バイクいじりに始まり、クルマのカスタムに関してもベテラン。さらに、車中泊専用のパーツブランドをプロデュースしている休憩時間さん。モトクロス、登山、ボルダリング、ドローンetc…これまでさまざまな趣味と車中泊をつなげながら、オリジナリティに溢れたカスタムをしてきたそうです。そんな趣味人が、今あらためて熱を上げているのが「癒しの車中泊」。今回はHonda N-VANとともに過ごす、休憩時間さんの休日をのぞかせていただきました。
- 休憩時間さん
- 大阪市在住。N-VANをベースとしたカスタムパーツ、および車中泊用品、アパレルを手がける「nuts vanlife products(ナッツバンライフプロダクツ)」の主宰。免許を取得して以来のHonda党で、モーターサイクルとクルマのカスタムがライフワーク。長年カーパーツのプロデュースに携わりながら、その時々でハマる趣味を仕事に反映している。
- Instagram @masuuuuuunn
趣味人を虜にする軽バンの魅力
この日は大阪から琵琶湖のキャンプ場まで遊びに行くとのことで、取材班は休憩時間さんの休日に同行。N-VAN活用術や趣味の話をお聞きしました。
休憩時間さんはN-VANをカスタムされていますが、オーナー歴は何年ですか?
休憩時間さん(以下休憩さん):ぼくがN-VANを購入したのは2022年で、まだ付き合いは1年ちょっとですね。ただ、この手の軽バンや商用車が大好きで、昔からカスタムを楽しんでいました。
クルマも趣味のひとつなんですね。
休憩さん:18歳で免許をとって以来、ずっとクルマいじりをしていました。一番はじめに買ったクルマはHonda「アクティ・トラック」。バイク屋に勤めていて荷物を運ぶこともありましたし、趣味でバイクにも乗っていたので、トランスポーターとして使ったりしていましたね。これまでにクルマはいろいろ乗り換えたのですが、なぜか商用車バンに惹かれて、アクティ・トラックの他に「バモス」、そして最終的にN-VANに行きついたんです。
軽の箱バンタイプが好きなんですね。
休憩さん:そうなんです。特にバモスは今でも乗っているんですが、これまでに7、8台乗り継いでいます。N-VANは一応バモスの後継車的位置付けということもあり、ここにたどり着くのも自然な流れだったのかもしれません。
お仕事はずっとバイクやクルマ関係だったんですか?
休憩さん:基本的にはそうなんですが、そのとき好きなことを仕事にしているのが常なんです。バイク屋をしたあとに、ガラス繊維とポリエステル樹脂の複合素材であるFRP素材を使ったカスタムエアロ(外装部品)メーカー「Magfactory」を立ち上げて、しばらく経営していました。そのあと、クライミングジムやドローンの撮影事業もやりましたね。ここ数年でまたクルマに戻ってきて、バモスのカスタムパーツブランド「CRE:IM 」をスタートさせ、その兄弟ブランドとしてN-VANやアトレー向けのカスタムブランドとして「nuts vanlife products」を始めました。
すごい…。バイタリティに溢れた実業家なんですね!
休憩さん:自分では実業家とは思っていませんけど、好きなものは突き詰めたくなるタイプで、アイデアも自然と生まれて仕事に繋がっちゃうんですよ。なんなんでしょうね。なぜか行ける自信が湧いてきて。きっと楽天的なんです(笑)。
それにしてもパーツメーカーからクライミングジム経営に転身とは…。思い切った決断だったのでは?
休憩さん:クライミングはエアロメーカーをやっていたときに出合った趣味で、好きが高じてボルダリングジムの経営を始めました。当時大阪にボルダリングジムが何ヶ所かしかなかったから、それなら自分で作ってしまおうと。ボルダリングジムに必要な設備っていうのも木工や金属加工の世界。モノづくりには慣れていたから、ウォールも作れるなと思って、サイドビジネス的にオープンしました。しばらくは昼にエアロ屋、夜にボルダリングジムを開くという生活でしたね。
自分で作るって、運営するだけじゃなく、設備まで作っちゃうということだったんですね!その後の事業展開はどのようにされたのでしょうか?
