宝石みたいな夕日を激写!新潟県「日本海夕日ライン」ドライブ・中越地方編~イラストレーターいとうみゆきのクルマのおうち旅

イラストレーターいとうみゆきのクルマのおうち旅新潟編2回目のアイキャッチ

令和6年能登半島地震により被災された皆様にはお見舞い申し上げます。 皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

「新潟県」を舞台に愛車・白くまと旅をする、イラストレーターのいとうみゆきさん。第2回目となる今回は「日本海夕日ライン」を下りながら、中越地方へと向かいます。海沿いだけではなく山間部へも足を伸ばし、新潟県の自然を満喫します。

▼プロフィール

いとうみゆきさんのプロフィールイラスト
イラストレーター いとうみゆき
埼玉県在住。セツ・モードセミナー卒業。畑と音楽を好み、パーマカルチャーや自然農を学んでいる。著書に『車のおうちで旅をする』(KADOKAWA)がある。
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目次

 

新潟県中越地方へ向かう白くま

下越地方から中越地方へ向かう途中、灯台を見つけました。
一度は通り過ぎたのですが、しばらく走っても忘れられなかったのでUターンして戻ることに。
気になったところにはやっぱりどうしても行ってみたい、そんな気持ちにいつだって応えてくれる白くまです。

新潟市にある角田岬灯台

たどり着いたのは、角田岬灯台という灯台でした。

佐渡海峡を見下ろす断崖絶壁に立つ真っ白な灯台です。枯れかかった草花にかこまれているからか、隣に座って一緒に海を見下ろしたくなる切ない雰囲気の灯台でした。
だけどなぜか、そういった雰囲気の灯台のほうが強く心に残るのです。

灯台までの道のりは険しかったのですが、来てよかったと思える景色に出会えました。
灯台までの急な階段は大変ですが、ここも夕暮れ時には絶好の夕日スポットになるそうです。

寄り道をしてしまいましたが、今回のクルマ旅で向かうのは新潟県の中越地方!
新潟県の海岸線を南北に縦貫している「日本海夕日ライン」を白くまと一緒に進んでいく旅の続きです。

新潟県中越地方ドライブマップ

花火大会が有名な長岡市を中心とした中越地方。日本屈指の米どころであり、魚沼などはコシヒカリで有名です。さらに山間部には豪雪地帯があるなど、さまざまな自然の魅力がつまったエリアです。

せっかくですので少し寄り道をして、まずは山間部のほうへ!

 

①美しい田園風景「星峠の棚田」

山へと向かう白くまのイラスト

山のほうに向かうとすぐに冠雪した峰々が現れました。このあたりは雪が多く、真冬には積雪が4mを越えることもある豪雪地帯なのです。

少し高いところから見下ろした星峠の棚田

田んぼがパズルのピースのように斜面に広がっています

まずは「にほんの里100選」にも選ばれた松之山・松代にある、「星峠の棚田」へ。ここは約200枚の水田が斜面に広がる、ステンドグラスみたいに美しい田園風景です。

作物がなく田んぼに水が溜まっているこの状態を「水鏡」というそう。芸術のように見える風景ですが、これはもちろん稲作のための田んぼであり、生活に根ざした風景です。

秋はきっと黄金色に輝く稲がゆらゆら揺れていたんだろうなあ。夜は星空が綺麗なんだろうなあ。後ろに立っている木のようにずっとここにいて、時間と季節が移り変わっていくのを見ていたい。

そんなことを思いながらしばらくぼーっとしていました。

夏の時期の星峠の棚田

ちなみに夏に来たときの景色はこんな感じでした!

