アウトドア大国カナダで10年過ごし、家族4人でのバンライフ歴4年目を迎えたベテランバンライファー・松山家のみなさん。2021年末に日本に帰国し、現在はDIYしたベッドキットやキッチンなどがカスタムで備え付けられたキャンピングカー仕様のHonda・ステップワゴンを拠点に生全国を旅しています。YouTubeチャンネル「キャンプの松山家。」では旅の様子も発信しています。
今回はサステナブル(持続可能)な暮らしを意識しながらクルマ旅をしているという松山家に、ベテランバンライファーならではの生活アイデアや、家族で過ごすクルマ旅の魅力、クルマ旅を続けながらの子育て方法などを伺いました。
目次

- 松山家のみなさん
- マサさん(夫)、ミホさん(妻)、ゼンくん(長男)、セイジくん(次男)の4人家族。2012年にカナダ・バンクーバーに移住し、2019年にバンライフをスタート。旅の様子をYouTubeチャンネル「キャンプの松山家。」で発信している。現在は日本に一時帰国し、全国各地を旅しながら日本で過ごすための拠点探し中。
- Instagram @minicampfamily
- YouTube キャンプの松山家。
今回やってきたのは、広島県と愛媛県を結ぶしまなみ海道の大三島にある「カレイ山展望公園キャンプ場」。場内からは瀬戸内の島々とキレイな海を望みながらキャンプが楽しめます。
松山家はなぜバンライフを始めた?
松山家のみなさんは、キャンプ仲間から聞いたおすすめの場所に出かけ、自然豊かな場所で子どもと一緒に遊びながら過ごしているといいます。この日もキャンプ場に到着したあと、遊びたい盛りのゼンくんとセイジくんは「パパ! スラックラインしたいー!」「虫取りしに行こうよー!」と大はしゃぎ。
子どもたちが思う存分遊んでいるあいだ、撮影の準備を進めながら、まずは松山家がバンライフをスタートするまでのいきさつをお聞きしました。
マサさん:僕たち夫婦は大学生の頃に東京で出会って、最初は2人で東京で暮らしていました。ただ、このまま東京で過ごすよりも、自然のなかでもっと豊かな暮らしを送りたいと考えていましたし、海外での暮らしにも憧れがあり、2012年にカナダに渡りました。
カナダではシェアハウスや留学コーディネーターの事業を始めて、ゼンもセイジもカナダで生まれました。傍目から見るといわゆる「良い家族」に見えたかもしれませんが、実は当時ほぼ離婚寸前くらいの状態で……。
ミホさん:夫は仕事が忙しくて、私は初めての子育てで分からないことだらけ。家族の時間が全然取れていなかったんです。
マサさん:「このままじゃダメだ、一度どこかへ旅行をして気持ちを切り替えよう」と思って、次男のセイジが生まれて半年過ぎたあたりの頃、2018年に家族全員でインドに行ったんです。インドの人は裕福とは言えないけど、すごく幸せそうだったんですよ。モノやお金がなくてもこんなに幸せになれるのかと衝撃でした!
マサさん:それがきっかけで、「おれらも一度家族の時間を大切にしよう!」と話し合って、仕事を全部辞めたんです。そのときに生活コストを下げるため、そして家族と長く一緒の時間を過ごすためにトレーラーハウス暮らしを始めたのが、バンライフのはじまりでした。
バンライフと子育てはどうやって両立している?
取材当時、長男のゼンくんは6歳、セイジくんは4歳でした。学校生活も控えているふたりですが、子育てや教育はどのように行っているのでしょうか?
マサさん:ふたりとも国籍はカナダで、長男のゼンはホームスクールにしています。カナダでは入学するとき、学校に通うか、自宅で勉強するか(ホームスクール)が選べるんです。
ミホさん:週に1回、カナダにいる先生とオンラインで面談して1週間の課題を決めて、毎週こなしていく流れで勉強をしています。
マサさん:ホームスクールの勉強量は、日本の学校に通う場合の10分の1くらいと言われていますが、子どもたちには生きるチカラや個人の能力を伸ばして欲しいんです。小さいうちはいろんなところに連れて行って、いろんな環境を体験してもらいたい。そのためにバンライフをしているというのもありますね。
ゼンは3歳くらいからクルマ暮らしをはじめましたが、それまでも毎週キャンプに行っていたので違和感なく受け入れてくれたし、楽しんでくれています。次男のセイジは生まれたときからクルマ暮らしなんですよ。




