を上げるごとに赤・橙・黄とあらゆる色が重なり合い、山全体がひとつのパレットのようで、険しい山肌と紅葉のコントラストが目を奪う。

ゆっくり走りながら背景を探すと、被写体は思いのほかたくさん現れる。車体が小柄だからこそ、狭い脇道や見晴らしの良いところにすんなり入っていける。

坂を登るN-ONE e:

登坂も余裕

紅葉

ちょうどピークの色づき

落ち葉の絨毯

落ち葉の絨毯

急カーブの続く山道を走っても低重心がもたらす安定感で姿勢が崩れない。シングルペダルコントロールに切り替えれば、リズミカルに駆け抜け、加減速がアクセルペダルひとつで操れる。よりステアリング操作に集中できて楽しくドライブができる。

N-ONE e:と紅葉

ずっとこんな道が続く

「鍵掛峠」に着いたのは午後の西日が差すころ。

クルマをおりた瞬間、目の前に広がる光景に思わず息をのんだ。澄みきった秋空の下、伯耆大山の稜線が堂々と横たわり、その裾野を覆うブナ林が金色の海のように波打っている。ここに立っていると現実が遠くに感じられる。ただ目の前の風景と、シャッターをきる自分だけが、確かにこの瞬間を生きている。

鍵掛峠から南壁の眺望

鍵掛峠から南壁の眺望

N-ONE e:と紅葉

山をくだる前に日陰でしばしの休憩

最後に向かったのは伯耆大山からおよそ2時間ほど走って、世界が寝静まった「鳥取砂丘」。

クルマをおりて歩き出すと海からの風が頬を撫で、砂丘が巨大なカンヴァスのように月の光を反射し、模様を浮かび上がらせている。見上げれば空には雲の流れと無数の星々の輝き。ここの夜は異世界に迷い込んだようで、“広さ”だけでなく“深さ”も感じさせる場所だ。

満月の光で明るい夜

満月の光で明るい夜

やがて夜の幕がそっと持ち上がっていく。砂丘の稜線は少しずつ輪郭を取り戻し、闇に沈んでいた世界が温度のある色へゆっくりと目覚める。風に描かれた数々の線も、誰かの足跡も、すべてが新しい1日の始まりに書き換えられて。

鳥取砂丘のように“余計なものがなく本質だけを残す” ところはどこかN-ONE e:と通じるものがある。砂丘のシンプルさと小さな電気自動車のミニマルさが、なぜだか同じ方向を向いている気がした。

砂丘

シンプルな砂丘

N-ONE e:のリア

ミニマルなクルマ

N-ONE e:は、決して大きな冒険を約束するクルマではない。むしろ日々の延長線のどこかにそっと開いている“非日常の入口”を見つけてくれる存在だ。

風と砂、水と空、神話と現代(いま)を生きるわたしたち。そのすべてが溶け合って、境界を失っていく山陰地方を一緒に走った。このクルマとなら「自分だけの物語を進めていける」──そんな確かな予感が胸の奥でそっと灯った。

N-ONE e:のサイド

すぐそこにある旅をしよう

余談だが…約2500kmを走って、充電したのは全部で15回。数字だけ見ると多く感じるけれど、実際には“休憩と充電が同時に済む”のでガソリン車のように休憩と給油が別々になるよりも効率の良い旅だった。

満充電での航続距離はおよそ280km。普段は航続距離が残り100kmをきるころを目安に充電、山間部に入る前には予防的に早めの充電を実施した。

N-ONE e:充電

バッテリー残量

バッテリー残量は%表示でわかりやすい

宿の駐車場や道の駅、コンビニやショッピングモールに自動車販売店など、充電スポットは想像以上にあちこちにあって、困った場面は一度もなかった。急速充電(30分)では「もっと休みたい」と思うことも多く、写真整理や執筆がじっくりできる普通充電(約4.5時間)のほうが、旅人には合う場面も。

また季節によってバッテリーが冷えたり熱を帯びたりしても加温・冷却システムが常に最適な温度を保ってくれるので、走行距離や充電時間が安定するのも頼もしい。

結論、軽自動車EVでも長距離移動は十分に現実的で、充電スポットを早め早めに押さえておけば不安を感じることはない。むしろ“ちょうど良いリズム”で走れるぶん疲れにくく、休憩の時間まで楽しめる。

猫と遭遇

休憩中にはかわいい出会いも

 

N-ONE e:のギャラリー

そして本文に載せきれなかった写真たち。小洒落たルックスに加えて、どんな背景に置いても浮いてくれるチアフルグリーンは被写体として最高だった。一緒に出掛けたらきっと写真を撮るのが楽しくなるから、ぜひ日本の美しい四季を巡ってほしい。

