【信号ゼロ。交通量少。トイレ多。】ドライブに最適なゆめしま海道~イラストレーターいとうみゆきのクルマのおうち旅

いとうさんと白くま

ワーキングホリデーがきっかけでニュージーランドを訪れ、車中泊生活を経験したことからその魅力に取りつかれたという、イラストレーター・いとうみゆきさんの連載企画が帰ってきました! 

今回は四国一周の旅! 第1回目ではクルマのおうち「白くま号」を、DIYで遠方旅行に対応できるようバージョンアップ。いよいよ旅が始まります。

 

▼プロフィール

いとうみゆきさんのプロフィールイラスト
イラストレーター いとうみゆき
埼玉県在住。セツ・モードセミナー卒業。畑と音楽を好み、パーマカルチャーや自然農を学んでいる。著書に『車のおうちで旅をする』(KADOKAWA)がある。
Twitter @noca_m
Instagram @nmoytke
tumblr Miyuki Ito Illustration

 

▼以前の連載はこちら▼

目次

 

リニューアルによって、より快適になった白くま。
乗り心地だけではなく、住み心地も良くなった「ニュー白くま」とだったら、どこにだって行ける気がしています。遠くてなかなか行けなかった場所、だけど前からずーっと行ってみたかった場所にだって行けるんじゃないかな…。
そんなことを思っていたら、遠くに行きたい気持ちがむくむくと膨らんできました。

だから行ってみましょう、私がまだ日本で唯一行ったことのない地方、四国地方へ!

四国へ出発 

本州から四国本土に入るルートはいくつかありますが、今回は広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ、全長およそ60kmの「しまなみ海道」を渡っていくことにしました。

荷物を詰めて、いつもよりずっと重くなった白くまと一緒に高速道路を3日ほどかけてのんびり進み、いよいよしまなみ海道を渡って四国本土へ…行く前に、早速寄り道!

 ゆめしま海道マップ

こちらが寄り道ルート。
しまなみ海道からは、ちょっとずれた場所に位置する海道、愛媛県上島町の島々をつなげる「ゆめしま海道」です!

3つの橋(弓削大橋・生名橋・岩城橋)が4つの島(弓削島・佐島・生名島・岩城島)をつなぐことで生まれた、新しい海道だそう。

もちろん初めはぴゅーっと四国本土まで一気に渡るつもりでしたが、上島町(ゆめしま海道)のホームページがとってもすてきで寄り道を決めました。
特に惹かれたのが、「信号ゼロ。交通量少。トイレ多。」というフレーズ。
サイクリングされる方向けのフレーズだとは思いますが、ドライブと休憩が大好きな私と白くまにとっても最高のうたい文句です!

いつでも寄り道ができる車中泊の旅。ここまで何百㎞も進んできた私たちにとっては、近所のコンビニに行くくらい気軽なことです。
とはいえ、ゆめしま海道のある上島町は離島で構成された町。向かうには海を渡るしかありません。ということは、つまり、白くまと一緒に船に乗る…?

 

①白くま、海を渡る

調べてみたところ、やっぱりゆめしま海道に行くにはフェリーで海を渡る必要がありました。
今回は「生名(いきな)フェリー」という会社のフェリーに乗ることに。広島県因島(いんのしま)の下の方にある、土生港(はぶこう)から出発です。

生名フェリー

生名フェリー

10kmの寄り道なんて、なんてことない…はずだったのですが、フェリーに乗るとなると一気に緊張感が高まります。
どうやって乗ればいいのかよくわからないまま、ひたすらにドキドキしながらフェリー乗り場に向かいました。入口の場所を確認するために乗り場を一度素通り。様子を見たところ場所は合っていそうだったのでUターンして戻る、という小心者のクルマ旅。

 

〜手順のご紹介〜

土生長崎桟橋フェリー乗り場

土生長崎桟橋フェリー乗り場
  1. クルマに乗ったまま乗船レーンに並ぶ
  2. 落ち着くためにスーパーで買ったコーヒーを飲む
  3. フェリーが到着し、クルマたちが降りてくるのを眺める

生名フェリー乗り場入口

  1. 列が動き出したら前のクルマについていく
  2. 気がついたらフェリーに乗っているのでそのまま前のクルマに続いて駐車する
  3. 落ち着くためにスーパーで買ったおにぎりを食べる

おにぎりを食べて気持ちを落ち着かせる

おにぎりを食べて気持ちを落ち着かせる
  1. 係の人が来るので切符を渡す(事前に切符をチケット売り場で買ってから乗船)
    ※釣銭が出ないよう、小銭を用意しておくとベスト
  2. 気がついたらフェリーが動いている
  3. 気づいたら到着している!

