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【気仙沼ドライブ】東日本大震災から8年、観光で見える被災地の“過去”と“今”

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カエライフでは日常に彩りをプラスする、ちょっと変わったドライブプランを紹介しています。今回はレンタカーで楽しむ1泊2日のドライブプラン。行先はずっと訪れてみたかったけど、なかなか行けなかった場所、気仙沼です。

訪れたドライブスポットは盛りだくさん!

気仙沼へ行こうと思ったきっかけは?

東日本大震災から8年。東北へ旅行に行くことが復興につながるとはいわれているけれど、実際にはなかなか行動に移せず8年の月日が流れました。

その根っこにある思いは、気軽に被災地で観光をしてもいいのだろうか・・・という疑問。そんな私の背中を押したのは、震災の記憶と教訓を伝えるための施設「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」が2019年3月10日に開館したというニュースでした。

そうか、遠くから見ていてもはじまらない・・・。伝承館の開館に背中を押されて、1泊2日の気仙沼ドライブ旅へ出かけてみることにしました。

 

震災を“伝える”ための施設「伝承館」

更地のなかに建つ伝承館と、震災遺構として残された宮城県気仙沼向洋高校の旧校舎

更地のなかに建つ伝承館と、震災遺構として残された宮城県気仙沼向洋高校の旧校舎

仙台駅から三陸自動車道を約2時間、「大谷海岸インター」で降りて10分ほどで伝承館が見えてきました。

近づくにつれ、胸をはっとつかれたのは周囲の風景です。かつてそこにあったであろう街の風景はなく、更地の先に、新設された伝承館と震災遺構として残された宮城県気仙沼向洋高校の旧校舎がありました。

この旧校舎は、海岸から約500mの位置にあるのですが、大津波によって4階まで浸水しました。現在は、新校舎が別の場所に建てられ、旧校舎は震災を伝える遺構として保存されています。

 

気仙沼市東本大震災遺構・伝承館

 

気仙沼市東本大震災遺構・伝承館

   

気仙沼市東本大震災遺構・伝承館

住所:〒988-0246 宮城県気仙沼市波路上瀬向9-1
営業時間:
4月~9月 9:30~17:00(入館16:00まで)
10月~3月 9:30~16:00(入館15:00)
休館日:
毎週月曜日(月曜日祝日の場合は開館、翌日休館)
祝日の翌日(土日、GW期間は除く)
年末年始(12月29日~1月4日)
特別開館日:
毎月11日/9月1日(防災の日)/11月5日(世界津波の日)
入館料:
一般600円/高校生400円/小・中学生300円
小学生未満無料、身体障碍者手帳をご教示した方は半額

※掲載当時の情報です。

見学は伝承館内で津波の映像をシアターで見るところからはじまります。映像を見たあとは、当時の被災状況や避難所生活などを記録した写真パネルを見てから旧校舎へ移動しました。

映像と写真パネルを見るだけでも胸が詰まる思いでしたが、校舎内に足を運んだときは言葉を失いました。

 

壊れた4階の外壁

壊れた4階の外壁

室内はすべて跡形もなく崩壊し、3階にはどこからか流されてきた車がありました。

4階の外壁には何かぶつかった跡があり、ここまで津波が押し寄せてきたことがわかります。津波の爪痕が残されたこの場に立ってはじめて津波の脅威を感じました。

 

校舎3階に流されてきた車

校舎3階に流されてきた車

校舎3階に流されてきた車

伝承館の佐藤克美館長

伝承館の佐藤克美館長

「震災前は海岸沿いには防風林が続いていて、冷凍工場や住宅が並んでいたんです」と教えてくれたのは佐藤克美館長。

「常日頃から防災訓練をやっていたこともあり、教員の指示で生徒全員がここから2㎞離れた階上中学校に避難し無事でした。震災以降は津波の怖さを伝えるとともに、避難方法もあわせて後世に伝えていきたいと思っています」

目を背けずに、積極的に知ろうとする姿勢が何より大切なことなのだと実感しました。「暗い気持ちになったかもしれませんが、ここは未来につなぐ学びの場です。このあとは大いに気仙沼の旅を楽しんできてくださいね!」と佐藤館長に笑顔で見送られ伝承館を後に。

 

