映像制作に携わるスミヤさんは、まとまった休日がとれると車中泊仕様にDIYした愛車、Honda フリード+(プラス)で週末バンライフを楽しんでいます。元々アウトドア好きだったこともあり、各地のキャンプ場などでソロ or ファミリーで過ごしているそうです。
YouTubeチャンネル「a different hippy」として活動しており、奥様と愛犬のなめたろう君とのバンライフや、カスタム術などについてインタビュー。特に、スミヤさんが得意としている、木工技術を活かしたカスタムパーツやシーンに合わせたアレンジテクは必見です!
目次
- スミヤさん(写真右)
- 愛知県在住。プロジェクションマッピングやプロダクト説明ムービーなど、コンピュータ・グラフィックスを中心とした、物から、撮影編集まで幅広い映像制作のお仕事に従事。また、YouTubeチャンネル「a different hippy」としても活動する。クルマのカスタムや車中泊、キャンプなどの模様をUPしているYouTubeチャンネルは、登録者数5万人以上と大人気!
- YouTube: a different hippy
- Intsagram: @sumiya_hippy
- Video works: http://d-hippy.com/
フリード+を選んだきっかけは、リアゲートからの絶景!
約3年前にHonda フリード+を購入したというスミヤさん。それまではオートバイとコンパクトなフォルクスワーゲン ニュービートルが主な交通手段だったそうです。
スミヤさん:5年ほど前からキャンプ動画をYouTubeで配信しているんですが、ある日、クルマのラゲッジから見た絶景写真が、インスタグラムに流れてきてすごく感激したんです!
詳しく見てみると、フリード+のリア視点の写真でした。車中泊にも向いているとのことで、冒険心がくすぐられて購入を決めました。
実際、フルフラットのラゲッジルームで運転席を背もたれにして座ると、ロケーション次第で手軽に素敵な景色が楽しめて、解放感までたっぷり。加えて、ラゲッジルームの両サイドに設置されているユーティリティーナットの存在にも惹かれたそう。
スミヤさん:昔から木材を使ったクリエイティブなことが好きだったので、DIYカスタムにも興味津々でした。
ユーティリティーナットが標準装備のフリード+なら土台ができていますから、大規模なカスタムをしなくたって、近所のホームセンターを活用すれば十分にアレンジできそうだなと思ったんです。自宅マンションにはガレージがなく、大改造するのは厳しいんです。
あとは、普段使いしやすいサイズも気に入っています。大きなクルマを改造するのにも憧れますが、ファミリーで使うには持て余しそうで(笑)。
フリード+購入後、アウトドアを家族揃って楽しめる機会が増えたことに加え、仕事の面でもプラスがあったそうです。
スミヤさん:30歳くらいでサーフィンをはじめてから自然に興味が湧き、いろいろ撮影するようになったんです。
それで徐々に陸でも活動するようになり、映像制作の仕事も兼ねて、さまざまなスポットの星空や風景をタイムラプスで記録するのが定番に。一時間おきに撮影するのですが、そんなときに居住性の高いフリード+なら落ち着いて過ごせます。PC作業だって車内でできてノーストレスです。
YouTubeのa different hippyチャンネルより↓↓↓
スミヤさん:このクルマならキャンプも手軽にできるので、妻と愛犬のなめたろうもリラックスして楽しんでくれてます。
設営撤収しやすく自由に使える時間も多い、テントを張らないオートキャンプ。とはいえ、お悩みもちょっぴりあるんだとか。
スミヤさん:タープやギャレー(移動式のミニシンク)の使用を考えると、やっぱりオートキャンプができる場所は限られてしまいますね。
私が以前楽しんでいたキャンプは、持ち込む道具を必要最低限に抑えて、ワイルドな環境で過ごすスタイルだったので、場所はどこでも可能だったんです。
そのイメージもあって、テントを張らない車中泊ならもっといろいろな場所で挑戦できると思っていたのですが、結局、スペースの問題でオートキャンプ場頼みです(笑)。
ちなみに愛犬のなめたろう君は、キャンプ場に到着次第、軽くお散歩をするのがルーチンなんだとか。まずは周囲を確認させて、初めての環境でも緊張しないよう労ってあげるそうです。
奥様:キャンプ場へ着くまでの道中でもこまめに休憩をとってやれば、ストレスが溜まりにくいと思います。携帯しやすいシリコン製の折り畳み皿があると、水や餌をやるのに重宝しますよ。
