高速道路の利用者が、休憩したり食事をしたりするために作られたサービスエリアやパーキングエリア(略して、SA・PA)。全国各地にあるSA・PAは、地域ならではのグルメに出合える場所でもあります。現地じゃないと買えない限定グルメも多く、お目当ての商品のために高速道路に乗ってSA・PAに向かう人がいるほど!
今回はSA・PAに詳しいハイウェイタレントで「日本サぱ協会」会長でもある山形みらいさんに、全国のSA・PAで購入できるおすすめスイーツを伺いました。
▼監修
- 山形みらいさん
- 愛知県名古屋市在住のハイウェイタレント&都市間高速道路研究者&「日本サぱ協会」会長。全国のSAやPA・パーキングエリア&ハイウェイオアシス(888+30カ所)を制覇している。SA・PAグルメの研究も欠かさず、グルメリポーターとしても活躍。お気に入りのSA・PAは新東名高速 NEOPASA浜松(上り線)と、阪神高速 尼崎パーキングエリア(3号神戸線)。著書に「東名・名神高速道路の不思議と謎(じっぴコンパクト新書)」がある。
- Twitter @Milkumatea
全国に888カ所! サービスエリアとパーキングエリアの違いとは?
今回スイーツを選んでくれたのは、山形みらいさん。高速道路とサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)・ハイウェイオアシス(HO)に詳しいことから、“唯一無二のハイウェイタレント”と呼ばれています。サービスエリアやパーキングエリア=SA・PA(サぱ)をこよなく愛し、全力で楽しむ人のための協会「日本サぱ協会」の会長でもあります。
全国に888カ所もあるというサービスエリアとパーキングエリアですが、この2つは何が違うのでしょうか。
サービスエリアは、高速道路においておおむね50kmごとに設置されており、フードコート、レストラン、案内所、ガソリンスタンドなどを備えた休憩施設です。一方、より短いおおむね15kmごとに設置されているのがパーキングエリアで、駐車場にトイレ、自販機などの必要最低限なものが備わった休憩施設となっています。ただし、利用者数が多いところでは売店を設置しているところもあります。
そんなSA・PAに立ち寄ったときにぜひ食べたいのが、地元の食材を使ったスイーツや地域の銘菓。今回は数あるSA・PAの中から、東京よりも西側のエリアを中心に、山形さんオススメのスイーツを教えてもらいました。
ハイウェイタレントが選ぶ! イチオシSA・PAスイーツ
芳醇(ほうじゅん)なリンゴの香りが楽しめる「世界一のアップルパイ」/EXPASA海老名(上り線)
世界一のアップルパイの異名を持つ、マルコ・パオロ・モリナーリ氏のお店「mille mele」。鎌倉本店のほか、軽井沢や浅草にお店を構えています。こちらのこだわりアップルパイが、なんとサービスエリアで購入できるのです!
サクサク食感のパイ生地の中には、大きめにカットされた甘いリンゴがぎっしり。豆乳を乳酸菌で発酵させた豆乳チーズクリーム入りカスタードクリームとリンゴの絶妙なバランスがクセになります。
通常のアップルパイのほか、真っ黒なショコラのアップルパイ(ガトーショコラパイ)も。大人のほろ苦さが味わえます。
まず、香りがとてもいいんです!ボリュームがあるにも関わらず、あまりのおいしさに、あっという間に食べてしまいます。熱々がおいしいのはもちろんですが、ちょっと冷めたくらいが個人的には一番好きなので、クルマの中に持ち帰って食べるのもおすすめ。車内全体にリンゴの香りが広がって幸せな気持ちになり、次もまた「EXPASA海老名(上り線)に寄りたい!」という気持ちになるんです。
EXPASA海老名(上り線)について
神奈川県海老名市にある、東名高速道路の東京料金所に最も近いサービスエリア。EXPASAというのは「複合商業施設」の意味合いがあり、いろいろなお店が集まってひとつになったエリアであることを指しています。
東京方面へ帰宅する人が多く利用しているため、総菜など、帰ってからすぐに食べることができる商品が充実。メディアに取り上げられることも多く、高速道路に乗らなくても利用できるため、全国のSA・PAの中でも来場者数が多く人気のサービスエリアです。
テレビに取り上げられたり、デパートで人気があるような商品をそろえているので、ここに行けば流行の最先端がわかります。とにかく商品の数が多く、入れ替えも多いので、歩き回るだけでも楽しいですよ。地域の物産展やイベントなど、期間限定の催し物が開催されるので、定期的にチェックしたいサービスエリアのひとつです。
名物パンをアレンジ!「みかんパンフレンチトースト」/岸和田SA(上り線)
大阪府岸和田市の阪和自動車道にある岸和田サービスエリア(上り線)の大人気限定商品「みかんパン」が、カフェレストラン限定のフレンチトーストで楽しめます。
提供しているのは、2022年4月にリニューアルしたレストラン「芭炎蕾(ばからい)」のカフェスペース。実は、SA・PA内に誰もが知るチェーン系のカフェではなく、サービスエリア独自のカフェがあるのは珍しいことなのだそうです。
ベースとなっている「みかんパン」には、和歌山県産の100%みかんジュースが生地に練り込まれており、まさに味も香りもTHEみかん! フレンチトーストになると、バターの風味が加わり、上品かつ香ばしい味わいが楽しめます。レストランがリニューアルした際に、人気のパンをカフェ内でも食べられるように、と誕生した逸品です。
