めんどくさがりな私でも、やってよかった車中泊改善策! ~イラストレーターいとうみゆきの クルマのおうち旅

いとうさんと白くま

ワーキングホリデーをきっかけにニュージーランドを訪れ、車中泊生活を経験したことからその魅力に取り憑かれたというイラストレーター・いとうみゆきさんの連載企画が帰ってきました! 

今回は遠方旅行もできるようにクルマのおうち「白くま」をバージョンアップ。実践したくなるDIYのヒントが満載です。お試しデイキャンプの様子もご紹介します。

 

▼プロフィール

いとうみゆきさんのプロフィールイラスト
イラストレーター いとうみゆき
埼玉県在住。セツ・モードセミナー卒業。畑と音楽を好み、パーマカルチャーや自然農を学んでいる。著書に『車のおうちで旅をする』(KADOKAWA)がある。
Twitter @noca_m
Instagram @nmoytke
tumblr Miyuki Ito Illustration

 

▼以前の連載はこちら▼

目次

 

ずうっと家にいることに飽き飽きして、どこかに行きたくて、うずうずしていた昨年の私。

だけど仕事もあるし、歯医者さんもあるからなかなか遠くまでは旅行に行けない……何より頑張りすぎると疲れちゃうし。

だから、うちにやってきたまま放置されていた軽バン「白くま」をクルマのおうちに変身させ、自分のペースでのんびり家の周りをめぐる旅に出かけました。

「白くま」と私

どこかに行きたいけど外に出るのはちょっとおっくうな私を助けてくれるすてきな存在が、この「白くま」です。

知っているようで知らなかった周りの景色、人々の暮らしに白くまと一緒に触れ、今まで以上にクルマ旅が好きになりました。

埼玉県一周の旅だけではなく、紅葉や観たい風景に合わせてちょっと遠出をしたりもしました。

前回の旅の様子

旅はいつもまだ知らなかった自分や誰かに会わせてくれます。
そうして分かったいくつもの自分のこと、「白くま」のことがたくさんあります。

だから一年経った今、新たな旅に向けて「白くまリニューアル」をすることにしました。

もちろん、すっからかんだった頃に比べればもう十分すぎるくらいに立派なクルマのおうちなのですが……。
何度も泊まっていると、いろいろな不具合が生じてくるものなのです。

快適度は星3つ

こんな風にね。

私なりに改良できそうな問題点ばかりだから、旅に出る前に整えてあげたい。もっともっといいクルマのおうちにしてあげたい。
一緒にどこまでも、いい気持ちで旅ができるように。またどこか素敵な場所に行けるように!

 

お気に入りのプレイリストと一緒に♪ まずは大掃除

とりあえず、積み込んでいるものを全て出してみます。
大物は変わらずベッドと机と寝具くらいで特に増えていません。小物たちはどんどん増えてきてはいるものの、みんなしっかりベッド下の収納に収まってくれています。
 
掃除をするにあたって流すのは、Spotifyのプレイリスト「Cleaning Kit」。
掃除が捗ること間違いなし、様々な洋楽が延々と流れるプレイリストです。何が楽しいって、世界中の人がこのプレイリストを聴きながら掃除をしている(のかもしれない)という事実。みんなこの音楽を聴きながらお部屋をピカピカにしてるんだろうな〜と想像するだけでやる気が出ます。ちなみにドライブにもおすすめのプレイリストです。

車内を大掃除 

音楽を聞いてテンションをあげながら、一年分の大掃除。
四人乗りモードにする時にちょくちょくお片付けや掃き掃除はしていましたが、全部をしっかり出して拭き掃除まですることはなかなかありません。まっさらになった「白くま」をみるのも久しぶりです。
 
たった一年間なのに、床板には小さな傷がいっぱい増え、柿渋の色がずっと深くなり、ますます美しくなりました。
丁寧に柿渋とみつろうを塗り込んだ一年前が懐かしいなあ。柿渋のなんとも言えない匂いが車内に半年以上も残って大変だったんだよなあ……今となってはいい思い出です。

お掃除セット

いつも常備している白くま用のおそうじセットたちも、今日はフル活動。
ホウキで床を掃いて、雑巾掛けして、みつろうを塗り直して。床板を取って(無くしていたピアスを見つけて)また全部掃いて。天井や窓、小物たちをふいて、ベッド下のフェルトシールを貼り直して……。

最後にコイン洗車をして、プレミアムガラスコーティングまでかけたら、きれいさっぱり!

これにて見た目はばっちし、次は内面を磨きにいこう!

