仕事が忙しく、平日はなかなか子どもと話す機会がないお父さん。そうこうしているうちに子どもは成長し、思春期に突入! 気づくと親子の会話がまったくない……なんてことも!?
小学5年生の息子さんを持つ浅野さんも、そんなお悩みを抱えているひとり。以前はなんでも無邪気に話してくれていた息子さんですが、小学4年生の終わりごろから段々と会話が減っていき、5年生になった今では、一緒に食事に行ってもずっとスマホを見ているのだとか……。そんな浅野さんのお悩みを解決すべく今回、カエライフ編集部は息子さんと男同士の会話ができる「親子ドライブ」を企画!
食事など、ふたりでクルマに乗る機会もわりとあるそうなのですが、近場への移動が多く会話もあまり弾まないとのこと。今回は、インドア派の息子さんを外に連れ出すために、クルマで行けて、運動が苦手な息子さんも楽しめそうな場所を、浅野さんとカエライフ編集部で探してみました。
- 浅野さん
- 最近は仕事が忙しいのもあって、ゴルフをときどき楽しむ程度ですが、もともとはバレーボールを小学4年生から20歳まで続けていたスポーツマン。インドア派の息子さんを心配しつつ、「一緒に楽しめるものはないかな?」と考えている優しいお父さんです。
- 息子さん
- ゲームやパソコン、クイズ番組が大好きな小学5年生。ゲームで遊びはじめたのは幼稚園の頃からで、現在はパソコンを使った動画編集が趣味。好きな科目は図工と理科で、手先や頭を使うことが得意。今日は初めての体験で緊張しつつも、「楽しみな気持ちのほうが大きい」と取材に協力してくれました。
久しぶりに運転席と助手席に並んで、いざ出発!
いつもなら助手席が狭いからと、イヤホンをして後部座席に乗り込んでしまうという息子さん。今回ドライブに使用した「Honda Freed Modulo X」は車内が広々快適で、息子さんも「このクルマならいいね」と助手席に乗ってくれました。自宅から約1時間ほどの距離でしたが、久しぶりの運転席と助手席、親子並んでのドライブということもあり、いつもより多く会話をしながらのドライブを楽しめたようです。
本日の行き先は、埼玉県越谷市にある「FlyStation」。ウインド・トンネルと呼ばれる装置から吹き上げる風に乗ってインドア・スカイダイビングが体験できる日本唯一のスポーツ施設です。
4歳以上で体重が125㎏以内の人なら誰でも体験できる※ということで、通常のスカイダイビングよりも制限が少なく、親子で楽しむアクティビティとして人気が広まっています。もちろん、安全性も万全。足元にはトランポリンのようなセーフティネットがあり、絶叫系のアトラクションが苦手……という方でも、安心して楽しめます。
※ 筋骨格系の負傷(捻挫、骨折など)を患っている方、妊娠中の方はお控えください。
受付を済ませてから、体験の流れについての説明を受け、フライト用のスーツに着替えます。ヘルメットやゴーグル、シューズなど、装備品はすべてレンタル可能なので、手ぶらで来ても楽しめます。
フライトスーツを着ると、一気に気分が盛り上がります。親子で仲良くポーズを決めてやる気十分! 自分のスマホで記念撮影をしたり、施設内を見て回ったりと、息子さんの楽しそうな姿を見て、お父さんも嬉しそうです。
着替えを終えたら別室で事前講習を受けます。説明動画を観て基本を学んだあと、空中で体をコントロールするコツや、安全に飛ぶための知識をレクチャー。腕やあご、足の上げ方などを、丁寧に教えてくれるので安心です。
ウインド・トンネルの中は風の音が強く、耳栓をするため、お互いの声が聞こえないのだそう。そのため、意思疎通にはハンドサインを使用します。インストラクターさんからの「これは何のサインだったか覚えていますか?」の質問にも、しっかりと答えていた息子さんでした。
息子さんがヘルメットの装着などきちんとできているか、お父さんがしっかりと確認。日頃、あまり運動をしていない息子さんのことが心配なようで……。そんな心配をよそに、「緊張はしてるけど、頑張ります!」と笑顔の息子さん。やる気十分で頼もしい限りです。
両手をあげた姿勢で飛び込むようにウインド・トンネルの中へ。美しくかっこ良く、「飛びましたー!」となるはずが……。身体が強風に持っていかれてしまい、なかなかバランスが取れません。カメラに向かって必死にポーズを取ろうとしてくれたのですが、うまくいかず……。持ち時間の1分はあっという間に終了し、初フライトは少し苦い経験となりました。
続いて、お父さんの挑戦です。カメラに向かって必死にポーズを取ろうとしてくれるのですが、ウインド・トンネルの中の風の強さは想像以上でなかなか上にあがりません。インストラクターさんの指示に必死で応えながら、あまり余裕なく、初フライトを終えました。
思っていたよりもうまくいかずに少しがっかりな浅野さん親子。息子さんのやる気もすっかりしぼんでしまい、「疲れた。もう帰りたい……」とポツリ。「疲れた」という思い出だけでは、せっかくの親子ドライブが台無しになってしまいます。なんとかいい思い出にしたいお父さんが、「もう一度やってみない?」と息子さんに提案しました。
もう一度!諦めずに2回目のチャレンジ!