早朝には眩い日の出、夜には満点の星空、時期によっては雲海も見られるそうです。いつか早朝の日の出と雲海を見てみたいなあ。

ちなみに、冬季は積雪もあり危険な場所だそう。自治体も「12月~5月のGW明けまでの期間は鑑賞や撮影はご遠慮ください」と注意喚起しているので、興味がある人は暖かくなってから訪れてみてくださいね。

星峠の棚田を見下ろすいとうさん

 

②樹齢100年のブナ林「美人林」

美人林に足を踏み入れるいとうさん

木々が真っすぐ伸びていて、足元は真っ赤な落ち葉で彩られています

次にやってきたのは樹齢約100年のブナが生い茂る「美人林」。

すらっと伸びた幹と、地面に積もった、燃えるように真っ赤な落ち葉がとても美しい場所でした。

木々が立ち並ぶ、美人林

さっきまで降っていた雨のおかげか、深く濃い森の匂いがすうっと体の中に染み込みます。
色鮮やかな落ち葉はまるで絨毯みたい。
ここにいるだけで疲れがどこかにいってしまうような……清々しくもほっとした気持ちになります。

美人林の中にできた、自然の池

散策していたら、雪解け水でできた池に遭遇。これも自然の恵みです

林の中には地面に蓄えられた雨水と雪解け水が溜まってできた池がありました。こうやって林に染み込んだ水が溜まり、川に流れ、新潟県のおいしいお米を作っていくのか……としみじみ感動。

美人林を後にする白くま

昔は杉林への転換の話も出ていたそうですが、ここに住む人たちによって守られたそう。自然の美しさだけでなく、自然と地域のつながりを深く感じることができるとても素晴らしい場所でした。

 

③日本三大薬湯のひとつ松之山温泉「松之山温泉センター鷹の湯」

美人林のすぐそばにあった温泉郷は、古くから薬湯として知られる場所でした。

気軽に立ち寄れる共同浴場「松之山温泉センター鷹の湯」へ向かいます。

薬湯に浸かるいとうさんのイラスト

薬のようなアブラのような独特のいい香りに、濃厚な質感のお湯が特徴的な松之山温泉。
さらに塩分濃度が高く温泉成分もたっぷりなこの温泉は、入っているだけでパワーがみなぎり元気が出てきます!

山の中にある温泉なのに塩分濃度が高い理由は、この温泉が1200万年以上前の海の水だからとのこと。地中に閉じ込められた化石海水がマグマによって温められ湧き出た、日本でも非常に珍しい温泉だそうです。

温まった身体で出発するいとうさん

今まで色んな温泉に入ってきましたが、どの温泉とも違う松之山温泉はひとっ風呂の価値あり。
気軽に立ち寄ったつもりがあまりの良さに感動してしまい、つい長風呂に。心も身体もホカホカに温まり、元気でいっぱいになりました!

松之山温泉センター鷹の湯
住所:新潟県十日町市松之山湯本18-1
TEL:025-596-2221
営業時間:10時00分~21時00分(受付終了:20時30分)
URL:http://www.matunoyama.net/

 

④魚のアメ横「寺泊魚の市場通り」

そうこうしているうちに夕方。
駆け足で次のスポットへ向かいます。秋冬は日暮れが早くて、一日があっという間です……。

夕方の寺泊魚の市場通り

ということでいくつもの鮮魚店やお土産屋さんが立ち並ぶ「魚の市場通り」へ。新鮮な魚や珍しい魚を安く手に入れることができる場所です。

新鮮な魚やそれを加工した食品

魚のアメ横といわれているだけあって、おいしそうなものがズラリ

ここには今日の夜ご飯の材料を買いに来たつもりだったのですが、ついつい買い食い。

注文してから焼いてくれる寺泊名物の「浜焼き」、できたてほやほやの熱々をその場でいただきます。
市場だからこその新鮮な食材たちに、「こんなおいしい魚はじめて!」と心の底から感動しました。本当においしかったなあ……。

寺泊魚の市場通りで買い物を済ませたいとうさん

観光欲と食欲が満たされてとっても幸せな気持ちに。閉店間近でお得になったお刺身なども手に入れてホクホクです。

寺泊魚の市場通り
住所:新潟県長岡市寺泊下荒町
営業時間:8時30分~17時00分(日曜日:8時00~)
※年中無休
※店舗により短縮時間営業や、臨時休業日があります。各店舗にご確認ください
URL:https://www.teradomari-kankou.com/

