幻想的な白鳥の群れに遭遇! 新潟県「日本海夕日ライン」ドライブ~イラストレーターいとうみゆきのクルマのおうち旅

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令和6年能登半島地震により被災された皆様にはお見舞い申し上げます。 皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

イラストレーター・いとうみゆきさんと白くまが、今回は「新潟県」を舞台に旅をします。目指すは「日本海夕日ライン」。夕日が沈んでいく瞬間をカメラに収めることを目標に、まずは下越地方を巡ります。

▼プロフィール

いとうみゆきさんのプロフィールイラスト
イラストレーター いとうみゆき
埼玉県在住。セツ・モードセミナー卒業。畑と音楽を好み、パーマカルチャーや自然農を学んでいる。著書に『車のおうちで旅をする』(KADOKAWA)がある。
X @noca_m
Instagram @nmoytke
HP ito miyuki's illustration

目次

 

寒い季節用に、白くまをアップデート

秋から冬にかけての季節に、クルマ旅に出かけます!
暑すぎず寒すぎない、クルマ旅にぴったりの季節です。

路面はぎりぎり凍結していなかったのですが、標高の高い山にはすでに雪が積もっている季節。念のためスタッドレスタイヤに履き替えて、春夏旅とは違う装備と服装を用意しました。

冬の白くま装備といとうさんの服装

準備を整えたら、早速秋冬の車旅のはじまりです!
ベッド下の引き出しには、防寒着をつめこみました。どのくらい寒いか分からないけれど、車旅なら万が一のために荷物をたくさん積めるので安心です。

今回のクルマ旅の舞台は新潟県の海沿い。
新潟県の海岸線を南北に縦貫している「日本海夕日ライン」を進んでいきます。

新潟マップ

約337kmにもなる「日本海夕日ライン」は国道や県道などの複数の道路から構成された、海岸線を走る道の総称です。
その名の通り、夕暮れどきにはとても美しい夕日が海に沈んでいく様子を見ることができます!
夕日の他にも、珍しい形をした岩、荒々しい波、砂丘や透き通った海など、様々な自然を楽しむことができるそう。雄大な自然を思いっ切り堪能できるドライブコースなんです。

大きな夕日が見える道路を走る白くま

気象条件がそろえば世界一大きい夕日が見えるともいわれる日本海。一方で、新潟県は「天気が荒れやすい土地」としても知られています。
はたして、美しい夕日を目にすることはできるのでしょうか……?

下越ドライブマップ

旅のスタートは下越地方のなかでも北側に位置する、村上市。
シーサイドドライブ、早速出発です!

 

①笹川流れ

笹川流れから見上げる大きな奇岩

ちょっと怖いくらいの迫力がある奇岩

抜群の透明度を誇る海と不思議な形をした岩たちが鎮座する、11km続く海岸「笹川流れ」。
ここは日本百景にも選ばれている景観地です。

あいにくの雨でしたが、しっとりと濡れた岩肌と生き生きとした植物たちが合わさった奇岩は絵画のような美しさ。海水も透き通っていました。

奇岩でできたトンネルの間を抜けていく白くま

こんなトンネルをくぐり抜けたのは初めて! ちょっとだけドキドキしました

なにより岩の間に作られたトンネルは迫力満点! どんどん迫ってくるごつごつとした岩はアトラクションのようで、ワクワクしながらくぐり抜けます。

笹川流れで拾った、水玉模様の石

不思議な模様の石。一つひとつ柄が異なるので、見ているだけでも面白い

海岸に下りれば、間近で岩と海を見ることもできます。落ちている石が水玉模様でとても可愛らしい。

笹川流れを後にし、次の目的地へ向かう白くま

日本海の荒々しさによって生まれた奇岩が織り成す海岸は、他に見ないくらいの不思議な雰囲気を漂わせていました。旅をはじめて早々に、とても素敵なドライブができました。
次は晴れた夏の日とかにも来てみたいなあ。

 

