たくさんの荷物をクルマに詰め込み、家族や仲間とともに行くキャンプ。少し前まではギアをそろえるのが大変だったり、キャンプ場で何をすればいいかわからないという人も多かったのではないでしょうか。しかし昨今のキャンプブームにより便利なレンタルサービスや高規格のキャンプ場ができてハードルが低くなり、気軽なアクティビティになりました。
そしてそんなキャンプの醍醐味の一つといえばキャンプ飯! ひとりでも複数人でも、自然の中で食べるご飯は格別です。キャンプ場での調理は、時間をかける料理はもちろん、簡単に作れる料理だって自然の中で食べると何倍もおいしくなります。この記事では、簡単に実践できてしかもおいしい「つまみになるキャンプ飯」をこれまでのカエライフの記事の中から料理研究家のハマごはんさんのレシピを中心に厳選してご紹介します。
目次
やみつき! ちくわの磯辺和え
まず紹介するのは、ちくわの磯辺揚げ、ならぬ「ちくわの磯辺和え」。揚げるとなると相応の準備が必要になりますが、このレシピなら「和える」だけ。しかもとってもおいしい一品です。
作り方
- ちくわ 4本
- オリーブオイル 小さじ2
- しょうゆ 小さじ2
- マヨネーズ 小さじ2
- 青のり 適量
- 黒胡椒 適量
調理器具
キッチンバサミ、ボウル(シェラカップなど食べる器で代用してもOK)、スプーン
用意する調理器具はボウルとキッチンバサミとスプーンだけ。火を使わず手も汚れません。調理方法はいたって簡単。ちくわを切って、調味料と混ぜてできあがり。なんのテクニックも必要ありません。
ご存知の通りちくわと青のりの相性は抜群。そこにマヨネーズと黒胡椒も加わることで、磯の香りとジャンクな味わいが同居し、箸が止まらずどんどんとつまんでしまいます。キャンプ場についてすぐの1品目として家族も友人も喜ぶこと間違いなし!
<火を使わない簡単レシピをご紹介!>
食卓を彩る! ツナのかまぼこサンド
続いての1品はかまぼことツナというあまり見たことがない組み合わせ。見た目がかわいらしく、箸を使わずに手で食べられるフィンガーフードとしてキャンプの食卓を彩ります。
作り方
- ツナ 1缶
- かまぼこ 小1本
- マヨネーズ 適量
- ポン酢 小さじ1
- 細ねぎ 適量
かまぼこはツナをサンドイッチできるように少し厚めに切って、中心に切り込みを入れます。そしてマヨネーズとポン酢と和えたツナをはさんで、細ねぎをちらしたらできあがり! ポイントは、ツナ缶のオイルをしっかり切ること。オイルを切らずにマヨネーズやポン酢と和えてしまうと、かまぼこにはさんだときにべちょっとした見た目になってしまいます。
かまぼこはそのまま食べるイメージが強い気がしますが、かわいらしい見た目を活かして少し手を加えるだけで、簡単にキャンプ飯の強い味方になってくれます。
<キャンプ飯のテーブルを彩る簡単レシピ紹介!>
ねっとりプリッ! かにかまとアボカドのポキ丼
次に紹介するのはご飯もの。「ポキ丼」はマグロのお刺身とアボカドを和えたハワイのソウルフードですが、それをより簡単にかにかまで代用したレシピです。ご飯は炊くのではなく、コンビニの塩むすびを使うことで簡単、時短でできあがります!
作り方
- 塩むすび 1~2個
- アボカド 1個
- カニかまぼこ 2本
- しょうゆ、ごま油 各小さじ2
- 砂糖 小さじ1/2
- 白ごま、きざみ海苔 各適量
調理器具
包丁、まな板、ボウル(または丼)、スプーン
かにかまとアボカドを一口大に切って、調味料と和えたら具は完成。あとはコンビニで買った塩むすびをほぐして器に移したら、その上に和えた具を乗せるだけ! とっても簡単です。 ポイントは、アボカドは皮が茶色くなって熟した食べごろのものを選ぶこと。また調味料は使い切りのものかジップができる少量のものを選ぶと持ち運びに便利です。
ねっとりしたアボカドとプリっとしたかにかまの歯触りがクセになる一品。お好みでゴマや海苔の量を増やして食べてもおいしいです。
<コンビニおにぎりを使ってキャンプ飯!?>
教えずにはいられない! 焼きバナナのデザート
最後に紹介するのは「つまみになる」デザートです。つまみにもなるバナナの絶品レシピ。これを知ったら人に教えたくなること間違いなし!?
