おしゃれなアウトドア好きたちが集まるキャンプイベント「GO OUT CAMP(ゴーアウト キャンプ)猪苗代」。人気アーティストのライブや湖でのアクティビティなど、音楽、ファッション、アウトドアといったさまざまな遊びを自然の中で体験できるアウトドアキャンプフェスティバルです。
オートキャンプ場なのでほとんどの人がクルマで参加していて、クルマのおしゃれ度がかなり高く、カスタム率も高いとのウワサをキャッチ!
そこで2019年初夏に開催された6回目、外遊びの達人たちに取材を決行! どんなふうに愛車のカスタムを楽しんでいるのかを調査し、前編、後編に分けて3名ずつご紹介します。
目次
①服を着替え、部屋をリフォームするように、中古車を自分色にカスタム【Honda エレメント】
青く光る湖面を背景に、ひときわ目立つオレンジ色のクルマを発見! Hondaのマークがついている……。近ごろ見かけない車種なのに新車? と思い、オーナーさんに声をかけてみました。クルマは15年近く前に発売された、懐かしのエレメント。新車のようにピカピカな姿にびっくり!
「僕にとってクルマは移動手段の道具ではなく、ファッションでもあり、家をリノベーションするのにも似ているかな。洋服を着替えるように車をカスタムして、自分らしさを表現したいんです。また何年後かにカスタムしなおしてもいいしね。中古車はベースが安いので、カスタムで遊んでも車両代と合わせて100万円台で完成できるのも魅力ですね」
塗装をしてから1カ月というピカピカのボディ
「Hondaエレメントは最近キャンプ流行りで人気が再燃している車種で、すでに20万km走っていたけれど、まったく問題なし! ちょっと昔のクルマだけれど、カスタムして走行性を上げ、この時代に乗りたい車に仕上げてみました」と話す相馬さん。
カスタムのテーマは“キャンプが似合うクルマ”。車高を上げてマッドタイヤをはかせることで、オフロードの対応も可能に。走行性と機能性アップで、アクティブにカーライフを楽しんでいるそうです。
ヴィヴィッドなオレンジの塗料は、クルマの塗装を趣味でやっているという塗装会社の友人に特注し、だいたい25~30万円でできたそうです。意外と安くできるものですね! これからフロントバンパーガードとリアテールレンズガードを追加する予定で、すでに発注済みなんだとか。かわいいオレンジのボディカラーに、ほんのりハード感をプラスする仕上がりになるというから、相馬さんの人柄とセンスにぴったり。
クルマ好きの仲間がキャンプ場で集結!
実は相馬さんのお仕事は、中古車販売。常に自分でカスタムしたクルマを数台所有し、欲しい人がいれば販売もするそうです。まさにカスタム上級者! 今日集まったキャンプのメンバーは、相馬さんがカスタムしたクルマを運転して参戦。エレメントのほかにも2台、これまた目をひくクルマが並んでいました。
塗料に川砂を混ぜてサビたように仕上げたフォルクスワーゲンのビートルに、高級感ある革張りシートでヴィンテージなリビング空間に仕上げたダッジのラムバン。どちらも遊び心あふれる個性的なクルマで、見ているだけでワクワクしてきます。
クルマ選びはファッションであり、遊びでもある
クルマ好きが集まってキャンプだなんて、ついつい話も盛り上がりそうですね。「子どもとキャンプするときは、車内で寝ころべるようにベッドをDIYしたミニバンで遊びます。きょうは男だけの集まりだから、ちょっとごつい感じのラインアップかな(笑)」。
乗る人や遊び方に合わせてクルマをカスタマイズしている相馬さん。遊びもファッションも、そしてクルマも、同一線上で楽しんでいる姿が印象的でした。
②車中泊ベッドは手作り! 純正品を生かしつつ、ないものは作るのが信条【ランドローバー ディフェンダー110】
風景になじむキャンパーを発見! 装甲車のようにタフなボディのランドローバー ディフェンダー110。70年以上、デザインを変えていない英国王室御用達のクルマを、新緑の木々に囲まれた自然の中で見ると、まるで外国に来たみたいな光景に見えてきます。リア・ゲートを利用してタープを張っていた横山さんはキャンプ歴25年と長く、こなれた感じが目をひきました。
車内はDIYの手作り、車外は純正品でカスタム
「キャンプのときはテントを張るけれど、荷台にベッドを作っているので、旅行のときは車中泊しています。宿泊費が浮いた分、昼間は温泉やグルメにお金をかけられるから、思いっきり旅を満喫できるんです。旅行の自由度がグンと上がりましたね」
コンパネにクッションを張ってマットレスにし、荷台にイレクター(=パイプ状の組み立てパーツ。DIY好きの定番)で骨組みを組んで手作りしたベッド、窓の日よけは布に磁石を縫い付けた自作のカーテンがペタリ。リア・ゲートを開けると、ちょっとしたコーヒースペースになるミニテーブルが。「車内のカスタムはホームセンターなどで道具を探して、手作りしています。外車なので、日本車のようにパーツが売っていない。だから自分で作るしかないんです」
荷台のベッドは夫婦ふたりで寝ても十分な広さで、荷物もたっぷり詰める懐の深さがキャンプを楽しむにはたのもしい積載力!