「気仙沼海の市」で生ガキをいただく

気仙沼海の市

気仙沼海の市

伝承館で学んだあとはクルマを約20分走らせて、いよいよ気仙沼の街へ。まずは観光情報を得るために観光サービスセンターがある「気仙沼海の市」に。

 

気仙沼海の市

住所:〒988-0037 宮城県気仙沼市魚市場前7-13
営業時間:
10~4月 8:00~17:00
5~9月 8:00~18:00
定休日:
1~6月 不定休
7~12月 無休
※店舗ごとに営業時間・定休日は異なります。ホームページなどで確認ください。

※掲載当時の情報です。


「気仙沼海の市」は気仙沼市魚市場に隣接した観光物産施設。

震災の影響で長い間休業していましたが、2014年に全面再開となりました。新しくなった海の市の1階には、気仙沼港で水揚げされた海の幸が並ぶ商店や飲食店、2階には観光サービスセンターをはじめ、日本で唯一のサメの博物館「シャークミュージアム」などが入っています。

到着した時間は13時過ぎ。ここで遅めのランチタイムをとることにしました。どの飲食店も三陸の海の幸をいただけるメニューが目白押し。悩みに悩んで選んだのは「カネト水産」。新鮮な魚介類をまとめて味わえる海鮮丼をいただきました。

 

カネト水産の海鮮丼

カネト水産の海鮮丼


その後は観光情報を収集しつつ、シャークミュージアムを見学。

お腹は海鮮丼で満たされたはずなのに、1階にある「魚介類 濱喜」で大きくておいしそうな生ガキを発見し、我慢できずその場で実食。つるっとした新鮮な生ガキは、クリーミーで、海の味がしっかりするお味でした。1つの味見のはずが、あまりのおいしさに追加オーダーもしてしまいました。

 

日本で唯一のサメの博物館「シャークミュージアム」

日本で唯一のサメの博物館「シャークミュージアム」

 

新鮮な生ガキ

新鮮な生ガキ


気仙沼で仲卸を生業としている「濱喜」の佐藤誠さんも震災を経験したひとり。震災直後、卸す魚も無い中で、佐藤さんはすぐに営業を開始したそう。

「気仙沼の魚市場が再開するまでは、先輩方々のツテを頼りに仙台から魚を仕入れていました。ありがたいことに仙台の中央卸市場の会長さんから、気仙沼に魚を切らしてはいけない、魚屋をつぶすな!と声をあげていただいた。本当にみなさんの協力を得て、ここまでやってこられたという感じですね」

震災直後に気仙沼の飲食店、魚屋さんのために奔走した佐藤さん。誰かのために・・・という人を想う熱い思いが佐藤さん自身を奮い立たせた原動力だったかもしれません。また気仙沼を訪れたときには再来したいお店のひとつです。

 

「濱喜」佐藤さんの店では直売価格で新鮮な魚介類が購入できる

「濱喜」佐藤さんの店では直売価格で新鮮な魚介類が購入できる

 

安波山の山頂からの風景は気仙沼の“今”を知ることができる

安波山の山頂からの眺め

安波山の山頂からの眺め

この日の締めくくりは気仙沼のシンボルとして愛されている安波山(あんばさん)。五合目にある駐車場にクルマを停めて、徒歩で山頂までは約30分。

山頂へ行くまでの間に「ひのでてらす」、「ほしのてらす」と名がつく2つの見晴台があります。「ほしのてらす」から山頂まではかなり急な登り坂。運動不足の方にはかなりハードな山歩きです。

 

山頂や展望台からは、気仙沼の街並み、気仙沼湾、大島、唐桑半島などが一望できます。美しい風景の中には、あちらこちらに工事中の建物の様子が見てとれ、遠くには建設中の気仙沼大島大橋も見ることができました(2019年4月7日開通)。

安波山からの風景は気仙沼の“今”を知ることができます。きっと1年後、再びこの場所に立ったら、また新しい気仙沼の風景が広がっているんだろうなと想像することができました。

 

全国初の津波疑似体験施設:唐桑半島ビジターセンター

唐桑半島ビジターセンター

唐桑半島ビジターセンター


気仙沼港近くの宿に泊まり、翌朝は宿を8時に出発。ドライブがてら、気仙沼港からクルマで約40分の場所にある唐桑半島へ。絶景の海を望むトレッキングコースがあると聞き出かけてきました。

