記事提供元/note 小川兄弟
文/小川元貴
写真/小川兄弟
目次
はじめに
以前、Honda Accessの取材会に参加させていただいたときに見たフルオプションのN-BOX JOYがずっと目に焼き付いていた。
デザートベージュのボディカラーにルーフラック、レトロな香り漂うグリルやデカール、おまけにベージュ内装とチェック柄のシート…すごく旅の似合うそのルックスはもちろんだがなんとHonda Dog仕様、わんこと旅に出られるらしいのだ。これはもうわんこと一緒に出掛けるしかないでしょ!ということで試乗インプレッション第4弾は新車販売台数の頂点に君臨するHonda N-BOXの派生車であるSUV風 軽ハイトワゴン N-BOX JOY。
快適な春にわんこと行く伊豆のドッグラン付ヴィラ
こんにちは、写真家の小川元貴です。
お洒落なロービジカラーをまとったN-BOX JOYと対面すると山も似合うし海も似合うし湖に森にキャンプ場にも…と、背景のイメージが無限に湧き出てくる。
色々と迷ったが今回はわんこと一緒にどこよりも早い春が訪れる伊豆半島を目指すことにした。
午前中にゆっくりと出発、わんこと相談しながら休み休み進んでドッグラン付ヴィラであるDOGGO伊豆へ。翌日はぐるっと伊豆半島巡り。趣のある漁村をカメラ散歩して海で遊んで美味しいものを食べて、わんこが満足したらまた休み休み帰ろう。そんなドッグファーストな旅もできるN-BOX JOY。さぁ旅情をかきたてる車に遊び道具を満載して春が訪れた伊豆半島へ出掛けよう!
N-BOX JOYの第一印象
いやちょっとあなた素敵すぎるでしょう…。
外装はライバルであるスペーシアギアやタントファンクロス、デリカミニなどに比べると“タフ感”が抑えられスマートなデザインのN-BOX JOY。
もちろん“あえて”なのだが、それでも効果的に配置されているブラックのパーツ群がSUVな雰囲気をしっかりと醸し出している。カクカクボディに丸目も最高!
また2本スポークステアリング、アウトドアで嬉しい撥水素材のチェック柄シート、トリムリング付の鉄ホイール(ターボ車ノーマル時)や大きくHONDAとデザインされたフロントグリル(オプション)、さらにオレンジラインのデカール(オプション)などなど昭和車からインスパイアされたであろうアイテムが豊富に盛り込まれ、レトロな空気感も取り入れられる。
コンセプトである”アクティブ&ノスタルジック”をHonda Accessが用意している見た目に機能に様々な純正オプションを選んで自分だけの1台にカスタムする楽しさがある。アレコレ考えすぎて優柔不断になりそうだ…後述する「ふらっとテラス」もそうだが、肩肘張らないリラックスしたライフスタイルを想起させる”ゆるさ”が時代に合っている。
内装はもともと定評のあるN-BOXシリーズだけに全体的な質感は高く、前席後席ともに予想以上の広さに驚く。厚みのあるシートは長距離移動でも疲労感は少なく、レザーステアリング(ターボ車)の触感は素晴らしい。Honda車は合成皮革のプライムスムース、なイメージがあるが”最も長く触れている”ステアリングだけは本革にしたところにこだわりを感じる。そしてドアを閉めた時の音ね、軽自動車によくあるチープな感じがしない、造りの良さをうかがえるポイント。いくつもある大きなトレーや紙パックもOKな四角いドリンクホルダーは嬉しいし、すっきりとした水平なダッシュボードは運転視界の良さはもちろん旅と相性の良いキーワードである”開放感”をもたらす。
Hondaには“M・M思想”なる哲学がある。マンマキシマム・メカミニマム(人のためのスペースは最大に・メカニズムのためのスペースは最小に)というもの。伝家の宝刀センタータンクレイアウトによる低床化はまさにその表れであり、寸法制限の多い軽自動車ではそれがより顕著にでる。N-BOX JOYのような車は広ければ広いほど良い。(低床の恩恵による)天井高は圧迫感をなくしリラックスをもたらし、足元の広さは心身のストレスを減らす。とにかく明るく楽しく安全に、を全力で追求された車なんだなという印象。
