クルマ・バイク好きでマニュアル車を中心に多彩な車種を乗り継いできたさるこさんが、現在挑戦しているのは、Honda「N-VAN」に「モンキー125」を積載したトランポ&車中泊の旅。DIYで車内を改造し、趣味を詰め込んだユニークな旅スタイルを目指す、彼女の工夫や車中泊旅の魅力に迫ります。
- さるこさん
- 栃木県在住の会社員。運転免許証の取得後、スバル「インプレッサ」に始まり、ダイハツ「コペン」、BMW「130i Mスポーツ」、アウディ「S1クワトロ」など数々のマニュアル車を乗り継いできたクルマ好き。あわせて、Honda「スティード」からトライアンフ、ハーレーダビッドソン、BMWなどさまざまなバイクも愛してきた内燃機関好き。現在は「モンキー125」を積載した「N-VAN」による車中泊旅を実行するため、日々DIYにチャレンジしている。
- Instagram : saruko_van
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2024.06.26
スケバン刑事がきっかけ? のマニュアル車遍歴
通勤用にアウディ「S1クワトロ」と、ツーリング用にヤマハ「セロー250」を所有しているだけでもかなりの趣味人なのですが、そこへ2024年の春からトランポ(バイクをクルマに積載すること)での車中泊旅を実践しようとHonda「N-VAN」と同「モンキー125」を追加した、そんな驚きのインスタグラマーが栃木県在住のさるこさんです。
実は以前「N-VANの集い Vol.2」(2024年6月)のレポート記事にご登場いただいたので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。そのときは、N-VAN購入直後でまだまだ車中泊仕様にカスタムができておらず、トランポしていたバイクもHonda「CT125 ハンターカブ」だったのですが、その後いよいよDIYに乗り出し徐々に本格的なトランポ&車中泊仕様に近づいてきたのだそう。というわけで今回は栃木県までお邪魔して、最新の仕上がりを拝見いたしました。
本日はよろしくお願いします。まず、N-VANを拝見する前に、事前にご回答いただいたさるこさんの愛車遍歴がすごすぎて整理できないんですが…。オートマのN-VANが珍しいくらいマニュアル車のクルマやバイクばかり乗り継いでこられていますよね。
さるこさん:私自身もあやふやな点はあるんですが、最初に自動車免許を取って乗ったのがスバル「インプレッサ スポーツワゴン」のマニュアル車で、それ以降ダイハツ「コペン」やBMW「130i Mスポーツ」などを乗り継いできました。その途中でフォルクスワーゲン「ニュービートル」やダイハツ「ムーブ」といったオートマ車に乗っていたこともありますけど、好んで乗るのはやっぱりマニュアル車ですね。
若い頃、マニュアル車に乗ろう! と思ったのはどういうきっかけなんでしょうか?
さるこさん:運転免許証をマニュアルで取ったので、せっかくだからマニュアルに乗ろうと思ったくらいですかね。ただ、そのあと遅れて二輪車免許を26歳くらいで取るんですが、バイクに関しては明らかに憧れのイメージがありました。それが小学生の頃にテレビドラマで観た『スケバン刑事(デカ)』です。劇中で、斉藤由貴さんがツナギでカワサキ「GPz250」に乗って学校に乗り付けるんですが、そのツナギを脱ぐとセーラー服というシーンがあって、それで「カッコいい! 私もバイクに乗る」と心に決めていました(笑)。
きっかけは『スケバン刑事』! それが高じてバイク遍歴もすさまじい…。
さるこさん:最初Honda「スティード」に乗って、それからトライアンフ「スラクストン900」、ハーレーダビッドソン「ローライダー」「ロードグライド」「パンアメリカ」、BMW「R 1250 GSアドベンチャー」と大排気量車を中心に乗り継いできました。あらためて振り返るとマニュアルとエンジンが好きなのかもしれませんね。
そんな大排気量バイクばかりのさるこさんが、現在ヤマハ「セロー250」とHonda「モンキー125」に落ち着いたのはなぜでしょうか?
さるこさん:大型バイクは走り出しちゃえば長距離ツーリングなども楽なんですが、一方でコミュニティの結束が強くて集団ツーリングなどのお誘いも多い。楽しいのですがちょっと疲れちゃったのがひとつ。そんなとき出会ったオフロードバイクで林道を少人数で走る楽しさに気がついて、小排気量でもいいかと現在のラインナップに落ち着いたんです。
トランポ旅に目覚めたしまなみ海道
なるほど。そこから、さらに小排気量バイクをトランポしての車中泊旅をやりたい! と思ったのはなぜでしょうか?
さるこさん:2023年ですね。友達のシボレー「アストロ」に「ブラストトレイル(荷台)」を牽引し、そこに「CT125 ハンターカブ」を載っけて瀬戸内海のしまなみ海道を旅したんです。生口島をベースにしてバイクで島々を巡ったんですが、ご存知の通り原付二種なら橋を渡るのも50円から200円で済みますし、島から島へのんびりツーリングするのがとても楽しかった。それで自分一人でもトランポと車中泊をあわせたツーリング旅をやりたくなったんです。
筆者も以前バイクでロングツーリングしていたのでわかります。テントだと安上がりですが、張れる場所が限られますし、何より疲れが取れないし、天候や治安面でも不安が残ります。かといって連日ホテルで泊まると旅費がかさみますし。そう考えるとトランポと車中泊の旅は最高ですよね。
そこでN-VANに白羽の矢が立った理由はなんでしょうか。
さるこさん:一度はブラストトレイルも考えたんですが、運転と駐車場所に気を遣いそうなので、やっぱり車内にバイクを載せるのが簡単でいいなと。そんなとき、カタログでハンターカブを載せているビジュアルを見て、まさに自分がやりたかったのはこれだ! と思ってN-VANにしたんです。
本当はガーデングリーンメタリックが欲しかったそうですが、すでに廃番。ソニックグレーパールなら即納できるとのことで、「シビックタイプRでも使われているから、レーシーなイメージも悪くないか」と購入を決めたそう。
N-VANの集いに参加の際は、納車後3ヶ月(2024年3月納車)とのことで、まだトランポ用の装備しか付いていなかったですものね。あのイベント参加で何か掴めたことはありましたか?
