
GORDON MILLER(ゴードンミラー)のハイエースで車中泊キャンプを楽しむ、チュートリアルの徳井 義実さん。キャンプに興味を持った理由の一つは、もともとキャンプギアが好きだったから。道具へのこだわりと熱量のあまり、自身でオリジナルのプロダクトブランド「Mystify」を立ち上げ、開発から販売まで手がけるようになりました。数あるアイテムの中から、徳井さん推しの8アイテムをご紹介します。

- 徳井 義実(とくい よしみ)さん
- 京都府出身。芸人、俳優、お笑いコンビ「チュートリアル」のネタ作り担当。2021年にYouTubeチャンネル「徳井video」を開設し、登録者数は74万人超(2025年9月時点)。撮影・編集すべてを一人で手がけるほか、キャンプギアなどのオリジナルプロダクト「Mystify」の企画・開発もゼロから担当。キャンプイベントのオーガナイザーとしても活動中。
- Instagram:@tokui_yoshimi
YouTube:徳井video
X:@tokuiyoshimi
「Mystify」公式アカウント:@mystify_industries
「Mystify」オンラインストア:Mystify
キャンプギア好きが高じて、オリジナルプロダクトを企画開発
オフの日に晴れが重なれば、車中泊キャンプ一択。仲間を誘い、道中のスーパーマーケットや道の駅で旬の食材を買って、お気に入りのキャンプサイトに出かけるというチュートリアルの徳井 義実さん。GORDON MILLERのハイエースを旅の相棒に、荷台にはこだわりのキャンプギアが積まれています。

キャンプを始めたきっかけや、ハマった理由の一つが、「キャンプギアが好きだったから」。道具を手に取り、「どう使うとよいだろう」「次行くキャンプで試しに使ってみよう」と考えているだけで楽しいのだそう。そんなギアへのこだわりは、「もっとこんなデザインのものがあったらいいのに」「こんな素材のアイテムがあったらいいのに」というアイデアにつながっていきました。
そうしてYouTubeチャンネル「徳井video」から、2021年に誕生したアウトドアプロダクトストア「TOKUI VIDEO STORE」。これまで40近い商品が、徳井さん自身の企画・開発によって世に送り出されてきました。2025年4月にはブランド名を「Mystify」にリニューアル。「煙に巻く」「神秘的にする」といった意味の言葉には、徳井さんならではの価値観が反映されています。
「明確なものや答えを求めがちな世の中ですが、曖昧だったり不可思議だったりするものに、人はどこか惹かれていくものなんじゃないかな、と。僕自身が、『これは何だろう』と困惑させられるようなものが好き。その雰囲気をブランドにも込めたかったんです」

Mystifyのプロダクトは、徳井さん自身の「ほしい!」という思いからすべてがスタートしています。商品の企画はもちろん、思いをカタチにしてくれる工場を探し、直接訪問して打ち合わせを重ね、サンプルに何度も改善を加えながら、理想のプロダクトを完成させていく。その全工程を徳井さんが手がけています。
TOKUI VIDEO STOREの立ち上げ当初は、お客様からの問い合わせメールや電話応対、商品の発送などあらゆる業務も徳井さんがやっていたそう。「いちメーカーとして、商品が生まれ、お客様のもとに届くまでの必要な業務はすべて経験して理解したかった」と話します。
開発者、徳井 義実がおすすめする「Mystify」のアイテム8選
ものづくりへのこだわりとお客様へのリスペクトにあふれる徳井さん。全国の町工場の職人さんたちと、妥協なく作り上げてきたプロダクトの中から、とくにイチオシな8つのキャンプギア&アイテムを教えてもらいました。
おすすめギア①「こじらせパン」シリーズ
徳井さんプロデュースプロダクト第一号が「こじらせパン」。使えば使うほど、油が馴染んで使いやすくなる鉄製のフライパンです。持ち手部分は木製なので、熱くならず、握りやすさも抜群。金具部分を黒に塗装したのも、徳井さんのこだわりポイント。そのフライパンをベースに中華鍋へアレンジしたものが「こじらせ中華パン」です。

ものづくりのパートナーを求めて徳井さんが訪れたのは、大阪にある「藤田金属株式会社」さん。国内外のデザインアワードを受賞した「フライパンジュウ」をはじめ、世界に誇る日本製の鉄フライパンを作っているメーカーです。
「クオリティは言うことなし。一生ものとして、末永く愛用してほしい」と話します。