きっとN-BOX JOYが我が家の駐車場にあったら、いてもたってもいられず思うままに旅へ出発してしまうだろう。そこに目的はいらない。
N-BOX JOYの走りは…
わずかな時間運転しただけで、もはや軽自動車というくくりを超えた上質な走行性能に驚く。そしてそれにはいくつか理由がある。まず3代目N-BOXのプラットフォームは2代目から受け継がれたが、そのまま採用したわけではなくサスペンションのリセッティングを行った。先代までは空車でのセッティングだったのに対し、3代目では車体を押さえつけ人を乗せた状態を擬似的に作ってからサスペンションをセッティング。
さらにフロントのアライメント(ホイールの取付位置や角度の調整)も同様に変更。プリロード調整やイニシャル調整といわれるひと手間をかけている。それらによって直進安定性が向上、横方向のふらつきも抑制されて乗り心地の改善になった。
次に正確なハンドリングに大きく寄与しているステルスベルリナブラックのホイール。これは純正ホイールではなくオプションのModulo「MS-024」。
元々ホイールメーカーとして始まったModuloはタイヤグリップを引き出すことに重点を置き、“ホイールもサスペンションの一部”として考え、主にアルミニウムでできたモノに“しなり”を与えた。バネとホイールとタイヤ、3点で路面の凹凸を追従するわけだから、突き上げ感は抑えられ乗り心地は向上、接地感があり不安定にフラフラしない。…っと、Moduloの話をしてしまうと記事ひとつ分になってしまうのでまたの機会にしよう笑
搭載されるパワーユニットはNシリーズ共通の水冷直列3気筒DOHC12バルブ S07Bターボ。
あまり知られていないが、船舶用など特殊なモノを除くと世界一のロングストロークエンジンだったりする。さすが世界のHonda 。
ロングストロークだとHondaスポーツエンジンのアイデンティティでもある”高回転高出力化”には向いていないがスポーツカーではないし、そもそも軽ハイトワゴンにそこは求めない。エンジン高が高くなるデメリットも同じく問題ない。それよりも低回転で大きなトルクが得られ、燃費が良くなるというメリットのほうがN-BOX JOYのキャラクターには合っている。
加えて今回はターボ車なので、よりトルクフルで街乗りはもちろん高速道路や山岳路でもストレスフリー。ターボラグが皆無な小径タービンはどちらかというとスーパーチャージャーのようなリニアなフィーリングで扱いやすい。CVTの制御は秀逸、この出足と加速のスムースさ、さらに低燃費の実現は本当に感心する。
実燃費は一般道:3割 高速道路:4割 山岳路:3割 で 19.8km/Lだった。うん、お財布に優しい。
もちろんHonda SENSING標準搭載なので様々な運転支援が充実していて、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシストシステム)による長距離移動も楽々だ。この機能もセッティングが進化していて先代N-BOXから比べると加減速がかなりマイルドになり信頼感が増した。
車両のインフォメーションを集約するフル液晶のデジタルメーターはモダンを感じるパート、レトロな車の見た目とコントラストが生まれる。
これらの要素でN-BOX JOYの走行性能は高く、近所の街乗りも遠方への旅も快適かつ安全にこなせるのだ。大切なわんこが一緒でも安心して旅を続けられた。
N-BOX JOYで出発
埼玉県新座市に本社を構えるHonda Accessでお借りして、そのまま高速道路で静岡県の伊豆半島へ。
相棒は助手席に設置された純正アクセサリー「ペットシートプラスわん2」の中。ちゃんとメッシュ窓が付いているのでお互いの様子が確認できて自分もわんこも安心できる。さらにもしもエアバッグが展開しても押し潰されないように設計されている。固定は3カ所でするので全く動かないし、床面もわんこが滑りにくい素材で中にはちょうど良い長さのリードもある。
開発した方、優しすぎません?
