キャンピングカーで愛犬との車中泊ライフを楽しむはじ丸さん。「自分も愛犬との車中泊をしてみたい! 」という人のために、ワンちゃんとともに行動するためのノウハウや楽しさを、日々SNSで情報発信しています。
なぜワンちゃんとクルマで旅に出かけるのか。ワンちゃんに対するアツい思いとあわせて旅行時の注意点や快適に過ごすための大事な心がけを教えてもらいました!
目次
- はじ丸さん
- 愛犬との車中泊旅をYouTubeやVoicyなどで配信中。本業はドッグサロン・トリミングスクール経営。著書に『愛犬と幸せ家族になる方法』(PHP文庫)。
- YouTube @hajimaru_ch
Voicy はじ丸@安藤一夫
Twitter @hajimaru2017
年間100泊ペース(! )で愛犬と車中泊を楽しむペット車中泊の達人・はじ丸さん
はじ丸さん:10年ほど前です。最初はキャンピングカーではなくワンボックスカーで犬たちと車中泊していました。その後、キャンピングカーを手に入れ、今では2台目となります。
はじ丸さん:私が経営している大阪府豊中市のドッグサロンでは、週に1日の定休日と、隔週で2日間の休みがあります。週1休みのときは前日の仕事が終わった夜に出発して、次の日の休日をフルに使ってゆったりするんです。その晩も車中泊して、翌朝そのまま出勤します。だいたい自宅から1時間くらいの場所に行くケースが多いですね。
週休2日のときは、この方法で3泊できるので、四国や東海エリアまで足を延ばせます。結果的に月10泊、年間で100泊以上になるんです。
はじ丸さん:おもに、RVパークやオートキャンプ場などです。
特にプライベートドッグランは、完全にドックランスペースを貸し切ることができて、犬も自由に走り回れるし、焚き火もできるしで、車中泊する場所としてはベストだと思います。移動時から行った先でのストレスも少なく、のびのびと遊ばせてあげられますし、飼い主とずっと一緒にいられるから犬も安心できるんです。
クルマの中でワンちゃんが安全&快適に過ごすための大切なポイント
はじ丸さん:まず人間と違って話せませんから、いつもと違う兆候がないか、常に気をかけてあげることが重要です。その前提に加え、次の3つが特に大切なポイントになります。
1. クルマの中では、ケージもしくはリードを装着する。
クルマが動いているときには、自由に動いてしまわないようにしておく必要があります。車中をフリーに歩きまわれる状態だと、ブレーキ時やカーブで振り飛ばされて大怪我をしたり、運転手にじゃれついてしまうことで事故に繋がる可能性があり危険だからです。また、そういった行為が運転手の視界や操作を妨げることを禁ずる道路交通法第五十五条第二項※1の違反にもつながります。
※1(乗車又は積載の方法)第五十五条 2 車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
そのため車内では、きちんとケージやクレートなどを動かないように固定しておくこと。愛犬が安心できる指定席を作ってあげましょう。
2. こまめに水分補給と排泄ができるようにする。
移動時のこまめな水分補給と排泄も大切です。
今は、キャンピングカーの土間を水飲みスペースにして自由に飲める状態にしていますが、キャンピングカー購入前は水飲み場が用意できなかったので、ペットボトルに水を入れて、クルマの中で器に移し替えて飲ませていました。ドッグランのあるサービスエリアにも立ち寄って、こまめに休憩するようにしていたんです。
キャンピングカーのように土間部分がない場合は、このように車中での水分補給に加えて、こまめな休憩をとるようにすることがおすすめです。基本的には2〜3時間に1度、15分〜20分程度が目安ですが、その子によって変わりますので、様子を見ながらベストな休憩タイミングを探ってください。
排泄については、外でしかオシッコできない犬もいますので、長時間走行は避けましょう。なかなか休憩できないときは、マナーバンドやオムツといったアイテムも使ってみてください。
こういったアイテムは、ほかの場所でもマナーの一環としてあると便利です。
最近はドッグランやサービスエリアにオシッコができる場所が増えてきていますが、クルマを降りた瞬間、シャーッとしてしまうことがあります。愛犬家ではない人から見ると、とても嫌な行為に映るので、あらかじめマナーバンドやオムツを用意しておくと安心ですよ。
また、犬も人間と同じように、外交的な子とそうでない子がいるので、ドッグランに到着しても、いきなり放すのはおすすめしません。まずは様子をみて、落ち着いてからリードを離すこと。そして、どのようなシーンでも「うちの子は大丈夫」と過信しないことです。
3. やさしい運転をする
