2019年3月28日から31日までの4日間、東京ビッグサイトで「インターペット~人とペットの豊かな暮らしフェア~」が開催されました。
今年で9回目を迎えるこのイベント。国内外から動物好きが集まった熱気あふれる会場の様子をお届けします!
インターペットが普通の展示会と大きく違うのは「ペット同伴」での来場が可能なことです。昨年(2018年)のデータを見ると、来場者数がおよそ4万人で、訪れたペットは1万6千頭以上。
展示ブースにはウサギやハムスター、鑑賞魚など、あらゆるペットが一堂に会します。
本展示会のテーマは「人とペットのより良いライフスタイル」。国内外から約500の企業や団体が参加し、ペットとの暮らしに関わる最新のアイテムやサービスを提案しています。
例えばこちらは、テントでのペットとの過ごし方を提案したコーナー。イタリア製のハーブ化粧品メーカー「Derbe Pet(デルベペット)」によるブースで、犬用のケアアイテムを販売。あたりにはシャンプーのいい香りがただよっています。
楽しいカーライフを提案するHonda Dogコーナー
こちらは愛犬との楽しい毎日を提案する「Enjoy Dog-life Festa」のブースです。
ブース内にあるHonda Dogコーナーでは、2台のクルマを展示しています。愛犬とクルマでのおでかけを便利にするHonda純正愛犬用アクセサリー「Honda Dog」シリーズを装着したクルマのほか、今回のイベントで初展示のコンセプトモデルがお出迎え。
災害救助犬をテーマにした「S.A.R. Dog Concept」
淡い水色とビビットなオレンジが目を引くこちらのモデルは「S.A.R. Dog Concept」です。
案内してくれたのは、ホンダアクセス 商品企画部のデザイナーである加藤 智久さん(右)と、企画担当の蓑和(みのわ) 佳苗さん(左)のおふたりです。さっそく話を聞いてみました。
車のボンネットには「SEARCH & RESCUE」(災害救助)の文字が書かれています。
「S.A.R. Dog Conceptは、災害救助犬のボランティア活動へのサポートをコンセプトに制作したモデルです」と蓑和さん。
災害救助犬とは、地震や台風、土砂崩れなどの災害で行方不明になってしまった人を、優れた嗅覚で探し出すことができるように訓練された犬たちのことです。
「災害救助犬は警察犬とは異なり、普段はペットとして一般の家庭で暮らしています。ひとたび救援要請がかかると、ボランティアである飼い主と自家用車に乗って現場に駆けつけるんです。そのときに使うためのクルマとして今回のモデルを考案しました」(蓑和さん)
目的地は日本全国。長距離、長時間の移動となり、移動先で車中泊をすることもあります。救助に向かうときは、少なくとも1週間は暮らせるだけの水や食料、燃料などの荷物を積んで出かけるそうです。
「今回のコンセプトモデル制作にあたっては、災害救助犬の派遣や育成を行うNPO法人『災害救助犬ネットワーク』のご協力をいただき、実際に現場に出ているボランティアの方々の意見を聞いてアイデアを固めていきました」と加藤さん。
大きな特徴は、コンパクトな車体でありながらたくさんの荷物が積めること。ベースになったのはHondaの軽バン「N-VAN(エヌバン)」です。積載能力が非常に高いことで知られるモデルです。
オリジナル機能を搭載
側面には横長の穴が。手をかざすと、ヒューヒューと風が出ているのがわかります。
これは今回のS.A.R. Dog Conceptのために特別に作られた換気ファンで、車内の空気を入れ替えることで温度を一定に保つ効果があるのだそう。
「災害救助犬は現地に到着してからの待機時間が長いこともあります。犬にとって暑さは大敵。このモデルでは、犬が車内で快適に過ごせるようなアイデアを形にしています」(蓑和さん)
このメッシュの布も今回のモデルの特別装備です。
「天候の悪い日では、テールゲート(後部の扉)を開けたときに車内に雨風が入ってきてしまいます。被災地では1週間ずっと体を洗えない可能性もあるので、少しの汚れが大きなストレスに変わることも」と加藤さん。
この布があれば、空気を通しながらも雨風をブロックできます。
今回、これが画期的なのは、テールゲートを閉めると自動的に布が折りたたまれて収納される構造だということ。犬にも飼い主にもうれしい仕様です。
シフトレバーの取っ手は、肉球のデザインの「ペットセレクトノブカバー」。
災害救助犬の存在を身近に感じてほしい