車内での過ごし方は? 車中泊のアイデアも紹介
バンライフを始めた理由について一通りお話を伺ったところで、家族が暮らす拠点となるステップワゴンについても詳しく紹介してもらいました。
「実はクルマにはそんなに興味がなかったんですよ」と話す夫のマサさん。ステップワゴンを選んだのは、日本に帰国した際、ネットオークションで偶然見つけたことがきっかけだったそうです。
DIYはほぼなし! キャンピングカー仕様にカスタムされた2000年製のステップワゴンを購入




マサさん:10年ぶりに日本に帰ってきて、まず最初に考えたのがクルマのこと。家族4人で寝泊まりができる広さを確保できて、なおかつコスト重視で安いクルマを買おうと調べました。結果、ヤフオクで2000年製のステップワゴンをたまたま見つけて40万円で落札できたんです!
ミホさん:カナダにいたときはシャワー、トイレ付きのキャンピングカーで暮らしていたので、ちょっと狭くなるかな? と最初は思いました。ですが、実際に生活してみてもコンパクトなサイズ感ながら家族4人で問題なく寝られます。
マサさん:このクルマは最初のオーナーがビルダー(車体を設計・製作してくれる会社)に依頼してキャンピングカー仕様にカスタムしたそうです。シンク、キッチン、カーテン、天井の換気用ファン、ソーラーパネル、サイドオーニング(車体側面の収納タイプの日除け幕)、バンクベッド(運転席、助手席の天井にあるベッドスペース)と、装備も充実していました。
車内のDIYはあまりしていない……というか、苦手なんです(笑)。どうしてもカスタムしたい箇所はDIYが得意な友人に手伝ってもらいました。僕の人生のコンセプトは、「人に生かしてもらう」なので(笑)。
マサさん:DIYした箇所といえば、座席の3列目に設置したベッドキットと、冷蔵庫を置く台くらいですね。かかった時間もトータル10時間以内くらい。費用も10,000円以内で済んでいるかな。両方とも友人の会社が行っている運送事業で出たパレットの廃材を利用して作りました。
マサさん:これが冷蔵庫を置いている台です。天面に引っ掛けてあるシューズラックは100均でちょうど良いサイズ感のものが売っていたので活用しています。
走行時&長期滞在時の車内の使い方を紹介
松山家のみなさんはシチュエーションに応じて、シート配列をうまくアレンジしながら家族で快適に過ごせるように工夫をしているそうです。まずは走行時の様子と、キャンプ場やイベントなどで長期滞在する場合のシートアレンジを見せてもらいました。
マサさん:走行中は2列目シートに子どもたちを乗せて、3列目シートはフラットな状態にしています。
キャンプ場に行ったときなど長時間同じ場所で過ごすときは、2列目を倒してフルフラットにセッティング。子どもたちがいつでも車内に上がって来られるような、リビングスペースとして使っています。
ミホさん:子どもたちは日中ずっと外で遊んでいるのですが、この状態なら雨が降ったときはクルマのなかにすぐ避難できるので便利です。
車中泊時の車内の使い方は?
続いて紹介してもらったのが、車中泊をする際のシートアレンジ。2列目の座席を倒すと、天井のバンクベッドからマットレスを取り出して敷き始めました。
マサさん:車中泊のときには2、3列目をフラットにして、カインズで買った厚さ4cmの六折マットレスを敷きます。マットレスやまくらは普段バンクベッドに収納していて、寝る時だけ出すという感じですね。


マサさん:2000年製のステップワゴンは運転席と助手席が回転する機能が標準搭載されているんです。キャンプ場やイベントなど、同じ場所で2〜3日過ごすときには運転席と助手席を回転させて、車内を広々と使えるようにしています。
マサさん:天井のバンクベッドは冷蔵庫を踏み台にして昇ります。いま子どもが手をかけている部分の板は取り外し可能で、奥行きを延長するために前のオーナーが取り付けたそうです。板は2枚あって、両方設置すれば奥行き180cmになるので、大人でも寝られる広さを確保できます。
ミホさん:子どもが上で寝て、大人が下で寝ることもあれば、次男がぐずっているときは下で3人で寝るときも。場合によって使い分けができて便利です。
マサさん:寝るときも起きてるときも、家族みんなが一緒なのでケンカもしょっちゅうします。「もうダメだ!」となったらクルマの外に出て落ち着くまで帰ってこないようにしています。これは大人も子どもも一緒のルールです(笑)。
夏場の車中泊で活躍するアイテムを紹介
気温が高い夏場の車中泊は、車内の風通しをいかに心地よくするかが重要なポイントとなります。松山家のみなさんは、夏の夜をクルマで快適に過ごすためにどのようなアイデアや工夫をしているのでしょうか。