日本海に沈んでいく夕日

噂には聞いていたけれど、こんなに綺麗な夕日が見られるなんてびっくり

するとそのときでした。
キャンプ場へ向かう途中、大きく眩しい夕日が目の前に現れたのです!キラキラ輝く宝石のような夕日に、思わずカメラをパシャリ。今回の「日本海夕日ライン」を下っていく旅の目的のひとつは、美しい夕日を撮ること。思いがけず目的が達成されて、感激です。

綺麗なオレンジ色に照らされる景色の中を走り抜けていると、まるで映画のワンシーンのような気持ちにもなりました。

 

⑤大絶景オーシャンビュー「和島オートキャンプ場」

和島オートキャンプ場に到着したいとうさん

「日本海夕日ライン」を駆け抜けてたどり着いた今日のキャンプ場は丘の上。
過去最高の絶景オーシャンビューのオートキャンプ場でした!

キャンプの準備

夕日が沈んでいくさまを眺めながらのキャンプなんて、最高の贅沢です

夕方と夜が混ざったグラデーションの空と、雲から溢れる夕日の光があまりにも綺麗で見入ってしまいます。

こんなところでキャンプができるなんて!

魚やサザエを焼いている様子

獲れたての魚介をシンプルに焼いて食べる、それが一番おいしい!

そんな最高のロケーションで食べる、新潟からのおいしい贈り物。
市場で買ってきた新鮮な魚たちを炊き立ての新米と一緒に食べる幸せといったら。

どの魚も脂が乗っていて、身はぷりぷりで、ずっと口の中にうまみだけが広がっていて……叶うならばもう一度堪能したいなあ……。

食後、焚き火を楽しむ様子

満腹になったらもう何もしたくありません。
飽きるまで焚き火を楽しみます。

白くまに積み込んだ布団に包まれ、就寝

最後にシャワーを浴びてホカホカになったら、あとはベッドに入って眠るだけ。(このキャンプ場にはドライヤーがあったので、本当に快適でした!)

いつも家で使っている羽毛布団をどーんとそのまま持ってきたので、家で眠るのと同じように過ごすことができます。クルマ旅は荷物の制限が少ないので、ドライバーの好きなものを詰め込めるのがありがたい。これもまた、クルマ旅のメリットです。

それにしても今日は本当にいい一日でした。はじめて見る美しい景色を見て、秘湯でパワーをもらって地元のおいしいものを食べて、お布団でぐっすり眠る……。

車内から望める、オーシャンビュー

目覚めて最初に飛び込んできたのは、真っ青な日本海です

そして起きた瞬間からオーシャンビュー!

出発前にコーヒーを飲むいとうさん

しかも雲ひとつない晴天です。
なにもかもが素晴らしいので、さらに完璧にするために朝からコーヒーを淹れて、ちょっとだけ優雅な時間を過ごしてみました。

綺麗な海を堪能できる、キャンプ場の駐車場

クルマ旅であることを忘れてしまうくらい快適な、ご褒美キャンプ場での一晩でした。

和島オートキャンプ場
住所:新潟県長岡市両高1
TEL:0258-74-3010
問い合わせ対応時間:9時00分~17時00分
オープン期間:3月中旬~11月末
URL:http://kizuna-camp.com/

 

まとめ

日本海夕日ライン

気になっていた山沿いのスポットも余すところなく楽しみ、海沿いの絶景や海の幸も堪能することができた中越地方でのクルマ旅。寄り道も気軽にできちゃう白くまとの旅は、心残りのない最高な旅でした。

次の目的地へと出発する白くま

そして、ついに訪れた晴天!

いよいよ最後の上越地方へ、晴れやかな気持ちで出発します。

 

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特集「新潟思い出ひとり旅」いとうみゆきさん編

漫画/いとうみゆき
写真/いとうみゆき
編集/イガラシダイ、TAC企画