リモートワークが推奨されたこの数年は、オンライン会議の場所としてクルマを使う人も増えたのではないでしょうか。また、ちょっとしたパソコン作業ならカフェなどに入ることなくクルマの中で済ませられると手軽ですよね。
そんな時に便利なのが車載テーブル。パソコンを膝に置くのではなく、固定したテーブルに置けるので疲れにくいのが魅力です。 今回はそんな車載テーブルを3タイプ用意して、使い心地を検証しました。自分に合った車載テーブルを探すときの参考にしてください。
- コヤマタカヒロさん/ガジェット&家電ライター
- 1973年生まれのガジェット&家電ライター。大学在学中にファッション・カルチャー誌を中心に商業誌での執筆を開始。その後、PCやデジタルガジェット、白物家電を専門分野として執筆活動を展開。2007年頃より白物家電に注目。雑誌やWebなど様々な媒体に寄稿。調理家電のテストと撮影のための空間「コヤマキッチン」を用意。また、執筆以外にコンサルティングなども行っており、企業の製品開発やPR戦略に関してのコンサルティングやアドバイザーなども務める。AllAboutガイドも務める。
- https://kadesta.com/
目次
車内テレワークは姿勢がつらい!
クルマの中で仕事をするとき、ノートパソコンを膝の上に置くと無理な姿勢になるため、肩が凝ったり、腰を痛めたりする原因にも。 そんな問題を解決するのが、狭い車内で活躍する車載テーブルです。
今回、車載テーブルの検証で使ったクルマはN-BOX。軽自動車ながら、室内空間が非常に広いのが特徴のクルマです。
パソコンを片手に、検証する気満々のライターコヤマ。ガジェットや家電が得意分野なんです。今回ZOOMなど1人で検証できないところは、編集部がアシスタントとなって一緒に検証します。
1)ハンドルテーブル 参考価格1,480円
ハンドルに引っ掛けるだけで簡単に設置できるテーブル。 食事などに最適なドリンクホルダーのある表面と、フラットな裏面の2WAYで利用できます。
使いたいときだけ、サッとハンドルに引っ掛けられる手軽さが魅力です。
2)後部座席用の車載テーブル 参考価格3,280円
こちらは、運転席や助手席のヘッドレストのポールに引っ掛けて使うタイプの後部座席用テーブルです。
高さ調節用と角度調節用の2つのネジを組み合わせることで使いやすい高さ、角度に調整できます。普段は折りたたんで収納でき、使いたいときにさっと装着できます。
3)カーテレワークデスク 59,840 円
2022年11月にホンダアクセスから発売された「カーテレワークデスク」。こちらは、名前からもわかるように車内での本気テレワークを想定した商品です。
組み立てると、ベースボードとデスクボードの2段構造になるため、ノートパソコンだけでなく、資料を広げたり、様々なビジネスツールが置けます。ボードは簡単に分離でき、 専用トートバッグ(別売)に収納して持ち運ぶこともできます。
4)車載用ノートパソコン台 参考価格16,800円
助手席のシートレールにアームを固定して、その上にノートパソコンを設置できるノートパソコンスタンドも用意しました。アームは伸縮・回転するので、使いやすい角度に調整が可能。運転席に座ったままの状態でノートパソコンが使えるはずだったのですが……。
今回まさかの事態が! シートレールにアームを固定する仕組みなのですが、N-BOXは座席のシートレールが隠れた設計になっていたのです。これでは、自分での取り付けは不可能。
購入時には、座席がどのように取り付けられているかも必ずチェックが必要だと学びました。最終的に、このアイテムを除いた3つで検証を行うことに。
では早速、3つの車載テーブルを使ってみようと思います!
車載テーブル比較(1)移動中に急ぎの作業! 設置や撤去のしやすさは?