「災害救助というと、多くの人は遠い世界に感じてしまうと思います。私自身もこのプロジェクトを始めるまで、救助犬のことをちゃんと理解していませんでした。実際に訓練の場を見学して一番驚いたのは、犬たちはみんな喜んでトレーニングをしているんです」(蓑和さん)
ベースにあるのは飼い主との信頼関係。犬にとって救助作業は、大好きな飼い主とのコミュニケーションの延長なのです。
もともと無類の犬好きだという蓑和さんと加藤さん。S.A.R. Dog Conceptの発表によって、災害救助犬のことをもっと身近に感じてほしいと話してくれました。
愛犬家にぴったりのアイテムを搭載した「CR-V Honda Dogバージョン」
そしてこちらはもう1台のクルマ、「CR-V Honda Dogバージョン」です。
安定した走行感と広い車室で愛犬家に人気のモデル「CR-V」に、Honda愛犬用純正アクセサリー「Honda Dog」シリーズのアイテムを装着しています。
愛犬とクルマでお出かけするとき、どうやって乗せていますか? いくらかわいいからといって、運転手のひざの上に乗せたり、放し飼い状態でシートに乗せたりするのは、運転中気が散ってしまい、万が一のときも大変危険です。
小型犬におすすめのアイテムはこれ、「ペットシートプラスわん」です。ベビーシートならぬ「ペットシート」は、助手席にしっかり装着できるため、運転中でもワンちゃんの安全を守ります。メッシュ素材なのでワンちゃんも飼い主さんもお互いの姿が見えて安心。使わないときは折りたためる便利機能付き!
試しに来場者のワンちゃん(チワワのおこげちゃん)に乗ってもらいました。ペットシートプラスわんの中には飛び出し防止のリードがついているので、運転中はそのリードにつないで、ファスナーを閉めてドライブを楽しめます。
中型、大型のワンちゃんには、後部座席に取り付ける「ペットシートサークル」が最適です。写真はジャックラッセルテリアのこはるちゃんです。
サークル型なので幅広いサイズに対応できます(25kgまで)。走行中はハーネスかリードでつなぎましょう。クルマのISOFIXアンカー(チャイルドシートを固定するためのアンカー)に装着できる「ペット車外飛び出し防止リード」もおすすめです。
ペットと過ごすカーライフの実情は?
ブースに来た方に、普段の愛犬とのカーライフについて聞いてみました。
ボストンテリアのたまちゃんとフレンチブルドッグのふくちゃん。なんと飼い主さんとお揃いのお洋服と帽子です。洋裁が得意なご友人に手作りしてもらったのだそう。
「2週間に1度は犬たちを連れて、クルマでお出かけしています。いつもは助手席に犬用のシートベルトを付けています。近所のショッピングモールやドッグランに行くことが多いです。今ほしいのは2頭を入れられる丈夫なボックスですね」(たまちゃん&ふくちゃんの飼い主さん)
黒猫のくまきちくんとキジ白猫のモコ太くんです。
くまきちくんとモコ太くんもお出かけが大好き。おうちの玄関の前で座り込むのは「外に連れて行って!」の合図だそうです。
「お気に入りのカーアイテムは猫用ハンモックです。吸盤で窓に貼り付けた布にくるまれてリラックスしています。最近ちょっと困っているのは、猫は手先が器用なので自分でクルマの窓を開けてしまうことがあるんです。取り付け式の網戸のようなものがあれば、飛び出し防止になって安心だと思いますね」(くまきちくん&モコ太くんの飼い主さん)
こちらはチワワのしずくちゃんと、ボーダーコリーのリコちゃん。川や湖、高原など、自然のあるところへ家族でよくお出かけするそう。折りたためるナイロン製のボックスがほしいと思っていたので、「ペットシートプラスわん」はまさにピッタリと飼い主さん。
こちらはサモエドの楓ちゃんとゴールデンレトリバーの力丸くん。2匹ともクルマでお出かけするのが大好き。ただ、クルマの中が抜け毛でいっぱいになってお掃除がたいへん、と飼い主さん。1台はワンちゃんとのお出かけ専用にして、2台のクルマをお持ちとのことでした。
ペットのいる暮らしの楽しさが伝わってきた
ペットと一緒に楽しんで、学んで、新たな発見が得られる今回のイベント。
中でも印象的だったのは、災害救助犬をサポートするコンセプトカーです。今まであまり向き合う機会のないテーマでしたが、実際に制作者のお話を聞くと、「普段のペットとの暮らしにも生かせるポイントがありそう」という気持ちになりました。
ブースに来た人たちは、安全や快適性など工夫をこらして、ペットと一緒に出かけるクルマの旅を楽しんでいるようでした。
文/小村 トリコ
写真/木村 琢也