唐桑半島ビジターセンターからスタートする、約1kmの御崎海岸遊歩道からは、胸のすくような絶景を楽しみながら散歩することができます。朝のドライブからの絶景散歩。旅の醍醐味ともいえる、贅沢な過ごし方です。

 

唐桑半島ビジターセンター&津波体験館

住所:〒988-0554 宮城県気仙沼市唐桑町崎浜4-3
営業時間:8:30~16:30
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)/祝日の翌日(土日に当たる場合は開館)
津波体験館の入館料:大人380円/高校生260円/小中学生160円
※ビジターセンター内は無料

※掲載当時の情報です。

 

御崎岬海岸遊歩道から眺めた太平洋

御崎岬海岸遊歩道から眺めた太平洋

軽くトレッキングした後は、唐桑半島ビジターセンターにある、津波の疑似体験ができる「津波体験館」へ。この津波体験館は昭和59年につくられた施設で、映像だけでなく振動や風など、よりリアルに津波を疑似体験することができます。

昭和59年にこのような技術が注がれた施設があったということに改めて衝撃を受けました。上映時間は約11分。映像は過去の津波のものから、東日本大震災時の映像に切り替わり上映されています。津波防災の意識を高めるためにも訪れたい貴重な施設のひとつです。

 

※上映中は撮影禁止です。今回は特別な許可をいただいて撮影しています


ビジターセンターから再び気仙沼の街へ。クルマで向かう途中、建設中の気仙沼本土と“緑の真珠”と呼ばれる気仙沼大島を結ぶ、気仙沼大島大橋(取材時は建設中)を見ながら、街へ戻りました。橋が開通された現在は、大島の自然を気軽に楽しむことができます。

 

気仙沼本土と「緑の真珠」と呼ばれる気仙沼大島を結ぶ気仙沼大島大橋

気仙沼本土と「緑の真珠」と呼ばれる気仙沼大島を結ぶ気仙沼大島大橋

 

クルマを停めて気仙沼の街を散歩

武山米店・炊飯博物館

武山米店・炊飯博物館

午後はクルマを駐車場に止めて気仙沼の街を散策することに。

最初に訪れたのは昭和初期に建築された、国の登録有形文化財にもなっている武山米店・炊飯博物館。東日本大震災の津波で1階部分は流失したものの、建物の大半が残り復元することができた建物です。

現在1階には米屋と新設された土間・イベントスペースがあり、食のイベントや炊き出しスペースとしても使えるようになっています。また蔵は「炊飯博物館」として改装され、明治大正時代のお膳や羽根釜などを見ることができます。

武山米店以外にも気仙沼には歴史的建造物が多くありました。その多くが東日本大震災で取り壊しになってしまいました。いくつかは再建されてその姿を見ることができるのですが、現在も修復、再建に取り組む活動が続いています。

※詳細は「気仙沼風待ち復興検討会」のホームページをチェック!

 

武山米店店舗・炊飯博物館の館内

武山米店店舗・炊飯博物館の館内

 

武山米店店舗・炊飯博物館

住所:〒988-0013宮城県気仙沼市魚町1-1-13
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜日

※掲載当時の情報です。

 

気仙沼復興商店街・南町紫神社前商店

続いて散策した場所は、53店舗が集まる「気仙沼復興商店街・南町紫神社前商店」です。

最初に立ち寄ったのは、おいしそうなスイーツが並ぶ「菓子舗サイトウ」。ショーケースには気仙沼でとれたごぼうを使ったお菓子や気仙沼大島で栽培されたゆずを使ったサブレーなど、お菓子の原料に“気仙沼産”を用いたお菓子が多く並んでいました。まさに地元と相思相愛な菓子舗。さっそくドライブ道中のおやつと、お土産を購入。

 

菓子舗サイトウ

 

菓子舗サイトウ

住所:〒988-0017宮城減気仙沼市南町2-4-15 紫神社商店街1F
営業時間:10:00~18:00
定休日:木曜日

※掲載当時の情報です。

 