「みかんパン」はもともと岸和田サービスエリア(上り線)の超人気商品で、「海老名サービスエリア(下り線)のメロンパン」と並び有名なんです。一般道路からサービスエリアに入ることのできる”ウェルカムゲート” を使って、わざわざ買いに来る人もいるほどなんですよ。
岸和田サービスエリア(上り線)について
吸水性に優れた「泉州タオル」、みずみずしい「泉州水なす」といった大阪名物から、梅干しやミカンといった和歌山の名産品も多数そろっている大阪府のサービスエリア。夜になると展望台から岸和田市内を眺めることができる夜景の穴場スポットでもあります。
和風の建物で、古き良き大阪の城下町のような雰囲気が楽しめます。
城下町のような雰囲気の中で落ち着いて過ごすことができます。休憩の際は、ぜひ「みかんパンフレンチトースト」でドライブの疲れを癒やしてくださいね。
和菓子×天ぷらの新食感!「一六タルトの天ぷら」/石鎚山SA(上り線)
明治16年創業の一六本舗による松山銘菓「一六タルト」に衣をつけて、その場で揚げた天ぷらのおやつ。石鎚山サービスエリア(上り線)で楽しめる新感覚スイーツです。
衣はサクッと、中はしっとりとしており、不思議な食感が楽しめます。天ぷらと一六タルトの相性が意外にも抜群なのです。
愛媛のタルトと言えば、甘いカステラ生地でこしあんを巻いたロールケーキのようなお菓子のこと。こしあんには四国特産の柚子が入っていて、香りも良く、やみつきになります。揚げたてをいただけるので、熱々ホクホクのうちにお召し上がりください。クルマの中でも食べやすい形状ですよ。まだ試したことはないですが、抹茶塩を付けてみてもおいしいんじゃないかな~と想像しています。
石鎚山サービスエリア(上り線)について
松山自動車道にある、四国最大級のサービスエリア。四国の山並みと瀬戸内海の島々、四季折々の雄大な景観を楽しめます。石鎚山サービスエリア(上り線)がある小松町が陣屋町(江戸時代の日本における都市形態のひとつ)なことから、サービスエリアの建屋も武家屋敷をイメージしたデザインに。青緑色に白の筋など変化に富んだ模様が美しい伊予青石(いよあおいし)も、敷地内の所々に置かれています。
また、夏目漱石の名作『坊っちゃん』の舞台が松山であることから「坊っちゃん列車ギャラリー」も併設。松山市で運行している「坊っちゃん列車」について学べるパネル展示や、愛媛県内の関連スポット紹介などがあります。
また、四国のサービスエリアでは唯一、焼き立てパン提供のパン工房があります。
その場で搾ったフレッシュなミカンジュースが楽しめるなど、愛媛のミカンに関することならなんでもそろうサービスエリアです。敷地内には天然温泉もあります。ドライブの合間に、思う存分ミカンと文学を堪能してくださいね。
ビジュアルも映える「瀬戸内藻塩レモンサイダー」/淡路SA(下り線)
ミネラルが豊富で口当たりがまろやかな淡路島藻塩を使用した、爽やかなレモンサイダー。明石海峡大橋をデザインした淡路サービスエリア(下り線)オリジナルカップと一緒に、青い海と大橋を背景に撮影するのが人気。インスタ映えする商品です。
その場で景色を見ながら飲むのもいいですし、シュワっと目が覚めるような炭酸なので、クルマの中でちょっと眠いなっていうときに飲むのもおすすめです。また、サービスエリア内の屋台には、瀬戸内産の海鮮物の串が種類豊富に並んでいるので、お好きな串を頬張りながら、片手に串、片手にレモンサイダーというのもひとつの楽しみかと思います。
淡路サービスエリア(下り線)について
神戸淡路鳴門自動車道本州側からの玄関口にあたる淡路サービスエリア(下り線)。
上下線のサービスエリアのほかにも淡路ハイウェイオアシスがあり、3カ所を高速道路を降りずにクルマで行き来することができます。
昼は空と海と明石海峡大橋の絶景、夜はライトアップされた明石海峡大橋や美しい神戸の港などの夜景が楽しめる絶景スポット。明石海峡大橋は、季節やイベントによって電飾のパターンが変わるので、年中飽きることなく楽しめます。ペットと一緒に乗れる大観覧車があり、テーマパークのように1日堪能できる人気のサービスエリアです。
淡路サービスエリア(下り線)の大観覧車に乗車されると、天気の良い日は明石海峡大橋の絶景が広がる、壮大な景色をご覧いただけます。頂上の海抜135mからの絶景は感動すること間違いなし! さらに、床まで透明なシースルーゴンドラもあるので、スリルを味わいたい方はぜひご乗車ください!
スイーツを求めてSA・PAへ行こう!
高速道路を利用した際の休憩施設というだけでなく、地元の名店のグルメやお土産が一度に楽しめるのがSA・PAならではの魅力。そこでしか買えない限定品もあるので、旅行のついでではなく、今や目的地のひとつとして訪れる価値がある施設と言えそうです。
次回は東京から東側のエリアのオススメスイーツを教えていただく予定です。お楽しみに!
※本記事は2023年3月27日時点の情報を掲載しています。商品の最新情報については、各SA・PAのwebサイトをご確認ください。
文/小林麻美
写真提供/NEXCO中日本、NEXCO西日本、本四高速、日本サぱ協会
編集/ミノシマタカコ、TAC企画
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