四季折々でその姿を変えるニッポンの山々を追いかけて、実に年間200日以上も軽バンでの車中泊生活を送る写真家の小川 元貴さん。その相棒となるHonda・N-VANは、車中泊や長距離ドライブに向けたさまざまな工夫が施されていますが、実はそのほとんどをご自身でDIYされたとか。後編では「内装編」としてインテリアを中心に、DIYの数々と車中泊ライフの様子をうかがいます。
四季を追いかけ愛車と年200泊! 旅好き写真家の車中泊ライフ
2024.03.01- 小川 元貴さん
- 1983年千葉県鴨川市生まれ、柏市在住。中学時代、単身渡米した経験から旅にのめりこむ。各地へ放浪するなか、しだいに北アルプスの絶景に魅せられ、独学で写真を学びフォトグラファーの道へ。ファッション、美術品などさまざまな分野の撮影をおこなうほか、N-VANの車中泊旅で日本の四季と山々を巡っている。
- HP: https://ogawa-bros.com/
X(旧Twitter): @omaphotovanlife
Instagram: @oma_photraveler
運転席まわりも自らペイントして明るい雰囲気に
4年前にHonda・アコードワゴンから乗り換えたN-VANで、日本の四季を追いかける車中泊旅を楽しんでいる写真家の小川 元貴さん。驚くべきはマフラー交換以外、無数のパーツをご自身でDIYされているという点。前編ではエクステリア(外装)編としてルーフキャリアやノーズブラ、アンダーライトなど15ヶ所以上ものカスタムポイントをご紹介しました。続く後編ではインテリア(内装)編として、車中泊のクオリティを左右する居住スペースや、収納方法などを探ってまいります。
では、引き続き、内装のご紹介をお願いしたいのですが、運転席まわりもなにかカスタムされていますか?
小川さん:N-VANユーザーなら一目瞭然だと思うんですが、実はAピラーの内側やドアハンドル、ステアリング、ナビ、エアコンなどのパーツやその一部をアイボリーで塗装しています。新車のままだと真っ黒なので、パッと明るい雰囲気にしたかったんです。
確かに、カタログと見比べてみると雰囲気がぜんぜん違いますね。長距離運転も気分がアガりそうです。さらに運転席には何やらカバーが。
小川さん:ゴードンミラーのシートカバーですね。撥水性があるので、冬山から下りてきて全身雪まみれでもシートがびしょ濡れにならないんです。
これは海や川で水遊びした後も重宝しそうです。落ち着いたカラーリングも車内の雰囲気とマッチしています。
まるで大人の秘密基地? 寝床とPC作業がシームレス
運転席の隣には万年床のように助手席がたたまれ、その上にマットレスが載っています。常にベッド状態なんでしょうか?
小川さん:(笑)まあ、そうですね。ですので長距離運転で疲れても、すぐ仮眠が取れます。一見、窮屈っぽく見えるかもしれませんけど、ぼく寝相が変わらないので、これで十分なんですよね。
それはうらやましい特技をお持ちで。旅先で写真の整理やメールのやりとりなどもあるかと思いますが、お仕事をする際はどちらで?
小川さん:このまま起き上がると、ちょうど棚がテーブルになるので、すぐさまパソコン作業に移れます。
すごい! 一歩も動かず休憩モードと仕事モードをいったりきたり。カンヅメ作業する小説家や漫画家の部屋みたいですね。ちょっと基地感もあってワクワクします。ただ、意志が弱いとサボってすぐ寝ちゃいそうではありますが…。
さらにリアクォーターウインドウには板を張って壁面収納にしたり、ライトやシェラカップなんかをバーに吊りさげたりと、収納面でも細かいカスタムが加えられています。調理や食事もこのテーブルで?
