高知県で見つけた、宝物みたいな絶景ドライブコース~イラストレーターいとうみゆきのクルマのおうち旅

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イラストレーター・いとうみゆきさんと白くまとの旅「四国編」もついに最終回。今回の舞台は高知県です。
いとうさんの目に飛び込んできたのは絶景の数々。海、川、温泉、キャンプ場…どれもこれも宝物みたいで、旅の最後をキラキラ彩ります。そしてこの旅でいとうさんが見つけたものとは――。

▼プロフィール

いとうみゆきさんのプロフィールイラスト
イラストレーター いとうみゆき
埼玉県在住。セツ・モードセミナー卒業。畑と音楽を好み、パーマカルチャーや自然農を学んでいる。著書に『車のおうちで旅をする』(KADOKAWA)がある。
Twitter @noca_m
Instagram @nmoytke
HP ito miyuki's illustration

▼以前の連載はこちら▼

目次

 

高知県をドライブ

絶景とおいしいご飯がたくさんあると噂の高知県!
しかし、私と白くまはここまでたくさんの絶景をみてきた車中泊コンビ。私たちを満足させてくれるかな…!? と、ちょっと調子に乗ってしまうくらい本当に楽しみにしていた県です。

してよかったリニューアル、持ってきてよかったアイテム

白くまは装備万端、私も楽しむ準備万端! いよいよ出発です。

 

①「柏島」で透き通る海の近くをドライブ

大堂山展望台から見た、エメラルドブルーが美しい柏島の景色

大堂山展望台から見た、エメラルドブルーが美しい柏島の景色

高知県の西側での海ドライブはとにかく素晴らしかったのですが、その中でも別世界だったのが「柏島」という場所でした!

クルマの中からも輝いて見える、鮮やかな海の色に心を躍らせながら海の方へ向かいます。

島のすぐそばに広がる、深い青と鮮やかなエメラルドグリーンがにじみ混ざり合ったかのような海

島のすぐそばに広がる、深い青と鮮やかなエメラルドグリーンがにじみ混ざり合ったかのような海

柏島観光情報発信センターの駐車場にクルマを停めてビーチへ。私は白浜海岸という場所に行きました。 

白浜海岸の景色

白浜海岸の景色。島の中心部から少し離れたプライベートビーチのような浜辺をひとり占めしました

走っているときからワクワクしていたのですが、浜辺に降りてみてさらにびっくり。
空の青さを映し出すような海、太陽の光でキラキラ光る白い砂浜、この美しさは本物でした。

クルマを持っていなければ来るのが難しい場所だからでしょうか。平日の朝は人もほとんどいなくて、ビーチを独り占めできる時間もありました。

ちなみにこの場所は、高知の中でも西側にあり今回の旅で自宅から最も遠い場所に位置します。
こんな遠くまで来たんだなあ、ここまでたくさんきれいなものを見たなあ、いい時間だなあ、よくここまで来たなあ…と感傷に浸りながら何時間もこの海を楽しんでしまいました。

白浜海岸は高知県まで来たのなら絶対に立ち寄ってほしい、おすすめ絶景海スポットです!

 

②「四万十川」で沈下橋わくわくドライブ

本流に大規模なダムが建設されていないため日本最後の清流と呼ばれることがある四万十川にやってきました。

今回の目当ては、欄干を作らないことで増水時には水中に沈むように設計された橋「沈下橋」。四万十川には本流と支流を合わせて48本の沈下橋が残っており、現在でも生活道路として利用されているため、クルマで走ることができる橋がいくつもあるのです。

そんな面白い橋、ぜひ通ってみたい! と向かいました。

佐田沈下橋

青く塗られた橋脚が夏の空と川にばっちり映えている、佐田沈下橋をぐんぐん進む白くま

まずは一番有名な「佐田沈下橋」へ。
四万十川で最も長い約300mのこの沈下橋は河口から一番近いこともあって、大勢の人がやってくるほどの人気ぶり! 青い橋脚がとってもキュートです。
クルマで通るなら観光客がいない早朝がベスト。

三里沈下橋

集落へと続く三里沈下橋。ここで暮らす人々の生活に根ざしていることがわかります

佐田沈下橋のひとつ上流に架かっている三里沈下橋は佐田沈下橋よりも人通りが少ないので、のんびりドライブできるかも。
四万十市の中心からも遠くなく、民家も多い場所にあるこの橋は人と橋との繋がりを感じさせてくれます。

高瀬沈下橋

高瀬沈下橋は四万十川をまたぐ沈下橋。左右の水面には空や山々が美しく映り込みます

目の前に広がるのは、空、山、川の特大三点セットです!