それと運転も大切なポイントですね。揺れが多いと犬も車酔いを起こしたり体調を崩したりしますので、ソフトな運転を心がけましょう。荒い運転は、犬のクルマ嫌いにもつながります。
はじ丸さん:一番気をつけたいのは、迷子の可能性ですね。リードを放してしまったとき、そのまま戻らず、どこかに行ってしまうケースが多いのです。花火や雷といった大きな音から、パニックを起こして逃走してしまうことも数多くあります。
また、見慣れない景色や、イベントなどで大勢の人間を見て、驚いたり興奮したりすることも。その子の性格にもよりますが、余計な刺激はできるだけ避けて穏やかに過ごせると良いですね。
迷子対策としては、名札的なものを身につけることがおすすめです。近年ではマイクロチップも義務化されていますし、未装着なら服や首輪に住所など連絡先の情報を記載しておくことが大事です。
とにかく「うちの子は呼べば来るから大丈夫」という思い込みは、一番危険です。「うちの子も迷子になるかも」という前提で、準備して過ごしましょう。
もう1つは、夏場のクルマの中に絶対放置しないことです。エアコンを稼働させていたとしても、クルマの中を動き回っているうちに、うっかりエアコンのスイッチを切ってしまう恐れがあります。
はじ丸さん:一般的なキャンプ場ですと、みんなが犬を連れてきているわけではありません。夜は静まり返っておりちょっとした音に敏感な状態なので、クルマの開閉音もトラブルになりやすいですし、さらに犬の鳴き声に対してイライラする人もいます。
飼い主も吠えないように色々と工夫しますが、吠えてしまう子を止めることは至難の業。その場で急にしつけはできないので、普段から飼い主さんが吠えないコツを掴んでおくことが大事ですね。例えば、おやつやおもちゃで気をそらせるなど、暮らしの中でどんなことをすれば吠えることをやめるのか、いろいろ試してみてください。
ワンちゃんとの車中泊にキャンピングカーを選ぶ。愛に溢れたそのワケとは?
はじ丸さん:そうです。昨年まではバンコン※2とよばれるワゴンベースのキャンピングカーでした。
※2バンコン:ワンボックスカーやワゴン、バン、ミニバンなどのクルマをベースに、外装を生かしてキャンピングカーにしたもの。「バンコンバージョン(改造)」からバンコンと呼ばれるように。
現在の愛車は、とあるキャンピングカーを扱っているクルマ屋さんで出会い、バンコンからキャブコン(トラックの荷台に居住スペースを載せたような形のキャンピングカー)へ入れ替えたのですが、これが大正解。
バンコンでもキャンピングカーとしての性能は間違いないですが、「ワンちゃんとの車中泊」となると、今のキャブコンのほうがより適していました。
メリットとしては、まず居住スペースの広さです。
人間と犬が過ごす空間として十分な広さがあります。それとエントランス部分の床が防水パンのような形状になっていて、犬の足を洗ってから車内に入れることができるんです。そこでオシッコシートを敷いて排泄させることもできます。
乗りはじめて1年経っていませんが、本当に買ってよかったですね。
はじ丸さん:本当にそうなんです。実は10年ほど前にキャンピングカーを買おうとしていた時期があって、そのときは決めきれずに乗用車でおでかけしていたんです。そこからワゴン車を購入してベッドキットを装着したときに「もっと早く購入すべきだった」と後悔しました。
はじ丸さん:YouTubeの動画にもしましたが、10年前の自分に何か言えるとしたら、悩まずにキャンピングカーを買いなさい、と。
はじ丸さん:悩んでいるうちに犬はどんどん歳をとっていきます。人間よりも寿命がかなり短く、元気で遊んでいられる時間ってそんなに長くないんです。
あのときキャンピングカーを買っていれば、これまで一緒に暮らしてきた子たちと、もっと良い時間を過ごせただろうって後悔した部分もあって。
はじ丸さん:犬って群棲本能がある動物なので、飼い主と一緒にいる時間を何より幸せに感じます。無理に外に連れ出さなくても、車中で過ごすだけでも喜んでくれているんです。そこで快適に過ごすために、キャンピングカーを用意しました。
自分がYouTubeやVoicyで情報発信をしているのは、あのときの自分のようにキャンピングカーの購入を迷っている人がとても多いからです。自分と同じように後悔しないために、そうした人たちの背中を押したいですね。
はじ丸さん:最初は、車中泊までできなくても、今乗っているクルマで一緒にお出かけをはじめるだけで十分だと思います。慣れてきたら、車中泊をしたり、キャンピングカーのレンタルもあるので、実際に借りて愛犬と一緒に出かけてみたりするのもおすすめです。将来のイメージがわいてくると思いますよ。
文/赤坂太一
写真提供/はじ丸
編集/ミノシマタカコ、TAC企画
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