②笹川流れ塩工房

塩工房の内部

海水を使って、ここで天然の塩が作られているそうです

笹川流れ沿いにある塩工房にもお邪魔しました。
塩を購入できるお店とカフェ、そして工房の一部が併設されていて、誰でもいつでも塩作りを見学できるようになっています。

入ってすぐにあったのは、大きな塩竈。初めて見るので、興味津々。

塩作りの様子を見学するいとうさん

塩ってこうやって作るんだ~! とワクワク&興味津々

ここの塩は、工房のすぐ下の笹川流れから汲み上げられた海水だけで作られている「笹川流れの塩」。なんと15時間以上煮詰めて塩を作っているそうです。

塩工房でゲットした2種類の塩と、ちょっと珍しい塩ソフトクリーム

ちょうど塩を切らしていたところだったので、旅のお供に2種類の塩を購入。
それからテラスで塩ソフトクリームをいただきました!  工房の隣にはカフェもあり、そこでも休憩できるそうです。

塩作りの様子を見学しつつ、食料調達に休憩まで!  ちょっと立ち寄っただけで、気持ちもお腹も満足感いっぱいに。いい寄り道ができました。

笹川流れ塩工房/ Salt&Cafe
住所:新潟県村上市脇川1008-1(旧山北町)
TEL:0254-78-2468
定休日:塩工房、Salt&Caféともに毎週木曜日
営業時間:8時00分~17時00分
URL:http://www.isosio.com/

おにぎりを作るために停車する白くま

そのあと、車内で炊いたお米と購入した塩を使って、おにぎりを作ってみました。どんな味わいか、期待が高まります。

笹川流れを見ながらおにぎりを食べる

塩をふりかけたゆでたまごも添えれば、出来立てほかほかお昼ご飯の完成。
お米はもちろん新潟の新米です! 
それから道中の道の駅で見つけた「おむすびジャム」ものせてみます(こちらは新潟県中越地方の長岡市で作られたもの)。パンのジャムとは異なる、しょっぱい系のおかずジャムで、今回は肴豆(枝豆)オリーブ味を選びました。濃厚な豆とニンニクの香りがたまらない、とってもいいおむすびのお供です。

笹川流れを眺めながら、ピクニック気分でお昼ご飯。
塩工房で作られた塩はえぐみがなく、旨みだけがぎゅっとつまったおいしさでした。
冷たい雨が降り続く寒い日でしたが、ほかほかおにぎりを食べれば心も身体もほっこりです。

 

③海に沈む夕陽を見ながら足湯「日本海」

そうこうしているうちに、あっという間に夕方になりました。

車窓から見える夕日

降り続いていた雨もようやくおさまって、うっすらではありますが、車窓から夕焼けが見えてきました……! 

薄紫色になる空と、足湯に浸かるいとうさん

足湯に浸かりながら見渡す日本海は、信じられないくらいの美しさでした

海岸沿いにある温泉街の足湯で一息。今回はここが夕日スポットです。
目の前に広がるのは、どこまでも広がる日本海。
曇り空を夕日が薄紫に染め上げる光景は、びっくりするくらい幻想的でした。天気が悪いことを残念に思っていましたが、こんなに綺麗な夕焼けが見られるのなら、曇の日も案外悪くないのかも。
やさしい夕日と足湯パワーで、ほっとできるいい時間を過ごすことができました。

ここは無料で誰でも立ち寄ることができるので、ドライブの休憩にぜひ。

大観荘せなみの湯 足湯「日本海」
住所:新潟県村上市瀬波温泉2-10‐24
TEL:0254-53-2131(大観荘せなみの湯)
利用時間:6時00分~22時00分
※冬期間は閉鎖しています
URL:https://www.taikanso.senaminoyu.co.jp/

 

④日本海丸見え温泉

夕日をひととおり楽しんだら、やがて夜がやって来ました。
せっかくなので、足湯近くの日帰り温泉に立ち寄ることに。

温泉を楽しむいとうさん

露天風呂からは日本海を望むことができました!  夕方にくれば夕日も見えるはずです。

最近車旅をしていて楽しいことのひとつが、いろんな地域の温泉に入ること。景色やお湯の質感の違いを楽しみつつ、一日を温泉で締めるのが幸せなのです……。

今日の温泉は、内臓強化に効果のある塩化物温泉だそう。
寒さと運転の疲れで固まっていた身体がゆっくりとほどけていくのが分かります。寒い日の露天風呂はやっぱり格別です!