休憩さん:ボルダリングジムが繁盛して2店舗目を出したタイミングで多忙になったこともあり、エアロ屋を売却しました。それから7年ほどジムに専念してたんですが、ボルダリングが注目されたことで、大阪でもジムが乱立し始めたんですよね。それを見てジム事業も売却しました。流行るって、そのジャンルの人口が増えて一見良いように思うかもしれませんが、その分、店舗も増えるからお客さんの取り合いになるんですよ。だから見切りは重要(笑)。
その後に始めたのがドローン撮影でした。全国各地のドローンレースにも出るようになって、その技術を何かに活かしたいなと思ったんです。ドローン撮影業は3年弱ぐらいやりました。
さまざまな事業を経営されている間も商用バン系に乗られていたそうですが、そのときから車中泊は生活の一部にあったのでしょうか?
休憩さん:随分前から車中泊はしていました。モトクロスも、外岩のボルダリングも、ドローンレースも、基本的にぼくの趣味ってクルマで遠方まで行ったりすることが多かったんですよ。それでバモスの荷台に車中泊できる環境を整えて、さらに快適性を求めていきました。
寝るというだけじゃなくて、休憩できるくつろぎの場づくり。家ほどじゃないけど、自分の空間って感じですかね。アウトドアは不便を楽しむという側面もありますけど、そこにちょっと便利さをプラスしたらもっといいなって思います。N-VANにしてからは、快適な空間づくりに思考が向いていて、車中泊を目的にして自然があるところに出かけることが多くなりました。
景色を味わい、コーヒーを飲むのが至福の時間
N-VANを手に入れてからは「趣味を楽しむ手段としての車中泊」から、「癒しを求める、目的としての車中泊」をするようになったという休憩時間さん。ここからは、最近凝っているデイキャンプの様子をのぞかせていただきます。
このN-VANのカラーリングもスタイリッシュで自然に映えますね。
休憩さん:ブランドの雰囲気を伝えるコンセプトカー的な部分もあるので、かっこいいイメージにしたくてソニックグレー・パールを選びました。じつはこのN-VANはぼくにとって2台目で、1台目はイエローだったんです。初代は「nuts」のパーツでカスタムしていたのですが、その車両が欲しいって方がいたので、そのまま販売したんです。それで、新しく組むにも同じ色で作るのも芸がないなと思ったので、このカラーになったんです。
キャンプ道具はブラックとウッドで統一されていてクールです。
休憩さん:ずっと車中泊がメインだったので、こうした外で使う道具をそろえたのは最近で。YouTubeとかネット検索をしながら、良いと思えるものをそろえました。こだわりというほどでもないですが、道具はシックな感じで統一。収納力も気にして選びました。
日除けはカーサイドタープやオーニングも考えたんですが、ルーフキャリアとゲートで端を固定すれば使えることに気づいちゃって。広々と外空間が使えるので気に入っています。
N-VANは完全にソロ仕様ですが、ソロキャンプがお好きなんですね。
休憩さん:忙しさを忘れてゆっくりしたいので、ほとんどソロですね。自営業なのである程度休みがコントロールできることもあり、行くなら平日と決めています。キャンプ場が賑わう土日を避けると、自然との距離も近くなるというか。
車中泊やキャンプ時はどう過ごしていますか?
休憩さん:まだいわゆるキャンパー的なスタイルには慣れていませんが、ひたすらのんびりするのが今の楽しみ方。寝る場所は車内にしておき、リビングを外に広げるのもいいもんです。こんな湖畔のキャンプ場なら、外の景色を味わってこうしてコーヒーを飲むのが幸せです。
コーヒーセットは常に車載されているようですね。
休憩さん:キャンプ道具にも入っているし、車内に取り付けた ボックス棚にも一式そろっていて、いつでもどこでも一息つけるようにしてあります。コーヒー好きみたいにしっかり温度管理まではしないんですが、コーヒーを自分で淹れて飲むのが好きなんです。
豆は、昔旅行中に飲んだマンデリンがおいしくて、それ以来マンデリンばっかり。大して味はわかんないものの、ゴリゴリと豆を挽いて、ドリップして立ち込めるコーヒーの香りを嗅ぐプロセスも含めて、コーヒーはぼくの癒しです。
お湯を沸かすのに使っているSOTO(ソト)のバーナーもカスタムされていますね。通常だとガス缶が五徳の下に直差しになりますが、これは分離式になっていますね!