マサさん:夏場に車中泊をするときに「虫が気になるけど風通しをよくしたい」という場合もよくあると思うのですが、そういうときはリアゲートに取り付けられるネットが便利です。既製品もありますが、僕たちはDIYしました。ネットをドアのサイズに合わせてカットし、マグネットを貼り付けています。ドアの形に沿ってマグネットをくっつけるだけなので簡単に着脱できますよ。


マサさん:キャンプ場ではネットを貼ってリアゲートを開けたまま寝てもいいですが、道の駅などで仮眠するときはボーンバーを使っています。これをステップワゴンの荷室のフックに取り付けてドアロック部分と接続すれば、少しだけドアを開けた状態で固定できるんですよ。風通しもよくなるし、ネットだけを貼るのとは違って車内の様子も外から見えません。
マサさん:車内の窓についているカーテンは、前のオーナーがつけていたものをそのまま使っています。カーテンの内側にはネットで購入した市販のシェードを付けていて、3列目の窓とリアゲートの窓はシェードを貼りっぱなしにしています。
これ、純正品ではないですが2000年製のステップワゴンに対応したアイテムなんです。20年以上型落ちしてるのにまだ売ってることに驚きました(笑)。


マサさん:リアゲート側の窓は常にシェードを貼りっぱなしと言いましたが、実はこの状態でも後ろの視界は確保できています。運転席の後ろ側にモニターが設置されていて、ここにリアカメラの映像が常に映っているんです。このモニターがバックミラーで確認できるようになっているので、リアゲートにシェードを貼りっぱなしでも大丈夫なんですよ。
マサさん:車中泊のときは運転席の窓にも取り付けます。断熱効果もあるので、夏場の日差しが強い日でも、車内が暑くなることは無いし、逆に冬場の場合は、外からの冷気の影響も受けにくくなります。車中泊には必須のアイテムですね。
マサさん:あとはフロントドアに市販品の網戸をつけています。窓を開けて上から被せるだけで設置も簡単。使わないときはコンパクトに収納できて場所も取りません。
キャンピングカー仕様ステップワゴンのカスタムポイントをチェック
普段の車内の使い方を紹介してもらったところで、続いてはキャンピングカー仕様にカスタムされたステップワゴンの装備・車内を詳しく紹介してもらいました。
ベッド下は収納スペースとして利用
ミホさん:ベッドのマット部分は取れるようになっていて、助手席側には家族全員分の服を入れています。いまは夏場なのでそんなにかさばらないですが、冬はコートなど防寒着が増えるので少し荷物が多くなりますね。
洗濯は基本的にコインランドリーを使用していて2〜3日に1回くらい。子どもたちが遊んでたくさん汚しちゃうので頻度は多くなりがちです(笑)。もちろん、RVパークやキャンプ場に併設されているランドリーを利用することもあります。
マサさん:運転席側の床下にはキャンプ道具や子どもの遊び道具を収納しています。といっても、キャンプ道具はクルマで生活するうえであまり使う機会もないので、家族4人分のチェアと焚き火台くらいしか積んでいません。


マサさん:ベッドの柱の部分にはフックを取り付けて、脚が折り畳めるテーブルを固定しています。ここならリアゲートを開けなくても室内からさっと取り出せるので、車内でご飯を食べるときにも便利です。
日用品や調理道具の収納は?
マサさん:シンク下には廃水タンクと清水タンク(手洗い用の水を入れるタンク)、あとは洗剤など日用品を収納しています。廃水タンクに溜まった汚水はキャンプ場やエコヴィレッジで処理できるところがあるので、管理人さんに確認してその都度処理しています。
ミホさん:シンクの上に置いているのは飲水用のタンク。ペットボトルの水を買うとゴミが増えるしお金もかかるので、飲水用の水道などから汲む場合がほとんどです。


ミホさん:リアゲートの上にある棚も最初から付いていました。ここには食器や調理器具をまとめて入れています。
マサさん:天井に付いているのはキャンピングカーでおなじみの「マックスファン」。スイッチひとつで車内の換気ができる便利な換気扇です。
キャンプに便利なサイドオーニング