素晴らしい景色のドライブを楽しんで、おいしいお米を食べて、温泉で温まったら、もう最高に大満足。
今日もいい一日でした。

ゆ処そば処 磐舟
住所:新潟県村上市瀬波温泉3-2-30
TEL:0254-50-7488
営業時間:10時00分~22時00分(受付終了:21時)
URL:https://www.taikanso.senaminoyu.co.jp/bansyu/

 

⑤瓢湖の白鳥たち

白鳥たちが佇む、瓢湖

翌日は早朝から活動開始。
日の出を狙って、白鳥が見られる湖へ向かいました。

晴れている日には日の出とともに飛び立つ白鳥たちが見えるそうなのですが、今日はあいにくの曇りで日の出は見られず。
でも、日の出の時間になっても優雅に湖を漂う白鳥たちをゆっくり眺めることができて、これはこれで興奮もの。

ものすごい数の白鳥たち

それにしてもすごい数の白鳥!  この日はなんと、5,000羽を超える白鳥がいたそうです。

アップで写る白鳥

この白鳥たちは冬を越すため、この時期だけロシアから飛来してくるそうです。
日中は近くの田んぼなどで餌を探しているため、この湖で見られるのは早朝と夕方だけ。
ふかふかの毛がとってもあったかそうで、見ているだけで癒されます。

早い時間から待機していたので凍えてしまい、途中で白くまに戻って休憩を挟みました。
(あまりにも白鳥たちが飛び立たないので……)

クルマの中で待機しながら、白鳥が飛び立つタイミングを伺う

スーパーで買っておいた肉まんをせいろで温めて、朝ごはん。
お湯を沸かすだけでものを温められる&蒸し料理ができるせいろは、工程が多い調理をしたくない車旅でのいい相棒です!

せいろで蒸した肉まん

白鳥たちが飛び立つまで、蒸したての肉まんで暖を取ります。これもまた至福の時間

冷たくなった白米も簡単に温められるし、気軽にほかほか肉まんが食べられます!

ついに飛び立つ白鳥たち

飛び立つ白鳥が増えてきたら観察再開。
まじまじと白鳥を見たのは初めての経験だったのですが、ずうっと見ていると仕草や鳴き声の特徴が分かってきて、とても面白かったです。

次々と飛んでいく白鳥たち

飛んでいる姿は優雅でかっこいいのに、飛び立つ瞬間はどたばた必死なところが特にかわいい。

白鳥が飛んでいくところを見守るいとうさん

薄暗い早朝の空を真っ白な白鳥が飛んでいく様子は、まるで絵画みたいに綺麗

その後も雨が降ったり寒さに耐えきれなくなったりするたびに白くまでの休憩を挟みつつ……、結局3時間ほど観察しました。

日の出前から待機し、寒くなったらクルマの中でのんびり休憩をする……という、車旅ならではの贅沢な観察会。とってもいい時間でした。

瓢湖
住所:新潟県阿賀野市水原313-1
TEL:0250-62-2690

次の目的地へ出発する白くま

 

まとめ

砂丘の横を走る白くま

雨によって迫力が増した岩と波、どんな天気でも楽しめる塩工房、ぼんやりとした夕日が幻想的だった足湯、寒さが一気に吹き飛んだ露天風呂、灰色の空がよく似合う真っ白で美しい白鳥たち……。
雨が降ったり寒すぎたりするときはすぐに駆け込める白くまのおかげもあって、曇りや雨でも楽しめた、大満足の下越地方のクルマ旅でした。

晴れていたら行きたい場所もあったので、それらはまたいつかのお楽しみに。
最初はドキドキしていた初めての土地ですが、一度白くまと走ってしまえばそこはもう、またいつか旅をしてみたい場所に早替わりするのです。

海沿いを走る白くま

瓢湖を出発し、次は中越地方へ向かいます。
すると、暗かった空が少しずつ晴れ、徐々に日が差してきました……。

 

漫画/いとうみゆき
写真/いとうみゆき
編集/イガラシダイ、TAC企画