キャンプ場の経営ってどうやるの? 田舎に移住してキャンプ民泊を始めた野あそび夫婦のキャンプ&バンライフ

埼玉県ときがわ町にあるキャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」を経営する野あそび夫婦

都会から自然豊かな田舎へと移り住み、会社を辞めて、夫婦で好きなことをして穏やかに暮らす。そんな夢のようなライフスタイルを、現実のものとして叶えてしまった若いふたりがいます。

「野あそび夫婦」のユニット名で活動するエリーさんとアオさんが住むのは、埼玉県のときがわ町。人口約1万1千人で、町の面積のうちおよそ7割を森林が占める町です。

野あそび夫婦が移住後まもなく始めた試み、それが「NONIWA(ノニワ)」という名前の「キャンプ民泊」。キャンプ民泊とは彼らが考案した造語で、「キャンプ場」と「民泊」をかけあわせた施設なのだそう。

そして、自らもキャンプを趣味とする野あそび夫婦は、クルマを生活の拠点とする「バンライフ」の実践者でもあるのです。仕事と趣味、クルマが一緒になった暮らしとは一体どんなものなのか。キャンプ場経営の成功の秘訣とは? お話を聞きました!

目次

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」を経営する野あそび夫婦
野あそび夫婦(左:エリーさん、右:アオさん)
ご夫婦ともに1988年生まれ。「自然のなかで遊ぶように暮らす」をモットーに、2018年から「野あそび夫婦」のユニット名で活動を開始。2019年には日本初のキャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」をオープン。現在はアウトドアライフプランナーとしてキャンプ民泊の運営をしながら、キャンプ体験や地域密着型ワークショップの開催、メディアを通して地域やアウトドア情報の発信などを行う。愛車は日産 キャラバンNV350。
野あそび夫婦 公式サイト https://noasobifufu.com/
Twitter @noasobifufu
Instagram @noasobi_fufu
Youtube https://www.youtube.com/c/noasobifufu/
キャンプ民泊NONIWA 公式サイト https://noniwa.jp/

 

キャンプ民泊とは? 初心者の不安を解消するために

埼玉県ときがわ町にあるキャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」

都心からクルマで1時間ちょっと、秩父の少し手前に位置するときがわ町。のどかな景色のなかをしばらく走り、見えてくるのがこの看板。キャンプ民泊「NONIWA」です。

牧場のような雰囲気の柵に囲まれた庭と、隣にあるのは一軒家。さっそくなかに入ると、「野あそび夫婦」のふたりが笑顔で迎えてくれました!

 

埼玉県ときがわ町にあるキャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」を経営する野あそび夫婦

 

はじめまして! この「キャンプ民泊」というのは、どういう施設なのですか?

エリー:ここは私たち夫婦が暮らす家です。建物の1階を共有スペースとして、訪れたお客さまに開放し、さらにうちの庭にテントを張って、キャンプ体験を楽しんでいただくことができます。

アオキャンプのような、民泊のような、両方のいいとこどりができるので「キャンプ民泊」と名付けました。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」に来た人に説明をする野あそび夫婦

エリー:じゃあ実際に、宿泊のお客さまに応対する感じで進めていきますね。まずはこちらの冊子を見ながらキャンプギアを選んでいきます。ところで、お客さまはこれまでにキャンプの経験はありますか?

 

いえ、ぜんぜん詳しくなくて。

エリー:それなら基本的なところから。テントというのは、大きく分けて「ドーム型」「ワンポール型」「トンネル型」の3種類があります。なかでも初心者さんにおすすめなのがドーム型。たとえばスノーピークのエントリーモデル「アメニティドーム」はお値段もお手頃で使いやすいです。これは私たち夫婦が初めて買ったテントでもあるんですよ!

 

埼玉県ときがわ町にあるキャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の民泊部分、建物のリビングルーム

 

なるほど、こうやってキャンプの基本を教えてもらえるのですね。いろいろな道具がずらりと並んでいますが、ここにあるものはすべてレンタルできるのですか?

