東京オートサロン2019特集 ホンダアクセスブースを見に行こう ~「Modulo Neo Classic Racer」編~

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2016年の東京オートサロンで展示した「S660 Neo Classic Concept」は来場された方々から非常に高い支持を受けて、なんと「東京国際カスタムカーコンテスト2016」のグランプリを獲得しました。このことは「S660 Neo Classic」の製作に携わった者はもちろん、ホンダアクセスすべての従業員にとってもうれしいことでした。

そして大勢の方からいただいた支持に応えるため「S660 Neo Classic」は市販化に向けて再度練り直されて、2018年9月にS660に装着するパーツキット「S660 Neo Classic KIT」の販売がスタートしました。東京オートサロンでご覧いただいたあのS660が街を走るようになったのです。

これで「S660 Neo Classic」の開発は終了…と思っていたところ、なんと次の一手があったのです。それが「Modulo Neo Classic Racer(モデューロ ネオ クラシック レーサー)」です。

今回はこのクルマの製作チームから、商品企画部のデザイナーである山田 真司さんに「Modulo Neo Classic Racer」の製作に関するお話を伺いました。

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Modulo Neo Classic Racerのデザインを手がけた商品企画部の山田 真司さん。

Moduloが持つ走りのノウハウとデザイナーの創造力で作る傑作マシン

「S660 Neo Classic」は東京オートサロンへの出展がきっかけで作られ、キット発売まで実現したクルマです。そこでキット発売後再びオートサロンに展示する計画が当初からありました。

しかし、せっかく展示をするなら違う見せ方にしたいと、ものづくりが好きな集団だけに考えました。その結果が「S660 Neo Classic」をベースとしたサーキットマシンを作ることでした。

このアイデアが出てから山田さんはS660 Neo Classicをベースに思いつくアイテムをすべて盛り込んだ旧車レーシングカーイメージのデザインを描き上げますが、この時点で走りをテーマにしたデザインだけに「Moduloブランド」に組み込むかどうかが検討されました。

その結果、Moduloの名前がつくことになり、Modulo開発チームの協力を得てデザインを進めることになりました。

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初案のデザインは山田さんのイメージをすべて盛り込んだもの。そこからクルマ作りの視点でチェックして形状を修正。ある程度デザインが決まったところでテストパーツを作ったとのこと。

最初に行ったことがデザイン画の見直しです。Moduloのエンジニアには初案のデザイン画から空力的に問題になる点を指摘してもらいました。そのアドバイスを元に何点かのデザインを起こしていき、キーとなるスケッチを描き上げ、それを元にしてテスト用のパーツを製作しました。

こうして作られたパーツは実車に組み込まれテストコースを走行しチェックを受けますが、ここで前後の空力のバランスについて課題が見えました。

そこで空力を再検討。フロントにはバンパー一体のしっかりしたスポイラーを付けました。また、空力を考慮したハードトップ、リアフードカバーを装着するので、ルーフからの風の流れも有効に使うことなどを考慮していくと、リアには大きめのスポイラーが必要ということがわかりました。

全体のバランスを考えるとリアだけ大きなスポイラーを付けるのは不自然になりますが、ここで山田さんはひらめきました。リアのブリスターフェンダーを後方に伸ばすことでリアスポイラーの大きさを目立ちにくくしたのです。

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クレイモデル製作風景。ブリスターフェンダーを伸ばすこともこの時に検討した。

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リアのブリスターフェンダーを伸ばす処理によって大きめのリアスポイラーの存在感が薄れて全体のバランスと調和が取れました。また、リアのブリスターフェンダーにはドアからのびるラインに合わせた造形にしているのでボテッとした感じにはなっていません。

リアを見ると分かると思いますが、後ろに張り出したリアのブリスターフェンダーはスポイラーと一体化してリアパネルを覆うような形状で全長を伸ばしています。たしかにこれだとスポイラーの大きさは感じません。

それにリアのブリスターフェンダーは後端を絞り込む形状にしていますが、後ろ側を伸ばすことで絞り込みラインがなだらかに伸ばせるようになりました。この処理のおかげでワイド感とスマートさが両立できています。