休憩さん:車中泊やキャンプって、テーブルの上のスペースが限られるじゃないですか。そのなかで、うまく安定感を保ちたいなと思って。SOTOのレギュレーターストーブに互換性のあるガスホースを取り付けることで、ガス缶を本体と分離してテーブルの外に引っ掛けられるようにしました。地味なカスタムですが、ガス缶分テーブルの上を有効活用できるようにしてあります。
また、滑り防止のために脚にグリップをつけたり、鉄製のミニ五徳を置いたりしたことで、さらに快適に調理ができるようになりました。
車体もいい風除けになり、チェアを中心に手の届く範囲でいろんなことができそうです。
休憩さん:N-VANは助手席側のセンターピラーがないので、リアゲートよりも車内へのアクセスがしやすいというのもメリットです。ぼくは基本的に助手席側はベッドフレームを組みっぱなしにしていますが、外で過ごすキャンプスタイルのときは、ちょっとモノを置いておくにはちょうどいい。
これは合理的! 車中泊キャンプを快適にする収納術
ここで筆者がふと思ったのは、車内もサイトも荷物がスッキリ収納されていること。どうやらここに、快適なN-VANキャンプスタイルのヒントがある予感です。
いろんな道具がボックスにまとめられていて、整理整頓スキルの高さが伺えます。
休憩さん:N-VAN自体もそうですけど、箱型のものは無駄なく荷物を収納できるから便利です。このブラックのアルミボックスは最近買ったもので、「VENTLAX(ヴェントラクス
)」という大阪のブランドのもの。
サイズは25Lと45Lがあって、小さいほうにはランタンやアクセサリー類、大きいほうには調理器具を中心に収納しています。蓋を開けた状態で使える天板は自作したもので、ボックス周りもカスタムしてみました。カトラリーやカップなどを入れているナイロンのギアケースは「F.C.P×WILDTECH(エフピーシー×ワイルドテック)」のものです。
ボックスは車内に置いた状態でもスッキリ見えますね。
休憩さん:ベッドキットと冷蔵庫は常に置いてあるのですが、空いたスペースに25Lと45Lのボックスが収まるように、しっかり計算して買いました。箱モノを選ぶときは、事前に寸法を測っておくのが鉄則です!
さすが、数々のクルマで車中泊をされているだけあって説得力があります…。ちなみに収納力や居住性でいうと、N-VANの魅力はどんなところにありますか?
休憩さん:助手席も含めてフルフラットになるのは大きな魅力ですね。ベッドを設けたときの寸法が全長2m以上あるというのももちろんですが、運転席から居住スペース(運転席後方)にアプローチできるっていうのも他にないメリットです。
というのも、ぼくは後部座席を有効活用するためにL字のテーブルを設置しているので、助手席が動線にできるのはありがたい。後部座席から後ろは土足禁止にしているから、運転席を玄関代わりにしています。
N-VANは高めの天井もウリ。となると天井棚も便利そうですね。
休憩さん:そうなんです。テーブルを設置すると上の空間が空いてしまってもったいないので、N-VANにはじめから装備されているユーティリティーナットを活用した天井棚も作りました。走行中にモノが落ちてくるといけないので基本的にはタオルや服、ブランケットなどの布ものを入れています。布ものはかさばりがちなので天井棚に収納すると便利ですし、すぐに取り出しやすいんです。
後部座席にベッドキットを常設していて、助手席の背を前側に倒すだけで悠々と就寝できるスペースを確保している休憩時間さんのN-VAN。快適に車中泊スタイルで過ごすための工夫はまだまだあるのですが、それは後編に持ち越し! 次回は機能的なカスタムパーツブランド「nuts vanlife products」について深掘りしていきます。
文/鈴木 純平
写真/鈴木 純平
編集/濱松 教道、TAC企画
撮影協力/宝船温泉ファミリーキャンプ場