
「こんな生き方がしたい!」「こんな老後を過ごしたい!」――アウトドア好きなら誰もがそう感じてしまいそうなライフスタイルを実現しているwinpy-jijii(ウィンピージジイ)こと中村 和博(カズヒロ)さん、75歳。カエライフでもたびたび取材し、前回の登場時はN-VANが相棒でしたが、2023年には新しくボンゴバンを入手。奥さまと共に大改造し、気ままな二人旅を楽しんでいるそう。「いくつになっても遊び続ける」をモットーにするウィンピーさんの、年齢を重ねても冒険を楽しむ生き方の魅力に迫ります。

- 中村 和博(カズヒロ)さん
- 1950年生まれ。大阪の難波出身で、現在は滋賀の琵琶湖のほとりで奥さんと二人暮らし。根っからの趣味人で、アウトドアや写真、料理、バイク、クルマなど幅広く楽しむ。定年をきっかけに始めたYouTubeでの動画配信が人気を博し、「winpy-jijii(ウィンピージジイ)」として登録者数は27万人に。初エッセイ『いくつになっても遊び続ける ジジイのアウトドアノウハウ大全』(KADOKAWA)をはじめ著書多数。
- Instagram:@jijii_70
YouTube:winpy-jijii
目次
▼後編はこちら▼
ちょうどいいボンゴ! おしゃれな車中泊仕様にDIY
晩夏を迎えた9月末、琵琶湖畔のキャンプ場に1台のボンゴバンが到着しました。
「今日はいい天気やね〜!」と言いながら、ピョンと運転席から降りてきたのはwinpy-jijii(ウィンピージジイ・以下ウィンピー)さん。
バックドアを開けて、魔法のように一瞬でテーブルをセットすると、あっという間に、琵琶湖を望む快適なリビングが完成しました。

過去の取材時には、N-VANに乗って遊ぶ様子をつぶさに見せてくれたウィンピーさん。今回は、2023年に中古で購入したマツダ・ボンゴバンが主役です。
「N-VANでも車中泊はできましたが、夫婦で遊びに行くと、どんどん荷物が増えてしまって。そこで、もうちょっと大きいクルマのほうがええんちゃうか、ということで探して、サイズ的にもちょうどよかったボンゴにしたんです」

「ボンゴにしたら、荷物をいちいち移動させなくても寝るスペースを確保できるようになったので、体力的にずいぶん楽になりました。必要なものは全部積んであるから、どこかに行きたくなったらすぐ出かけられる状態です」
実際、75歳と思わせないアクティブライフを送っているウィンピーさん。
「夫婦で登山をするので、このボンゴに乗って前日から出かけることが多いですね。あとは、釣りに行ったり、観光したり。最近は草津温泉に行ったり、軽井沢に行ったりしました。遠出したのは北海道。フェリーにクルマを乗せて海を渡り、約2週間かけて車中泊しながら一周しました。面白かったですよ!」
「色数は3色に絞る」おしゃれな車内を作るルール
早速ですが、愛車の内部を見せていただきましょう。ドアを開ければ、そこはまるで北欧建築のような大人っぽい空間が!

それにしても、このおしゃれな空間を作れる手腕がうらやましい! いざ自分で作ろうと思うとムズカシイですよね……と思いきや、「そんなことない! カンタンなコツがあるんです」とウィンピーさん。
「色数を3色くらいに絞るのがポイント。ついIKEAなどに行くと、かわいいものがたくさんあって欲しくなるんですけど、色がバラバラだと印象もバラバラに…。空間内のカラーは3色くらいに絞って配置するのが統一感を出す近道です」
このクルマでいうと、ブラウン(木材)・グレー・ブラックでまとめられています。


突拍子もないカラーだけど、そのアイテムを使いたい…というときは、「楽しみながらカスタムする!」というのがウィンピーさん流。


見る人をクスッと笑わせるユーモラスな世界観が漂い、どこを見てもDIYとは思えないほどのクオリティ。ウィンピーさんとは一体何者なのか、ここからは少し寄り道して、ウィンピーさんの過去を探ります。
なんでも自分で作る少年が、シニアYouTuberに
ウィンピーさんこと、中村和博さんが生まれたのは戦争終結からまもない1950年。大阪 難波に育った、筋金入りの関西人です。
「当時はなんでも自分で作るのが当たり前でした。廃材をノコギリで切ってピストルを作ったり、ブリキのおもちゃを解体して仕組みを調べたり。ぼくらの世代はみんな工作が得意やと思いますよ」
ものづくりに夢中だった少年が、キャンプにハマったのは高校時代のこと。山に遊び、海に遊び、クルマもバイクも大好きで忙しい青春だったそう。
高校卒業後はすぐに働き始め、貯めた給料で喫茶店とバーをオープン。しかし「お客さんたちとスキーに行ったりキャンプに行ったりして遊んでいたら、遊びすぎてお店がつぶれてしもて…」