息子さんが「風がすごくて息が苦しかった」と言っていたので、2回目はフルフェイスのヘルメットに変えて挑戦することに。「もうやりたくない……」と言っていた息子さんですが、お父さんの熱意に負け、なんとか承諾してくれました。お父さんと一緒に初めての体験をすることによって、前向きな気持ちが芽生えたのかもしれません。
ヘルメットを変えて、再び挑戦! すると……飛べた! 楽しい! 2回目ということもあって、1回目よりも少しリラックスしてできました。飛んでいる、浮いている感覚を楽しむ余裕も。1回目とは明らかに違う手ごたえを感じられた息子さん。その様子に、お父さんも、「すごい、すごい! 若いっていいなあ(笑)」と大興奮です。
そして息子さんに続き、お父さんも2回目のフライトに挑戦。「風が強くてお腹がブルブルする~」と言いながら、笑顔を向けてくれました。こうして、ふたりそろって2回目の体験を笑顔で終えることができました。
フライトが終わると「フライト証明書」がもらえます。なんだか息子さんの顔が最初よりも凛々しくなったような……。「できた!」という気持ちが自信につながったのかもしれません。
親子ドライブでちょっぴり深まったコミュニケーション
フライト後はカフェスペースでちょっと休憩をしながらの親子トーク。「2回目はよかったよね」とお父さんが言うと、「2回目はうまくできた! 1回目が終わったときはもういいやって思ったけど、諦めなくて良かったかな……」と息子さん。
うまくいかなくても、もう一度やってみる。簡単なことに思えるけれど、思春期で少し素直になれない息子さんにとっては、ちょっとした壁だったよう。普段だったら「もういい」とそっぽ向いてしまうところですが、親子での時間がチャレンジしてみようという気持ちを後押ししてくれたようです。
息子さんのささやかな、でも、大切な変化に、「お父さんより、うまくできてたんじゃないかな?」とお父さん。とても嬉しそうでした。
週末の夜は一緒にDVDを観たりもするけれど、大した会話もなく、今どんなことを考えているのかなどの深い話はしたことがなかったというおふたり。
将来の夢はゲームのプログラマーだという息子さん。「夢をかなえるためには厳しい道のりがあるけど、頑張らないとなれないよね」という発言がふっと出て、「そんなこと考えていたんだ」とお父さんが感心する場面も。
休憩後は、施設内の展示物などを自分のスマホで撮影していた息子さん。どうやら、今日の経験は楽しい思い出になったようです。
スカイダイビングを終えてお腹がすいたふたりは、ラーメン大好きな息子さんのリクエストにより、近所の中華屋さんで昼食タイム。
食事中に夢の話の続きも。「ゲーム制作には発想力が大切だと思う。そのためには勉強も頑張らないと。もうすぐ中学生だしね」と、息子さんのしっかりした発言を受けてお父さんも、「もっと外に出てスポーツでもしたらいいのに……とか、思うことはいろいろあります。でも、興味があることを伸ばしてあげることも大事なのかな」と、夢を後押しする気持ちが強まったようです。
帰路に着くクルマの中でも、スカイダイビングや取材風景を見た興奮が続き、行きよりもさらに会話がはずんだ様子。嬉しくなったお父さんが、「また行こうね!」と息子さんに言うと、少し照れながら、「たまにはね」とそっけない返事。それでもお父さんは、「次は息子が好きそうな博物館や科学館にでも連れ出そうかな」と楽しそうに話していました。
親子ふたり、クルマで出かけて普段しないような体験をしたことで、ほんの少しコミュニケーションが深まった男同士のドライブ。インドア派の息子さんも新しいことに挑戦して、なんだかちょっぴりたくましくなったような感じがしました。「たまにはね」と言っていたけれど、次の機会はそう遠くはなさそうです。
みなさんもぜひ、時間をみつけて親子ドライブを楽しんでみてはいかがでしょうか?
企画/カエライフ編集部
文/横山 真紀
写真/岩田 えり
取材協力:Flystation