高速道路の利用客が、休憩したり食事をしたりするために作られたサービスエリアやパーキングエリア(略して、SA・PA)。現地じゃないと買えない限定グルメも多く、お目当ての商品のために高速道路に乗ってSA・PAに向かう人がいるほど!
今回も前回に引き続き、SA・PAに詳しいハイウェイタレントで「日本サぱ協会」会長でもある山形みらいさんに、全国のSA・PAで購入できるおすすめスイーツを伺いました。
▼監修
- 山形みらいさん
- 愛知県名古屋市在住のハイウェイタレント&都市間高速道路研究者&「日本サぱ協会」会長。全国のSAやPA・パーキングエリア&ハイウェイオアシス(888+30カ所)を制覇している。SA・PAグルメの研究も欠かさず、グルメリポーターとしても活躍。お気に入りのSA・PAは新東名高速 NEOPASA浜松(上り線)と、阪神高速 尼崎パーキングエリア(3号神戸線)。著書に「東名・名神高速道路の不思議と謎(じっぴコンパクト新書)」がある。
- Twitter @Milkumatea
どう変わった? 近年のSA・PAスイーツの傾向
前回に引き続き、スイーツを選んでくれたのは、“唯一無二のハイウェイタレント”と呼ばれる山形みらいさん。今回は、近年のSA・PAスイーツの傾向を教えてもらいました!
2005年に行われた高速道路民営化の前は、テイクアウトのスイーツと言えば、ソフトクリームなどの手軽に早く食べられるものが主流でした。お土産スイーツも、賞味期限の短いものや、要冷蔵・要冷凍の商品は敬遠されていたのです。しかし民営化以降は、SA・PAにコンセプトを持たせ、その土地ならではの食材を生かしたスイーツやお土産が並ぶようになりました。
2005年の高速道路民営化は、スイーツだけでなく、施設の設備にも変化があったと言います。
最近では、高速道路利用者が休憩しやすいようにスペースを広く取ったSA・PAが多く、そこでゆっくり食べられるスイーツや、自宅に持ち帰って楽しめるような冷蔵・冷凍商品のラインナップが増えています。
そんなSA・PAに立ち寄ったときにぜひ食べたいのが、地元の食材を使ったスイーツや地域の銘菓。全国の数あるSA・PAの中から、今回は山梨から東側のエリアを中心にオススメのスイーツを教えてもらいました。
ハイウェイタレントが選ぶ! イチオシSA・PAスイーツ
ブランド大豆を使った焼き菓子「AkkeBuono(アッケボーノ)」/談合坂SA(上り線)
オシャレな商品名の由来は、サービスエリアがある山梨県の希少なブランド大豆「あけぼの大豆」の名前から。無農薬、完熟有機農法により生産された「あけぼの大豆」を使ったパウンドケーキは、しっとりとした生地が特徴です。
あけぼの大豆の甘露煮がゴロゴロッと入った「だいずケイク」と、山梨県南部町の緑茶の葉を練り込んだ「まめケイク」の2種類があり、どちらも日本茶との相性が抜群。パウンドケーキというと自分で切って食べるイメージがありますが、こちらは食べやすい大きさの個包装。お土産にも喜ばれる一品です。
「だいずケイク」は、袋をあけるとシナモンときび砂糖のいい香りがします。洋菓子ですが、大豆の甘みがあるので和菓子を食べているような感覚になります。「まめケイク」は上品な緑茶の風味をしみじみと感じられるケーキです。パッケージがシンプルで品があるので、年配の方へのプレゼントにもおすすめです。
談合坂サービスエリア(上り線)について
山梨県にあるサービスエリア。東京方面へ帰宅する前にぜひ立ち寄りたい場所で、中央自動車道で最大規模のグルメやお買い物が楽しめます。広いフードコートやさまざまな屋台、産直アイテムを取り扱う「やさい村」などがあり、山梨県の特産品やほうとう、甲州味噌などご当地グルメも提供してます。
お土産売り場がとても広いのが特徴です。箱に入ったギフト用のお土産だけでなく、地元の素材で作ったドレッシングなど自宅用のお土産にも力を入れているので、お気入りを探す楽しさがあります。山梨県の魅力がギュッと詰まったサービスエリアです。
キャラメリゼした焼き芋を皮ごといただく「さつまいもブリュレ」/川口ハイウェイオアシス
甘い蜜たっぷりの焼き芋を、縦半分に切って表面に砂糖をまぶし、バーナーで炙ってさらに甘さを引き出しています。甘さ控えめの生乳ソフトクリームが添えてあり、さつまいもとの相性も抜群。
ホットコーヒーもしくはアイスコーヒーとのセット(780円)も販売中です。
さつまいもは皮ごと食べられます。生乳ソフトは甘さ控えめで、あくまでさつまいもの引き立て役。キャラメリゼしたほかほかの焼き芋と冷たい生乳ソフトを混ぜて食べるとたまらないおいしさです!