 

窓周りの問題を解決

「暑くて窓を開けると虫が…」夏に向けて網戸を作ろう

一年を通して何度か白くま車中泊を経験した中で、一番最悪だったのは夏でした。
原因はもちろん猛暑。クルマって本当に熱を溜め込みやすいから、このまま車内にいたら危険だ……という気持ちになることもしばしばでした。
しかも日陰で窓を全開にすることで暑さを和らげたとしても、今度は蚊が入ってくる……!!

もうどうしようもない。クルマで過ごすことは諦めて、川にでもいこう。コンビニでアイスコーヒー買おう。アイスも買おう。そういう思考になることばかりの夏でした。

だけど根っからのインドア派の私ですので、できれば家から出たくない。夏でも可能な限り車内で過ごしたい!!
 
ということで、マグネットテープで作る網戸を作っていきます。

シンプル網戸をつくる

【必要なもの】(全て100円ショップ)
・防虫網・マグネットテープ・ハサミ・ホチキス・接着剤

 

①切る

窓枠より少し大きめに防虫網を切ります。窓枠に合わせて貼った時に、ちょうどボディの部分にマグネットシートがくるようにしっかり測ることが大切。

 

②マグネットテープをつける

ホチキスや接着剤を使って、防虫網の端にぐるっとマグネットテープをつけていきます。

糊付きのマグネットテープだとしても、しっかり固定することが大切です。何度もつけ外しをするので、使っているうちに必ず取れてしまいます。

シンプル網戸を取り付けた窓

手順は以上、接着剤が乾いたら完成!
ペタッと貼って、ペリッと剥がすだけのシンプル網戸が出来上がりました。
思ったよりもすっきりした完成形になっていて、目立たないしいい感じです!

つけっぱなしで走ると取れてしまうので、運転するときは外します。ちなみに炎天下で長期間放置するとマグネットがボディにくっついて離れなくなる可能性があるので注意。

手に持ったシンプル網戸

マグネットテープも網もぐにゃぐにゃなので、使わない時には折りたたんでしまうことができます。
安くて比較的簡単、収納もお手のもの……窓にぴったりはまるクルマ用の網戸も売っている(作れる)みたいですが、見た目が気にならないのならこれでもいいんじゃないかなあと思います。

シンプル網戸取り付け部分拡大

ちなみに、ニュージーランドで車中泊をしていた時に作ったものは真四角で簡単だったのですが、ドアバイザーがついている「白くま」の場合は真四角の形だと大きな隙間ができてしまうため、T字に切り取ることにしました。(マグネットテープをもう少し長めにすればさらに隙間が減った気がします。)
*ドアバイザー:左右の窓ガラスの上についている樹脂でできたカバー

車内から見たシンプル網戸

中からはこんな感じです。
目隠し力はあんまりありませんが、両窓につければ風通し抜群です。これで夏も大丈夫!

 

「自作のカーテンレール、気がつくと外れている」やっぱり市販のカーテンレールが一番!

頻繁にストレスを感じていたもう一つの原因が「カーテン」でした。
針金とヘアピンと布で作った自作カーテンは、開け閉めをするとすぐ取れちゃう&そもそも開け閉めしにくいという問題点を抱えていました。
もちろん月に何度か使うくらいならいいのですが、長期旅をするとなると話がだいぶ変わってきます……。

ということで思い切って市販のカーテンレールを取り付けました。

カーテンをつけた車内

長いこと車体に穴を開けることをためらっていたのですが、結局開けちゃった!
そうしたら一気に快適になりました!!

カーテンレール部分

全部終わった後にネットで調べたところ、穴を開けないでなんとかしている人も結構いるみたいですが、先に調べていたところで私はこうしていたと思います。私の耳にも穴が開いているし、お揃いです。 

 

空きスペースを有効活用して収納問題を解決

「引き出しを開けるのは面倒、普段使うものはもっと身近に置きたい」 

今までの白くま生活では、ベッドの下の大きな収納スペースに荷物を全て詰めていました。
おかげで余計なものがなく部屋はスッキリするのですが、ちょっとした小物ですらしまっているため、とにかく物の出し入れが面倒くさい。
特に後ろ側の収納スペースは、机を出している限り開かないという問題も抱えておりまして……。

今年は長旅をしたい気持ちがあるため、そもそも荷物自体が増える予感。
もっと手に取りやすい場所に収納スペースを増やすことにしました。
とりあえず家で一番小さい棚を試しに入れてみました。

棚の隙間

そうしたらギリギリ入ったんです〜!
自作するしかないのか〜…と面倒くさがっていた私にとっては最高にうれしい瞬間でした。特に測っていなかったのに、たまたま隙間にぴったり合う家具がはまる瞬間って、本当に気持ちいい。

