お気に入りの街で車中泊を! バンライファー・宮本メイさんの旅する暮らし

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バンを拠点に移動しながら暮らすバンライフ。中古で購入したキャラバンを自分らしくDIYして、バンライフを満喫している宮本メイさん。大学生のときに憧れだったバンライフを実現させ、キャンピングカーのデザイン会社を起業。「バンライフ社長」という肩書きで、仕事をしながら好きなときに、好きな場所へと旅を続けています。「バンライフは可能性があふれたライフスタイル!」と熱く語る彼女。女性のバンライファーを増やしたいと、SNSで「自分のための自由な暮らし」を発信し続ける宮本さんにお話を伺いました。

目次

  1. ① 自由な暮らしに憧れてバンライフデビュー
  2. ② 好きなときに、好きな場所へ行けるバンライフ
  3. ③ 宮本さん流!お気に入りの街の見つけ方
  4. ④ 3年間、バンライフを続けてみて…

 

宮本メイさん

プロフィール:
宮本 メイさん
株式会社MeiMei代表。大学時代にキャンピングカーをカスタムして、バンライフをスタート。現在は旅をしながら、キャンピングカーのデザインや女性のエンパワーメント事業の仕事を行っている。バンライフに憧れる女性を応援するため、SNSで情報を発信。女性に向けたオンラインコミュニティも運営中。
Instagram @may_miyamoto_
YouTube @may_miyamoto_

 

自由な暮らしに憧れてバンライフデビュー

葉山のビーチを歩く宮本 メイさん

平日にもふらっと訪れるという葉山のビーチにて取材を実施しました!

宮本さんがバンライフを始めたきっかけは何だったんですか?

宮本メイさん(以下、宮本さん):きっかけはコロナです。大学3年生のときに中国に留学していたのですが、2年の予定が半年で帰国することに。実家に戻ってきたものの、毎日同じ壁を見てオンライン授業を受けて、自分の部屋だけが自分の世界になってしまうことに疲れてしまいました。いろんな場所に行くことが好きだったので、旅をしながら授業を受けられる方法を探したときに、バンライフをしようと思いついたんです。

 

もともとバンライフという存在は知っていたんですか?

宮本さん:はい。高校生のときにInstagramを見て憧れていたんです。アメリカ人の夫婦がグランドキャニオンにクルマを置いて、窓を開けて眠っている姿を見て、なんだこの自由な暮らしは! と。

 

その憧れを叶えて、バンライフデビューを果たしたんですね!

宮本さん:最初は車中泊仕様ではない、普通の軽バンでしたけど。東京から和歌山まで1カ月旅をしました。

インタビューに応える宮本さん

その1カ月はどんな生活を?

宮本さん:朝9時くらいから授業を受けて、合間にはインターンもやってました。すべてオンラインで。普通の大学生とやっていることは同じで、家が車になっただけという感覚です。スキマ時間は観光地で散歩したり。金銭的に1カ月で戻りましたが、楽しくて翌年も…って感じです。

 

もともと運転やアウトドアは好きだったんですか?

宮本さん:運転は慣れていなかったこともあって、親から反対されました(笑)。運転に苦手意識のある女性って多いけど、そんな人も運転免許は取れているわけで、慣れだと思うんです。今はキャラバンに乗っていますが、最初は軽バンからスタートして、徐々にステップアップしていった感じですね。私はどちらかというとインドア派ですが、父親がキャンプ好きでキャンプはよくしていました。ただ、キャンプは片付けが大変。でも、バンライフだと駐車場やキャンプ場に着けば設営完了するところもいいんですよ。

 

確かにテントの設営とか、慣れていない人からしたら大変ですもんね。他に、バンライフのどういう部分に魅力を感じていますか?

