記事提供元/KURU KURA
文/岩井リョースケ(KURU KURA)
秋から冬にかけ太陽の高度が下がり、西日が眩しく感じる時間帯が長くなる。特に夕暮れ時は夕陽が視界に入りやすく、交通量が増える時間帯なので交通事故件数も多くなるが、眩しさ対策はできているだろうか?
秋冬は太陽の眩しさを感じる時間が長い?
夏の太陽は日差しが強く、地面のギラつきも厄介だが、高度があるため視界に入ってくる時間帯は比較的少なくなる。しかし、秋から冬は太陽の高度が下がり、太陽が視界に入りやすくなるため、運転中に眩しさを感じる時間帯が長い。
科学警察研究所が2007~2011年の5年間に千葉県で発生した交通事故を対象に分析し、太陽高度の交通事故への影響を調査したところ、天頂角が50~80度(水平線を基点にすると10~40度)の範囲で交通事故が多発することが分かっている。
つまり、南中高度に達した時点(正午)に太陽の高度が40度以下になる11月8日の立冬(約38度)から12月22日の冬至(約31度)を過ぎてしばらくの時期は、正午の時点でドライバーは太陽の眩しさを感じやすくなる。ちなみに、太陽の高度が10度以下の地平線に近づくと地形や建物の陰に隠れる影響で事故件数は減少することが分かっている。
もちろんクルマの車種やタイプ、ドライバーのポジションなどによっては上下の視野角は前後するが、秋から冬にかけては、太陽の高度が低い時間が長くなるため、やけに西日が眩しく感じ、危険だということを覚えておこう。
10~12月の夕暮れ時は、7~9月より1.8倍も交通事故が多い!
秋以降は夕暮れ時が早まり、薄暗い時間帯が増えるため、視界不良による事故が起きやすくなる。これはドライバーだけでなく、歩行者や自転車も同様であるため、交通量が多い時間帯であることを双方が気を付けなければならない。
警察庁が発表している2018~2022年の月別交通死亡事故件数によると、10~12月の夕暮れ時(ここでは日の入り時刻の前後1時間とする)の交通事故件数は、7~9月に比べて約1.8倍も多く、これは夜間(ここでは日の入り1時間後から日の出までとする)の交通事故件数の増加比率と同等になる。西日の眩しさと暗がりが広がる夕暮れ時は、ヘッドライトの点灯と眩しさ対策をしっかりと行いたい。
西日対策にはサングラスとサンバイザー
■クルマに標準装備されているサンバイザー
クルマの運転席と助手席にはサンバイザーが標準されているので、日差しが眩しい時に手前に倒すことで、太陽光を遮断することができる。しかし、視界の上部を遮断するため標識や信号機などが見づらくなることに加え、固定式であるため、太陽光が差し込む向きが変わるたび、正面・側面の切り替えや角度調整をしなくてはならない。
■市販の偏光サンバイザー
視界を遮断しない方法としては、後付の偏光サンバイザーなども市販されている。視界を遮断することなく光を軽減でき、天候の変化やトンネル通過前後に自動調光してくれるサンバイザーも存在している。純正以外のサンバイザーを使う場合は、安全性などをよく確認してから購入したい。
■偏光サングラス
ドライバーが特に気を付けたいのは、右左折などの方向転換の最中に視界に太陽が入った場合に横断中の人の姿に気付けなかったり、思わず目を瞑ってしまう瞬間があることだ。そういった状況を考えると、人が直接装着するサングラスは、眩しさ対策に最も有効といえそうである。
サングラスの中でも、偏光レンズを搭載したサングラスはより効果的だ。一般的なサングラスはカラー濃度をあげると、強い光は防げる反面、可視光線透過率は低下してしまい、あらゆるものが暗く、見えにくくなってしまう。偏光レンズのサングラスは、路面や建物、ガラスなどに反射した余分な光をカットしてくれるため、クリアな視界を確保することができる。
偏光サングラスにはレンズ部分を跳ね上げるタイプもあるので、建物や地形の間から突然差し込んでくる西日や、トンネルでの走行時にも瞬時に対応できるのでオススメだ。
10~12月はとにかく交通事故が多発する時期だ。夕暮れ時は交通量が増えるため、ドライバーは子どもや高齢者の飛び出しを警戒し、西日の眩しさ対策で視界の確保を心掛けて秋のドライブを楽しみたい。
※この記事は、KURU KURAに2023年10月2日掲載されたものです。