生名島に到着

生名島に到着

乗る前はあんなにドキドキしていたのに、始まってしまえば本当にあっという間の船旅でした。船が動き出してから到着するまで3分くらいだった気がします。

一人だったらもっと緊張していたかもしれないけれど、今日までずっと長旅をしてきた白くまと一緒だから。やってみたことがないことでも気軽に挑戦できてしまう、そんな気持ちになれるのです。

ちなみに乗船中の景色は前に停まっているクルマだけでした。「海が見えるかなあ」って楽しみにしていたのですが、一番前に乗らない限り難しそう…帰りは絶対に一番前に乗ってやると心に誓いました。

 

②ゆめしま海道ドライブ...弓削島

そうしてたどり着いた上島町、ゆめしま海道!

弓削大橋

どこに行っても海が見える、すてきな離島とそれらをつなぐ橋たちです。

ゆめしま海道石碑 

普段から海沿いを走ることがない私と白くまにとって、海に囲まれている離島ドライブというのはとてもワクワクするもの。
まずは端っこの弓削島へ行き、ゆったりドライブを始めることにしました。

ドライブ中に見つけたものたち

海沿いの鳥居を見つけたり、寝心地が良さそうなベンチを見つけたり。あちこちに散らばる「かわいい」を見つけながら、のんびり進んでいきます。

トイレは選びたい放題

そしてホームページに書かれていた「トイレ多。」の文字通り、予想以上にトイレがいっぱい。
それに合わせて休憩できる場所もたくさん!

信号が一つもなくて、道路はきれいで、とにかくとっても快適にドライブができます。

地元の人たちはクルマで効率的に移動する一方、たくさんの観光客たちがサイクリングを楽しんでいる姿が対照的で…
隣にはいつもキラキラ輝く海。どこに行っても広くて青い空。

 ところどころで寄り道 

音楽をかけて、道端でソフトクリームを食べて、想像以上にのんびりして。
先に進むたびに元気が出る、いいドライブになりました。

 

③地元の食材を手に入れよう…佐島

弓削大橋を渡る

二つ目の島、佐島! 弓削島と佐島をつなぐ弓削大橋を通って上陸です。

リサイクルコーナー

佐島では旧スーパーを再利用した施設、「佐島しまのひろば」にお邪魔しました。こちらでは島でとれた新鮮な野菜を買うことができます。

新鮮な農産物だけではなく、ドネーションで手に入れることができるリサイクル用品や休憩ができるソファなども置いてありました。地元の方達が集まってお茶とかするのかな…いい場所だなあ。

佐島しまのひろば

佐島しまのひろば

時期があまりよくなかったようで野菜の数がちょっと少なかったのですが、新鮮なレモンを手に入れることができました! それから古本も。

新鮮な野菜たち

ちなみに今回はキャンプ場さん経由でお野菜を分けていただくことができました…! しまのひろばではこういった野菜も手に入るそうです。とれたて新鮮野菜!

佐島しまのひろば
住所:愛媛県越智郡上島町弓削佐島610
TEL:0897-77-2500(上島町企画情報課)
営業時間:9:00~17:00(年末年始休業)
URL:https://www.kamijima.info/sightseeing/shimanohiroba-2/

 

④海の隣のキャンプ場…生名島

生名橋

食材をゲットしたら、「生名橋(いきなはし)」を渡って三つ目の島「生名島(いきなじま)」へ。
ここには今日の宿泊場所「サウンド波間田(はかんだ)キャンプ場」があります!

サウンド波間田キャンプ場

関東にある自宅を出てからここまで、とーっても長かった。トリップメーターを見たところ900kmを超えていました。
もうすぐ1,000km。クルマ旅が始まった感じがしてワクワクします!

頂いたみかん

キャンプ場ではウェルカムドリンクならぬウェルカムみかんを頂いたので、それを食べながらちょっと休憩。管理人さんとおしゃべりをしていた島おこし協力隊の方に地図も頂きました。

現地にたどり着くまではいつもGoogleマップやインターネットで調べるけど、その場所に到着したら紙で広げて見たかったのでとってもありがたい。

白くまとともにひと休み

白くまとともにひと休み

休憩はピクニックベンチで。
キャンプサイト内にベンチがあると、一気に快適度が増すんだよなあ。車内で休憩するのも好きなんだけど、いい天気のときは外で過ごすのも最高に気持ちがいい。ついでに白くまの窓を拭いて、軽く掃除をして…お互いひと休みです。

キャンプ場内

サウンド波間田キャンプ場は、海のすぐ隣のとても穏やかな場所。
広場では子どもたちが遊んでいて、隣のオートキャンプサイトにはハイエース車中泊のご夫婦がいて…外に出れば鳥の声。少し歩けば白い砂浜。
離島ならではの穏やかさを感じることができる、とてもいい場所でした。

のんびりし尽くしたら、今日集まった食材たちで夕食を作ります。
島でとれた旬の食材を使って作る、クルマ旅ごはん。疲れているので大層なことはできませんが、せっかくのキャンプ場なのでできる限りでがんばりました!