クルマをオフィスのようにして仕事をするといっても、サッと準備できなければとっさの仕事に対応できません。準備に時間がかかった結果、膝の上にノートパソコンをおいて緊急対応することになっては、せっかくの車載テーブルが無駄になってしまいます。
そこで、まずは設置や撤去のしやすさについてチェックしてみました。
1)ハンドルテーブル
使いたいときはテーブルをハンドルに引っ掛けるだけなので、3つの中でも一番簡単。一瞬で準備できます。
あとは、座席のシートを後ろへ引くなどの微調整のみ。また、取り外しも一瞬です。テーブルを助手席などに置いておけば、思い立ったときにすぐに使えます。
2)後部座席用の車載テーブル
取り付けは、フックをヘッドレストのアームに引っ掛けるだけ。最初はテーブルの位置決めに時間がかかりますが、一度決めてしまえば次回以降はサッと設置できます。
また、使わないときはテーブルを畳むだけなので、素早く撤去できます。
3)カーテレワークデスク
カーテレワークデスクは幅865×奥行400mmのデスクボードと、幅780×奥行400mmのベースボードという2枚の大きな板で構成されています。後部座席で組み立てる必要がありますが、シンプルな構造なので一度着脱を経験すればスムーズに設置できそうです。アシスタントに手伝ってもらう予定でしたが、結局ひとりで組み立て完了できました。
ちなみに座席へは、ISOFIX(チャイルドシートを設置するためのもの)を使って固定します。伸縮性の脚で高さ調整できるので、四つ足デスクのような安定感が得られました。
撤去の際は手回しネジを2本外して足を畳むだけと簡単なので、2~3分で片付けることができました。
車載テーブル比較(2)クルマでデスクワーク。タイピングやマウスの使用可否は?
車載テーブルを使ってタイピングを要するような仕事をする場合、膝の上でノートパソコンを使う場合と比べて効率よく仕事ができるのでしょうか? A4サイズ(13.3型ワイド液晶)のノートパソコンで、実際に試してみました。
1)ハンドルテーブル
今回テストで利用したN-BOXの運転席の場合はテーブルとシートの位置がやや近く、最適な作業ポジションにはなりませんでした。タイピングする場合も、やや無理な体勢に。
ただし、運転席での作業ポジションについては、クルマの広さや使う人の体格によって、結果に違いが生まれそうです。
また、ハンドルに引っ掛けているだけなので、安全性にやや不安が残りました。
テーブルのサイズ上、スペースに余裕があまりなく、マウスを使うのは厳しい印象。資料の閲覧やメールを返信するぐらいの気軽な使い方が向いてそうです。
2)後部座席用の車載テーブル
テーブルをフックでヘッドレストに引っ掛けるだけなので、やや不安定。テーブルの高さは10cm幅で上下に調整できますが、後部座席に座った状態でノートパソコンを設置するにはちょっと高めです。耐荷重もそれほど高くないため、手をしっかり載せてタイピングするのはやや困難でした。
また、テーブルのスペースは13インチサイズのノートパソコンでいっぱいなので、マウスを使うことができません。座席を調整しないとノートパソコンの設置位置がやや遠く、高さもある状態なので、無理をした姿勢になりがちに。腕をしっかり置くと不安定になるため、浮かせて使うことになり、やや疲れました。
しっかりとタイピングして資料を作るといった使い方には不向きですが、資料や映像を閲覧するだけなら問題なさそうです。
3)カーテレワークデスク
カーテレワークデスクは、後部座席をほぼ占領するほどの広さがある大きなテーブルのため、余裕でノートパソコンと資料を広げられます。
シートとテーブルの位置が近く、適度な高さがあるのでリラックスしたポジションでパソコンが使えました。パソコンでしっかりと手を置くことができるため、腕も疲れません。足を組むことはできませんでしたが、 首や肩腰への負担はありませんでした。
また、マウスも使用可能! テーブルがシートに近いため、楽な姿勢で仕事ができます。個人の体感としては、まるでオフィスをそのままクルマの中に用意したような気分になりました。
車載テーブル比較(3)クルマでオンライン会議! 顔写りを比較
クルマの中は、電波さえ届けば、周囲を気にせずオンライン会議に参加しやすい場所です。でも長時間膝の上にパソコンを置いていると首が痛くなるし、なにより顔写りが悪い角度になりやすい点が気になりました。
車載テーブルを使うことで、どんな風に映るのかをチェック。1人では検証できないので、ここではアシスタントに登場してもらいましょう!