川口ハイウェイオアシスについて
2022年4月にオープンした、首都高初のハイウェイオアシス(略して、HWO)です。ハイウェイオアシスとは、サービスエリアやパーキングエリアに併設された施設で、高速道路を出ることなく楽しめます。
川口ハイウェイオアシスは、川口市が運営する「イイナパーク川口」と連結し、水辺と緑に囲まれた自然豊かな空間が魅力。一般道から入ることもできるため、ボーネルンドがプロデュースした関東最大級の屋内あそび場施設「ASOBooN(アソブーン)」を目指して訪れるファミリーも多いのが特徴です。
高速道路の休憩施設の中で、今最も注目されている場所です。敷地が広いので、散歩をするもよし、フードコートのメニューを楽しむもよし、各々好きなスタイルで楽しめます。川口はもともと鋳物の町として有名なんですが、特注の羽釜でご飯を炊いて、冷めてもおいしいおにぎりが販売しています。これもとってもおいしくておすすめです。
珈琲煮豆で“味変”も!「コーヒーゼリーサンデー」/菖蒲PA(上下集約)
エスプレッソで作ったコーヒーゼリーをベースに、新潟の神田酪農の生乳のみを使って作られる「やすだ愛情牛乳」を使った、コク深く優しい味わいのソフトクリームをあわせたサンデーです。ほどよい甘さの珈琲煮豆とカスタードワッフルチップがトッピングされています。
※2023年7月までの限定商品です。
ほろ苦さもある大人向けのスイーツです。トッピングの珈琲煮豆がポイントで、サンデーを食べ進めていく途中で煮豆を食べることで“味変”するんです! さらに弾力があって硬めのゼリーが、本当に美味。ソフトクリームと一緒に食べると、またさらに美味しくてたまりません! ボリューミーなのに、最後まで飽きずに食べられるサンデーです。
菖蒲パーキングエリア(上下集約)について
都心から放射状に伸びる高速道路をつなぐ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のほぼ中央に位置するパーキングエリアです。外回り、内回りどちらからもアクセスができる上下集約型となっています。
地域の花である菖蒲(ショウブ)をイメージしてデザインされた店内には、圏央道がつなぐ道路沿線地域のお土産がバラエティ豊かに取り揃えられています。また、圏央道で唯一、パーキングエリアにガソリンスタンドを併設しています。
行きも帰りも立ち寄れるパーキングエリアです。ここはお土産のチョイスがとても上手! 埼玉県のお土産を中心に、他のエリアで話題になったお土産が手に入るなど、必ずお気に入りを見つけられます。通路を挟んでフードコートとお土産売り場が分かれていて、効率よく快適に利用できるところもポイント。川越で人気のつけ麺店「頑者」がプロデュースしたラーメン店「ガンジャラーメン」もおすすめです!
もちふわ生地にクリームがたっぷり!「もちもちロール」/那須高原SA(上り線)
栃木県宇都宮市に本店があるスイーツショップ「クリオネ」の人気スイーツ「もちもちロール」が、那須高原サービスエリアでも出合えます。
独自の配合と製法で作った特製のもちもちの生地の中には、クリームがぎっしり。フレーバーは、那須高原の特濃ミルク、4種のナッツのキャラメリーゼ、濃厚レアチーズ、生チョコ&ショコラ、完熟バナナ、メイプルカスタード、京都宇治抹茶、栃木とちおとめ、ティラミス珈琲、の9種と種類豊富です。那須高原の牛乳や栃木県産のとちおとめなど、地元の食材をふんだんに使用しています。
那須高原サービスエリアも太鼓判を押すイチオシスイーツです。名前の通り、生地の食感が赤ちゃんのほっぺのようにふわふわ&もちもち! クリームはボリューミーですが、甘さ控えめ。9種類全てを試してみたい気持ちになります。私のお気に入りは「栃木とちおとめ」と「生チョコ&ショコラ」です。購入時は冷凍状態なので、テイクアウトして20分後くらいの半解凍状態がベストとのこと。クルマの中でも楽しめそうですね!
那須高原サービスエリア(上り線)について
栃木県那須郡那須町に位置する、東北自動車道のサービスエリア。那須高原ならではの自然の中で、広々とした休憩スペースが用意されています。
トロリーバスがシンボルで、バスの車窓から那須高原の山々を楽しむこともできます。栃木県で育まれたブランド牛「とちぎ霧降高原牛」を使った「とちぎ霧降高原牛ハンバーグ」など、那須高原ならではのグルメが人気です。
個人的に夜の那須高原SA上り線が大好きなんです! なぜなら、ここの建物のライトアップがとても美しいから。さらに夜空に星がきれいに輝いている時間帯に訪れると、ため息が出るほど美しい風景に出合えます。あえて夜に立ち寄って、グルメだけでなく夜空とライトアップされた建物、全てを楽しんでほしい場所です。
スイーツを求めてSA・PAへ行こう!
その土地ならではの限定グルメも多く、今や休憩所というよりは目的地として訪れる人も増えているSA・PA。山形さんいわく、サービスエリアは景勝地に作られることが多いため、景色のいいところで、地元のおいしいグルメが楽しめる点が最大の魅力なのだそう。
また、最近では高速道路を利用しなくても、一般道路から入ることのできるSA・PAもあるとのことで、ぜひご当地グルメをもっと気軽に楽しんでほしいと話していました。
季節商品も多いので、訪れるたびに新しいご当地グルメとの出合いも期待でき、一期一会の楽しみがあるSA・PAスイーツ。長旅の休憩だけでなく、おいしいスイーツを目的にドライブしてみてくださいね!
※本記事は2023年3月27日時点の情報を掲載しています。商品の最新情報については、各SA・PAのwebサイトをご確認ください。
文/小林麻美
写真提供/NEXCO中日本、首都高速道路、NEXCO東日本、日本サぱ協会
編集/ミノシマタカコ、TAC企画
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