上から見たN-ONE e:

少し高いところから

N-ONE e:と道

この道の先にはなにがあるのか

夜の充電ステーション

夜の充電ステーションは格好良い

N-ONE e:

シンプルな構図で

N-ONE e:

真正面+うしろの橋が良い感じ

N-ONE e:

紅葉の移り変わりを追えて楽しい

N-ONE e:

境水道大橋と

N-ONE e:

漁港に立ち寄る率高い

N-ONE e:

空が綺麗でクルマをとめた

N-ONE e:

ここでたくさん撮ったな

N-ONE e:

山間部に入ってきた

N-ONE e:

振り向けば海

N-ONE e:

モノクロもアリかも

N-ONE e:

とりあえず逆光は撮るよね

N-ONE e:

どこもかしこも綺麗で進めない

N-ONE e:

あの山の中腹まで走る

N-ONE e:

この河川敷広場楽しい

N-ONE e:

かわいいクルマに似合うかわいい背景

 

N-ONE e:とさよなら

日本人の暮らしには古くから“ハレとケ”というふたつの時間がある。特別な日と、普段の生活。祝祭の華やぎと、日々の穏やかさ。けれどその境界は思っているよりずっと曖昧で、人はいつだってケの中にひとしずくのハレを見つけて生きてきた。

たとえば朝の光を浴びて淹れる1杯のコーヒー。帰り道、雨上がりにふと見上げた虹。そんなひとときのなかにこそ、心の花がそっと咲く…N-ONE e: は、日常そのものを少しだけハレにしてくれるクルマ。

N-ONE e:

たまたま見つけたこの場所と光もハレな瞬間

キーを返す瞬間が近づくにつれて、その感覚はよりはっきりと輪郭を持ちはじめた。

パワーユニットを起動しても変わらぬ静寂。アクセルを緩めたときの、あの自然な減速。充電の時間に生まれた、立ち止まるという余白。それらはすべて暮らしのテンポをほんの少しだけゆるめ、“いま”を感じ取る意味を取り戻させてくれた。

モビリティ産業の重心が“体験”へと移行するなか、N-ONE e: が示していたのは、派手な革新でも未来の誇示でもない。それはむしろ、日本人が昔から大切にしてきた「丁寧に生きる」という思想そのものだったように思う。

N-ONE e:運転席からの景色

丁寧に運転する

写真家とN-ONE e:──

それは、ひとりの旅人と1台のクルマが季節の途中で出会った“楽しく豊かな日常”のかたち。

「ありがとう、また一緒に旅に出よう」

N-ONE e:

心に小さな余白をくれるクルマ

おわりに

今回の試乗インプレッションはHondaの軽自動車EVであるN-ONE e:。

実際に乗ってみて、自分のなかの“クルマ”という定義が書き換わっていった。それはメカニズムやスペックの話だけでなく。「今日はどこへ行こうかな」とか、「この道、ちょっと寄り道してみようかな」と思わせてくれること。そんな気分を無理なく引き出してくれるなぁと。

N-ONE e:と虎臥城大橋

寄り道した虎臥城大橋(とらふすじょうおおはし)

カメラを首からさげて散歩するみたいに、N-ONE e: と過ごす日々は“いつもの時間”をそっと底上げしてくれる。そして知らなかった“新しい自分”に出会わせてくれる。もちろん地球環境にも優しい。大きな音を立てず、排気ガスを出さず、“守りながら楽しむ”という価値観はこれからのカーライフの在り方かもしれない。

N-ONE e:

地球を汚さないという当たり前の優しさ

クルマを移動手段としてだけではなく、ファッションのように自分らしく楽しみながらカーライフを過ごす。──N-ONE e:は、その最初の一歩にちょうどいいパートナー。

「明日もきっと、いい日になる」

N-ONE e:

 

今回の記事で使用したクルマ
N-ONE e: 純正アクセサリー装着車
ボディーカラー:チアフルグリーン
ボディサイズ:長3,395×幅1,475×高1,545mm
ホイールベース:2,520mm
車両重量:1,030kg
駆動方式:FF
サスペンション:Fマクファーソン式 R車軸式
モーター:MCF7(交流同期電動機)
最高出力:47kW[64PS]
最大トルク:162N・m[16.5kgf・m] 
バッテリー容量:29.6kWh
充電走行距離 WLTCモード:295km

N-ONE e:の純正アクセサリーはこちら

 

▼写真・文

小川 元貴さん

X @omaphotovanlife
Instagram @oma_photraveler
HP Ogawa brothers
note 小川兄弟

 

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▼第二章はこちら▼

写真・文/小川 元貴
編集/カエライフ編集部
撮影協力/アロハテラストレイクル