フリード+の車内スペースを最大限活用したDIYカスタム術
スミヤさんがフリード+をDIYしていく上で意識したのは、インテリアを状況に応じてアレンジしやすく仕上げること。車内の快適性を向上させつつ、各パーツをコンパクトにしたり汎用性を高めたりすることで、限られたスペースが無駄なく使えるよう工夫しています。
ここでは、ラゲッジスペースを中心とした実際のカスタムポイントを、キーとなる自作アイテムと収納スペースの活用法とともにご紹介していきます。
ファミリーキャンプの荷物収納時と、荷物を下ろした状態を比較
まずはスミヤさんのフリード+の車内スペースがどのように活用されているのか、ファミリーキャンプ用の荷物を収納している状態から紐解いていきます。
床下収納を最大限活用し、意外なほどシンプルに工夫された全体像が見えてきました。
▼ファミリーキャンプの荷物収納時
スミヤさん:積み下ろしが短時間で完了することを念頭に、荷物を収納しています。基本的には、車内の後部座席はずっと倒した状態なので、折りたたみ式のマットも余裕で収納できます。
オートキャンプ場に到着時には、大型のギャレーさえクルマから下ろしてしまえば、あとはタープの設置に集中できますしね。
▼ファミリーキャンプの荷物を下ろした状態
スミヤさんのフリード+は基本的には常時、後部座席を倒した状態です。ラゲッジルームと合わせてフラットな空間スペースが確保できています。
写真手前の木製ボードは、もともとフリード+に付属している、荷室を上下に分割して使用するためのユーティリティーボードを参考に、DIYで作成したもの。
スミヤさん:車内を木製の雰囲気で統一したかったので自作しました。床下部分に引き出し式の棚を設置する想定だったので、上からもアクセスできるよう、開閉式の小窓も作りました。
実はフリード+の2列目シートを倒すと、若干の段差ができてしまいます。これを埋めるためにちょうど良いのが、ホームセンターで1枚500円ほどで購入できる2枚のバスマット。
スミヤさんはシートカバーと同系色の自作ナイロンカバーを被せて、インテリアの調和を乱さないようにしました。
スミヤさん:フラットなスペースを作るためにバスマットを敷くテクニックは、実はフリード+ユーザーの間では定番カスタムなんです。完全な平面になるだけでなく、クッションにもなって一石二鳥!
アレンジ豊富な【イケア】のベッド用マットレス
車中泊をはじめ、フラットになったスペースを有効活用するために、スミヤさんはイケアで購入した「四つ折りマットレス(モデル名:スレクト)」を使用しています。
スミヤさん:2つ並べると車内の横幅にシンデレラフィット! 寝床だけでなくソファにもなってくれるのでお気に入りです。夫婦で景色を眺めたり、コタツに入ったりするときなんかに重宝しますね。
奥様:犬のなめたろうが安定して歩ける、程よい硬さもありがたいですね。
なお車中泊時には、コクピットと居住空間を分けるカーテンを装着しています。照明はラゲッジルームを囲むようにして貼ったLEDテープが担当。
スミヤさん:最初はランタンを使っていたのですが、車中泊の夜には力不足。LEDテープだとポータブル電源が使えますし、光量も十分でありがたいです。
とはいえ、寝るときはフロントガラスから入ってくる外部からの光が邪魔になるので、自作のルーフコンソール(後述)下にカーテンレールを取り付けて解決しました。
ラゲッジルーム両サイドの収納ボックス&汎用性抜群な天板
スミヤさんが最初に作ったのは、ラゲッジルームの両サイドに設けた収納ボックスと、組み合わせ次第でさまざまに活用できる天板だったそうです。
スミヤさん:収納ボックスはユーティリティーナットでベースとなる板を固定し、その上から箱を取り付けています。収納しているのは食事用に使う道具が多いですね。
またこの収納ボックスには、天板を差し込んで固定するためのスリット(溝)を作りました。差し込む位置を変えることで、天板の位置と高さ調整が可能です。
さまざまな場所でテーブルとして使える天板は、合板へ木製ブラインドの廃材を、ヘリンボーン風に貼り付けた力作だそうです。
天板には複数の活用法があり、ソロとファミリーどちらの車中泊でも欠かせない存在なんだとか。なんとコタツにも変身しちゃいます! 寒い季節はもちろん、夜間は冷えることが多いキャンプ場で大活躍しているんだとか。
兼用できるアイテムをしっかり作り込むことで、結果的にクルマに収納する荷物の削減にもつながっているそうです。
ここからは、この天板を活用したアレンジ例を3つご紹介していきます!