収納された棚

しかも、ポータブル電源もピッタリだった。うれし〜
本棚や100円ショップでゲットした木箱を置いたら、あっという間にもので溢れてしまいました。さらに最近プレゼントでもらった水生植物も置いてみたら、おしゃれ感がすごく出た。植物の力、恐るべし……
この植物の根はスポンジに包まれていて、スポンジに含まれた水だけで生きています。土をこぼす心配がないので、試しに家から連れてきました。ここでもいい感じに生きていけそうです。

ちなみに「白くま」はクルマなので、運転しているとガッタンゴトゴト。本当に部屋中の色々なものが転がり落ちてしまいます。
それを解決してくれるいいアイテムがこちら。

「ゴム紐」と「繰り返し使える透明両面テープ」

「ゴム紐」と「繰り返し使える透明両面テープ」。

ゴム紐は本棚の本が落ちないように使っています。両面テープは、木箱や本棚などありとあらゆる落ちてほしくないものの裏側についています。後述するキッチン周りでもこの二つが大活躍しています。
ちなみにこのテープは一般的な両面テープと違って何度でも剥がせる&洗える&また貼れるので、とっても便利で使いやすい。
おすすめです!

また、ベッドからすぐ近くの助手席シートバックにちょっとした工夫を施すことに。

手作りシートカバー

ベッドにいる時間が多くなる白くま暮らし。手を伸ばせばすぐに欲しいものがあるのが理想なので、ポケットがいっぱいついたシートバックポケット的なものを作りました。
ポケットを作るということがどういうことなのか分からず、試行錯誤の結果です。どうかしら。

いろいろ詰めるとごちゃごちゃして見えますが、自分がベッドの上にいるときにはカーテンで見えなくなっているため気にならないはずです。

手作りシートカバー完成

ちなみにこのシートバックポケット、市販のものもたくさんあります。
でも、頭と体の部分がなだらかに一体化している「白くま」のシートに合うタイプがあまり見つからなかったので、今回は自分で作ってみました。

見た目は不恰好だけど、時間をかけた甲斐もあってお気に入り。かかったお金も300円くらいです。
DIYが好きな人の気持ちがほんの少しわかったような気がします……?

 

キッチン周りもちょっと便利に

「料理の度に調味料を取り出すのが面倒、さっと料理できるようにしたい」

最後の改装は、キッチン周り!
長い間ただの棚だったこの調理台も、ようやくキッチンっぽくなってきました。

調理台レベルアップ

①木材で作った引き出し ②③棚下キッチングッズ ④調味料収納スペース ⑤小物入れ

特にお気に入りがこちらの調味料収納スペース。

調味料収納スペース

棚に貼り付けた鉄板に瓶や容器をくっつける方式です!
鉄板は接着剤と両面テープで貼り付け、容器の蓋の面や裏にはマグネットを貼り付けました。
小さかったり弱いマグネットだとすぐに落ちてしまうので、強力マグネットを購入するのがおすすめです。
今のところ落ちることなくずっとくっついてくれているのですが、荒い運転……山道とかでも持つかしら。要検証です。

;調理台

ちなみに食材や食器、IHコンロを置いた完全版はこんな感じです。いい感じでしょう!

キッチンまわりの工夫

他にもいくつかちょっとした修正を行いました。

  • 運転中によくズレてしまう分割式ベッドの足に万能ベルト
  • 天井に棒を取り付けて(前のカーテンと同じ方法)ものを引っ掛けられるように
  • バックカーテンのしょっちゅう落ちてしまう突っ張り棒に両面テープ、広がるカーテンにクリップ

一年間住み心地を研究した甲斐があって、どんどんいいおうちになってきてるぞ〜。

 

車中泊の必需品!? かわいい&便利グッズな七つ道具たち 

お次は「白くま」のおうちグッズ紹介。
いつの間にか色んなものが増えた「白くま」ですが、その中でも特に大切な「車中泊七つ道具」を選んでみました!

便利グッズ紹介

①IHや電気毛布を使うなら必需品「Jackery Solar Generator 708」(ソーラーパネルとポータブルバッテリー)
ガジェットまみれの私にとって、いつも深刻な電力問題。それを全て解決してくれるのがこのコンビ! 晴れた日はいそいそとエネルギー集めにいそしみます。IHだって使えます。


②便利でかわいい「たねほおずき」(LEDライト)
マグネット付きのループでどこにでもくっつけられる&引っ掛けられる超優秀ライト。机の上にも置ける、ちょうどいい光量、シンプルかわいい……結局このライトが一番。


③ウェットティッシュ
水道が近くにない車中泊なので、ちょっと何かで手が汚れちゃったときはウェットティッシュで済ませることが多くなります。汚れも落とせるし、汗も拭けるし便利!


