フォロワー数12万人超えのInstagramで、おしゃれで洗練された空気感のバンライフを発信し続けるAtsuyaさん。でも、バンに乗り始めたのは2023年の春というからびっくり! 毎日がバンと共にあるAtsuyaさんのライフスタイル、車中泊を始めて分かった楽しみについて教えてもらいました。
- Atsuyaさん
- 大学時代にキャンプにハマり、2023年4月からバンキャンプをスタート。平日は企業に勤める管理栄養士としてフルタイムで働き、週末はバンに乗ってキャンプを楽しむ。その思い出を残すためにInstagramでスタートした「管理栄養士とキャンプ / Atsuya」は現在12万人のフォロワー数を誇る人気アカウントに。
- Instagram @campers_photo
平日出勤×週末キャンプでも疲れない理由
木漏れ日が揺れる朝の林道を、1台の自転車が駆けてきます。「おはようございます!」と爽やかに登場したのは、バンキャンパー・Atsuyaさんです。
「昨日ここに着いて、バンの中で一泊したんです。朝、起きたらあまりにも気持ち良すぎて、自転車で飛び出しちゃいました。」
ちょうどサイクリングを終えて、愛車の元に帰ってきたところでした。
平日は管理栄養士としてフルタイムで働き、週末はキャンプに出かける日々を送るAtsuyaさん。
「金曜の夜から出かけることもあって、仕事が終わったらお風呂に入って、食材を積みこんで出発し、クルマを好きなだけ走らせるんです。どこに行くかはその日の気分次第。
現地に到着したらひと眠りして、翌日はコーヒーを入れたり、山で遊んだり、湖でパックラフトを漕いだりしてゆったりと過ごし、旅先からそのまま出社することもあります。」
平日は仕事、土日はキャンプ。ちょっと疲れてしまいそうな気もしますが…。
「それが、バンに乗るようになってから全然疲れなくなりました。車内のベッドでしっかり睡眠を取れるから、体力を温存できるんですね。バンをテント代わりにできるので、設営もあっという間。体力と時間を、遊びに全振りできるのがバンキャンプの一番の魅力だと思います。」
15分で設営完了! 森の豊かなチルタイム
朝のサイクリングから戻ったAtsuyaさんは、車体を使ってタープを張り、その日陰に折り畳み式のテーブルと椅子を並べていきます。
さらに、車内からカウンターキッチンを引き出し(!)、必要な道具をまとめたコンテナから鍋やコンロ、お皿などを取り出して棚に並べれば設営完了。その間、わずか15分。瞬く間に爽やかなリビングとキッチンができあがりました。
「さて、コーヒーでも入れましょう」とAtsuyaさんが取り出したのは、STANLEY(スタンレー)の「ランチボックス」。
「ぼく、キャンプで飲むコーヒーに目がなくて。これさえあれば、いつでもどこでもそこがカフェに早変わりです。」
幼い頃から家族でキャンプに出かけ、父のギアを借りて本格的にソロキャンプデビューを果たしたのは大学2年生の冬のことでした。
「このときに思いっきり地獄を見たんです。信じられない冷え込みで、寒過ぎてまったく眠れなくて…。なんとか生きて夜を明かしたのですが、その翌朝に入れて飲んだコーヒーが震えるほどおいしかった! 以来キャンプにハマって、すっかりコーヒーが欠かせない体になっちゃいました。」
タープの下で風に吹かれながら、お湯を注がれた豆はぷくぷくと大きく膨らみ、香ばしい湯気が漂い出しました。
バンライフを始めたきっかけと、親子で取り組んだDIY
「以前は、普通のクルマでキャンプに出かけていたんです。でも、とにかく荷造りが大変で…。」とかつてを振り返るAtsuyaさん。ターニングポイントは、キャンパーのヘンミマオさんに出会ったことだった。
「そもそも、バンにはあまり興味がありませんでした。でも、ヘンミさんのカスタムされたバンが自然の中にすっかり溶けこんでいるのを見て、素敵だなと思って。キャンプでのテント設営はサッと終わらせて、自転車、川下り、焚き火や料理などを楽しみたい。もしかしてクルマをテントにするスタイルって自分にぴったりなんじゃないかな? って。」