エリーNONIWAはキャンプ初心者さん向けの施設です。手ぶらで来てもらって、うちのギアを使ってもらってOK。食材やアメニティ、タオルなどはご持参ください。

アオ:なぜこんなことをしているのかというと、キャンプギアって本当にたくさんの種類がありますよね。初心者の方にとって最初のハードルは「どんな道具を選んでいいかわからないこと」だと思うんです。まずはそこをクリアして、キャンプの楽しさを知ってもらいたい。

だからぼくたちがしっかり話を聞いて、この人には何が必要か、どんなギアが合っていそうなのかを一緒に考えていきます。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームでキャンプギアを説明する野あそび夫婦

エリー:こうやって道具をひと通り選んだら、次は使い方のレクチャー。お庭で一緒に設営しながら、どうやって使えばいいかをお教えします。それにもちろん、自分のギアを持っている方は持ち込みしても大丈夫。たとえばファミリーキャンプをする前に、パパがここに来て予行練習をして、道具に慣れてから本番にのぞむ、なんていうケースもあります。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のキッチン

エリー:1階には他にも設備があって、たとえばキッチンスペースで食事を作れたり……

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の洗面所

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の浴室、お風呂

エリー:トイレやお風呂が自由に使えたり……

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルーム

エリー:リビングスペースでくつろいだり……

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の屋根裏部屋にもテントがある

エリー:ひとりきりになりたいときは、屋根裏の秘密の部屋にこもることも。

アオ:これも道具選びと同じで、「キャンプの最初のハードルを下げる」ことを目的としています。キャンプになかなか踏み出せないという人は「キャンプ場ってトイレが汚い? 」 とか「お風呂に入れないんじゃない? 」などを不安に思うことが多いようです。

NONIWAでは、きれいな水場やキッチン、暑さ寒さをしのげる空間など、快適なスペースを提供することで、利用する人に安心していただきたいと考えました。それに万が一何かあっても、ぼくたちが家にいるのですぐに対応することができます。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームにある床の間

 

このおうち自体も、レトロな雰囲気があってとても素敵ですね。

エリー:ここはもともと、友禅染めの作家さんの別荘だったんです。10年ほど前、秩父にあった古民家の内装を移築して、この家を建てたのだそう。その方が少しずつリノベーションを進めていた最中に亡くなってしまい、私たちがお借りして引き継いだ形です。

アオ:エスニックな調度品が多いのは、ぼくの前職の影響です。アフリカの専門商社で輸入雑貨を扱っていたので、こういうアイテムがたくさんあるんです。前オーナーさんの趣味で集められた骨董品をベースとして、アフリカ、アウトドアの雰囲気が混ざり合う空間ですね。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のキッチンにある薪ストーブ

アオ:たとえばこの薪ストーブは、軽井沢の「鐵音工房(くろがねこうぼう)」というところのもの。趣があってすごくいいでしょう。部屋を暖めるだけでなく、これでピザが焼けたりするんですよ。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の作業小屋で薪割りする野あそび夫婦

エリー:お庭には小さな小屋があって、友禅染めのアトリエとして使われていました。今は薪割りをしたり道具を入れたり、作業小屋にしています。ご要望があれば薪割り体験もできますよ

ちなみに薪を割るのは私の役目で、チェーンソー講習にも行きました。料理するのはアオの担当なんです。

 

キャンプ民泊「NONIWA」ができるまで、そしてこれから

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の庭で、車にタープをはり、その下でくつろぐ野あそび夫婦

 

野あそび夫婦さんのことを教えてください。キャンプを始めたのはいつ頃からですか?

エリー:私たちはもともと、同じ大学の放送学科でした。卒業後はふたりとも東京で就職して、アオは商社の営業マン、私はテレビ番組の制作をしていました。27歳で結婚して、夫婦キャンプを始めたのはそれからです。

私自身は、幼い頃から家族でキャンプをしていました。自分に家族ができたらみんなでキャンプをしたいとずっと思っていたので、結婚を機にアオをキャンプに誘ったんです。アオはキャンプ未経験だったのですが、OKしてくれて。新婚旅行のためのお金で、ふたりで相談しながらキャンプギアを買い込みました(笑)。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで話をする野あそび夫婦

エリーふたりでいろいろなところにキャンプに出かけて、その写真をInstagramに上げていたら、そのうち大学時代の友人から「連れて行ってよ! 」と言われるように

キャンプ初心者の友人たちとキャンプ場に行き、私たちのギアを貸して使い方を教えました。すると、1つ1つに「何これ、すごい! 」と感動してくれて。最後には「これからキャンプ始めるわ」とまで言ってくれたんです。

これは私たちにとって新鮮な感覚でした。夫婦で初めて一緒に何かをして、周りの人に喜んでもらえる。とてもうれしくて、帰りのクルマのなかで「こういうことが仕事になったらいいよね」と話しました。それからは友人を連れてのキャンプを繰り返しました。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで話をする野あそび夫婦のエリーさん

エリー:旅番組のディレクターをしていた29歳の頃、日本中の自然豊かな場所をまわって土地に根付いた暮らし方をする人を取材しているうちに、「私もいつか田舎で暮らしたい」と思うように。うちの実家はいわゆる転勤族で引っ越しを繰り返していたので、「ふるさと」への憧れがあったのも理由の1つです。