また、張り出したスポイラーとリアのブリスターフェンダーに囲まれたリアパネルには、「S660 Neo Classic」の特徴である丸い形状の灯火類とミッドシップらしく大胆に空けられたダクトが収まりますが、これらの配置や色はリアパネルに奥行きを感じさせるチョイスなのでリアまわりの造形がより引き立って見えます。

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こちらはデザイン画。ボディーカラーはガンメタリック。89の意味はホンダアクセスの社内略称である「HAC」をもじったもの。
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マフラーはリアパネル上部中央にあり、テール形状は丸の2本出し。

山田さんは「Modulo Neo Classic Racer」のデザインについて「性能的に必要な要件に合わせていっただけ」と言います。このリアまわりの処理も「要件合わせ」のものに違いないのですが、その出来映えはまさに「プロの仕事」。「強そうだけど気品も感じる中世のよろいかぶと」のようにも見える独特の形で、古今東西のスポーツカーのリアビューを比べてもこのデザインはカッコよく、引けを取らない傑作だと思います。

「Modulo Neo Classic Racer」は全身がカッコいいクルマですが、リアはとくに素敵なのでここは会場でぜひ見ていただきたいと思います。

 

つぎにデザインの細部を紹介します。山田さんがこのクルマのデザインをするうえでイメージしたのが1960年代のレースカーでした。山田さんは「この時代のクルマは機能が良いだけではなく気品も感じるので、そこが『Modulo Neo Classic Racer』の世界観に合う」と言います。また、ベースになっている「S660 Neo Classic」はもともとこの時代のクルマっぽい雰囲気を持っているのでデザインを発展させやすい面がありました。

このクルマのデザインを見たとき、まず目を引くのがフロントグリルからヘッドライトにけての造形でしょう。これは旧車のレースカーに見られたヘッドライトに飛散防止用テープを貼っていた姿をモチーフにしたものですが、グリルとつながるデザインにすることで一体感を出しています。ちなみにヘッドライトは点灯可能です。

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フロントまわりも凝ったデザインになっています。スポイラーの両端には金属製バンパーのイメージでクロームメッキのパーツを取り入れるという小技も効かせています。

側面を見ると革製のボンネット固定用バンドやフェンダーミラー、ビス留めのオーバーフェンダーなど旧車のアイコン的な要素もしっかりと取り入れています。なお、このオーバーフェンダーは前後とも下側にいくにしたがって絞るような形状になっています。そのためフェンダー幅いっぱいの太さのタイヤを装着すると下側のトレッドがフェンダーからはみ出て見えますが、これも旧車を意識したデザインのひとつです。

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ルーフはハードトップ化。ここは空気の流れを考えて頂点を後ろ寄りに設定しているのが特徴です。フレームはソフトトップのものを使い、そのうえにファイバーで造形するという手法になっています。

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インテリアも凝っていてとくに助手席側が見ものです。助手席シートが外され、フロアパネルをセット。そしてこのパネルやドアには外装と同じイメージのデザインが施されています。

この「S660 Neo Classic」というクルマはオートサロンでデビューしてオートサロンに来た方に支持していただいたおかげで商品化されたとても幸せなクルマです。だからこそ、製作チームとして「応援していただいた皆さんに見てもらいたい!」という熱い想いが詰まった車です。ぜひ「Modulo Neo Classic Racer」をご覧ください!

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「Modulo Neo Classic Racer」製作チームの皆さん。どこかで見たことある!?と気がつくでしょう。そう、山田さん以外の方は前に紹介したブースデザインも手がけています。

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商品企画部 山田 真司さん
2015年入社。従業員有志による社内啓発活動「N Lab.(エヌラボ)」で「S660 Neo Classic」を提案。その後、同車のコンセプトモデルやカスタマイズキットの商品化に向けたデザインを担当。
趣味は8年間続けているロッククライミング(ボルダリング)。

 

東京オートサロン2019 ホンダアクセスブース特設ページ

 

企画/カエライフ編集部
文・写真/深田 昌之