マサさん:助手席側にはサイドオーニングが設置されています。工具をはめこんでクルクル回すと庇(ひさし)部分と脚が出てくるので、設営は簡単です。かなり古いので壊さないようにゆっくり広げていくのがポイントですね。
あとでセッティングしますが、キャンプ場で寝泊まりするときはオーニングの下にチェアや机を出してリビングスペースとして利用することが多いです。
サステナブル(持続可能)なバンライフを支えるアイテム&ギア
車内の装備や車中泊のポイントをひととおり教えてもらったあとは、クルマ旅で重宝しているギア類をチェックしました。無駄なものを増やさず、使えるものはなるべく使い切る持続可能な旅を続けている松山家のみなさん。使用しているギアにも、やはり多くのこだわりがありました。
ポータブル電源とサブバッテリーシステムで電源を確保
マサさん:ポータブル電源は「ELECANTA」(エレカンタ)というメーカーのものを使っています。容量は740Wh。車載冷蔵庫を50〜60時間動かせるほどパワフルです。
マサさん:このポータブル電源のすごいところはバッテリー自体が交換できるところ。ほとんどの製品は使い続けるとバッテリーの寿命が減っていき、いつかは使えなくなってしまいますが、そんな心配もありません。バッテリー単体でも充電できるので、本体で使っているバッテリーの充電が切れたら予備とすぐに交換できるのもポイントです。
マサさん:ポータブル電源はサブバッテリーと接続して、走行充電できます。サブバッテリーはシンク右側の棚に収納していて、これも以前のオーナーが使っていたものをそのまま使用しています。
マサさん:あと天井には前のオーナーが取り付けていたソーラーパネルもあります。発電は一応できるのですが、20年以上前のタイプなので発電効率はいまいち。新しい商品にするかどうかは検討中です。
マサさん:ちなみにリア側に外部電源入力装置もついています。オートキャンプ場など電源が確保できる場所ではポータブル電源の充電や、YouTubeの動画編集のときにパソコンを電源につないで使っています。
チェアやテーブルはコストを重視


マサさん:僕たちがバンライフを始めた理由のひとつが、生活コストを下げるため。なので必須ではないものや無くても困らないものは極力安く済ませるようにするか、持たないようにしています。
ミホさん:チェアとかテーブルがそうですね。他のキャンパーさんたちはとてもおしゃれな道具を揃えたり、色のバランスまでこだわったりしていますが私たちはとにかく安いものを選んでいます。
マサさん:焚き火台はほしかったので、いまは仲間から借りたものを使っています。あとは冬場に寝袋が増えるくらいで、かさばるギアは持っていません。
料理に関わる道具はお金を惜しまない
マサさん:冷蔵庫は「EENOUR」(イーノウ)というメーカーの商品です。冷蔵、冷凍に対応していますが、基本は2℃に設定して使用。ポータブル電源のシガーソケットにつないでいて、最大50〜60時間くらい動くので安心して使えます。
マサさん:庫内は2つに別れていて、写真の左側の壁が一番冷えるのでドリンク類などを冷やしたいものをまとめて置くのが使い方のコツです。写真の右側は野菜室として使っています。
冷蔵庫のスペースは限られるので、できるだけかさばらないようにするために、買う食品にもポイントが。例えばヨーグルトや味噌は箱状のプラスチックパックではなく、袋に入ったチューブタイプのものを使うようにしています。
お昼ごはんにちょうど良い時間になったので、ここからは実際に料理の様子を見せてもらいながら、松山家の料理のこだわりについて教えてもらいました。
ミホさん:今日は天気もいいので、素材を切るなど広いスペースが必要な作業は車内で、焼く・炒めるなど火を使う作業は外で行いましょう。使う食材はできるだけ無添加、有機栽培のものを選んでいます。
食材を買うときにおすすめなのが、道の駅の産直コーナー。他のスーパーに比べて、無添加、有機栽培の食材を売っていることが多く、安いし量もたくさんあるからです。地域の特産物も色々と買えますし、私たちもよく利用しています。


マサさん:フライパンとお鍋は取っ手が取り外し式になっていて、重ねて収納できるんです。これはキャンプ用のアイテムではないのですが、スペースが限られる車内に収納するのにぴったりです。


