
目次
手軽でカスタマイズも自由! 軽キャンピングカーは魅力がたっぷり
週末、気の向くままにアウトドアへ出かけたい。でも、大型キャンピングカーは高くて手が出ないし、テントを張るのも準備が大変……。そんな悩みを解決してくれるのが「軽キャンピングカー」です。軽自動車ならではのコンパクトさで、山道も住宅街も苦労なく走れる。キャンプ場への早朝アクセスも、道の駅での一泊も、思い立ったその日に実行できる身軽さが最大の魅力です。
さらに、軽キャンピングカーの醍醐味はカスタマイズの自由度の高さ。ベッドのレイアウト、テーブルの形、収納の配置……すべてを自分好みに設計できるため、まるで動く秘密基地のような空間を作り上げられるのです。
本記事では、軽キャンピングカーの基本知識から向いているクルマの特徴、そしてカエライフに登場したオーナーたちのリアルなDIY実例まで、たっぷりとご紹介します。
軽キャンピングカーとは? 普通のキャンピングカーとの違い

軽キャンピングカー(通称「軽キャン」)とは、軽自動車をベースにした小型のキャンピングカーのことです。一般的なキャンピングカーは、新車で500〜1,000万円が相場であり、誰もが気軽に手の届くものではありません。それに対して軽キャンは、ベース車両自体の価格が低く、自動車税や保険料などの維持費も軽自動車の区分で収まるため、トータルコストを大きく抑えられます。
普通車のキャンピングカーには、トイレやシンクなどの水回り設備が備わっているものもありますが、軽キャンの場合は車内スペースの制限からこれらが省略されているか、あっても簡易的なものになることがほとんどです。その分、荷物の積載スペースや就寝スペースを確保することが優先され、「シンプルに車中泊を楽しむ」ことに特化した構成になっています。
車内に泊まれる人数は多くても2人が上限で、一人旅やカップルでの旅に最適なサイズ感です。逆に言えば、そのコンパクトさこそが、狭い林道やキャンプ場の細い通路でも不安なく走れる機動力につながっています。軽自動車のため日常使いにも適しており、「普段は通勤・買い物に使い、週末はキャンプへ」という二刀流の使い方ができるのも大きなメリット。
なお、「軽キャンピングカー」はあくまで通称であり、正式にキャンピングカーとして車両登録するためには、国土交通省が定める構造要件(就寝設備など)を満たす必要があります。ただし、近年の法改正により要件が緩和され、軽自動車でもキャンピングカーとして登録しやすくなってきました。
軽キャンピングカーに向いている軽自動車
軽キャンピングカーのベース車両に向いているのは、荷室が広く天井が高い「バンタイプ」。後部座席を倒すとフルフラットになる構造のクルマは特に車中泊との相性がよく、DIYカスタムの自由度も高くなります。代表的な車種を3つご紹介します。
Honda N-VAN

N-VANは、助手席側に柱(センターピラー)がない構造が特徴で、助手席と後部座席を床下に収納でき、大きな荷物も簡単に積み込めます。この開口部の広さが、キャンプ道具の積み込みや車内カスタムのしやすさに直結しています。軽キャンピングカーのベースとなる車種はさまざまですが、N-VANは助手席と後部座席がフラットに倒せるので、寝袋とマットを敷けばそのまま宿泊できる手軽さが魅力的です。
ホンダアクセスとキャンピングカービルダー「ホワイトハウス」が共同開発した「N-VAN COMPO」のような完成品キャンピングカーも販売されており、DIYが難しい方にも選択肢があります。
Honda バモス(2018年販売終了)

バモスは生産終了となった車両ですが、コンパクトなボディと広い荷室から、いまも車中泊・軽キャン用のベース車として根強い人気を誇っています。バモスは後部座席を倒したときに少し段差ができるため完全にフラットにはなりません。ですがOSBボード(床板となるボード)と角材を買ってきてフルフラットになるよう1日かけてベッドキットを作ることで解決できます。
スズキ エブリイ

