アウトドアコーディネーターの小雀陣二(こすずめ じゅんじ)さんご協力のもと、季節にあわせたキャンプの楽しみ方を紹介する合宿企画。
前編に続き、マウンテンバイク(MTB)×贅沢キャンプのこぼれ話を番外編としてお届けします。
- 小雀陣二(こすずめ じゅんじ)
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“チュンチュン”の愛称で親しまれ、アウトドアコーディーネーターとして数多くの雑誌、メディア、イベントで活躍中。イベントなどでアウトドアの楽しさを発信するとともに、『ダッチオーブン極楽クッキング』、『山グルメ』、『3ステップで簡単!ご馳走 山料理』など著書も多数。
富士の麓はマウンテンバイク天国です!
今回の目的地は、都心からのアクセスが便利な山梨県・西湖。
東名高速や中央道のICから近い山中湖、河口湖と比べると観光客の姿は少なく、静かにキャンプやアクティビティを楽しみたい人にオススメのエリアです。
そこで、小雀さんが選んだアクティビティはMTB。富士山の麓に位置するこのエリアは、樹海や小さな山々のあいだに、蜘蛛の巣のようにたくさんのトレイルが張りめぐらされているMTB天国なのです!
森の中をのんびりMTBをこぐことはもちろん、山頂からトレイルを一気に下ったり、観光名所をめぐることもできます。ルート選びが難しいところですが、そこは地元を知りつくしたガイドさんに一任することにして、現地に向かうことにしましょう。
初めてなら、道具はすべてレンタルでOK
MTBを楽しむには、自転車以外に必要な道具はさほど多くありません。
ケガを防止するためのヘルメットとグローブ、あとは水分補給用の水筒、急な天候の変化に対応できるレインウェア、それらを携行するための小さなバックパックがあればOK。服装は動きやすいものであれば、専用のウェアでなくても大丈夫です。自転車を含め、必要な道具はすべてレンタルでまかなうこともできます。
「ひと口に“MTB”といっても、値段もスタイルもさまざまです。まずは、レンタルで体験していただいてから、自分の好みに合わせて道具をそろえていくのがいいのではないでしょうか」とは、今回ガイドを務める「アロハバイク トリップ」高柳さんの弁。
「僕も最近、久しぶりにフレームから自転車を組んだんです。このフレームはカナダのものでね、これに合わせてタイヤはこの太さにして、ギアはこれにして…」と夢中で説明する小雀さんを見ると、MTBは道具をそろえるところから、男子心をグラグラ揺さぶる遊びなのだということがよくわかります。プラモデルを作ったり、車をカスタムしたりするのと同じような感覚なのでしょう。
ひとつだけ覚えておくべきルールは、常に歩行者が優先ということ。トレイルで登山者とすれ違うときは、バイクを降りて安全を確保し、「こんにちは!」と元気よく挨拶しましょう。
いざ、トレイルへ出発!
MTBは初体験だという新入部員の種平くん、深澤くんの2名も合流し、ツアーがスタート。未舗装の森の中のトレイルを軽く走りつつ、まずは肩慣らしです。
街で乗る自転車との違いに、慣れるまではつい余計な力が入ってしまうものなのですが、なんだか深澤くんは余裕の様子。わざと難しいルートを選んでみたり、岩をジャンプで乗り越えたりしています。
「僕、モトクロスのバイクに乗っているので、バランスをとったり、スピードを出したりする感覚は近いんですよ。MTBも楽しいな~」
「え、経験者ってこと? それは初耳だよ。じゃあ、初心者は僕だけってことじゃん!」と焦っていた種平くんも、徐々に慣れてきた様子。
こもれ日がさし込む森の中は適度に気温も低く、なんだか空気も濃く感じられます。心地いい汗とともに、日ごろの疲れやストレスがデトックスされていくようです。
「次は山頂に登ってみましょう。登り坂はちょっと大変ですが、一気に下る感覚は最高ですから、みなさんがんばってください!」
先頭を走るガイドの高柳さんの背中を追って、急な坂をじわじわと上がってきます。本格的なMTBさえあれば、凸凹の悪路も軽々乗り越えられるし、ギアを軽くすれば急坂だってなんのその。車と一緒で、最大限に楽しむためには目的に合った道具選びが大切なんですね。
「道具をそろえる」ことも楽しみのひとつ
たどり着いた展望台で、一旦のんびりと休憩タイムをとることにしました。
富士山を背に、高柳さんの奥さん手作りの絶品スイーツをいただきます。これ、うまい! とくに夏場は、水分補給とカロリー補給が必須なので、もぐもぐタイムをとることも大切です。
休憩後は、ここから眼下に見えるキャンプ場まで、トレイルを一気に下っていきます。さすがのバイクコントロールを見せる深澤くん。種平くんも徐々にスピードを上げていきます。この風をきるスピード感と緊張感も、MTBの魅力のひとつです。
「いやっほー!」
マイペースで楽しむ2人の脇を猛スピードで駆け抜けていくおじさん(小雀さん)が、いちばん楽しんでいるご様子。はしゃぎ過ぎて、自転車をパンクさせるというオチまでつけていただきました。大の大人がこんなに夢中になれることこそ、やっぱりアウトドアのいいところですね。
夜には、男3人で焚き火を囲みながら、アウトドア談義に花が咲きます。
「いやー、モトクロスバイクとは、また違った楽しみがありました。僕もマウンテンバイク1台買っちゃおうかな。キャンプ道具もそろえたいし、迷いますね」
「マウンテンバイクもキャンプも、アウトドアの遊びは道具をいろいろ選ぶ時間もすごく楽しいよね。僕も今年、自転車買うときは相当悩んだけど、あの迷っている時間は幸せだったなあ。深澤くんなら、マウンテンバイクもすぐに上達すると思うよ。種平くんは……まあ、若くて体力あるよね」
「ちょっと、小雀さん! もう少しほかに僕もほめるところあるでしょ!」
新たな顔ぶれが加わり、男臭さの増したメンバーたち。さて次はどこでなにをして遊ぼうか。みなさん、今後の活動をお楽しみに。
深澤くんの感想コメント
正直なところ、軽いオートキャンプくらいの経験があったので、そんなに目新しいことはないだろうと思っていました。が、甘かった。小雀師匠のキャンプスキルを目の当たりにして、自分のオートキャンプのお粗末さ加減に気づかされました(僕のはタープの下でBBQして車の中で寝るくらい)。キャンプとはなんぞや……? まだまだ奥が深そうです。
種平くんの感想コメント
ロケでしたが、本気で楽しんだ1泊2日。小雀先輩の料理が好きすぎて、思い出すだけでおなかが減ってきます。「キャンプ飯」もっと教えてください! 料理の基本から学ばなくてはいけませんが……。
- 【shop data】今回、お世話になったのは…
アロハバイクトリップ - 富士山周辺でのMTBトリップを計画するなら、まずはこちらにご相談を。隅々のトレイルまで把握しているガイドの高柳さんが、さまざまなレベルに合わせてツアーをアレンジしてくれます。自転車からヘルメットなどの小物にいたるまで、必要な道具はすべてレンタル可能。手ぶらでMTBの魅力を体験することができます。
取材・撮影協力:山梨県「キャンプビレッジ・ノーム」
*この記事は、2018年8月30日、Circle hに掲載したものです。Circle hは、ホンダアクセスが運営するオンラインストアの旧名称です。現在は「ホンダアクセス PayPayモール店」として出店しています。