ある日のキャンプ場での夜、アオとふたりきりで焚き火を囲んでいるときに、私から話を切り出しました。「私たちはもうすぐ30歳。これから人生どうしていこうか」。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで話をする野あそび夫婦のアオさん

アオ:それからお互いの思いを話し合いました。ぼくたちの目指す生き方は「自然のなかで遊ぶように暮らす」ということ。このまま東京にいるより、今しかできないこと、ぼくたちにしかできないことをやりたい。しかも、そうすることで誰かに喜んでもらえたら、最高にうれしい。

思いついたのが、「キャンプの楽しさを人に教える」というアイデア。そこからキャンプ民泊の構想が生まれたんです。

 

移住先として、ときがわ町を選んだのはどうしてですか?

エリー:いろいろな場所を見てまわるなかで、この町の景色がひと目で好きになりました。山の多い土地ですが決して険しさはなく、どの山も丸くてこんもりしている。小さくてきれいな川が流れていて、温泉があって、出会う人はみんな親切。町全体を漂う雰囲気がとてもやさしくて、ちょうどいい田舎町だと感じました

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」の離れの庭から見える川

ただ、そこからの道のりは長かったです。私たちにはこの土地での特別なコネクションもなければ、自分のビジネスを始めた経験もない。田舎暮らしをするのも今回が初めてです。最初は東京に住みながら、月に1〜2回ほど、ときがわ町に来て物件を探しましたが、希望する条件の場所は一向に見つかりませんでした。

 

「知らない土地で新しいことを始める」というのは魅力的な生き方ですが、実現には苦労も多かったと思います。成功の理由は何だったのでしょうか。

エリー:これから移住を考えている方に向けて、私たちがおすすめするのは「無理をしない移住」です。

ポイントは2つあって、1つは「少しずつ始める」ということ。私たちの例で言うと、まずは物件探しに本腰を入れるため、東京から埼玉の川越のアパートに引っ越しました。ここならときがわ町に近くなるし、東京へ通勤することもできます。

この「いきなり仕事を辞めない」というのが重要です。最初に収入源を絶ってしまうと、新生活の立ち上げがうまくいかないときに不安になってしまう。働いて資金をためつつ準備を進めて、落ち着いたら辞めるというのがベターです。

私たちの場合は、物件を探し始めて半年後に私が会社員からフリーランスに転向。アオは今年の夏まで会社員を続けました。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで笑顔で話をする野あそび夫婦

エリーもう1つ、すごく大切なのが「知り合いを増やす」こと

川越に引っ越して以降は、できる限り時間を作ってときがわ町に通いました。私たちが「野あそび夫婦」と名乗るようになったのもこの頃です。それからは町の起業塾に入ったり、地域のイベントに出展したり。

そこで知り合う人みんなに「この町でキャンプ民泊をやりたくて、土地を探しています! 」と言い続けました。地元に昔から住む人や先輩移住者など、貴重な情報を持っている人はたくさんいます。

また、自分たちの存在を周りに知ってもらうために、YouTubeでの配信やSNSでの情報発信を始めました。そうしてだんだん、オンラインでもオフラインでも、私たちの試みを応援してくれる人が増え始めたんです。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のキッチンで話をする野あそび夫婦

エリー:物件を探し始めて1年半ほど経った頃、ネットで見つけて気になったのが、今住んでいるこの物件でした。見学しに行くと、まさに理想的な場所。ただ、本来は賃貸ではなく売り物件でしたが、家主さんと共通の知り合いの方が私たちを推薦してくださったこと、家主さんが私たちのYouTubeチャンネルを見て安心してくださったことで、賃貸でのOKが出ました。それまでの努力がようやく実を結んだ形です。

ちなみに賃貸を希望したのは、なるべくノーリスクで事業を始めたかったからです。契約を結ぶ前には、家の周りを歩いてご近所の方と何度もお話ししました。もしキャンプ民泊に対して否定的なイメージを持つ方がいたら、事業を始めるのがとたんに難しくなってしまいますから。

 

夢を叶えるためには、現実的な部分を十分に考えてこられたのですね。

エリー:やれることは全部やった、という感じですね。大変だった時期もありますが、結局は人に助けられてここまで来れたのだと思います。

物件を借りた後も、NONIWAオープンまでの3カ月のあいだに奔走しました。私たちはDIYの経験もろくにないので、移住者の先輩方に教わりながら道具を集めて。Twitterで手伝ってくれる方を募集したところ、たくさんの方がいらしてくださいました。