室内空間の広さから、車中泊しやすい軽ワンボックスとして高い人気を誇るスズキ「エブリイ」。ハイルーフ仕様を選べば車内の天井が高く、座った状態でも圧迫感をもちにくいのが特徴です。
軽キャンピングカーをDIYしている事例
完成品の軽キャンピングカーとして売り出されているクルマもありますが、既製品は値段が高く、自分好みのレイアウトに後からカスタマイズしにくいという面もあります。そこで、1からDIYして理想の軽キャンを作り上げるオーナーが増えています。ここでは、カエライフが取材してきたオーナーたちの実例を「ベッド」「テーブル」「収納」「台所」「住空間」の5つのカテゴリーに分けてご紹介します。
車中泊の快適さを左右する「ベッド」
車中泊の快適さを左右する最重要アイテムがベッドです。全面フラットにするか、L字型にするか、あるいは助手席を活用するかによって、就寝スペースと荷物スペースのバランスが変わってきます。
全面フラットなベッド(N-VAN/ちぎすけさん)

ちぎすけさんが最初に手がけたカスタムはベッドキットで、N-VANの購入を決めた時点からカスタムを計画していたほど。木材とクッションにカーペットを巻いた簡易マットを作成し、骨組み用のイレクターパイプに載せる構造で、全面フラットな就寝空間を実現しました。
<詳細はこちら>
N-VANカスタムの集大成! これだけは押さえておきたいN-VANカスタム基本の「キ」
2024.11.15
畳を敷いたL字ベッド(N-VAN/野外のもりこさん)

野外のもりこさんのN-VANでは、畳を敷いたL字型のベッドレイアウトを採用。和の雰囲気を取り入れた独自のスタイルで、限られたスペースを有効活用しています。L字にしているのは土足で上がる際の土間がほしかったからとのこと。居住空間と玄関スペースのような設計が参考になります。
<詳細はこちら>
かかった費用は総額5万円。バンの仕様を活かして省エネで車中泊仕様に仕上げるコツ
2025.09.09
助手席を活用したベッド(N-VAN/小川 元貴さん)

年間200日以上を車中泊で過ごす写真家の小川 元貴さんのN-VANは、助手席を常にフラット状態にして寝具を設置し、スペースを確保しています。運転席と荷室の空間を最大限に活かしたレイアウトで、撮影機材と就寝スペースを無駄なく共存させています。
<詳細はこちら>
食事に仕事に必須カスタム「テーブル」
車内でご飯を食べたり、作業をしたりするためのテーブルは、サイズや設置方法の工夫が肝心。折りたたみ式、引き出し式、ダッシュボード活用型など、さまざまなアプローチがあります。
引き出しテーブル(バモス ホビオPro/まりりんさん)

引き出し式のテーブルは、使わないときはコンパクトに収納でき、使いたいときにさっと引き出せる利便性が魅力です。まりりんさんのバモスでは、この引き出しテーブルが荷室スペースを圧迫せず、限られた車内空間をスマートに活用しています。
<詳細はこちら>
好きが詰まった“動くログハウス”。木のぬくもりあふれる車内空間の作り方
2025.10.21
折りたたみ式テーブル(N-VAN/さるこさん)

大型二輪からモンキー125に乗り換え、N-VANでのトランポ車中泊旅を楽しんでいるさるこさん。折りたたみ式テーブルを採用することで、テーブルを立てれば食事や作業が快適にでき、不要なときは壁に沿って収納できる機能的なレイアウトを実現しています。
<詳細はこちら>
週末作業でコツコツ約半年…トランポ&車中泊旅仕様のN-VANをチェック
2025.01.14
ダッシュボードテーブル(N-VAN/ちぎすけさん)

ちぎすけさんのN-VANはダッシュボードをテーブルとしてカスタムし、運転席側でも飲食や軽作業ができる環境を整えています。元々ついているドリンクホルダーと小物入れを有効活用し、さらに機能を追加。軽キャンピングカーの空間をうまく活用しています。
<詳細はこちら>
N-VANカスタムの集大成! これだけは押さえておきたいN-VANカスタム基本の「キ」
2024.11.15
限られたスペースを活用「収納」
限られた車内でいかに効率よくモノを収納するかは、軽キャンDIYの永遠のテーマです。天井の空きスペース、ベッドキットの下、壁面の棚など、発想次第で収納場所はいくらでも生み出せます。
天井裏(N-VAN/野外のもりこさん)

