チャイルドシートの選び方。気になる着用義務・ISOFIX・新安全基準i-Sizeについて

チャイルドシートを着用しているこども

チャイルドシートは子どもとクルマで出かける際の必需品。どのチャイルドシートを選ぶかは、子どもの安全を守る上で重要です。

年齢、体格別、機能性、安全性などによって特徴が大きく変わり、種類もたくさんあるため、「どれを選んだらいいの?」と悩んでいるパパ、ママも多いのではないでしょうか?

そこで今回は、はじめてチャイルドシートを使う方のために、選ぶ前に知っておきたい着用義務の法律、年齢・体格別の種類、固定式・回転式のメリットとデメリット、注目すべき固定方式「ISOFIX」と新安全基準「i-Size」 について解説します。

 

目次

 

選ぶ前に知っておきたい着用義務・交通罰則・重要性

バツを出す女性

チャイルドシートの着用義務

道路交通法が改正された2000年4月より、幼児(6歳未満の子ども)にはチャイルドシートの着用が義務付けられています。

また、一般的にシートベルトは140cm以上を適合身長としているため、6歳以上の子どもでも「身長が140cm未満、大人用シートベルトが適切に着用できない場合」は、引き続きその子どもに合うチャイルドシートを使用し続ける必要があります。

 

チャイルドシートの交通罰則・免除されるケース

チャイルドシートの着用義務を怠ることは、『幼児用補助装置使用義務違反』という交通違反にあたります。違反した場合、1点分の違反点数となります。これに伴う罰則・罰金はありません。以下の場合は、法令によりチャイルドシートの着用義務が免除されることがあります。

  • 座席の構造的にチャイルドシートが設置できない
  • 乗車人数が多いためにチャイルドシートを設置する十分な場所がない
  • 子どもがケガをしてチャイルドシートの着用が困難
  • 肥満などの体型的問題でチャイルドシートの着用が困難
  • おむつ替えや授乳など、子どもに必要なお世話をするとき
  • バス・タクシーを利用するとき
  • 子どもをすぐ病院へ送る必要があるとき

 

約6割が付け方を間違えている!チャイルドシートの重要性

チャイルドシートの着用は法律によって義務づけられていますが、実際に使用しているのは本来着用が必要なケースのうち66.2%※1。シートにそのまま座らせたり、大人用のシートベルトを着用させたりなど、チャイルドシートを使用していないドライバーもまだまだ多いのが現状です。

また、着用はしているものの、しっかり取り付けができている人は38.4%で、なんと、61.6%もの人が間違った取り付け方をしています※1

取り付け方が間違っていたり、正しく着座できていなかったりする場合、子どもがシートから放り出されてしまうこともあるため、とても危険です。子どもを交通事故から守るためにも、きちんと正しく装着しましょう。

※1 「2018年 JAF・警察庁 チャイルドシート使用状況全国調査」より

 

チャイルドシートにはどんな種類がある?

「Honda純正チャイルドシート ラインアップ(2019年3月現在)」

「Honda純正チャイルドシート ラインアップ(2019年3月現在)」

年齢・体格別チャイルドシートの種類

チャイルドシートは年齢や体格によって種類やタイプが異なります。一般的には、以下の3種類に分けられています。

〇乳児用ベビーシート

体重:13kg未満

身長:70cm以下

年齢:新生児~1歳くらい※2

特徴:乳児向けの寝かせる姿勢で乗せるタイプ。後ろ向きに使用する「シートタイプ」が主流。

〇幼児用チャイルドシート

体重:9~18kg

身長:65~100cm以下

年齢:1~4歳くらい※3

特徴:自分でシートに座れることが使いはじめの目安。前向きで使うシート。

〇学童用ジュニアシート

体重:15~36kg

身長:140cm未満

年齢:3~12歳くらい

特徴:座面の位置を上げて身長を補い、腰ベルトの位置を子どもの臀部に合わせることで、大人用のシートベルトが使えるようにするシート。

 

こちらの年齢や体重などはあくまでも目安ですので、子どもの体格に合わせて選んであげることが大切です。ちなみに、ロングスパンで使える、兼用モデルもあります。

※2 新安全基準「i-Size」では未熟な乳児の頭部を守るため、生後15ヶ月になるまでは後ろ向きでの使用を指定しています。

※3 1歳でも、子どもの体格によって前向きに座ることが危険な場合もあります。

 

固定式・回転式チャイルドシートのメリット・デメリットは?