「自営業は意外と自由に遊べない」ということに気づいたウィンピーさんは、35歳で企業に就職。週末や有給を使ってツーリングに出かけたり、アウトドアグッズを自作してキャンプに出たりして、休日のたびに遊びの世界を満喫したそう。

その後、60歳で定年退職して今に至るといいます。
ものづくりが得意だった子ども時代を経て、ジャズの流れる喫茶店を立ち上げ、料理や軽食を作り、コーヒーを淹れていたウィンピーさん。ボンゴのスタイリッシュな内装やセンスのいいカスタム小物たちは、かつての経験の賜物だったんですね。
そんなウィンピーさんがYouTubeを始めたのは2010年、定年退職後に奥さまとハワイ旅行に行ったのがきっかけとか。
「本当にたまたま、旅の記録をいつでもすぐに見返せたらいいなぁと思ってYouTubeへの投稿を始めたんです。それまでにも、写真が趣味でホームページによく載せていました。2014年頃に、仲良くなったプロの動画クリエイターからいろいろとやり方を教えてもらって、チャリンと収益化に成功したんです」
ますます面白くなり、どんどん投稿するうちにニベア缶の動画が大当たり。登録者数が約10万人ほど増加して、瞬く間に人気YouTuberの階段を駆け上がりました。現在は27万人の登録者を擁しつつ、マイペースに続けているといいます。
ちなみに、ニックネームは、アニメ『ポパイ』のハンバーガーが大好きな食いしん坊のおじいちゃん、ウィンピー氏に由来するのでした。
こだわりのキャンプギアで、いざ青空クッキング!
「そろそろお腹がすいてきた!」と、ランチの準備にとりかかったウィンピーさん。食料は「地元のものを食べたいから」と、旅先のスーパーで調達するのがルーティンだそう。
「いつもそこまで凝った料理はしません。サンドイッチ、ハンバーガー、スパゲティあたりを作ってることが多いかな?」と言いつつ、「今日は牛丼を作ります!」と腕まくり。ウィンピーさんのクッキング、楽しみです。
早速「マルチグリドル」をコンロにおいて加熱。

調理中は、家電も大活躍。電気ケトル、炊飯器、IHヒーターがあれば十分だそうで、ウィンピーさん流のアウトドアの三種の神器です。


「とくに電気ケトルは重宝します。調理しながら沸かしておけば、アツアツの料理を食べながら、同時にコーヒーも飲めますから。また、このケトルは広口だから、インスタントのカレーをお湯の中で温めたりできて便利です」

「ポータブル電源で2500Wあれば、家電をフルに使っても十分電力を賄えます」

肉がほどよく焼き上がる頃、炊飯器にセットしていたお米がちょうど炊けました。



なんと取材班分までゴージャスな“ウィンピー丼”を作ってくださったのでした。

アウトドア歴50年、こだわりのキャンプギアは
食後、年季の入ったコーヒーセットを取り出して、豆を挽き、いい香りのコーヒーをさらりと淹れてくれたウィンピーさん。

なかでも「これがお気に入り!」と言って見せてくれたのが、こちら。

フィンランドに古くから伝わる木製食器を扱うブランド「クピルカ」の器です。軽くて、使いやすく、「風合いと色合いが料理を盛り付けたときに素敵なんですよ」
お気に入りといえば、もうひとつ、面白いグッズを見せてくれました。バックドアのそばで天井からぶら下がっている、この棒。なんだと思いますか?



老後を楽しむなら、定年前から遊んでおくべき理由
最後に、「どうしたらこんなふうに楽しく老後を過ごせるのか?」を聞いてみました。

「時間がないから、お金がないから、家族が反対するから…そんな理由をつけて、やりたいことをやらないのはもったいない。年をとると体力は少しずつ落ちて、できることもだんだん少なくなっていきます。だから、遊べるときは今! 今こそしっかり遊んどかなアカンのよ!」
恐ろしいことに、定年後からいざ遊ぼうと思っても「時すでに遅し!」なのだそう。
「急にゴルフを始めても、ヘタやとなかなか仲間に入れてもらわれへんやろ? だから、ゴルフでもソフトボールでもツーリングでも登山でも、とにかくなんでもいいから、チームでできるようなことを今のうちからやって、たっぷりと遊んどく。これが楽しい老後を送るコツやね」
今から遊んでおけば、そのまま仲間たちといっしょにスッと老後に突入できるそう。「なにごとも継続は力なりなのよ!」と笑顔を見せるウィンピーさん。
「75歳になった今でも、好奇心は全然尽きない。まだまだやりたいことでいっぱい。新しく企画していることもあって、それを形にするのが楽しみですわ!」

そう語る目の輝きは、まさに少年。好奇心を持ち続ければ、年齢なんて関係ない。そんなライフスタイルを体現しながら、奥さまと二人、夢に向かって走る旅はまだまだ続きます。
後編では、このボンゴの作り方にフォーカス。憧れの老後を形にした75歳のバンライフの魅力をお伝えします。
▼後編はこちら▼
文/矢口 あやは
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/ マイアミ浜オートキャンプ場