 

 

エリー:それにもちろん、夫婦だからやれた部分もあります。私は人と話すのが好きで、田舎のご近所づきあいは大得意。野菜を交換したり、町内会の清掃に出たり。体を動かすのも好きなので、実働部隊といった感じです。

対してアオは、アイデアマン。今あるものにどうやって遊びを加えて面白くするか、というのを考えるのが得意です。「キャンプ民泊」というワードもアオの発案。全然タイプが違っていて、いいコンビなんですよね。

アオ:キャンプ民泊をやる上では、地域とのつながりは絶対に必要だと思いました。ぼくたちが勝手にこれをやって楽しむのではなく、どうしたらぼくたちの活動で地域がもっと良くなるか。地域に対してどんな貢献ができるのか

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで木工製品の説明をする野あそび夫婦のアオさん

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームで木工製品の説明をする野あそび夫婦のアオさん

アオ:そんなことを考えて、今は地元の人たちと一緒にワークショップを開催したり、商品開発をしたりしています。たとえば、ときがわ町は木工の町としても有名。工房に行って職人さんと知り合いになり、アウトドアで使えるオリジナルの木工製品を考案しました。

 

ディプレイされたシェラカップホルダー

アオ:これはシェラカップホルダー。こうしてカトラリーを挟んだり、鍋敷きのように使えたりもします。

 

棚に展示されたホットワインミックス

アオ:地元のブルワリーと共同で作った「ホットワインミックス」には、地元産のゆずや夏みかんが使われています。これはワインに混ぜてあたためるだけでホットワインに。キャンプの夜にあたためて飲むのにぴったりです。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」のリビングルームの飾り棚

アオ:ときがわ町って、本当にいいところです。訪れた人にこの町の良さを知ってもらって、アウトドアも好きになってもらえるような仕組みを、このキャンプ民泊から作っていけたらと思います。

 

バンライフの板張りカスタムでワクワクを与えるクルマに

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」にある、野あそび夫婦のカスタムした車、日産 キャラバンNV350を斜めから見たところ

 

続いては、バンライフのクルマについて教えてください!

アオこのクルマ「NONIWA号」のベースとなったのは、日産 キャラバンNV350。うちを訪れるお客さまの送迎用として、2019年に中古車で購入しました。最初のうちはそのまま使っていたのですが、お客さまを乗せてときがわ町を走るにあたり、「これから楽しそうなことが起こりそう」というワクワクした気持ちを味わってもらいたいなと思って、カスタムを決めました。

エリー:このクルマを選んだのは、パワフルな四駆であることと、大人数が乗れること、シートを倒してコンパクトにたためることが理由です。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」にある、野あそび夫婦のカスタムした車、日産 キャラバンNV350を真横から見たところ

エリーカスタムを依頼したのは、バンライフビルダーの「CielBleu(シエルブルー )」さんです。アウトドアイベントでCielBleuさんの展示を見て、その素敵な雰囲気にひとめ惚れしてしまって。

それに、CielBleuさんはご夫婦ともにクリエイターとして多岐にわたる活動をされています。その生き方も私たちがお手本とするところ。迷わずお願いしました。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」にある、野あそび夫婦のカスタムした車、日産 キャラバンNV350を斜め後ろから見たところ

エリー:最初に私たちの希望として「明るくてあたたかみのあるクルマにしてほしい」とだけ伝えて、細かいところはCielBleuさんにすべてお任せしました。

アオ:まずはこのボディカラー。もとは青みががった白一色だったのを、アイボリー調のツートーンにペイントしました。使っているのは、「タミヤ」の塗料をベースにカラーを特注したもの。これだけでクルマの印象ががらりと変わりました。

 

野あそび夫婦の日産 キャラバンNV350のバンパー部分

アオ:バンパーも白からブラックへチェンジ。黒で締めることで、ボディのツートーンが引き立ちます。

 

野あそび夫婦の日産 キャラバンNV350のタイヤ

アオ:タイヤとホイールのセットは、ラグテック社の「ネオムーン」という品。ネットで買って交換しました。ボディカラーに合わせて、タイヤに白いリボンが入るといいんじゃないかと、CielBleuさんからアドバイスをいただいたんです。

 

野あそび夫婦の日産 キャラバンNV350のリアゲートをあけたところ、荷物が積んである

エリー:車内はもちろん「板張り」です。天井と側面は木材で、床は掃除しやすい木目シート。木の香りが心地よくて、一気にテンションが上がります。

荷物を載せるときはこんな感じ。後部座席をたたむと、かなりの量が入ります。

 