そして思わず長居してしまったのが、ハンドメイドの帆布バックを中心に展開するカバン屋さん「マストハンプ」。

トートバック、ショルダーバック、ポーチなど、どれもオリジナルでかわいさ満点。さらに店舗ではオーダーメイドも可能と聞き、さっそく布や色を選んで注文。オーダーメイドは、注文状況によって完成までの期間は異なりますが自分だけのオリジナルカバンは魅力的です。

 

気仙沼のMAST HANP

 

MAST HANP

住所:〒988-0017宮城減気仙沼市南町2-4-10 紫神社商店街2F
営業時間:10:00~19:00
定休日:木曜日

※掲載当時の情報です。

 

青空市から仮設商店街を経て、常設の南町紫神社商店街へ

買い物を終えてそろそろ帰り支度をしようと思った矢先、南町紫神社前商店街の代表である坂本正人さんとお会いすることができました。坂本さんの奥様のお店「揚げたてコロッケ屋!」も、新しい商店街の一角で再スタートをしています。

坂本さんの震災前の職業は歯医者の技工士でしたが、震災で奥様がやっていたコロッケ屋さんが被災。そこで坂本さんは本職と掛け持ちで、唯一残ったコロッケ屋の移動販売車を使ってコロッケと衣類の「青空市」をはじめたそう。「震災前、この周辺は約160店舗があったのですが津波で何もかも流されてしまいました。そんな状況だったので周囲からの要望の声もあり、青空市をはじめたんです」

青空市はすぐに仲間が集まり、またたく間に10軒を超える規模となったため、建物が必要に。そこで坂本さんはNPO法人気仙沼復興商店街を立ち上げ、多くの方の協力を得て仮設の復興商店街を2011年12月24日にオープン。6年の仮設商店街の営業を経て、2017年11月に常設の南町紫神社商店街が完成しました。

「仮設商店街のときは、被災地応援ツアーや修学旅行の団体客などで連日賑わっていましたが、常設となってからは復興がひと段落したという印象があるのか団体客は激減。常設商店街はできましたが、まだ周囲は道路も完成していませんし、以前住んでいた方々や営業されていた方も戻ってきてはいません。まだまだ街は復興途中です。南町紫神社前商店街は、被災事業者が各々ローンを組んで、みんなで建てた商店街。これからはさらに商店街の方々と、また周辺の方々とも協力しながら、もっともっと一体となって活気ある街づくりができるように力を注いでいきたいと思っています」

揚げたてコロッケ屋!のご夫妻

揚げたてコロッケ屋!のご夫妻

 

揚げたてコロッケ屋!

住所:〒988-0017宮城減気仙沼市南町2-4-16 紫神社商店街1F
営業時間:9:30~19:00(ランチタイム11:00~14:00)
定休日:木曜日

※掲載当時の情報です。

 

おもてなしの風土、温かい交流が育まれる街、気仙沼


今回の1泊2日の気仙沼ドライブはこれにて終了。

気仙沼の人々の温かさ、外の人たちを快く受け入れるやさしさともてなす心、前に進む強さに触れ、明日からまた頑張ろう!という勇気とエネルギーをいただけたことが大きな旅の収穫でした。

「気仙沼の方々は優しくておもてなしの真心がありますね」と気仙沼で暮らしている方に伺うと「もともと港街である気仙沼は外の人を温かく迎え入れ、おもてなしをする風土があるからかもしれませんね」という回答が。また南町紫神社前商店の坂本さんにも同様のことを伝えたら「気仙沼の人は確かにもてなす風土があるかもしれませんね。でも僕から言わせれば、外から来るボランティアの方々もとても優しくおもいやりがある方ばかりです。多忙にもかかわらず、節目、節目には気仙沼に来てくれる。ありがたいですね」

豊かな自然と海の恵み、地元の方々と外の方々の温かい交流が育まれる街。そして忘れてはならない震災。震災から8年の月日は経ちましたが、気仙沼は現在も復興途中です。

震災について学び、地元の方々とふれあいながら観光を楽しむ。それが今の気仙沼ドライブの楽しみ方!今回私が実際に訪れて感じたことですが、各々感じ方は違うと思います。みなさんの目で気仙沼の今を見て、感じて、体験して、自分流の気仙沼ドライブプランを見つけてもらえたらと思います。

文/鈴木 珠美
写真/小林 克好