N-BOXを車中泊カスタムしてキャンピングカーに! この記事では、N-BOXにDIYでベッドキットを設置し、車中泊キャンプを楽しむアイデアをご紹介します。
車中泊をしながら日本各地へのクルマ旅やキャンプ旅、お気に入りのキャンプギアを紹介する動画などで大人気のYouTuber「脱サラ さいとう夫婦」。タローさんとはるぴんさんの仲良しご夫婦に、トイプードルの保護犬ニコとメリ一が加わった個性豊かなファミリーが、旅やキャンプを楽しむ様子に、元気をもらい癒されている視聴者もきっと多いはず。
今回はそんなおふたりに、愛車のN-BOXの車中泊カスタムとキャンプの楽しみ方、わんちゃんと一緒に旅するノウハウについても伺いました。
- さいとう夫婦
- ファッション通販会社でエンジニア兼Webデザイナーとして勤めていたタローさんと、バイヤーだったはるぴんさん。2018年に独立し、西海岸テイストのアウトドア&インテリア雑貨を扱う通販サイト「el.andsea(エルアンドシー)」をオープン。2019年にYouTubeをスタート、当初は自社で取り扱う商品を紹介していたが、夫婦漫才のように息の合ったトークと、キャンプや車中泊を楽しむ様子が人気を集める。現在は保護犬のニコ&メリーとともに暮らすスローライフの様子や、キャンプ、クルマ旅などの動画を配信している。登録者数は8万人を突破。
- YouTube「脱サラ さいとう夫婦」 @saitoufufu
- Instagram @saitoufufu
目次
DIYしたN-BOXの車中泊ベッドキットがYouTubeで大反響!
本日のロケ地は、さいとう夫婦もYouTubeで紹介したことのある、静岡県掛川市の「ならここの里キャンプ場」。広い敷地内には、温泉やレストラン、クラフトビールがそろうビアロッジまである、東海でも人気のキャンプ場です。平日にもかかわらず、たくさんの人がキャンプを楽しんでいました。
はるぴんさん:はい。シェビーバンの他に、ルーフテントを装着したキャンプ仕様のエブリイも持っているんですが、今日はカエライフの取材なのでN-BOXにしました! N-BOXは2023年に買ったばかりです。
はるぴんさん:エブリイは年式も古いので、私がソロキャンプに行くときに万が一故障したら怖いですし、商用車なので長距離を移動するとどうしても疲れてしまうんです。その点、N-BOXは乗用車なので内装もしっかりしていて走行音も少ないですし、足回りもしなやかで、高速道路も不安なく走れますね。
タローさん:N-BOXは普段の足として使いつつ、ニコとメリーを連れてキャンプに行くときにも活用する感じです。N-BOXは当初、街乗り用として買ったので、車中泊するつもりはなかったんですが、しばらく乗っているうちに「やっぱりこのクルマで車中泊したい」「キャンプにも使いたい」という欲が出てきて(笑)、車中泊用のベッドキットをDIYで作りました。
タローさん:Honda車だとN-VANやステップワゴン、フリード、N-ONEも試乗しましたし、その他のメーカーのクルマもいろいろ試乗したんですが、最終的に、この「N-BOX ターボ コーディネートスタイル」がすごく気に入りました。カラーやデザイン、内装などがぼくらの好みのテイストだったというのが一番ですが、ターボ車なのでパワーもありますし、運転していてすごく安定感があります。
タローさん:このクルマを見つけたときは「まさにこんなカラーが欲しかった!」と大喜びしましたね。在庫のあるディーラーを探して即決しました。このN-BOXの場合、最初からいろいろカスタムが施されていてスタイリングが完結しているので、これ以上、手を加えたいと思わないんです。オプションでつけたのは、カーナビくらいですね。
はるぴんさん:ヘッドライトが丸目で、レトロなかわいい雰囲気も気に入っています。
はるぴんさん:エブリイは、色を塗ったり、かなりカスタムしているんですけど。
タローさん:エブリイのほうでカスタム欲を満たしつつ、すでにカスタムされたN-BOXはこのまま乗るというのが、使い分けかもしれません(笑)。実はN-BOXは初めて買った新車ということもあって、なるべく変えずに、このままきれいに乗りたいと思っています。
はるぴんさん:長い旅をするときは、やっぱりシェビーバンのほうが車内の空間が広くて犬たちもゆったり過ごせるので、シェビーバンで出かけることが多くなります。ただ、クルマの乗り心地という点ではN-BOXのほうが断然いいので、1泊や2泊の車中泊の旅ならN-BOXにしよう! とか、旅の日数や過ごし方によって使い分けていますね。
タローさん:エブリイはルーフテントで車上泊するのが気持ちいいですし、N-BOXはコンパクトな空間の中でいろいろ工夫して車中泊するのが楽しい。シェビーバンでは、車中泊はもちろん、最近はコールマンのビンテージのキャンピングトレーラーを牽引してキャンプしたりと、それぞれのクルマによって車中泊やキャンプのスタイルもいろいろ変えて遊べるのがいいですね。
タローさん:助手席のグローブボックス以外にも、運転席から手が届くところにたくさん収納スペースがあるのがすごく便利ですね。携帯や財布、サングラスなどを入れて使っています。
材料費1万円以下! ホームセンターの材料で作った車中泊ベッドキット
ベッドキットの材料と作り方は、この動画で詳しく説明されているので、要チェック!