ちなみに、“こじらせ”の名称は、徳井さん自身が友人や芸人仲間から「人生をこじらせている」と言われてきたことからつけたもの。YouTubeチャンネルの人気コンテンツ「こじらせ飯」のロゴが、各所にデザインされています。
おすすめギア②「折り畳みまな板 go out」&「こじらせ包丁」
外に持ち出すことを想定して作られた、折り畳み式のまな板と包丁。こじらせ包丁は、刃物の街・岐阜県関市の工場と一緒に開発しました。一般的な三徳包丁よりも短くすることで刃を薄くし、軽量化を実現。「使いやすさと軽さのベストなバランスを叶えたこだわりの一品!」と自信をのぞかせます。

驚かされるのが、まさにキャンプを実践している徳井さんならではの視点で備え付けられたその携行性です。
「包丁を持ち運ぶときには、刃の部分を覆うカバーが必要です。でも、まな板に収められれば不要になり、省スペースにもなるでしょう。磁石で刃の部分がぴったりくっつき、ロックも付けているので安心して持ち運べます」

おすすめギア③「メラタワー【焚き火台】」
暑い時期以外はほぼ毎回、焚き火で料理し、火を眺めながらお酒を楽しんでいるという徳井さん。そこで、理想の焚き火台を作ろうと開発したのが、キャンパーに大人気のギア「メラタワー」です。

1段目に薪を置き、2段目に炭を入れて肉を焼き、3段目にやかんを置く…とかなり効率的に火を活用できる優れものです。高さがあることで、焚き火を囲んだときのあたたかさが違い、「キャンプファイヤー感がぐっと増してテンションも上がる、秋~冬キャンプの必須ギア」と言います。

「お湯を沸かすために、また火を起こさなくちゃいけないのは大変です。メラタワーなら、3段目にヤカンを置いておけば保温状態になるのですごく便利。3段式の焚き火台は、世界中見渡してもなかなかないはずです」

おすすめギア④「awesome tool bag (2025モデル)」
細々としたものをいかに見つけやすく収納しておけるかも、キャンプでは求められます。そんなニーズに応えてくれるのが、収納力抜群の大人気ツールバッグ「awesome tool bag」。外側の生地は蠟引き加工で汚れが付きにくく、内側は、濡れても汚れても拭けばすぐにキレイにできる素材を使っています。

「調味料はどうしてもこぼれたりしてバッグの中が汚れるので、すぐに拭ける素材で作ろうと決めていました。底の部分にはフライパンを入れられるスペースもあり、汚れを気にせず入れて持ち運びできるのでめちゃくちゃ便利です」


おすすめギア⑤折りたためて場所を取らない万能マットレス「awesomeマットレス」&「ちょうどいい枕」
車中泊を快適に過ごすために、最重要アイテムと言えるのがマットレスです。
これまで、インフレーターマットやウレタンマットなど数々試したものの、寝心地がイマイチだったと話す徳井さん。あるときニトリの布団に寝てみたところ、「やっぱり布団が一番眠れる!」と実感。へたらない頑丈さと柔らかさを両立させたオリジナル布団を作ろうと、綿・ウレタン・綿の3層構造の「awesomeマットレス」を開発しました。

「布団のデメリットは場所を取ること。そこで、折りたたんでコンパクトに収納できるようデザインし、車中泊にぴったりのシングルサイズを作りました。布団メーカーと一緒に作ったので、家のベッドかと錯覚するくらいの寝心地の良さです」

おすすめギア⑥「多機能シートカバー」
キャンプなどアウトドアでは、知らず知らずのうちに泥や炭、油汚れなどが付いていることも。そこで車内を守ってくれるのが、どんなシートにも装着可能な「多機能シートカバー」です。裏面に滑り止めが付いているので、シートカバーがズレることなく座り心地も快適です。

「裏面には大小さまざまなサイズのポケットやフックを付けました。裏面シートだけ取り外せるので、小物やキャンプギアを入れたまま、キャンプサイトに吊るすこともできます」