小川さん:さすがに座りっぱなしはマズいので、晴れていれば調理は運転席側のスライドドアを開けて、外から立って作業しています。私はあまりご当地グルメとかは追求しないので、もっぱら自炊ですね。
立って調理すると、ほどよい気分転換にもなりそうですね。余談ですが車中泊する際の場所で、ここは良い・良くないという小川さんなりのチェックポイントってありますか?
小川さん:車中泊歴だと20年近くになりますので、ありますね。けっこう直感を大事にしていて、いろんな場所に行ってるとわかってくるんですよね。ここは安全だとか、治安悪そうだなとか。私の場合は登山をやるので、登山口はけっこう好条件※です。トイレもあるし、前乗りの登山者も多く車中泊しているので。あと海岸も良い条件のスポットが多いと思います。
※車中泊が許可されている場所か事前に確認しましょう。
収納はすべらないよう面ファスナーで固定
では続けて収納を深掘りしてまいりましょうか。
小川さん:車内は、棚で縦に3分割しています。最下段に三脚や椅子などの大物を押し込んで、中段にマットレスや布団、調理器具類を収納して、上段のテーブルには小物類を置いている、という感じですね。あと天井にもテントポールを入れたりしています。
やはり、高さのあるN-VANは層に分けて収納するのがポイントですね。
小川さん:工夫でいうと収納ボックスは走行中に飛んでいってしまうこともあるので、底に面ファスナーを貼って固定しています。
細かい点をチェックしますと、天井にはウッドパネルを貼ってランタンをさげてますね。
小川さん:本当は天井全体にウッドパネルを張りたかったんですが、どうしても車体が重くなってしまうのであきらめました。これはその名残りです。
悔しい気持ちはわかります。板張りの天井はカッコいいですものね。というわけであらかた「車内」はチェックし終えたつもりでしたが、ひとつ忘れておりました。
エンジンルームは「無限」パーツでいっぱい
そう、エンジンルームです。ボンネットを開いてびっくり。パープルの「無限」パーツがギッシリ。
小川さん:これもSUPER GTの影響で(笑)。ラジエーターキャップやバッテリーホルダーなんかを無限パーツでそろえました。
見えないところもオシャレを怠らないと。もうここまでDIYされ尽くしたら、これ以上やりたいことってないんじゃないでしょうか?
小川さん:そうですねえ。ただ、このN-VANは20万キロ、30万キロと長く乗っていきたいので、いずれエンジンのオーバーホールや、CVTの載せ替えみたいなことも発生すると思うんですよね。全部自分でやれるとは思いませんけど、チャレンジしてみたいなという気持ちはあります。
それはすごいチャレンジ! その際にはぜひともカエライフにお声がけください。最後に小川さんの考える車中泊の魅力を教えてください。
小川さん:そうですね。やっぱりどこでも寝床になるので、時間と場所から自由になることですね。家に帰る必要がないので、ふらっとドライブに出かけたつもりが何連泊もする旅になったりします。日常生活でも夜遅くまで仕事相手や友達と盛り上がっても、泊まるところがあるので気兼ねなく遊べますね。
実はこの年末年始も四国と北陸の山々を巡る旅に出かけていたんですが、ちょうど元旦に能登半島地震に遭いました。そのとき海岸で車中泊してたんですが、すぐさま高台に避難して、しかも暖かい車内で寝られて、と事なきを得ました。こういった防災面でも車中泊ができる軽バンは有効だなって思いますね。
小川さん、このたびはありがとうございました。これからも安全運転で車中泊旅をお楽しみください。
文/熊山 准
写真/宮越 孝政
編集/熊山 准、TAC企画
撮影協力/ogawa GRAND lodge FIELD
今回撮影でご協力いただいたのは、テントをはじめ寝袋やキッチン用品などキャンプ用品でおなじみキャンパルジャパンが運営するogawa GRAND lodge FIELD(千葉県柏市)。1泊1区画(定員5名・ペット不可)7,000円(税込)から。12月から5月にかけてはいちご狩りも楽しめます。