タローさん:いいですよ。慣れていなくても数分で設営できるぐらい簡単です。
タローさん:まず、リアシートを倒して、イレクターパイプとジョイントで作ったベッドフレームを入れます。
タローさん:それぞれの高さに合わせてカットした脚を4カ所にセットします。はめるだけでOKなので簡単です(笑)。
タローさん:脚には、アジャスター付きのパイプエンドキャップをつけているので、微妙な高さ調節もできます。ズレ防止のために、家具用の滑り止めシートも張ってあります。
タローさん:2枚の天板をジョイントパーツでフレームにセットします。走行中や就寝中のきしみ鳴りを防止するために、フレームには小さなスポンジを数カ所に貼っています。
タローさん:最後に、フロントシートを倒せばベッドの完成です。経験上、太腿(もも)より下は完全なフラットじゃなくても安眠できるので、上にマットを敷けば大丈夫です。
タローさん:市販のN-BOX用のシェードで目隠しします。プライバシー確保だけでなく、遮熱効果もあります。
タローさん:スモアの寝袋を広げて、エアーピローを置けば、寝床の完成です。わんこたちも一緒に寝るので、マミータイプよりも掛け布団になるフルオープンタイプの封筒型を使っています。
タローさん:材料費は1万円もかからなかったし、必要な工具もパイプカッターぐらいなので、簡単に作ることができます。この作り方なら天井までのスペースも確保できるので、人間ふたりと犬2匹が一緒に過ごしても圧迫感が少ない。また、誰かを後部座席に乗せて走るときも、すぐに取り外せます。
はるぴんさん:ベッドキットは既製品がいろいろ売っていますが、どうしても天井との距離が近くなって圧迫感があるんですよね。その点、このベッドは、割り切って足もとのフルフラットを諦めた分、寝たときも視界が広々としています。
愛犬がのびのびと過ごせる場所としてのテント&キャンプサイト
タローさん:もともと旅行が好きだったんですが、ペットOKのホテルは高いし、起業したばかりの頃はお金もないので、泊まりで旅行に行くのは3カ月に1度ぐらいしか無理でした。BBQも好きなんですが、運転があるから、お酒を飲まずに帰らなきゃいけない。それで「キャンプならBBQもできてお酒も飲めるし、犬連れでも泊まりで旅行にいけるじゃないか!」と気づいたのが、キャンプをするようになったきっかけです。
はるぴんさん:私は小さい頃に両親とキャンプに行ったことがあるんですが、タローさんはまったくの未経験。手探りの状態からはじめましたね。
タローさん:初めてのキャンプは、2019年2月。いちばん寒い時期で、中古ショップで5,000円で買ったウールリッチのテントなどを用意して行ったんですが、まわりは焚き火で暖をとっているのに、僕らはBBQのノリだったので、炭しか用意していなくて。ガタガタ震えながら寝た思い出があります(笑)。
タローさん:なぜか、ふたりともハマってしまって。キャンプをはじめたのと同じ頃に、運営するネットショップの商品を紹介するためにYouTubeチャンネルを開設したんですが、そこでキャンプ動画をアップしていると、見てくれた人が「こうしたほうがいいよ」と教えてくれて、少しずつ上達していきました。
はるぴんさん:私たちが情報を発信するだけではなくて、視聴者の方々からコメントをいただいて、こちらも情報をたくさん得られるのは、YouTubeをやっていてよかったところですね。タローさんも、いつの間にか私よりずっとキャンプギアに詳しくなっていました(笑)。
はるぴんさん:たしかにそうなんですが、私たちの場合は犬連れなので、わんこたちがリラックスして過ごせる場所があったほうがいいんですよね。うちの子たちは保護犬として育ったからだと思いますが、屋外ではなかなか排泄しなくて、室内のトイレでしかしないんです。普段の散歩のときも、外でオシッコをせずに、家に戻ってきてからしますし、キャンプのときもテント内でしかしないんです。