天井の空間を収納に活かすアイデアは多くのオーナーが実践しています。野外のもりこさんは天井裏のデッドスペースを有効活用し、軽い荷物や寝具などを収納するスペースとして整備。床面積を最大限に生活空間として確保するための工夫が参考になります。
<詳細はこちら>
かかった費用は総額5万円。バンの仕様を活かして省エネで車中泊仕様に仕上げるコツ
2025.09.09
ベッドキット下(N-VAN/KARINさん)

ベッドキットの下は収納スペースの宝庫です。KARINさんはイレクターパイプで自作したベッドキットを設置し、その下にポータブル電源やキャンプ道具をまとめて収納しています。高さを30cmに設定しているため大型のポータブル電源や2リットルのペットボトルもおける高さ。大容量のスペースができ、居住空間を圧迫しない設計です。
<詳細はこちら>
収納棚(N-VAN/ななたびさん)

壁面や荷室の隅に収納棚を設けることで、細々したキャンプ道具や衣類を整理整頓できます。荷物などの収納場所に困りやすい車中泊では、床部分ではなく天井や壁面のスペースを活用することで、居住空間をうまく確保できます。ななたびさんが使用している「nuts vanlife products」の収納棚は、ドライバー1本で取り付けができる仕組み。DIY初心者だったななたびさんでも簡単にカスタムができたとのこと。
<詳細はこちら>
釣りも!バイクも!執筆も!N-VANなら変幻自在なカスタムで趣味時間がもっと充実!
2024.06.26
軽キャンにも搭載!「台所(調理器具・シンク)」
食事を楽しめるかどうかは、車中泊の満足度を大きく左右します。調理器具の収納スペースや簡易シンクの設置など、ミニキッチンの作り方にも個性が出ます。
調理収納スペース(N-VAN/ちぎすけさん)

ちぎすけさんのN-VANの調理スペースは、コンパクトな棚であるにもかかわらず電子レンジ、IHクッキングヒーター、食器が収納されており、キッチンとしての機能がひとまとまりに。消費電力の高い家電を使用しているため、ポータブル電源を常時2個搭載しています。コンパクトな道具選びをしてキッチンスペースをまとめることで、居住空間を広く快適にできます。
<詳細はこちら>
N-VANカスタムの集大成! これだけは押さえておきたいN-VANカスタム基本の「キ」
2024.11.15
シンク(N-VAN/休憩時間さん)

「nuts vanlife products」という車中泊カスタムパーツブランドを主宰する休憩時間さんの、軽バンにシンクを設置した事例。シンクの下に2リットルの給水・排水タンクがあり、ちょっとした水仕事であればこれで事足ります。水を使えるかどうかで車内での生活クオリティは大きく変わります。シンクのDIYは少し難易度が高めですが、完成すれば軽キャンピングカーの快適性が格段に上がります。
<詳細はこちら>
車中泊をもっと便利に快適に。完売続きのカスタムパーツブランドを徹底深掘り
2024.02.06
2人用テーブル兼キッチン(エブリイ/うんまほふうふさん)

夫婦で軽キャンを楽しむうんまほふうふさんは、2人が向かい合って食事をとれるテーブルレイアウトを採用。料理をする場所と食べる場所を一体化させた台所兼ダイニングの設計は、2人旅の軽キャンならではのアイデアです。調理はコンパクトなIHヒーターを使っており、片付ければ仕事用テーブルに早変わり。そしてマットを敷けばベッドにも変わる、万能テーブルです。
<詳細はこちら>
快適さを追求する「住空間(換気・カーテン・断熱)」
ベッドやテーブルが整っても、暑さ・寒さ・結露・外からの視線への対策がなければ、快適な車中泊は実現しません。換気・カーテン・断熱の3点セットを押さえることが、住空間の快適さの基本です。
換気(N-VAN/休憩時間さん)