車内とはうって変わって、ルーフラックやバンパーガードは純正品をチョイス。「社外製のパーツは主張がありすぎるので、クルマのデザインにすんなりなじむ純正品をできるだけ選ぶようにしています。カスタムの費用は、純正品と手づくりを合わせ300万円ぐらいかけたかな」。デザイナーという職業柄、クルマのカスタムにも美意識があふれ出ています。
行く場所を選ばない、クルマが運ぶ自由な時間
ぬかるみでもスタックせず、川を渡って向こう岸まで行けるランドローバー ディフェンダー110に、荷物の量を気にせずがんがん搭載できるルーフラック。このクルマを手にしてからどこにでも行けるようになったと満足げな横山さん。「ずっと憧れていたクルマを所有でき、ギアにもお金をかけられる年齢になった。このクルマで遊びに行くのが休日のいちばんの楽しみです」
今日のキャンプはソロ(1人)参加でしたが、ふだんはグループでキャンプしたり、奥様とふたりででかけたり。クルマがもたらしてくれる素敵な時間です。
③子どもはジャングルジム気分! ルーフテントが目を引く親子キャンパー【ボルボ XC60】
遠くからでもキャンプ場でひときわ目立っていた、ツリーハウスのような車上のテント。日本にもじわじわブームがきている「ルーフトップテント」は、キャンパーたちの熱い視線をあびていました。クルマに近づくと、テントの中から男の子が顔を出し、ルーフトップから地面までジャングルジムのように飛び回って、すごく楽しそう!
ベテランキャンパーが、いまたどり着いたスタイル
「長男が中学生になって、お父さんと遊んでくれなくなりそうだったから、彼らをつなぎとめるためにルーフトップテントを導入しました(笑)」と話す会田 博和さん。狙いはばっちりで、秘密基地みたいなテントは子どもたちに大好評!
グランピング※1にブッシュクラフト※2など、アウトドアのスタイルをいろいろ試し、いま現在はルーフトップテントにたどり着いたという会田さん。「居住性がすごくいいんです。なにより、目線が変わるのが気持ちよく、大人でも高いところはワクワクするし、興奮しますよ。まさに、クルマありきのキャンプスタイルだよね」
ルーフトップテントは日本でも発売されていますが、なかなか高額。そこで会田さんはオーストラリアの知人に頼んで送ってもらったそう。70kgもあったので取り付けは大変でしたが、少し安く導入できたといいます。
※1グランピング:グラマラスなキャンピングの略で、快適かつ優雅にアウトドアを楽しむキャンプのスタイル。
※2ブッシュクラフト:必要最小限の道具で野山に入り、できるだけ自然にある素材を使ってアウトドアを楽しんだり工作したりするキャンプのスタイル。
クルマがあるから、重たいキャンプ道具もがんがん積んでいく
カーキ色のタープに、ジェラルミンケースのようなボックス、キャンプサイトはちょっとアーミーな雰囲気の道具でそろえられています。タープはトラックの幌、テーブルはもらいもののパレットで自作したもので、会田さんだけの個性的な空間になっていました。
「僕、ストレージマニアで、箱が大好きなんです。金属の箱や、旧日本軍が使っていた木箱など、すっごく重いけれど、がんがんクルマに乗せて持ってきちゃいます。アイアン製のキャンプ道具も、クルマがなければ重くてきっと導入できなかったな」
家族の成長とともにクルマもカスタムも変化
会田さんがクルマをはじめて買ったのは、長男が生まれたとき。そのときも、買い替えた今のクルマもボルボでした。家族4人が座れ、しかも荷物がしっかり詰める点が気に入っているとのこと。家族が集い、遊ぶ場所の中心にクルマがある。そんな家族の絆を感じる親子キャンパーでした。
外遊びの達人は、クルマのカスタム達人でもあった!
遊び心と職人魂が炸裂していたHonda エレメントの相馬さん、デザイナーという職業らしい美意識と器用さを発揮させてカスタムしていたランドローバー ディフェンダー110の横山さん、家族の歴史にいつもクルマがあったというボルボ XC60の会田さん。
お話をうかがった3人とも、“とても好き”なものや、趣味人らしい嗜好を持っていて、その好きの延長線上にクルマのカスタムがあったように思えます。遊び上手はカスタム上手、そんな言葉が浮かんできました。
後編でも個性的な3名をご紹介します。ぜひご覧ください!
取材・文/嶺月 香里
写真/矢野 宗利