記事提供元/KURU KURA
夏の車中泊は、否応なしに車内温度が高くなる。そんな時にできるだけ涼しく過ごすためには、どうすればいいだろうか。【対策編】では、暑さを和らげるグッズや対策法について、車中泊のプロに教えてもらった。
車内温度の検証結果については、夏の車中泊の暑さ対策。車内温度はどれくらい暑い?【検証編】の記事をご覧ください。
車中泊の暑さ対策を教えてくれたのは、この人
今回、夏の車中泊における暑さ対策について教えてくれたのは、車中泊専門誌『カーネル』編集長およびアウトドア情報メディア 『SOTOBIRA』のプロデューサー・大橋保之さん。『カーネル』は、一般車での車中泊テクニックや快眠ギア、キャンピングカー、バンライフなど、車中泊をメインテーマにしている雑誌。『SOTOBIRA』は、車中泊、キャンピングカー、キャンプ、登山など、アウトドアに関する情報を発信するメディアである。
大橋さんは、上記媒体の編集長やプロデューサーを務めるだけでなく、自身でも一年中、車中泊を行っている。いわば車中泊のプロである。そんな大橋さんに暑さ対策のグッズや方法について聞いてみた。
暑さ対策グッズ4選
それではさっそく夏の車中泊における暑さ対策について教えて貰おう。
大橋さんは、「クルマ用網戸で風通しを良くしたり、銀マットのシェードで日差しを遮ったりする方法があります。市販品がなければDIYで作れますし、もし自身のクルマに適合した市販品があるなら、網戸もシェードもそのほうが精度が高く、効果が高いものも多いです」
1.ウインドーを網戸で覆い、風通しを良くする。
1つ目のアイテムは、ウインドーを空けた状態にしておくための網戸だ。夏場はできるだけ窓を開けて風を取り入れたいものだが、いかんせん蚊や蛾などの虫が集まりやすい。これを防ぐために網戸が必要である。ウインドー枠サイズの網戸を自作したり、市販のグッズで自車のサイズに適合するものを用意しておきたい。
くるくら編集部でも過去に、網戸張替用ネットと両面テープで簡易網戸を自作したことがある。ウインドー枠に切って貼っただけのものでも、虫を防ぐ効果があった。
2.サンシェードで覆って、車内温度をできるだけ下げる。
2つ目のアイテムは、日差しを遮るためのサンシェード。当記事の【検証編】で取り上げたように、夏の炎天下(外気温35℃)にクルマを駐車しておくだけでも、車内温度は52℃。ダッシュボードの温度は74℃まで上昇した。たとえ車中泊をするのが夜であっても、一度熱せられた車内が冷えるまでは時間がかかるので、日中から対策をしておきたい。
具体的には、銀マットのような光を反射する素材や断熱性のある素材でサンシェードを準備しておく。市販品があればよいが、なければ自作もできる。こつは、サンシェードをできるだけ全ウインドーに隙間なく設置することだ。
確かにどちらも重要なアイテムだが、さらに涼しく過ごせる方法を聞いてみたところ、「涼感寝具などは効果が高いですよ」とのことだ。
3.涼感寝具などを使って体の温度を逃がす。
3つ目は、敷きパッドやタオルケットなどに涼感寝具を使用すること。これは自宅などでも使用している人も多いのではないだろうか。ジェル状の冷却材が入っていて、体の熱を吸収して逃がしてくれるもの。肌が触れた時にひんやりと感じる特殊な生地を使用したものなど、さまざまな種類がある。
ただし、大橋さん曰く「涼感寝具は寝始めや、そこまで暑くない日などには効果が高いです。しかし、抜本的な解決にはならず、本当に暑い熱帯夜では"ないよりマシ"というイメージ」だという。
そして、大橋さんは、少し裏ワザ的だがより効果的な方法もあるという。
4.電気の力を活用した冷却
4つ目はポータブル電源などを活用して電気の力で車内を冷却すること。電源にポータブルクーラーや扇風機を接続して活用すれば涼しく過ごせる。
近年のアウトドアでは、ポータブル電源が注目されており、大小いろいろな製品が発売されている。もしくはAC電源設備のあるオートキャンプ場やRVパークに泊まるなら、延長コード(屋外用)を持っていくことで冷風扇や扇風機なども使うことが可能になる。
また、意外と気づかない点だが、車内泊のための駐車場所を選ぶことも重要だという。
【暑さを避ける駐車場所】
・直射日光が当たらない日陰など
・風通しがいい場所
・コンクリートではなく、土の駐車スペース
車中泊は、涼しいエリアを狙うのが大切
「夏に車中泊で過ごすためのテッパンの対策は、やはり"高度を上げる"ことと"緯度を上げる"ことです。つまり、そもそも車中泊をする場所選びが重要かと思います」(大橋さん)。
避暑地という言葉があるように、夏でも比較的涼しい場所がある。それは標高が高い場所かつ緯度が高い場所である。一般的には、標高が1000m上がる毎に約6℃気温が下がるといわれている。例えば、標高0mの場所で35℃の時、標高1000mの場所では29℃となり、比較的涼しいのである。
また、緯度とは赤道からどのくらい北または南に外れているかの度合い。日本列島では、沖縄は緯度が低く、北海道は緯度が高い。沖縄のキャンプ場よりも北海道のキャンプ場の方が涼しいのは、明らかだろう(※)。
※天候などにより左右されるため絶対ではないですが、、、。
ただし、いずれの対策をしても、熱中症の危険はある。暑さ対策をすると同時に、寝る前に十分な水分補給をし、枕元にも水分を置いておきたい。また、大橋さんは「暑くてマズイ!という状況下では車中泊はしないようにしています」と語り、本当に暑い日は車中泊をしないように気を付けているそうだ。
熱帯夜などの暑さを強く感じる日や、自身の体調が優れない日などは、車中泊を中止して、近隣の宿泊施設に泊まることも選択肢に入れておいた方がいい。
車内温度の検証結果については、夏の車中泊の暑さ対策。車内温度はどれくらい暑い?【検証編】の記事をご覧ください。
※この記事は、KURU KURAに2021年7月15日掲載されたものです。