伊豆エリアに入り、まず向かったのは伊豆スカイライン。名前からしてどう考えても良い画が撮れそうだ。
入口料金所で観光案内板を見ている数分間、交通量をチェックしていたが平日ということもありほぼゼロ。
相棒と旅の荷物を満載して走る山岳路もターボで過給したN-BOX JOYは余裕綽々。少しきつめな登りでも3000〜4000rpmくらいだから唸るようなことにはならず静かなもの。実際6000rpmで最高出力を発揮するエンジンゆえ半分くらいの力しか使っていないのだ。
重心の高いスーパーハイト軽自動車だが、それを感じさせない足まわりも◎。法定速度で走っている限りカーブでのロール感は少なく車体は安定、揺り戻しもピタッと収まるので同乗者も酔いにくいと思う。余談だが車酔いというのは左右揺れよりも前後揺れの方が効いてしまう、発進や停止を穏やかにするのは人にもわんこにも車にも優しい。三方良し。
ヴィラの最寄りICでおりると海沿いに道の駅があったので少し休憩しよう。コーヒー買えるかな。
新座からおよそ5時間の道程で東伊豆市にあるドックラン付ヴィラ「DOGGO伊豆」に到着。このあたり伊豆高原は通称“犬高原”と呼ばれ、宿やアミューズメントはもちろん、カフェ・海鮮・お蕎麦・和食・カレーなどなど、わんこと一緒に入れる施設や飲食店がとても充実している。
DOGGO伊豆は大きな通りから少し入ったところに位置しているのでプライベート感が強く、人もわんこもリラックスして静かに過ごせる。伊豆大島を遠望する広大な芝生の庭はドッグランとなっており、わんこのテンションは…お察しのとおりである笑
室内も庭を見渡す巨大な窓に加え天井高がありとても開放的。床暖房入りの床はわんこが滑りづらい素材だ。ブルー基調の素敵なアイランドキッチンでワイワイ食事を楽しんだら天然温泉の出るお風呂でまったり…わんこと、家族と、友人と…非日常を感じられるDOGGO伊豆。
広いベッドでしっかり寝て迎えた翌朝、わんこは既に待ち切れない様子だ。天気も良いし早速出発しよう。 東海岸を南に向かって海沿いを走ると、なにこれ良い背景だらけで全然進めない。
現地の方たちと話をしていたら伊豆半島南部は狭い道が多く、軽自動車が向いているそうだ。そしてわんこ連れがとにかく多い。そんな環境で撮影していると皆気さくに「これなんて車ですか?わんこ乗せられるんですか?」と興味津々で話かけてくれる。ただそこにいるだけで宣伝になる車N-BOX JOY。
寄り道たくさんで楽しみながら南伊豆町の弓ヶ浜に到着。ここでN-BOXシリーズ中、唯一JOYだけに用意されたシートアレンジ“ふらっとテラス”を展開。
シートと同じ撥水素材のチェック柄を仕立て、凸凹を少なく傾きもなくなるよう作られたテラスは「今日は海で波の音を聴きながら読書しようか」とか「山の上でそよ風にあたりながらコーヒーを飲もう」とか「近所の河原にお弁当を持っていってゲームしよう」とか、家のテラスと違って外に見える景色を気分で自由に変えられる。まさにふらっとどこかに行ってくつろげるふらっとな空間なのだ。
白い砂浜と青い海を散歩したらテラスでわんことくつろぎタイム…春の陽気とそよ風が眠気を誘う。予定通りにいかないのは旅あるある、少し休んで気楽にいこう。
しっかり休んだら復路は西海岸沿いを走る。昨日はずっと雲に隠れていた富士山…今日は見えるかな。伊豆半島はとても混むイメージを持っていた、夏の海水浴シーズンは特に。でも実際に行って、現地でお話を聞くと全然そんなことなかった。メジャーな白浜まではたしかに混む。が、そこから先の最南エリア〜西側エリアは交通量も減り安全快適に運転できた。見所も多いし意外な穴場かもしれない。
最後にN-BOX JOY&夕焼け&富士山の写真を撮りたいので良さそうな撮影スポットを探そう。しかし!見つけたその場所の到着予定は日没時間を過ぎているではないか!よし、急いでも良いことないからのんびり向かうことにしよう。だめだったらまたの機会、旅は忘れものをするくらいでいい。