1)ハンドルテーブル
ハンドルの下の方に引っ掛ける仕組みのハンドルテーブルは、ノートパソコンの設置位置が低いためやや下目になります。このため、膝の上に置くよりはましですが、オンライン会議の映像は下から煽る形に。下を向くことで二重顎になりやすく、見た目が気になってしまう角度です。首にも負担がかかるため、長時間のオンライン会議は避けた方がよさそうだと感じました。
2)後部座席用の車載テーブル
テーブルが少し高めゆえに、カメラの位置がちょうどいい角度に! タイピングするには、ちょっと高めの位置になりますが、オンライン会議の映像は座る位置を前後に調節することで、 問題のない状態にできました。
3)カーテレワークデスク
パソコンの設置の自由度が非常に高く、Webカメラの画角も自在に調整できます。このため、オフィスや会議室にいるときと遜色のない映像が映し出せました。画面と顔との距離もちょうどいいですね!
番外編。休憩時間に車載テーブルでランチを食べてみる
車内テレワーク中に、食事をとることもありますよね。そこで今回は、アシスタントへのお手伝いのお礼を兼ねて、マクドナルドのセット商品を用意。各デスクの上に載せて、食べてみてもらいました。
仕事しながらでも、食べられるのでしょうか!?
1)ハンドルテーブル
パソコンのサイドにある空きスペースを活用して、ドリンクとポテトをセットしましたが、ハンバーガーはキーボードの上に置くという結果に。画面をみながら食事できなくはない……というレベル。文字を打つことは厳しそうです。
2)後部座席用の車載テーブル
テーブルが小さめなので、食事か仕事かを選ぶ必要がありました。今回は食事を優先。パソコンは完全に閉じて、テーブルとして利用。ドリンクの水滴に注意!
3)カーテレワークデスク
デスクが広いので、仕事しながらの食事も余裕です。キーボードも打てるので、片手でポテトをつまみつつ、メールの返信もできてしまいます! なんなら、もう1セットハンバーガーを置くこともできそう。これだけスペースに余裕があれば、追い詰められた時でも、食事を抜かずに済みそうです。
でも、本当は食事だけを楽しみたいですけどね(笑)。編集部さん、お手伝いありがとうございました!
【結果発表】車内テレワーク、シチュエーション別おすすめは?
今回は異なるタイプの車載テーブルを3つ試しました。
しっかりとした大きな木のデスクを2枚使うカーテレワークデスクは、安定感や広さがあり、1日中クルマの中で仕事をしたいといった場合でも対応できる本格派です。まさに移動するオフィスのような環境が簡単に作れます。 ただし、後部座席をまるごと使う上、瞬時に設置できるわけではないので、同乗者がいるときや急ぎの時には注意が必要です。
最も手軽に使えたのはハンドルテーブル。運転席に座ったままの状態でさっと使えます。テーブルの上に置いたノートパソコンや手の重さでテーブルが固定される仕組みが面白いアイテム。緊急対応したいときに活躍しそうです。
後部座席用の車載テーブルも手軽に使えますが、ノートパソコンを置いてタイピングするような使い方にはやや不向き。食事や動画鑑賞などで使うのがおすすめです。
なお、車載テーブルを使った車内テレワークですが、注意点があります。
一つは運転中のテレワークは、当然NG。駐車場や道の駅など、安全なところに駐車して行いましょう。また、長時間同じ体勢だとエコノミー症候群の危険性があります。定期的にストレッチなどして対策を。サイト内のオガトレ流ストレッチも参考にしてみてください。
ここで紹介した以外にも、いろいろなタイプの車載テーブルがあります。お気に入りを見つけて、車内テレワーク環境を充実させましょう。
今回の記事で登場したクルマ
N-BOX EX Honda SENSING / FF
ボディーカラー:プレミアムアガットブラウンパール
純正アクセサリー装着車
■N-BOXの純正アクセサリーの詳細はこちら
https://www.honda.co.jp/ACCESS/nbox/
文/コヤマタカヒロ
撮影/栃久保 誠
編集/ミノシマタカコ、TAC企画
▼おすすめ記事▼
【運転疲れのストレッチ】「肩」がラクになる理学療法士のオガトレ①
2020.07.16【キャンプにおすすめのポータブル電源】選び方や達人6名が愛用中のアイテムも紹介
2022.11.18