おすすめアイテム⑦「Mystify Tシャツ」
さりげなく徳井さんが着こなしていたのも、実はMystifyのオリジナルアイテムでした。ちょうど良い厚みで、使い勝手の良いTシャツシリーズ。「煙に巻く」をイメージしたMystify Tシャツのイラストも、徳井さん自身がデザイン。その多才ぶりに驚きます。

おすすめアイテム⑧「こじらせカレー」
そして、徳井さんが企画したアイテムは、食品にまで及んでいます。おいしいカレーを求めて全国を食べ歩いてきた徳井さんが開発した、無添加・絶品「こじらせカレー」。理想の味をカタチにした一品です。

数年前に取材で訪れたカレー屋さんで、あまりの美味しさに心を掴まれたという徳井さん。そのお店が使っているカレー粉メーカーに、オリジナルカレーを作ろうとコラボレーションを提案し、半年間の試作期間を経て生まれたのが、フレーク状のこじらせカレーです。

「こじらせカレー自体に野菜と果物がふんだんに入っているので、煮込み時間によって味が変わっていきます。お好みで食材を炒めたら水を入れて、こじらせカレーを混ぜれば完成。5分ほどでできる手軽さはキャンプにもぴったりです」


徳井さんが手がけるオリジナルブランド「Mystify」はこちら
【公式】Mystify
体験することに価値がある。キャンプと出合って変わった考え方
キャンプを重ねれば重ねるほど、ほしいギアやアイテムのアイデアが浮かんでくると話す徳井さん。今後は、メラタワーにヤカンをかけるオプションツールや、オリジナルカレー皿を作っていく予定だそう。アパレルアイテムでは、バッグのラインアップを増やし、サングラスも作っていきたいと意欲的です。
「Mystifyは、ものを売っているというより“体験”を売っているブランドでありたいと思っています。僕自身が、ものを買うときは調べ尽くしてから買うタイプ。調べる過程がすでに買い物の一環で、わくわくする体験になっているんです。Mystifyも、そんなふうにお客様を楽しませて、買っていただいたあとは長く使い続けていってほしい。ものと一緒に、いろんな体験を重ねていってくれたらうれしいです」
YouTubeチャンネル「徳井video」で見られる、キャンプギアを使いこなし、手際良く料理を進める徳井さんの姿。キャンプや車中泊バンライフに憧れを抱きつつ、「自分には、ここまで本格的にできないなぁ」と思ってしまう人もいるのでは……。そんな人へのメッセージを聞くと、「自然のある場所に行って、外でご飯を食べてみたら、それがキャンプだよ」と軽やかに話してくれました。

「キャンプというと、道具をそろえて準備万端で行かなくちゃ……と思ってしまうかもしれない。でも、自然の中で一杯コーヒーを飲むだけでも、それがキャンプだと思うんです。料理をしなくても、買っていったものをのんびり外で食べるだけでいい。始めてみれば、『私だったら、こう過ごしたほうが心地いいな』という自分なりの好みが見えてくる。その時点で、少しずつ何かをそろえたり、準備したりすればいいんじゃないでしょうか」
車中泊もまた、「シートを倒してクルマの中で寝れば、それが車中泊」と笑います。キャンプに出合い、車中泊をするようになって、価値観が変わってきたと感じることも多いと話す徳井さん。
「キャンプで使う道具には、どんなデザインにもすべて用途と意味があります。良い工業製品とはこういうものだな、という考えがさらにクリアになりました。だから、高いだけのブランドものに興味がなくなりましたし、お手頃な食材でも食べる環境が変わればいくらでもおいしくなると知れた。“体験すること”にお金や時間を使っていきたい、と思うようになっています」

今の夢は、1週間以上のロングキャンプに行くこと、なのだそう。
「1泊のキャンプでは、テントの設営がめんどくさいと感じることも多いけれど、1週間過ごす場所だと思えば、まったく苦にならないでしょう。その日の気分や天気によって、テント泊と車中泊を選びながら毎日をのんびり過ごせたら、僕にとっては最高の休暇です」
自分の作ったギアで1週間過ごすことで、また新たな商品企画のアイデアが生まれてくるかも! と目を輝かせます。
これから、どんなユニークなギアが生まれてくるのか。徳井さんの活躍から目が離せません。
文/田中 瑠子
写真/やまひらく
編集/くらしさ(TAC企画)
撮影協力/キャンプ・アンド・キャビンズ山中湖