さるこさん:そうですね。あのイベントでN-VANをDIYする前にいろんな方のカスタムや用品を拝見できたのは良かったですね。やりたいことはもちろん、逆に私には必要がないこともわかって良かったです。例えば私はバイクを出し入れしたいので、天井を低くしてしまう改造はいらないな、とか。あと、主催者のちぎすけさんがご近所さんということもあり、その後もDIYで悩んだ箇所をいろいろ相談に乗っていただいたり、時には手伝っていただいたりしています。
まず手を加えたのはトランポ用装備
それは心強いですね。では、現在のトランポ&車中泊仕様の状況を、DIY順で伺いたいのですが、まず手を入れたのはバイクを載せるトランポ仕様ですよね。
さるこさん:はい。最初に買ったのは、前輪を固定するフロントホイールクランプと、バイクを載せても床面が傷つかないようプロダックス社のN-VAN用フロアパネルですね。パネルにはチェッカープレート(縞鋼板)柄のシートを貼り付けています。あと必要なのは積み下ろしに必要なラダーレールですね。これはなるべく軽くしたかったので、DRC社のアルミと樹脂のハイブリッド製を買いました。
とりあえず、この3点とあとは固定用のベルトを導入すればN-VANでトランポが実現するわけですね。では車内のほかのDIY箇所も拝見したいので、一度バイクを下ろしてみせてもらってもよいでしょうか。果たして女性一人でも積み下ろしができるのか、気になる方もいらっしゃるはずです。
さるこさん:はい。まずはベッドを中心に大きな荷物を外に出して車内をなるべく空っぽにしてから、バイクを固定しているベルトを外します。それで、車体を後ろに引きフロントホイールクランプから前輪を抜きます。このへんは原付用のコインパーキングと同じ要領です。いったんサイドスタンドで車体を停めて、後輪がうまくラダーレールに載るようおしりをずらします。このときちょっと力がいるのと、狭い車内なのでベッドなどにバイクが干渉したりしますね。あとはラダーレールに沿ってゆっくりと車体を下ろします。荷台と地面の段差が大きく不安なので、私は途中に収納ボックスを設置して踏み台にしています。もっとも、バイクを下ろすときより積むほうが緊張しますね。アクセルをふかしながらエンジンの力で重いバイクを車内にあげるので。
小排気量とはいえ100kg以上もあるバイク。しかもN-VANの車内外を傷つけたくないし、そりゃあ緊張しますよね。そういえば今さらなのですが、N-VANの集い時に載せていたハンターカブから、現在はモンキー125に乗り換えられていますよね。
さるこさん:実はハンターカブは全高が高くて、N-VANを運転しているときの後方視界が悪かったからです(笑)。
そんな理由が。でもボディカラーのイエローが、N-VANのグレーとマッチしていますね。ちゃんとベルト類や収納ボックスもイエローを選んでコーディネートしているのがニクイところです。
内外装から快適装備まで、圧倒的物量のDIY
はた目からも手に汗握る積み下ろしの瞬間でしたが、ここからモンキー125でツーリングに出かけるも良し、車中泊モードにして車内でくつろぐも良しですね。ここからがN-VANの集い参加後に手を入れたポイントたちでもあるそうで、この夏、毎週末お休みを使ってコツコツと仕上げたのだとか。
ざっくりと手を入れたDIYポイントを順番に教えてください。
さるこさん:納車時にディーラーで付けたものでいうと、運転席まわりの天井収納のルーフコンソールとマッドガードです。
自分で手を加えた箇所は、まず、天井の内装を剥がしてからデッドニング(制振材や吸音材などを詰め込み、エンジン音や風切り音などのノイズを抑え車内の静粛性を高める処理)したあと、フロアライトを仕込んでライニング(天井の内張りの張替え)をしました。
次に全長170cmの収納付きベッドを作りました。で、専用のベッドマットを作って、カーテンレールを付けて。あとはリアクォーターウィンドウを埋めて収納やマガジンラックになる両側のサイドパネルや、調理台にする跳ね上げ式テーブルを備え付けましたね。他にもバックドアにパネルを張ったり、取っ手になるバーを付けたり、内側から開閉できるボタンも付けたり、採光窓や換気扇を付けたり…。
めちゃくちゃ盛りだくさんですね。
さるこさん:それも内装だけの話で。外装では サイドオーニングやルーフキャリアを付けていますね。
「! 」ひとつひとつじっくり拝見したいのですが、いったん前編ではここまで。詳しいDIY箇所とその作り方、それぞれにかかった日数などは後編へと続きます。おたのしみに。
今回撮影でご協力いただいのは、2万平方メートルの広大な敷地を誇るGLYPH前日光店。敷地横を清流・大芦川が流れ、森林に囲まれた自然豊かなオートキャンプ場です。ゆとりのあるフリーサイトに加え、1日1組限定の広大なプライベートサイトのほか、サウナや内風呂、シアタールームといったアメニティも備えています。
文/熊山 准
写真/宮越 孝政
編集/熊山 准、TAC企画
撮影協力/GLYPH前日光店
https://glyph.tokyo/base/maenikko