勝間沈下橋

四万十川で唯一、橋脚が三本で作られたおしゃれな勝間沈下橋

まだまだ続く沈下橋。
ちなみにこの渡っているときのドキドキ感、なんか覚えがあるなあ…と思ったら、埼玉県を巡った時に通った「島田橋」でした。そのときはかわいい木製の橋という印象しかなかったのですが、今となっては欄干のない意味もわかります。

岩間沈下橋

売店やトイレなどもある駐車場から眺めた景色。岩間沈下橋と紫陽花のコントラストがまるで絵画のよう

自然と人をつなげ、ひとの生活を支えている橋の中でも「自然と一緒に暮らす」を体現しているような沈下橋。自然と人間の造った建築物との組み合わせが大好きな私にとっては、最高に楽しいドライブでした!

 

③「黒潮本陣」で日帰り絶景露天風呂

夏になって毎日汗をかくようになり、一日の終わりに入る温泉やシャワーが楽しみでしょうがないこの頃。今日は絶景も楽しめる温泉「黒潮本陣」でひとときを過ごします。

黒潮本陣の内湯

内湯のガラス越しには、雄大な海が臨めます

浴場に入った瞬間に視界いっぱいに広がるのは美しい太平洋! 運転で疲れた身体を癒し、心の奥底からリラックスできました。

黒潮本陣の岩風呂

太平洋に向かって配置された岩風呂。海と温泉が繋がっているような、不思議な気持ちになりました

野外展望風呂ではさらにダイナミックな、そのまんまの自然を味わうことができます。贅沢な時間だ…。

旅中に車中泊をしている人たちと出会うと、イチオシの温泉を教えてもらうことがよくあります。車中泊民にとっての一日の楽しみの一つは、やっぱり温泉みたい。
今までの私はシャワーさえ浴びられればいいじゃない派だったのですが、この車中泊旅のおかげで最近は、可能なら温泉に行きたい派。だって四国の温泉って安いのに泉質も環境も最高なんだもの…。
この黒潮本陣は、その後出会った人たちに私も伝えまくった高知県のいい温泉です。

黒潮本陣
住所:高知県高岡郡中土佐町久礼8009-11
TEL:0889-52-3500
営業時間(日帰り入浴):10:30~16:00および18:30~20:00
定休日:毎月第2木曜(祝日の場合は変更)
※定休日以外の木曜日10:30~16:00の入浴は休み
18:30~20:00までの営業
URL:http://honjin.or.jp/index.html

 

④「道の駅なかとさ」で休憩と買い出し

少し高い丘に建つ黒潮本陣の真下、漁港のすぐ隣には道の駅がありました。あったらとりあえず寄ってみたくなるのが道の駅!

道の駅なかとさのトイレ

トイレには「厠」という看板が掲げられていて、どことなく和な雰囲気が漂います

道の駅にあるもの・その1「トイレ」

道の駅において最も馴染み深く、どんなに小さなところでも24時間利用することができるのが「トイレ」です! 道の駅のトイレは、どこもきれいなのでうれしい。

道の駅によってそれぞれ特色があるのですが(地元の人たちによる生花、折り紙細工で彩られている、地域の木材でできた建築など…)、ここのトイレの特徴はなんといっても「厠」という看板。なんでもないトイレなのですが、インパクトのある看板のおかげでなんだか面白い気分になります。

道の駅なかとさの産直市場

地元で採れた色とりどりの野菜が並べられていました

道の駅にあるもの・その2「売店・市場(マルシェ)」

私がいつも楽しみにしているのがこの場所「産直市場」です! 
その土地の気候にあった作物を採れたて新鮮な状態で手に入れられるのは、足を運んだものだけが味わえる贅沢です。他にも素敵な高知のお土産や、地元のおばあちゃんたちによるおいしいおやつ、地元産の食材や調味料、お弁当も盛りだくさんで…。

絶景巡りをしていると人里離れたところに入ることが多いので、こういう場所での買いだめがとっても大切なのです。

道の駅なかとさで見つけたレストランやカフェ

浜焼きを楽しめるレストラン、ベンチとテーブルが並べられた休憩スペース、ボルダリング付きのキッズスペース、焼きたてのパン屋さん、ケーキがおいしいカフェなど、楽しめるところがいっぱい!