作り方
- バナナ 4本
- 無塩バター 10g
- ブラックペッパー 適量
熾火になった炭でも良いですし、コンロでもOK。まずはバナナを皮付きのまま火にかけます。皮全体が真っ黒に焼けたら、上面だけ皮をむき、バターを乗せてブラックペッパーをかけるだけ! これだけで普段食べるバナナとは全く違った、シンプルで強烈においしいおつまみデザートに。
<簡単だけどこだわりのBBQレシピ>
簡単キャンプ飯のポイント6つ
キャンプの醍醐味の一つでもある料理ですが、一泊二日のキャンプやデイキャンプでは、あっという間に時間がすぎてしまい料理を始める前にいつの間にかあたりが暗くなっている……なんてことも。テントの設営や焚き火の準備、日中のアクティビティなど、思ったより時間がかかってしまうと料理に時間をかけることができないこともあります。また、あまりに気合いを入れて料理をしようとすると、その分持って行く調味料や調理道具、食材も増えてしまい、キャンプのハードルが上がってしまいます。
そんな事態を避けるためにも、簡単なキャンプ飯を意識してみることもキャンプのコツの一つ。以下の6つのポイントを抑えればキャンプの楽しみもきっと増えることでしょう。
①火を使わない
焚き火やガスコンロを使って気合いの入った料理をするのももちろんいいですが、焚き火を使えば調理道具は炭がしっかりとつき、あとで洗うのも大変です。コンロを使って油がとんだ器具を拭いて片付けるのも撤収時を考えると手間がかかるもの。
ボウルやシェラカップ、キッチンバサミを使うことで、洗いものや準備の手間も減ります。また、すべて火を使う料理にするのではなく和えるだけでできるものにしたり、スーパーで買ったお刺身や缶詰を一品として用意したりすると、キャンプ飯のハードルはグッと下がります。
②手に入りやすい食材を使う
キャンプの数日前からあれこれといろんなところで買い出しをするのもワクワクするものですが、その分ハードルが上がります。キャンプ場に向かう途中のスーパーやコンビニで簡単に手に入る食材を調達することで、現地に到着する時間も早くなり、その分キャンプの時間を楽しむことができます。
キャンプ場から最寄りのスーパーを調べておき、そこで手に入れた食材でキャンプ飯を作れるように準備をしておくのが吉です。
③調味料や食材は少
キャンプ場には、家で料理をするときのように、広いテーブルや調理台がありません。あまりに食材や調味料が多いと、置き場に困ることも。クーラーボックスと調理台を何度も往復したり、あれやこれやと調味料を出したりしまったり、ときにはお皿をひっくり返したり……。
限られたスペースを使って料理をするために、調味料や食材を少なくすることで、効率が上がります。
④調理器具、洗いものは極力少なく
複数の包丁にまな板にたくさんのお皿やマグカップ、フライパンにダッチオーブン……そんなキャンプもときにはもちろんいいですが、後片付けを考えると……。キャンプサイトによっては水場が遠いこともあるので、運ぶだけで一苦労。その後濡れたままの食器や調理道具を持ち帰るための収納にも気を使う必要が出てきます。食器や調理道具をなるべく減らすことで、そうした撤収の手間が大幅に下がります。
⑤生ゴミは極力出さない
キャンプ場によっては、ゴミはキャンプ場で捨てるのではなく持ち帰ることが義務付けられていることもあります。また、森が近いキャンプ場では生ゴミを野生動物が夜中にあさりにくる可能性も。リスクや片付けの手間を減らすためにも、生ゴミとして出すものはなるべく減らすように工夫してみましょう。
⑥自宅で下準備をする
キャンプでの料理時間は意外と短いものです。焼き物、煮込むものなど、多くの工程で発生する食材を切る作業や、味をつける工程などは、実はキャンプに行く前に自宅でもできてしまいます。下準備さえしておけば、キャンプ場ではフライパンで焼くだけ、お鍋で煮込むだけになりとても簡単に料理をすることができます。
また、下準備をした食材をジップロックに入れて持って行けば、出たゴミをまたそのジップロックに入れて持ち帰ることやゴミ袋として再利用できるため、匂いも気になりません。
非日常の食卓を囲む「キャンプ飯」
コロナ禍以降にキャンプ場がどんどん増えて、以前より手軽に贅沢な時間を味わえるようになりました。森の中や海の目の前、大草原の真ん中で食卓を囲む。キャンプで食べるご飯は、普段食べているものでも全く違った味がしてくるものです。
キャンプでの楽しみは食事だけでなく、川で遊んだり、自然の中でぼーっとしたり、散策したり多種多様。限られた時間を目一杯楽しむために、調理の時間を短くする、という選択肢もあります。これからキャンプを始めようと思っているけれど、どうご飯を用意したらいいかわからない、調理道具を用意するのが難しいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
文/矢澤 拓
レシピ/ハマごはん、マメさん
写真/長野 竜成、観音クリエイション
スタイリング/飯倉 孝枝
編集/矢澤 拓、TAC企画