宮本さん:朝は鳥の声や波の音で起きて、外を見たら目の前に絶景が広がっている。そんなところに一番魅力を感じています。この生活ってかっこいいし、幸せだなって。それで旅をしながら仕事するライフスタイルっていいなと思うようになりました。

海沿いにクルマを停めてコーヒーを淹れる宮本さん

波の音を聞きながら、コーヒーを淹れてリラックス

そういった魅力に惹かれて、ずっとバンライフを続けているんですね。

宮本さん:就職しようか迷った時期もありました。でも、自分が本当にやりたいことに挑戦したくて、バンライフを続けることにしました。それに借りたクルマじゃなくて、自分のクルマでやってみようと思ったんです。バンライフって時間やお金に余裕があったり、仕事や子育てが一段落してから始める人が多いけど、今やろうと。コロナ禍で「いつかは来ないかも」と痛感しましたから。それでアルバイトで貯めた60万円で中古のキャラバンを買って、クラウドファンディングで支援してもらった費用でDIYをして、本格的にバンライフを始めました。

 

好きなときに、好きな場所へ行けるバンライフ

好きな街へ向かう宮本さんが運転するバンの様子

宮本さんは社会人になった今でも自由気ままなクルマ旅を続けています

バンライフで全国各地を旅してきたと思うのですが、いつもどんな楽しみ方を?

宮本さん:地元の飲食店に行ったり、いいなと思ったお店をInstagramでシェアしたり、動画を撮影したり。移住者の方など、街の情報を発信している人に連絡を取っておすすめを教えてもらうこともあります。

 

インフルエンサーとして発信することも大切にされているんですね。

宮本さん:いいものをシェアしたい気持ちというか、かわいいものがあれば友達にも見せたいっていうそんな感覚です。発信するときは、自分が好きになった街のアンバサダーだと思っています。

 

アンバサダーという考え方って素敵ですね。

宮本さん:移住ではなく、地域間を流れるように移動することで地域に関わっていく「流動創生(りゅうどうそうせい)」という考え方があるんです。これを知ったときに、私も地域のアンバサダーだなって。人それぞれに合う街があるはずだから、バンライファーが増えて、お気に入りの街の魅力を発信して、世界中の人に届けばいいなと思っています。

 

ちなみに、宮本さんのお気に入りスポットはどこですか?

宮本さん:石川県の穴水町(あなみずまち)です。能登半島にある街で、バンライファーに人気の「田舎バックパッカーハウス」という宿があります。車中泊もできるスポットで、人情味のあるオーナーが地域の人を紹介してくれます。バンライフってクルマ内で完結してしまうので、外と交流するには積極的に行動しないといけませんが、ここなら自然と交流が生まれます。

田舎バックパッカーハウスで地元の人と交流する宮本さん

バンライファーの登竜門と呼ばれる「田舎バックパッカーハウス」。 地元の人やバンライファーと出会える

地元の方とはどんな交流があったんですか?

宮本さん:地元の漁師さんにイカ釣りに連れていってもらいました。たくさんイカを釣って、みんなでさばいてシェアして。とても楽しかったです。

イカ釣りを楽しむ宮本さん

小さなボートに乗ってイカ釣りへ。大量のイカをゲット!

 

宮本さん流!お気に入りの街の見つけ方

インタビューに応える宮本さん

全国各地を旅してきた宮本さん曰く 「お気に入りの街を見つけるのも、バンライフの魅力」

自分に合う、お気に入りの街を見つけるコツってありますか?

宮本さん:最初は有料の車中泊スポットに行ってみるのがいいかな。バンライファーのコミュニティがあって、知り合いができやすい。みんなSNSに情報をアップしていたり、ここがよかったとおすすめの場所を教えてくれます。運営側も利用者側も、お互いが車中泊するという同意の元で集まってきている人たちだから安心感もありますし。

 

なるほど。何か旅先で注意していることはありますか?

宮本さん:訪れた街のことを知るためにも、お金はケチケチせず使うようにしています。その土地ならではの名産品を買うこともありますが、特に大切にしているのは「経験」にお金を使うことです。最近気づいたんですけど、いつも自然の中にいて自然の生命力を受け取っているとストレスがないから物欲も減って…。すると「経験」にお金を使うようになるんですよね。

 

「経験」ってどういうことをするんですか?