道の駅にあるもの・その3「食堂・カフェ」

普段小腹が空いた時に探すのはコンビニですが、旅中は道の駅を探しがち。だって手作りでおいしい地域のものがいっぱいあるんだもの!


道の駅にあるもの・その4「休憩スペース」

クルマから降りて、一息つきながら自由に過ごせるこの空間が大好き。周りにいる人たちもそれぞれが旅を楽しんでいるように見えて、なんだか居心地がいいんだよなあ。

道の駅 なかとさ
住所:高知県高岡郡中土佐町久礼8645-2
TEL:0889-59-9090
営業時間:9:00~17:00 不定休(店舗により異なる)
URL:https://www.nakatosa.com/

 

⑤「四国カルスト・UFOライン」で天空ドライブ

道の駅で休憩と補給を済ませたらドライブの再開です!

四国カルストへ続く道

重なる丘を越えていこうとする白くま。右手には大きな風力発電機がそびえ立ちます

今回楽しむのは「四国カルスト」と「UFOライン」という高原・山岳スカイラインです。

四国カルストと、点在する牛たち

羊のようにも見える白い石灰岩がいくつも点在する、大草原の間を走る白くま。黒い点、なんと牛!

当日は曇りでしたが、それでも美しいこの場所といったら。
遠くから見ると、まるで絵画のようなドライブコースでした。
重なり合う緑の丘には、白い石灰岩が映えるように散らばります。そしてたくさんの…。

牛たち

黒い牛がたくさんいる間を通り抜けていく白くま

牛。
しかもすぐ脇に道があるから、牛と睨めっこもできます。窓越しに動物を眺めていると、気分はサファリパークです。

牛と戯れつつ進んでいけば、四国カルストはあっという間におしまい。

山岳スカイライン

深く濃い緑が印象的な山岳スカイラインを、白くまはどんどん走っていきます

次は標高1,500mのUFOラインにやってきました!
昔は「雄大な峰が続く道」ということで「雄峰(ゆうほう)ライン」と呼ばれていたそうですが、この場所で撮影された写真にUFOが写っていたことから「UFOライン」とも呼ばれるようになったそうです。

上から見たUFOラインの景色

上から見たUFOラインの景色

どこまでも広がる広い空と植生豊かな山の間を、天空を割くようにして突き進むUFOラインはまさに天空絶景スカイライン。
生命力を感じさせる木々も印象に残る、初夏のドライブでした。

UFOライン

山をバックにUFOラインを駆け抜けていきます

途中クルマを停めて地図チェックをしていたら、車中泊をしているご夫婦に声をかけられました。暑さ対策などについて話しているうちに、お互い同じミニIHコンロを使っていることがわかって大盛り上がり。車中泊をしていると、偶然の出会いがいくつもあるから楽しいんだよなあ。

おいしい空気に素敵な出会い、気持ちのいい山岳スカイラインドライブになりました。
これにて絶景ドライブはおしまい!

 

⑥「星ヶ窪キャンプ場」でおつかれパーティー

無事に四国一周できたことを記念して今日はキャンプ場でおつかれパーティー。
…のつもりだったのですが、パーティーグッズを買うのを忘れていてちょっと落ち込んでいます。

星ヶ窪キャンプ場の池のそば

森の横の池のそばに停められた白くま

でも大丈夫、今日のロケーションは最高です!
昔、隕石が落ちてできたと言われている池がある、ロマン溢れる素敵な無料キャンプ場「星ヶ窪キャンプ場」。近くにはUFOラインもあるし、このあたりには何かあるのかも…!?

星ヶ窪キャンプ場の看板

星ヶ窪キャンプ場の看板を手前に、奥に白くま。ここはあちこちに手がきの看板があり、心があったかくなるいいキャンプ場です

池に向かってとめどなく流れる水、池で泳ぐ鯉、誰もいない原っぱ、ベンチ、なんとも言えないこの場所、最高ですね…。パーティーグッズなんてなくてもここにいるだけで気分爆上がりです。

白くまに備え付けられたキッチン

今夜も白くまキッチンをオープン。たくさんの食材でいっぱい

今日はいろんな素敵なことが重なって食材が溢れている日。
先日隣で車中泊をしていた方から分けてもらった野菜や調味料、道の駅で手に入れた新鮮な野菜、果物、お刺身などを使っておいしいご飯を作ります!