チャイルドシートには「固定式」と「回転式」の2つのタイプがあります。「固定式」は座席が一方向に固定されているもので、「回転式」は文字通り座席が回転するタイプのもの。それぞれのメリットとデメリットを考慮した上で選びましょう。

〇固定式のメリット

サイズがコンパクトで付け替えがしやすい。回転式に比べるとラインアップが豊富なので、お手頃な価格のものも選べます。

〇固定式のデメリット

シートが回転しないので、子どもを乗せ降ろしする際にベルトの調整が大変。また、肩ベルトがよじれたり、子どもの姿勢が悪くなったりなど、不備に気づかない場合も。

〇回転式のメリット

シートの方向を自由に変えられるので、子どもの乗せ降ろしがしやすい。ドアの外からでも座席を回してスムーズに乗せられるので、首のすわっていない赤ちゃんを乗せるときなどは特に便利。

〇回転式のデメリット

固定式よりサイズが大きく、重くなるので、設置や付け替えの際に手間がかかります。

 

チャイルドシートの正しい選び方

チャイルドシートを取り付けている

しっかり「安全性」を見分けることが大切

チャイルドシートを選ぶ上で最も重要なポイントは、子どもを交通事故の被害から守るための「安全なチャイルドシート」であることです。

国土交通省の安全基準をクリアしているチャイルドシートには必ず、「型式認定マーク」がついています。「安全性」を見分けるためにも、チャイルドシートにどんなマークがついているのかをしっかり確認しましょう。

これまで日本では、欧州経済委員会が決めた安全基準「ECE R44/04(ECE規則第44号第4改訂版)※4」を採用していましたが、2014年より新たに国連欧州経済委員会が決めた新安全基準「UN-R129(UN規則第129号)」が併用されることとなりました。どちらかの安全基準に適合しているチャイルドシートであれば問題はありませんが、新基準の「UN-R129」は、前後だけでなく側面(ドア側)からの衝突試験が追加されるなど、さらに安全性を向上させた基準となっています。

安全基準は更新されていきます。製造年が古いチャイルドシートは最新の安全基準を満たしていない可能性もありますので、注意が必要です。

※4 基準名は当時の呼称です。現在の呼称は「UN R44/04」となります。

UN(ECE) R44/04認可表示

UN(ECE) R44/04認可表示

UN-R129 認可表示

UN-R129 認可表示


 

誰でも簡単・確実に取り付け可能で安全な「ISOFIX」と新安全基準「i-Size」

冒頭で説明したように、約6割のケースで取り付けミスが発生しています。正しく簡単に取り付けられるチャイルドシートを選ぶためには、座席への取り付け方法を事前に調べておきましょう。

取り付け方法には、「シートベルト固定タイプ」「ISOFIX(アイソフィックス)タイプ」の2通りがあります。シートベルトを使わないISOFIXは、簡単に確実に装着できる取り付け方法なので、はじめての方でも安心です。

 

ISOFIXとは?