宮本さん:例えば、文化体験センターのようなところに行って、ワークショップに参加するとか。会いたい人がいたら、ガソリン代や距離は関係なく訪ねてみるとか。好きなときに、好きな場所へ、好きな人に会いに行けるというのがバンライフの醍醐味ですから!

知人のバンライファー数人と一緒にキャンプをしている宮本さん

北海道で出会ったバンライファーたちとキャンプを楽しむ宮本さん。
彼らとの交流は今も続いているそう

人との交流も大切にされているんですね。

宮本さん:はい。ただ、距離感は適度に保つようにはしています。SNSなどを通じて連絡をくれる方もいますが、疲れているときやあまり人に会いたくない気分だと感じるときは、無理に会ったりはしません。ただ、同じ北海道の中だけでもとても広いので、会おうとしても単純にタイミングが合わない、なんてことはよくあります(笑)。一番大事なのは自分自身を大切にすることです。

 

3年間、バンライフを続けてみて…

キャラバンのバックドアを開けて、海を眺める宮本さん

バンライファーとして3年間過ごしてみて、何か心境の変化はありましたか?

宮本さん:私は東京で生まれ育ったんですけど、都内にいると予定を詰め込むし、人間関係も複雑になって、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたんだなと感じています。ただ、その状況が当たり前だから疲れていることに気づけなくて。でも、クルマで地方に行って自然の中にいるとストレスフリーになれた。ときどき、人恋しくなる時もあるけど、行き来は気軽にできますから。自分の気持ちに素直に、柔軟に過ごせるようになりました。

 

自分に素直になれるって、いいですね。

宮本さん:基本的に一人で過ごすことで、自分と向き合う時間も増えるからだと思います。私はバンライフにはいろんな可能性が満ち溢れていると思っていて。

 

それはどんな可能性ですか?

宮本さん:この先、クルマが自動運転になっていくと、クルマ=動く箱になる。するとそこに住むようになるんじゃないかと言われています。今はバンライフって旅やアウトドア好きの人が主流ですが、どんな人でも楽しめるようになるんじゃないかなって。

 

誰もが気軽に始められるようになるんですね。

宮本さん:そうなってほしい! それと今まで何組ものバンライファーと交流してきたのですが、共通しているのはみんなイキイキとして幸せそうだということ。バンライフは人や社会とほどよい距離が取れて、選択肢が自分にあるライフスタイル。自由や自然、現代で求められている要素が詰まってると思うんです。

 

宮本さん自身は今後、どんなバンライフをしていきたいですか?

宮本さん:私の目標は二つ。一つは海外でのバンライフ。バンライファーはリモートワークを確立させる必要があるのですが、それができてしまえば日本にいる必要もない。友達がアメリカでバンライフをしているので、まずは2週間くらいやってみる予定です。そして今後、結婚をして早めに子どもを育てたいと思っているので、家族で世界中をバンライフできればいいな。それを特別なことではなく、日常として発信していきたいです。

キャラバンの中でノートPCを広げて仕事をする宮本さん

リモートワークのため、日頃の業務はキャラバンの中で行うことが多いそう

もう一つの目標は?

宮本さん:そろそろ今のクルマをアップデートしたい。大学生のときにつくったものなので、今より大きいバスのようなクルマを買って、手作り感よりも高級感のあるものに仕上げたい。それが今後モビリティが発達して、たどり着くバンライフの方向性だと思っているので探求していきたいです!

 

今回は宮本さんのバンライフについてのお話をお伺いしました。
次回の後編では相棒であるキャンピングカーを大解剖します! デザインのコンセプトやどんな部分にこだわってDIYをしたのか、そして思わず涙を流してしまった苦労話などをお届けします。

キャラバンを自分の手でDIYする宮本さん

実は不器用だという宮本さん

 

文/越智 理絵
写真/中田 健司、宮本 メイ
編集/ TAC企画