▼天板を活用して、コタツにアレンジ
左右の収納ボックスに天板を渡した状態でも、もちろんテーブルとして活用できますが、こんな風にコタツにアレンジすることも可能です!
アレンジの方法は簡単。まずは天板の下にポータブルヒーターを設置し、上からコタツ布団をかけます。さらにその上に、床下収納のフタ(後述)を乗せるだけなんです。
スミヤさん:このテクニックは、YouTuberのwinpy jijiiさんとお会いしたときに教えていただきました。
▼天板を活用して、ひとり用テーブルにアレンジ!
お次は片側の収納ボックスに天板を差し込んだアレンジ方法。ポータブル電源やカメラの三脚で支えたら、ソロ用テーブルがあっという間に完成!
▼天板を活用して、キャンプ用テーブルにアレンジ!
最後はキャンプ時に車外スペースで天板を活用するアレンジ例をご紹介。
写真中央にあるテーブルは、実はここまでご紹介してきた天板と同様のもの。カメラの三脚とスライド式の床下収納で、バランスを取って固定するだけで簡単にアレンジできちゃうんです!
床下収納として活躍する、引き出し式の棚
フリード+の車内スペースを有効活用する上で、欠かせないのが床下収納。この自作棚はスライド式なので、荷物の出し入れが簡単にできます。加えて、2枚の自作専用フタを活用すれば、テーブルとしても活用できちゃうんです!
スミヤさん:引き出し式の収納棚にはポータブル電源やフライパン、夏場なら冷蔵庫など、キャンプで使用することが多いものを中心に入れています。
なお収納棚の奥側に格納されたポータブル電源は、車内からもアクセスできるようになっており、延長コードを使用して車内でも電源を使用しやすいようカスタムされています。
スミヤさん:この棚も自作なので、ポータブル電源の使用シーンをイメージし、ポータブル電源の操作パネルのサイズに合わせて、奥側や側面に穴を開けてみました。
スミヤさん:ちなみに、スペース的にフライパンの持ち手部分がうまく収まらなかったので、仕切り板にも穴を加工しました。
運転席側上の大型ルーフコンソール
廃材でヘリンボーン風にデコレーションした合板を使って、運転席側の天井部分に設置された大型のルーフコンソール。こちらも車内のデッドスペースを収納スペースへとチェンジさせる、スミヤさんの自作ツールです。
後部座席からアクセスでき、大きめのサイズなので収納力もバッチリ! 側面はカーテンレールやLEDテープの設置場所としても活用されており、機能性も申し分ない仕上がりです。
スミヤさん:ブランケットやサンシェードなど、かさ張るけどさほど重くないアイテムを入れるのに便利です。木製の雰囲気も、車内のテイストとうまくマッチさせることができました。
フリード+とタープを使って楽しむファミリーキャンプ
スミヤさんのキャンプスタイルは、フリード+のリアサイドにタープを張るのが定番。アイテムのバランスはオートサイトの広さや状況に合わせてアレンジするそうです。
奥様:設営は基本的に旦那が行い、私は愛犬と遊んだり椅子に座って本を読んだりしています。荷物おろしやタープを貼るときは、少し手伝っていますね。
スミヤさん:キャンプ場に着いたらフリード+をテント代わりにしています。【コールマン】の「XPヘキサタープ/S」をリアゲート側に繋げて、車内と車外をうまく行き来しやすいようにします。
なお、タープを設置する前の状態がこちら。先にご紹介していた、荷室下の収納棚や天板をうまくテーブルとしてレイアウトしつつ、車内にセットされたマットレスへもアクセスしやすいよう導線が考慮されています。
スミヤさんの一番のフェイバリットギアが、この移動式ギャレー(ミニシンク)。調理台としてはもちろん、水場としても活用できる、キャンプ時の便利な相棒です。収納時にはテーブルクロスにもなるレザーカバーを被せています。
スミヤさん:くり抜いた板にシンクをはめ、アルミ版も貼り付けた移動式キッチンはとても気に入っています。シンクと板の間をコーキング材で埋めているため、水漏れの心配はありません。
ほとんどが合板ですから、内蔵タンクが空なら夫婦でラクに持ち運べます。ファミリーキャンプでこれがあると調理が快適にできます。
奥様:わざわざ遠くに行かなくても、水が使えるのはとても助かります。ものすごく凝った料理をしない限り、このサイズ感で十分なんですよ。
この日のスミヤ・ファミリーは、焼き鳥とアヒージョを満喫。自然の中で楽しむ料理は一段と美味しいですよね!