マサさん:バーナーは米を炊いたり、パスタを作ったりするほか、おかずやパスタソースの調理でも使用するので2台持っています。スノーピークの「HOME&CAMP バーナー」は収納時はコンパクトですが、展開すると安定感抜群の五徳が出てきます。フライパンを使うときはこのバーナーをメインで使っています。
マサさん:もうひとつはSOTOの「シングルバーナー」。こっちは鍋でパスタをゆでたりするときに使うことが多いです。
マサさん:最後に、バーナーとクッカーが一体になった「JETBOIL」。登山者が利用することを想定して作られていて、すぐにお湯が沸くしコンバクトなつくりが気に入っています。ちょっとコーヒーが飲みたいなというときにありがたいです。
さっきのチェアやテーブルは仮になくても生活に支障が出ることはありませんが、調理道具が壊れたらとても困ります。なので、かけるべきところに投資は惜しみません。調理道具は特に気をつかっているポイントですね。
マサさん:天気の良い日やキャンプ場では、サイドオーニングの下かリアゲートの下にチェアをセッティング。雨の場合は車内をフラットにして、道路沿いの休憩所などで食事をすることもあります。
ミホさん:車中泊を続けるうえで一番困るのがゴミ問題。家庭ごみを捨てられる場所は少ないので、捨てられるものは買ったその場で捨てるようにしています。
例えば、スーパーで買い物したら、車内で別の容器に移し替えて、トレイなどは再利用のコーナーに。燃やせるゴミは焚き火の燃料にすることもあります。
マサさん:場合によっては割り箸は洗って再利用するなど、使えるものはとことん使います! 使える水も限られているので、洗い物、歯みがきなど節水も常に意識していますね。
「家族さえいれば幸せだと気づいた」松山家がバンライフで得たもの
お昼ごはんを食べ終えたあとは、マサさん、ミホさんにお話を聞きながらひと休み。家族4人でバンライフを始めてから気づいたことや、今後の目標についてお聞きました。
バンライフで得た「家族がいる幸せ」
マサさん:最初は不安もありましたが、今はバンライフを始めて正解だったと自信をもって言えます。この暮らし方をみんなに一度はやってほしいと思っているくらいです。珍しい暮らし方ではありますが、バンライフはお金がなくても簡単に始められるんです。
家で暮らしていた頃は「あれも欲しい、これも欲しい」といろんな欲がありましたが、クルマで暮らし始めてからそれがなくなって、幸福度が爆発的にあがりました。モノやお金があれば幸せになれると思っていたけど、家族さえいれば幸せは手に入るんだと気づいたんです。
ミホさん:私も同感です。前は周囲に縛られて生きている感じがありましたが、今は「もっと適当でいいんだ!」と思えるようになりました。
マサさん:いまキャンプがブームなのは、モノのない環境に楽しみや生きがいを感じられる人が増えているからだと思うんです。「バンライフは経済的に余裕がないとできない」と言う人もいますが、僕たちはその逆で生活コストを下げるためにバンライフを選びましたからね。はじめるのは決して難しいことじゃないと伝えていきたいです。
目指すはカナダと日本の2拠点生活
2021年末に日本に一時帰国した松山家のみなさん。それには将来を見据えた、とある理由がありました。
マサさん:カナダでクルマ旅の楽しみを知りましたが、逆に日本をめぐったことが全然なかったんですよね。日本の自然も、人も知らないままなのはもったいないなと日本を旅してみようと思ったんです。
ミホさん:家族との時間を大切にして3年間バンライフを続けてきましたが、子どもたちも少しずつ大きくなって体力もついてきたから、最近は私たちの方がついていくのに精一杯になってきて(笑)。一度落ち着いてみてもいいタイミングかもしれないねって話し合いました。
マサさん:ゼンとセイジも、一度普通の学校に通わしてみたいなという考えもあるので、今後は日本とカナダの2拠点生活ができればいいなと思っています。いまは日本の拠点となる家を探している最中。自分たちの好きな自然に囲まれて暮らしていける、理想の場所が見つかれば嬉しいですね。
カナダでの経験を通じて、家族と過ごす時間の大切さに気づいたという松山家のみなさん。それを実感できたのは、長い時間をともにするバンライフがあってこそだと話してくれました。
バンライフを始めるのに必要なのは、ほんの少しの勇気だけ。手始めに1泊の車中泊旅からスタートしてみるのはいかがでしょうか。
カエライフでは、車中泊やバンライフ初心者がチェックしておきたい記事も多数掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
- 今回の記事で登場したクルマ
- ステップワゴン(2000年発売モデル)
ボディカラー:タフタホワイト
■最新のステップワゴン車両情報はこちら
https://www.honda.co.jp/STEPWGN/
■ステップワゴンの純正アクセサリーの詳細はこちら
https://www.honda.co.jp/ACCESS/stepwgn/

文/久保田 大希
写真/福田 ダイスケ
編集/井上 寛章(LIG)
撮影協力/カレイ山展望公園キャンプ場