野あそび夫婦の日産 キャラバンNV350のリアゲートを開けたところ、荷物がなくて板張りが見えている

アオ:荷物を出すとこうです。板の内側には、断熱材と遮音板が入っています。鉄板むきだしのときは走行中にすごい振動音がしていたので、遮音板の効果は大きいと思います。

 

野あそび夫婦のバンライフ車、天井の板張りのアップ

エリー:ちなみにこれ、板の角が丸くなっているのがわかりますか。こういう面取りとか、クルマのカーブに合わせて絶妙な形で木材を打ちつけたりできるのは、まさにプロの技です。

 

野あそび夫婦のバンライフ車、天井には長いLEDライトがまっすぐ1本ついている

エリー:天井の中央には、長いLEDライトがまっすぐ1本つけられています。

 

野あそび夫婦のバンライフ車、板張りの壁

アオ:車中泊をベースとするバンライフでは、眠るときの快適性を上げるため、リア側の窓を塞いでしまうことも多いです。でもこのクルマの場合、乗車したお客さまに景色を見てもらいたかったのでそのままにしました。

 

野あそび夫婦のバンライフ車、座席を出したところ

エリー:送迎のときは、こうやって折りたたんでいた座席を出しています。カスタムはなるべくシンプルに。だけど、タンスや棚をつけたりだとか、車中泊仕様のカスタムも憧れているんです。そのうちやってみたいですね!

 

野あそび夫婦のバンライフ車のインパネ部分

アオ:ボディカラーに合わせて、インパネも塗装してもらいました。

 

ルーフトップテントでキャンプがもっと楽しくなった

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントを準備するアオさん

 

このクルマで寝泊りされることもありますか?

アオ:キャンプに出かけるときはこのクルマを使っています。車内にベッドを置くことはできないので、代わりに使っているのが、クルマの屋根にテントを載せる「ルーフトップテント」です。

これのすごいところは、電動で開閉ができるんです。ソーラーパネルが上にあって、バッテリーを自動的に充電するという仕組み。試しに出していきますね!

 

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントを開いている

アオ:THULE(スーリー)のキャリアベースの上に載せているのが、Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテント。CielBleuさんも愛用しているモデルです。

エリー:使い方はすごく簡単。まずは固定していたベルトを外して……

 

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントをスマホのアプリで開いているエリーさん

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントがだんだん立ち上がっていくところ

エリー:リモコンまたはスマホアプリで操作します。ピッとしたら、立ち上がるまでわすか1分弱。

 

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントのラダーをおろすアオさん

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントのラダーをおろすアオさん

野あそび夫婦のバンライフ車、ルーフトップテントのラダーをおろしたところ

アオ:ラダーを下ろし、フタを開けたらもうテントの完成です。

 

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントの内部

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントの内部で寝転ぶ野あそび夫婦

エリー:なかはふたりで十分にくつろげるスペースがあります。側面が4面メッシュなので風通しがよくて、すごく心地いい。

 

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントのマットレスを紹介するアオさん

アオ:マットレスが分厚いため、寝心地も文句なしです。

 

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントを紹介するアオさん

アオ:サイドのファスナーを開けると、防水のシューズケースが出てくるのも便利なところ。

 

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントの内部で話をする野あそび夫婦

エリー:バンライフのことを初めて知ったとき、直感的に「これはキャンプの可能性を広げるアイデアだ! 」と感じました。

アオルーフトップテントを設置して一番よかったのは、キャンプのときにテントを張る必要がなくなったこと。テントの設営って意外と時間がかかりますが、これならキャンプ場についてすぐに完了します。その分の時間を、キャンプ場のオーナーさんと話をしたり、ふたりでゆったり過ごしたりと、自分たちのために使えるようになりました。

 

Wild Land(ワイルドランド)の「パスファインダー2」というルーフトップテントの内部から外を見たところ

エリー:テントの窓の外から見える景色も最高なんです。クルマより目線が高い分だけ、風景も変わる。朝目が覚めて外を見た瞬間、最高の気分になれます。

私たちはよくキャンプをするから、これはバンライフより「バンキャンプ」と言ったほうがしっくりくるかもしれませんね。カスタムによってクルマが居心地のいい場所になり、キャンプがもっと楽しくなる。今の私たちにとって、クルマは大事なキャンプギアの1つという感じです。

 

キャンプ民泊「NONIWA(ノニワ)」で、カーサイドタープの下でくつろぐ野あそび夫婦

取材・文/小村 トリコ
写真/木村 琢也
撮影協力/キャンプ民泊NONIWA