夏の車内の熱気を逃がすための換気対策は必須です。休憩時間さんは軽バンに換気システムを設置し、外気を取り込みながら車内の空気を循環させる仕組みを実現。キットは運営する「nuts vanlife products」で販売。適切な換気は結露防止にも効果的で、冬の車中泊でも内窓が曇りにくくなります。
<詳細はこちら>
車中泊をもっと便利に快適に。完売続きのカスタムパーツブランドを徹底深掘り
2024.02.06
断熱(N-VAN/鮎沢 純一さん)

断熱材を壁や天井に仕込むことで、夏の暑さと冬の冷え込みを大幅に軽減できます。壁と天井に断熱材を仕込んだのちに内張りの上から木材のカバーを施す施工は、テーブルや棚を設置する前に行う必要があります。鮎沢さんの断熱DIYは、効果的な素材の選び方や施工手順が参考になります。
<詳細はこちら>
これでDIY歴1年!? 鮎沢 純一さんの車中泊カスタム5つのこだわり
2023.12.15
カーテン(N-VAN/野外のもりこさん)

カーテンをつけて外から完全に遮断された車内は、1人旅の安心感が段違い。夜はクルマの中であかりをつけると中が丸見えになってしまうため、カーテンがほしくなりますし、冬は外からの冷気で車内がかなり冷え込むため、カーテンの設置は防寒の意味でも効果があります。野外のもりこさんのカーテンは、N-VANに元々空いているパンチングボード用の穴や、そのまま面ファスナーがつく天井を利用して簡易に設置できています。
<詳細はこちら>
かかった費用は総額5万円。バンの仕様を活かして省エネで車中泊仕様に仕上げるコツ
2025.09.09
軽キャンピングカーをDIYする際の注意点

DIYで軽キャンを作る魅力は大きいですが、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
①重量を増やしすぎない
木材や家電、収納アイテムを積み重ねていくと、いつの間にか車両の積載重量を超えてしまうことがあります。軽自動車の最大積載量は通常350kg程度(4ナンバー車の場合)。重くなれば燃費が悪化するだけでなく、走行性能や安全性にも影響するため、素材の選定段階から軽量化を意識することが大切です。
②車検に影響するカスタムに注意
車内の改造であっても、構造変更にあたる大掛かりなものは車検に影響する場合があります。特にシートの撤去・固定、電装系の改造、燃料系への干渉などは事前にディーラーや整備工場に確認することをおすすめします。乗車人数の変更が必要になったりナンバーを変更する必要が出ることもあるのでご注意を。
③家具は取り外しできると普段使いしやすい
ベッドキットや棚を固定式にしてしまうと、普段の荷物積みや乗員の移動がしにくくなる場合があります。着脱可能な構造にしておけば、キャンプの日は「車中泊仕様」に、普段は「普通の軽バン」として使い分けられます。ちぎすけさんのように、DIYカスタムを重ねながらも「家族全員で使える空間」を維持するためには、取り外しやレイアウト変更のしやすさを最初から意識した設計にしておくことが快適さの秘訣です。
軽キャンピングカーDIYで自分だけの「動く秘密基地」を
軽キャンピングカーには、大型キャンピングカーのような豪華さはないかわりに、手軽さ・経済性・カスタマイズの自由度という三拍子そろった魅力があります。完成品として販売されている軽キャンを購入する方法もありますが、本記事でご紹介したように、DIYで1から自分だけの空間を作り上げるオーナーも多く存在します。
ベッドのレイアウト、テーブルの工夫、収納のアイデア、断熱・換気の対策……ひとつひとつのカスタムを積み上げていくことで、愛着のある「動く秘密基地」が完成していきます。最初は小さな一歩でも構いません。まずは気になる事例をチェックして、自分の軽キャンライフをスタートさせてみてはいかがでしょうか。
文/矢澤 拓
写真/佐山順丸、やまひらく、宮越 孝政、ただ、鈴木 純平、烏頭尾 拓磨
編集/矢澤 拓、TAC企画