そうこうしてイメージしていた撮影は全て無事に終了。明日はお昼前には伊豆を出たいので、わんこ共々今夜は早めに寝ることにしよう。
N-BOX JOYのディテール
ここからはN-BOX JOYの特徴的なパートを紹介していきたい。……いや待て、特徴的なパートだらけだ。詳細探し楽しい…。
N-BOX JOYギャラリー
ここからは本文に載せきれなかった写真たち。
自然も街もどこでも映えるからこの車に乗ったら写真趣味に目覚めそうだよね。ぜひカメラを持って旅に出てほしい。
N-BOX JOYとさよなら
2泊3日の旅はわんこと安心して楽しく過ごすことができた。休憩したり散歩したりしたが、ほとんどの時間は車の中。物理的な広さや窓の開放感は“長居できる”要素だが、ふらっとテラスまで備えたN-BOX JOYにはたくさんのリラックスを提供してもらった。実際に見て触って運転すると驚きがたくさん、もしこのインプレッションを読んでほんの少しでも気になったらぜひ試乗してみてください!
N-BOX JOYの魅力のひとつとしてホンダアクセス製オプションが豊富で自分だけの1台にカスタムする楽しみ方がある。純正ならではの品質やフィッティングはもちろん保証も付くのが嬉しい。(購入日から3年間または6万kmまで、消耗品や別扱い保証製品は除く)“カスタム”なんて言い方をすると敷居が高いような気がするけど、例えば窓に自分好みのステッカー1枚を貼っただけでも意外と気分が上がったりする。今回撮影したN-BOX JOYのようにデカールやルーフラックを装着したらもうワクワクがとまらない。
カスタムの語源は”自分のもの”、気軽に自分だけの好きを詰め込んでふらっと遊びに行こう。これは個人的な考えだけれど、遊びの質が上がると仕事や普段の生活の質も上がる。今風に言うとQOLがあがるよねって。アクティブな人にもミニマルな人にも、誰にでもちょうどいいHonda、N-BOX JOY。
レッツエンJOYユアライフ!
おわりに
試乗インプレッション第4弾はHonda N-BOX JOYに乗らせていただいた。昨今では見ない日はないくらい激戦区となっているSUV風 軽ハイトワゴンだが、そこに最後発で参戦したHonda Nシリーズ。
“やりすぎ感”を抑えたキャラクターは日々の景色に取り入れやすく、それでいてコダワリを表現できる。 昨日も今日も明日も最高!なんて明るい毎日になれそう、そんな車でした!次はどんな車に乗ってみよう?
ご協力いただいたHonda Accessの皆さま、DOGGO伊豆、ソルくん、おかげさまでとてもとても楽しい試乗インプレッションになりました!
本当にありがとうございます。
それでは読者の皆様も良きカーライフを。
今回もご拝読ありがとうございます。
Special Thanks…
Car : Honda Acces&Honda Dog
N-BOX JOYのスペック
-
- Honda N-BOX JOY JF6
- ボディーサイズ:3395×1475×1815mm 長幅高
- ホイールベース:2520mm
- 車重:920kg
- 駆動方式:FF
- サスペンション:Fマクファーソン・ストラット式 Rトーションビーム式
- トランスミッション:CVT
- エンジン:660cc直列3気筒DOHC12バルブターボ
- 最高出力:47kW[64PS]/6,000rpm
- 最大トルク:104N・m[10.6kgf・m]/2,600rpm
- 燃料タンク容量:27L(無鉛レギュラー)
- 燃費:WLTCモード 18.4km/L
※この記事は、note 小川兄弟に2025年4月21日掲載されたものです。
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