④部屋はもちろん運転中でもそばに置いておける「RINボトル型ティッシュケース」(コンパクトティッシュケース)
ドリンクホルダーに収まるサイズなので、いつでもそばに。もう運転中にティッシュを探して焦ることもありません。見た目もシンプルで上品ながらかわいいので、部屋にもすっと馴染みます。


⑤鍵を無くしたことをきっかけに購入「AirTag」(スマートタグ)
ポケットに入っていた鍵が消えた! 出発したいのに鍵が行方不明! ということが日常茶飯事の私にとって、なくてはならないもの。どうしてもっと早く買わなかったんだろう。


⑥冬の車中泊の心強い味方「洗える電気ブランケット」(電気毛布)
暖房を使わない限り、クルマの中を温めるのって難しい。だけど電気毛布は少ない電力でしっかり身体を温めてくれます! 一度使ってしまうともう戻れない。冬の車内には必須です。


⑦お気に入りのカバーを見つけてね「クッション」
クッションがあるかないかで、ベッド上での快適さが段違いです。抱えたり、背もたれにしたり、肘をついたり……お気に入りのかわいいカバーがあればなおよし。

車内

去年と比べてだいぶ自分の趣味に近づき、私の住んでいる家のカプセルホテル版みたいになりました。
おかげでとってもとっても居心地が良くなり、ちょっとベッドに腰掛けるだけでほっとする環境に。これならどこまでも旅ができそうだなあ。

 

クルマのおうち、どう変わった? デイキャンプで住み心地チェック

こうして大掃除とプチ改装を終え、「new白くま」が完成しました! 

白くま間取り図

無駄なスペースが一切なく合理的、何より好きなものでいっぱい「new白くま」。
ひとまず住み心地チェックをするため、飯能市にあるキャンプ場「ケニーズ・ファミリー・ビレッジ」でデイキャンプをすることに。
「new白くま」と一緒にはじめてのお出かけです。

砂利サイトでの白くま

今回利用したのは、川沿いの砂利サイト。
風がとっても強くクルマの中で過ごすこととなったため、しっかりクルマのおうち暮らしを満喫することができました。

快適度星5つになった白くま

とりあえず定位置へ。カーテンレールと網戸に快適優秀賞、棚とシートバックポケットに便利優秀賞。
そのほかの小さな工夫たちも含め、全体的に最高です!

こちらの場所を予約したときにオンライン決済を利用したのですが、オンライン決済では冬割が適応されないようで、かわりにチェックイン時に売店で使えるチケットをもらえました。迷ったけどアイス買っちゃった。寒い日に部屋で食べるアイスが好きなんだよなあ……。

車内でアイスを食べる

Wi-Fi、炊事場、トイレや売店……なんでもあって一日快適に過ごせるのがキャンプ場のいいところ。ちょっとだけ散策したところ、遊具付きの小さな広場や卓球場もあってとっても楽しそうでした。

だけど、今日の私はおうち「new白くま」にこもるのです!

収納スペースのおかげで、手を伸ばせばいつだって読みたい本。

車内の本棚に手を伸ばす

調味料やお皿搭載のキッチンのおかげで、お腹が空いたらすぐにご飯。

用意したご飯

IHコンロでお湯を沸かしてカップスープとゆでたまごを作ったら、パンとヨーグルトを組み合わせただけの簡単おいしいお昼ごはんの完成です。

車内でご飯を食べる

手軽にぱぱっと作れる、いつもの車中泊ごはん。
バックドアを開けると、リバービューのカフェが完成します。川の真ん中に佇む大きな白い鳥が見えて、とてもきれいだったなあ。

ケニーズ・ファミリー・ビレッジ

ケニーズ・ファミリー・ビレッジ 場内

ケニーズ・ファミリー・ビレッジ
住所:埼玉県飯能市上名栗3196
TEL:042−929−0300
受付時間:8:45~17:00(火・水曜日不定休)
URL:https://www.kfv.co.jp/

好きなものが部屋に増えるたび、快適さが増すたび、居心地の良いおうちが出来上がっていく。
今日もまた一段と「白くま」のことが好きになりました。

new白くま車内

そしてやっぱり自分の部屋が大好きだな〜、ここから出たくないな〜という気持ちになりました。どこにも行かないでずっとゴロゴロしていたい!

これから旅に行くというのに部屋にいたいっていうのは矛盾しているように思えるかもしれないけど、車中泊の場合はそれが全くおかしいことじゃないんだよなあ。
だって、部屋自体が動くんです。このおうちと一緒に旅に行くんです。
この居心地のいいクルマのおうちが私をどこにでも連れて行ってくれるんだもの!

白くまと私

もうすぐ冬が終わって、みんなが動き出す。
今年も色々なところに行って、好きなものと場所を増やしに行こう。居心地の良い旅を作っていこう。

新しい旅に向けて旅立つ日がとっても楽しみです。

 

漫画/いとうみゆき
編集/ミノシマタカコ、TAC企画