 

島の新鮮な食材で作るキャンプ飯レシピ

島のものサラダ

火を使わない島のものサラダ

 

新玉スープ、野菜だらけカレー

なんでもいれよ野菜だらけカレー

どれもシンプルなものですが、三品も作るなんて私にしてはがんばりました。だって今日は、「長期旅はじまりパーティー」だもの。

星空の下、焚火

夜になると空には満天の星。風は少ないけど結構寒くて、暖かい炎がまだまだうれしい季節です。

好きなものがいっぱい詰まった自分の部屋から、きらめく星と揺れる炎を見れるって、なんてぜいたくなんだろう。
自分が住んでいるアパートでは絶対に叶えられない、幸せなひとときです。

お湯レモンでほっとひと息

お湯レモンでほっとひと息

夜眠る前に、昼間手に入れたレモンを搾ってお湯レモンを作りました。
今住んでいる埼玉ではなかなか手に入らない新鮮なレモン。それが手に入る環境、海と星が目の前にあるこの場所…遠いところまで来たんだなあ。

サウンド波間田キャンプ場
住所:愛媛県越智郡上島町生名2798
TEL:0897-72-8905
営業時間:8:30~17:00(年末年始も営業)
URL:https://yumeshima.club/camp/

 

⑤山を彩る桜の絶景へ…岩城島

しまなみ海道のハイライトと朝日に臨む積善山

翌日、早朝。まだ日が昇らない暗いうちにキャンプ場をいったん出発し、生名島から岩城橋を通って岩城島(いわぎじま)に上陸しました。

岩城橋

岩城島へは2022年に開通したばかりのピカピカ橋、「岩城橋」を渡っていきます。
この橋がなかったらこんな朝早くにこの島に来ることもできなかった。たくさんの人が時間をかけて作ったこの橋を、好きなときに渡れることに感謝しかありません。

さて、今日は三千本以上の桜が咲き誇る「積善山(せきぜんさん)」に登ります。(登ります、と言っても白くまが!!)
元々は前日に夕陽を見ようと思っていたスポットなのですが、キャンプ場の管理人さんに夕方は激混みだという情報を聞いたので急きょ早朝に変更しました。
急な予定変更も、誰もいないような時間帯の出発も、白くまにとってはお手のもの。
夜明け前に起きて、すぐに出発できるのはクルマのおうちならではなんだよなあ。もうちょっと寝たい…と思っても、まあとりあえず運転するかあという気持ちになるのです。だって、目の前にはもう運転席が用意されているんだもの。

標高約370mの道のりをぐんぐん登り、あっという間に頂上付近の駐車場へ。そこから登山道を5分ほど歩いて展望台に上ったら、そこが頂上です。

積善山からの絶景

積善山からの絶景

頂上で見えたのは、上島町の島々、昨日渡った橋たち、駐車場にいる白くまの姿。そして、ゆっくりとあたり一面をピンク色に染める朝日。
360度のパノラマ展望台では、今まで走ってきた道のりを一望することができ、やり切った感でいっぱいになりました。

3月下旬頃の桜

3月下旬頃の桜

早起きして見に来た甲斐があったなあ。満開は来週とはいえ、とってもきれいな桜たちに会えました。
かなり寒いのに朝から山を登ってくれた白くまにも感謝です。もちろん徒歩でも登れる山ですが、片道2時間半はかかるそう。徒歩だったら朝日を見ることは無理だったなあ…。

それにしても寒いので、一度白くまに戻って明るくなるのを待つことに。
クルマのおうちは、駐車場で待つことがとっても得意です。ちょっと待ってる間にお湯を沸かして飲んだり、ベッドの上でゴロゴロできちゃうんだから。

山頂から見える桜

明るくなったら駐車場からまた展望台に向かって登頂です。登山道に沿って咲いているたくさんの桜たち、明るい帰りはきれいに見えそうだなあ。
頂上からは四国本土側も見ることができました。これから私たちが進んでいく場所、渡っていく橋たち、いつもそばにいる美しい海! 

美しい風景たち

 

まとめ

橋続きのゆめしま海道めぐりを終えて、またフェリーに乗り込みます。
昨日はど緊張だった乗船も、今では勝手が分かっているからちょっとすまし顔。さらに一本見送ることで目論見通りちゃんと一番前に乗れました。視界いっぱいに広がる波、そしてどんどん近づいてくるのはこれから進む道。

フェリーで寄り道もフィナーレ

これにて本州から四国に渡るまでの、ちょっとした寄り道はおしまい。
ちょっとした寄り道のつもりだったけど、すてきな景色にたくさん出合うことができました。そしてもう「次はいつ来ようかな」と考えている。
そんなふうにいい気持ちで旅ができるのは絶対に白くまのおかげ。
いいスタートが切れてハッピーです。

景色はずいぶん変わったけれど、いつも一緒にいるクルマのおうち「白くま」のおかげで安心してどこにでも行くことができます。だからこの先がただただ楽しみ。
ここから四国本土に入り、私たちの四国一周がついに始まります!

 

漫画/いとうみゆき
編集/古郡充彬、TAC企画