はるぴんさん:広いテントを建てて、家にいるのと同じような環境を作っておけば、私たちが少し目を離しても犬たちだけで遊んでくれます。なるべく家と同じような空間を作ってあげたほうが犬たちも安心するみたいです。
タローさん:このスモアのテント「ドルチェロッジ」はメッシュ窓が大きくて風通しがすごくいいですし、ロッジタイプなので天井が高くてゆったり過ごせます。小さいテントだと腰をかがめて歩かないといけませんが、家と同じように立って歩けるのですごくラクです。それにフロア付きなので、雨が降っても犬たちをテントの中で遊ばせておけば、泥だらけになる心配もありません。
はるぴんさん:テントの中に「お座敷」を作ることがポイントですね(笑)。
はるぴんさん:私が「BOHO(ボーホー)スタイル」のインテリアが好みなので、キャンプサイトも同じテイストにしています。BOHOスタイルというのは、ニューヨークのソーホーで暮らしている人たちのスタイリッシュなインテリアに、ボヘミアンのテイストを取り入れたスタイルのことで、モダンなデザインにナチュラルなアイテムがミックスされて、ラタンの家具やエスニックなラグなどをアクセントに使うのが特徴です。
タローさん:それに加えて、ふたりともアメリカ、とくにカリフォルニアやロサンゼルスなどの西海岸が好きなので、西海岸風のテイストも取り入れていますね。高価なブランド品でそろえるよりは、手頃な値段で使い勝手がよくて、見た目もカッコいいものを見つけるのが楽しいし、そういうものを組み合わせて自分たちのスタイルを作るようにしています。
はるぴんさん:ランタンやランプが大好きで、たくさん持っています。キャンプにもいろいろ持っていくので、タローさんに「そんなにたくさん持って行ってどうするの?」と言われます(笑)。今日、持ってきた中で、とくにお気に入りなのがこちら。海の中をイメージした吹きガラスのホヤは、 802 PRODUCTSと私たちのコラボモデル「in the sea」です。キャンプでしか使えないものではなくて、家の中でもインテリアとして使えるものが基本ですね。
はるぴんさん:ペットOKのキャンプ場でも、みんなが犬好きとは限りませんし、犬の排泄物を気にされる方もいらっしゃるので、エチケットとして、キャンプ場ではマナーウェアは着けるようにしてるんです。
はるぴんさん:ニコ&メリーのものは、このボックスの中にまとめています。ドッグフードや接触冷感の服、ペットシートなど。忘れてはいけないのが愛犬手帳とワクチンの接種証明書。ドッグランやキャンプ場に入る際に提示を求められることも多いので、忘れないようにしています。
はるぴんさん:犬用のアイテムで最近買ってよかったのは、この給水ボトル。飲み口が広いのでわんこも飲みやすいですし、ボタンを押すだけで水が出るので、片手でも使えますし、出しすぎた水を戻せるのも便利です。
タローさん:ケージは折りたたみ式でフレーム付きのものがオススメです。フレーム付きの強度があるものなら、上に板を敷けば荷物も載せられます。で、使わないときは折りたためば場所をとりません。
キャンプ旅をきっかけに、自然のあるところで暮らすように
タローさん:最初は週1ペースでしたが、最近は動画の撮影も兼ねて週に3日ぐらいはキャンプ生活です。
はるぴんさん:残りの3〜4日はタローさんが動画の編集をやって、私は主にネットショップの運営などをやっています。
タローさん:収納のコツは「ボックス化」と「薄型化」。トランクカーゴやコンテナボックスに道具をまとめること。そして、このラダー(脚立)のように、サイズは大きくても、折りたたむと薄くなるものをなるべく選んでいます。
タローさん:ルーフには、INNO(イノー)のベースキャリアに、TERZO(テルッツォ)のルーフラックをつけています。