早速バンを調べ始めたAtsuyaさんが、まず検討したのがハイエース。でも、車体を改造するにはちょっとためらうお値段だったそう。
「ボディに穴を開けるとクルマの価値が下がるので、もっと気兼ねなく遊び倒せるクルマが良かったんです。その点、ヘンミさんも乗られているボンゴは、価格も手頃です。ハイエースよりコンパクトだけど積載量はしっかりあって、駐車場にも停めやすく、街乗りもしやすい。何もかもちょうど良かったんです。」
こうして中古のボンゴを手に入れたAtsuyaさんは、DIY好きの父と共にカスタムをスタート。
「ぼくはDIYの経験が少なかったのですが、父は自分でもクルマをカスタムしていたり、日頃からスツールを作っていたりして、ものづくりが大の得意なんです。親子でめちゃくちゃ盛り上がりながらカスタマイズしていきました。」
手始めに、オールホワイトだった外装をツートンカラーに塗り替えたそう。内装は、座席やフロアシートなどをすべて取り払い、新たに床と天井を新設。さらに、手作りした家具をボルトで車体に固定していったといいます。
限られた空間を生かすべく、ベッドは伸縮式。縮めればソファにもなり、空いたスペースは折り畳み式の自転車が積める積載スペースに。
助手席裏のメインのカウンターは奮発して天然の一枚板。
「見た目もいいし、カップを置くときのコンッという音もたまらないんです。ひとつ豪華なアイテムを取り入れると重厚感が出ますよね。」
その下には、スルスルと外に伸びるカウンターキッチンが設けられています。
「父と2人で作っていると、いろんなアイデアが湧いてきて止まらないんです。ついには裁縫上手の母も巻き込み、一緒に生地屋に行って、理想にぴったりの車内用カーテンを作ってもらいました。」
家族でワイワイとにぎやかに作り込み、理想のバンが完成したのは、着手から2ヶ月後のことでした。
広がる仲間の輪。家族の新プロジェクトも始動
2023年4月からスタートして1年を迎えたAtsuyaさんのバンライフ。
「必要なものはすべてバンの中に積んであるので、荷造りの時間がほとんどいらない。これがめちゃくちゃ楽でした。キャンプに行こうと思い立ったら、すぐに走り出せるんです。おかげで自然がさらに身近になりましたね。」
クルマならではの心強さもあって、豪雨や突風といった天候の急変に振り回されることがなくなったのも良いところ。
「以前、キャンプ中に大嵐が来たことがあったんです。さすがに無理だと思ってキャンプを中止し、友人たちと3人でこのクルマに避難して。そのまま車内ですき焼きを作って食べました。広さのあるバンならでは、でしたね。」
友達とみんなでキャンプに行くのも大好きだというAtsuyaさん。バンライフを始めてから、Instagramやキャンプイベントを通じて新たな友人の輪も広がっています。
キャンプ仲間、バン仲間、ボンゴ仲間にカメラ仲間。いろいろなジャンルの友人たちと集まって火を焚き、お酒を傾け、大好きなものについて語る時間が楽しい。自身でイベントを主催する機会も増えてきたそう。
さらに、バン改造をきっかけに、家族にも変化があったんだとか。
「両親が本格的に“ものづくり”に目覚めたんです。料理の得意な母がキッチンカーを始めたいと言い出して、父がクルマの外装や内装を手伝っています。ぼくも管理栄養士としてメニュー開発を手伝えるかもしれないから、今からワクワクしています。最近は東京で暮らす兄も参加して、一家総出のプロジェクトになりつつあります。」
さらに、「母のキッチンカーで出せたらいいなと思って...!」というAtsuyaさん、現在はラテアートも特訓中とか。「マスターできたら、キャンプ仲間にもごちそうしたいな」とほほ笑むその夢、あっという間に叶えてしまいそうですね。
Atsuyaさんにとってのバンは、遊んで寝られる場所というだけじゃなく、新しい世界への架け橋にもなってくれる存在でした。
文/矢口 あやは
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/FOLKWOOD VILLAGE 八ヶ岳
https://folkwood-camp.com/