ISOFIXは専用の金具でクルマの座席に直接固定する方法で、 2012年7月以降に発売されたクルマのシートには、ISOFIX固定用金具を装備することが義務付けられています※5

シートベルトを使用せず、金属製のバーコネクターを車両側の金具に差し込んで固定します。誰でも簡単かつ確実に装着でき、インジケーターで適切に装着できているかどうかの確認も可能。頻繁に付け替える必要がある場合にも便利です。

※5 一部未対応の車両もありますので、チャイルドシートの購入前に、ISOFIX対応車種かどうかご確認ください。

 確実に取り付けがされると、矢印の先のインジケーターが緑色に変わります

チャイルドシートのインジケーター

もちろん、シートベルト固定タイプも、正しく取り付けることができれば安全性に問題はありません。ISOFIXタイプに比べると安価でお求めやすいのですが、間違った取り付けをしてしまうケースが多く、取り付けにも時間がかかります。

一方、ISOFIXタイプはシートベルト固定タイプに比べると高価ですが、取り付けが簡単、確実にできるので安心です。はじめてチャイルドシートを使用する人にオススメです。

 

i-Sizeとは?

「i-Size(アイサイズ)」とは、前述したチャイルドシートの新安全基準「UN-R129」のことで、安全基準「UN(ECE) R44/04」をさらに強化した次世代の安全基準です。

これまでは前面衝突・後面衝突試験のみだったのが、新安全基準からは、側面衝突試験が導入され、子どもを側面(ドア側)からの衝撃からも守れるようになりました。

また、「UN(ECE)R44/04」では使用期間の目安を「体重」としていましたが、個人差の少ない「身長」にすることによって、より子どもの体格にフィットした適切なチャイルドシートが選べるようになりました。

さらに赤ちゃんの未熟な身体を守るため、これまで12ヶ月頃までだった後ろ向きで使用する期間を、15ヶ月未満と長めに設定しています。後ろ向きで衝撃を受けるほうが、チャイルドシート全体で衝撃を受け止めるため、赤ちゃんの身体への負荷を分散させることができるのです。

i-Sizeは最新の安全基準のため、適合車種※6も現状限られています。購入の前には、必ず車種別の適合を確認してください。

※6 Honda車では、2017年6月発売のFIT以降の新型車両で随時適合しています。

 

「ISOFIX」「i-Size」対応のHonda純正チャイルドシート

安心安全なチャイルドシートの一例として、Hondaの純正チャイルドシート「ISOFIX Neo」「Baby & Kids i-Size」を紹介します。

 

ISOFIX Neo

ISOFIX Neoのチャイルドシート

ベースを取り付け、本体を後ろ向きに装着すれば乳児用、前向きに装着すれば幼児用と、長期間使用できるチャイルドシート。ISOFIXだから簡単に装着ができてミスユースも防げます。汚れてしまってもカバーを取り外して洗濯できます。 現在販売しているHonda車の多くのモデルに取り付けが可能です。

 

Baby & Kids i-Size

Baby & Kids i-Sizeのチャイルドシート

新安全基準「UN-R129」をクリアしたi-Sizeのチャイルドシート。リクライニング機構や通気性にすぐれたメッシュ素材、洗えるシートカバーなど、子どもの快適性を追求しています。Hondaブランドを表現したスタイリッシュで上質感のあるデザインもオシャレ。ISOFIXで取り付けも簡単。乳児・幼児兼用モデルなので長期間使用が可能です。

「ISOFIX Neo」「Baby & Kids i-Size」はHonda販売店で購入できます。新車の購入時に一緒に買う場合には、販売店のスタッフから、取り付け方等のアドバイスを受けられます。チャイルドシート選びに迷った方は、ぜひHondaのチャイルドシートを検討してみてください。

 

チャイルドシートは「安全基準」と「ISOFIX」で選ぼう!

チャイルドシートを着用しているこども

チャイルドシートを選ぶ際に最優先される選択基準は「安全性」です。安全に使うためには、誰でも簡単に正しく取り付けられる「ISOFIX」がオススメです。

チャイルドシートにはさまざまな種類やタイプがあります。それぞれの安全性や取り付け方をきちんと理解した上で選べば、はじめてでも失敗することはありません。

新しく増えた大切な家族を守るためにも、安全なチャイルドシートを見極め、安心で快適なカーライフを送りましょう。

Honda純正チャイルドシートをチェック!

文/真崎 睦美