キャンプ&車中泊に役立つ、6つの便利グッズをご紹介
アウトドア歴11年のスミヤさんが愛用するギアは、省スペースのため厳選された逸品のみ。なかなか荷物を減らせない車中泊ビギナーさん必見です。
便利グッズ①【ジャクリ】のポータブル電源 1000
スミヤさん:ポータブル電源はジャクリの1000と700を持っていますが、今使っているのは1000の方だけですね。IH調理器具の使用時間を抑えれば、ホットカーペットやLEDライトなどを稼働させても2泊3日でもぎりぎり大丈夫です。普段は1泊ですから、まず問題ありません。
便利グッズ②自作の木工グッズ
スミヤさん:趣味の木工で作ったカッティングボードやお皿、カトラリー類は、車内のウッディなインテリアにマッチしてイイ感じ。ウッドアイテムは車中で揺れてもうるさくありませんし、落としたって割れませんからオススメです。
便利グッズ③フリード用キルティングサンシェード
スミヤさん:遮光と防寒には、市販のフリード用キルティングサンシェードが便利です。専用設計なので各窓にジャストフィットします。折り畳めるので外しても簡単に収納できます。
もともとは付属の吸盤で貼り付けて固定するタイプだったのですが、網戸を貼っている後部座席のサイドウインドウ用には、少しカスタムして使っています。
網戸の縁の素材がプラスチックで吸盤が張り付きにくかったため、上部をフックで、下にレザーの耳を付けてパワーウインドウの内側に差し込んで固定できるよう改良しました。
便利グッズ④リアゲート用のメッシュシート
スミヤさん:夏の虫対策として、市販のミニバン用リアメッシュを使っています。マグネット式なので簡単に着脱でき、目が細かいのもグッド。
ただし汎用モデルなので、リアゲート全体をカバーするにはちょっとだけ寸足らずでした(笑)。なので、メッシュの下の部分はマットレスの下に織り込んで使っています。
奥様:作ったり取り付けたりが苦手な人でも扱いやすいです。
便利グッズ⑤調理用グッズ
スミヤさん:道中で現地の食材を買って調理するのがキャンプの醍醐味。私は【イワタニ】の「カセットガス炉ばた焼器 炙りやⅡ」で、肉や魚をただ焼いて食べますね。
妻は車の中でIH調理器を使って鍋やアヒージョなど、凝った料理を作ってくれますが(笑)。
奥様は【アイリスオーヤマ】のIH調理器と【ロッジ】のスキレットでアヒージョを作るのが好きです。地元の新鮮食材にニンニクたっぷりのオリーブオイルがよく合います。
奥様:夫はシンプルな焼き物中心で、私が煮る蒸す系を担当。作るときはもちろん、材料を買っているときも楽しいですよ。
便利グッズ⑥愛犬用のケージ
愛犬・なめたろう君は、クルマ移動中はケージの中に。シートベルトとカラビナを使って、ケージの揺れ防止対策として、ガッチリ固定しています。
奥様:以前あまりケージを固定しないで載せて、揺れでなめたろうを驚かせてしまったことがあり、それ以来しっかり固定するように。今は運転中だとケージの中が一番落ち着くようです。
ファミリーキャンプで得られた新たな楽しみ
キャンプ場では夫婦でなめたろう君を散歩させたり、軽く飲んでボーっとしたりとのんびり過ごすことが多いスミヤさん。DIYにかかった費用は約5万円だとか。
スミヤさん:安く済ませようとは思っていなかったのですが、ほとんど材料費だけでリーズナブルにまとめられました。
DIYならいろんなシーンを想定した設計が可能です。アレンジ術を考えながら作業するのも、とても面白いですよ!
特にラゲッジルームのテーブルアレンジは、ユーティリティーナットを使ったシンプルなものなら、誰でも簡単にチャレンジできると思います。自分のテーブルアレンジは完全に我流なので、ちょっと複雑ですが(笑)。
また、カメラを手放さず、家族旅行の記録も欠かさないそう。
スミヤさん:旅行記をYouTubeにアップしたいので、ファミリーキャンプから帰ってくると毎日少しずつ編集作業をします。一週間くらいは余韻が味わえてお得です(笑)。完成したら妻と一緒に見ながら一杯と、さらにまた楽しみが。
お散歩大好きっ子のなめたろうが森の小道をどんどん開拓し、一人じゃ行かないようなスポットまで案内してくれるのもソロではできなかった体験ですね。
マイカーを車中泊仕様にカスタムしたおかげで、昔から好きだったアウトドアをもっと大好きになれた気がします。
文/金井 幸男
写真/井手 勇貴
編集/髙橋 要(LIG)