タローさん:今日は1泊することを想定した装備で、テントも決してコンパクトではないですし、トイプードルが2匹入ったケージも積んでるんですけど、まだまだ余裕がありますね。
はるぴんさん:いろいろ試行錯誤を重ねているうちに、最近はこれでもずいぶんと、キャンプ道具を絞り込んで、必要なものだけ持っていくようになりました。でも、それとは逆方向の「もっとデコレートしたサイトを作りたい」とも思っているんです。今後、インテリア小物をもっとたくさん持っていくようになったとしても、このN-BOXで大丈夫だと思います。
タローさん:ふたりとも自然が好きですし、ずっと家で仕事をしているので、都会に住む必然性がなかったんです。キャンプの朝に、鳥のさえずりで目が覚める気持ちよさを知ってしまうと、毎日そうやって暮らしたくなるんですよね。それで2020年に神奈川県の相模湖の近くに引っ越しました。ですが田舎すぎて(笑)、もう少し便利な場所に移りたいと思って、2024年2月に、今の静岡県の家に引っ越しました。
はるぴんさん:日本中を旅してきたこともあって、私たちの条件に合う物件ならどこでもよかったので、不動産を探す時は全国から探しましたね。自然豊かで、ペットを飼えて、動物病院が近くにあって……といった条件で探して、運よく理想的な家が見つかりました。
タローさん:ふたりともカメラが好きなので撮影も楽しいですし、もちろんキャンプも好き。YouTubeやInstagramの投稿をきっかけに、「好きなこと」がだんだん「仕事」としても発展しています。エスニック雑貨のセレクトショップのチャイハネからアンバサダーのお話をいただいたり、ワークマンのアンバサダーをやらせていただいたり、ありがたいことに、すごく幸せな形で好きなことが仕事になっています。
はるぴんさん:独立して仕事が落ち着いたタイミングでYouTubeをはじめたんですが、周囲の人にYouTubeをはじめたことを報告したら、あまり芳しいリアクションがもらえなくて。でもやめずに投稿を続けていると、さいわい登録者数も増えてきたので、「諦めなくてよかったー!」と思います。今はかなりYouTubeのほうに注力しているんですが、そろそろネットショップもYouTubeと連動する仕組みを整えていきたいな、と思っています。
はるぴんさん:今日の服は、ふたりともチャイハネのアイテムが中心で、私のキャンプベストはスモアのもの。チャイハネはエスニックなテイストなので、BOHOスタイルのサイトとも相性がいいんです。タローさんのキャンプベストは、ショルダーバッグにもなるんですよ。
肩の力を抜いて楽しむのが、さいとう夫婦のスタイル
海と山、どちらにも近い一軒家でスローライフを送りながら、愛犬と一緒にキャンプやクルマ旅に出かけて自然を満喫している、さいとう夫婦。その暮らしに新たに加わったN-BOX。オリジナルのデザイン・仕様をなるべく尊重しつつ、最小限のカスタムを加えて、車中泊の快適さも追求しています。
クルマのカスタムも、毎日の暮らし方も、「肩の力を抜いて、ナチュラルに、できることを楽しみながらやる」というところが共通点のようです。ぜひ、さいとう夫婦の動画を参考に、キャンプや車中泊の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
▼ライターのプロフィール
- 廣田 俊介(ひろた しゅんすけ)
- 出版社でバイク専門誌、ファッション誌の編集者として勤務した後に独立。アメリカンカジュアルやトラッドを中心としたファッション、乗り物、アートなどの分野を中心に各種媒体で記事を執筆。コロナ禍をきっかけに葉山へ移住し、趣味の釣り、キャンプ、バイク、園芸を満喫中。
Instagram: @shunthe1564
取材・文/廣田 俊介
写真/藤巻 健治
編集/平林 きょうこ
撮影協力/ならここの里キャンプ場