白くまキッチンの設備

もう100回以上している白くまキッチンでの調理。料理をすればするほど調理台の改善点が出てきて、いつの間にか調理台もモリモリです。

白くまキッチンで調理する様子

白くまキッチンで、早速料理をスタート!

世界に一つだけの私と白くまだけのキッチン。手作り感あふれる空間での料理は癒しの時間です。

ピザの作り方解説

今夜のメインは、簡単に作れる「ピザ」で決まり

パーティーといったらピザなので、今夜は簡単なピザを作ることにしました。
先日、うどんを作れたことでちょっと難しそうな料理にも挑戦したい欲が出てきているのです!

料理が完成した瞬間

1時間半かけて、ようやくご馳走が完成しました!

日も落ちて暗くなった頃、やっと全料理が完成しました!
使っている野菜や魚はすべて地元のもの。調味料はいただいたものと道の駅で買ったもの。地産地消の夕ご飯です。

テーブルに並ぶご馳走

ベンチを埋め尽くす料理たち。個人的に美味しかったベスト3はピザ、ポテトサラダ、真鯛のお刺身でした

キャンドルを並べてちょっと楽しさアップです。パーティーグッズは持ってこられなかったけど、これが今できる精一杯…。
…とその時、急に目の前の池が光りだしました!

池の淵に光る、イルミネーション

池の向こうではイルミネーションが光ります。贅沢な時間だなあ…

突然光出したのは池を囲むようにぐるっと張り巡らされたイルミネーションと、星のピカピカ…! 星ヶ窪の名にふさわしい一番の星が輝き始めました。
さらに大量のカエルによる大合唱。さっきまで曇っていたのに空にはたくさんの星。

見上げた夜空と、そこに光る星々

雲の隙間からは、星空が…! 旅の終わりのご褒美のようでした

パーティーグッズがないのに勝手にパーティー会場ができていく様子が面白くって笑いが止まりませんでした。

本当に、最高の高知クルマ旅!

花火をする様子

旅の終わりを彩るのは、やっぱり花火です

感謝を込めて(?)白くまを通して出会ってきたものたちに花火ハートを贈ります。
キャンドルを灯して、ご飯を食べて、花火をして、これにて四国一周完走おつかれパーティーはおしまい!

星ヶ窪キャンプ場
住所:高知県吾川郡仁淀川町長者6606
TEL:0889-32-1113(仁淀川町仁淀総合支所地域課)
営業時間:24時間営業
URL:https://www.town.niyodogawa.lg.jp/life/life_dtl.php?hdnKey=958

 

まとめ

愛媛県佐田岬に引き続き、無料かつキャンプ地以外の広場も含めあたり一帯誰もおらず、貸し切りで、今夜は完璧なフリーダムキャンプナイト。また一つ、白くまと一緒に楽しめるいい場所を見つけることができました。

道路を走る白くま

透き通るような海も、雄大な川も、人と自然をつなぐ橋も、どこまでも広がる空も…この四国旅で見た絶景たちは普段自分が過ごしている場所とは本当に違う景色。

いつか行けたらいいなで終わることなく辿り着けたのは、白くまや応援してくれるみんなのおかげ。道中で出会った素敵な人たちと自然のおかげ。
四国旅は感謝がいっぱいの旅になりました…本当に帰りたくない! 移住したいところばっかり!

運転するいとうさん

そして四国旅は、「これから自分がしたい旅」が見えてくる旅でもありました。
自分の好きな水辺周りにもっと行ってみたい、カメラを勉強して素敵な風景と白くまを撮ってみたいなど、最近あまり感じていなかった「今の自分がしたいこと」が旅を通してたくさん生まれたのです。
色々な場所で料理をしていくうちに芽生えた、もう少し凝った料理をしてみたいな、という気持ちもそのうちの一つ。土地のものを使うだけでなく、その土地の郷土料理を学んで、車のおうちで作ってみる…そんなことがいつかできたらいいな。

いざ振り返ってみると、この四国旅は今までとこれからをつなぐ架け橋のような旅になったような気がしています。
これからも続いていく私と白くまの車中泊旅。次はどんな場所に行こうかな!

 

漫画/いとうみゆき
写真/いとうみゆき、Mojahrney
編集/古郡充彬、イガラシダイ、TAC企画