必要なものだけをバンに詰め込んで、自由気ままな旅に出る「VAN LIFE(バンライフ)」。それを実践する「バンライファー」たちにとって、クルマは単なる移動手段ではなく、毎日の生活をともにする「究極の相棒」です。
今回、カエライフ にご登場いただいたのは、女子キャンパーに大人気のインスタグラマー、YURIEさん(@yuriexx67)。自然体かつハイセンスなアウトドアライフを紹介する投稿がインスタグラムで人気を呼び、フォロワー数は7万人以上(2019年12月時点)。
もともと旅が好きだったというYURIEさん。キャンプにハマったことがアウトドアライフのはじまりですが、愛車「サンシー号」との出会いによって、キャンプの楽しみ方も変わったそう。
モットーは「本気で遊ぶこと」と屈託のない笑顔で話すYURIEさんに、キャンプやVAN LIFEへの熱い思いを聞きました!
- YURIE(ユリエ)さん
- インスタグラマー。1988年、群馬県生まれ。一般企業での事務職やアパレル企業の広報、服飾雑貨のデザイナーなどを経て、2018年に独立。キャンプや旅、アウトドアを楽しみながら、その魅力を「ソトアソビ」というライフスタイルとして発信。空間スタイリングや執筆のほか、ファッションや雑貨の商品企画・プロデュースも手がける。著書に『THE GLAMPING STYLE 〜YURIEの週末ソトアソビ〜』(KADOKAWA)がある。 Instagram @yuriexx67
公式サイト www.yuriexx67.com
やりたくなったら即行動! 知識ゼロから始めたキャンプ
YURIEさんがアウトドアにハマったきっかけを教えてください。
YURIE:2014年頃のことですが、当時はカバンや靴などの服飾雑貨を作る会社でデザイナーとして働いていました。あるとき、会社の先輩に週末の予定を聞いたら、「晴れたらキャンプでも行こうかな」という答えが返ってきたんです。
私はもともと屋外で遊ぶのが大好きで、仕事が休みの日にはフェスや旅行に出かけまくっていました。でも、キャンプという選択肢はそれまで一度も考えたことがなかった。しかも先輩の、とくに計画を立てるわけでもなく「晴れたら行こうかな」っていう軽いノリがめちゃくちゃカッコいいなと。もう、衝撃でした。
「キャンプ!? どうやってやるんですか!」って先輩にすごい勢いで食いついて、おすすめのキャンプ場を教えてもらって。その次の週末には、当時付き合っていた彼氏、今の旦那を誘って人生初のキャンプに行きました。
次の週末に初キャンプとは、行動が早いですね!
YURIE:やりたいことはすぐやらないと気が済まない性格なんです。あと、父親がF1レースが大好きで、レースを見るために鈴鹿サーキットのキャンプ場によく泊まっていました。だから最初は、父が持っていたキャンプギア(キャンプ道具)を丸ごと借りたんです。
初心者だからテントの建て方もよくわからなくて、かなり不恰好なキャンプでしたが、ものすごく楽しかった。焚き火をして、ごはんを作って、夜は自分たちで買ったハンモックを2つ並べて、旦那と二人でゆらゆら揺れながら満点の星空を眺めました。もう最高でした(笑)。
そこでキャンプにのめり込んだんですね。
YURIE:その次の週には、自分たちのテントを買いに行きました。当時流行っていた「ナバホ柄」という、アメリカ先住民の織り物をモチーフにした温かみのあるデザインのテントです。次のキャンプが待ちきれなくて、すぐに近所の公園でテントを建てました。そのとき「初めて自分の家を持った」という感じがして、すごくうれしかった! あの瞬間は、人生ときめきランキングのかなり上位に入ると思います(笑)。
そこからは早かったですね。テントに合うお気に入りのアイテムを1つずつ買い揃えていって。毎週のようにキャンプに行ってたら、いつの間にか、キャンプが生活の中心になっていました。
クルマで旅がもっと自由に。VAN LIFEで広がる可能性
VAN LIFEはいつから始められたのですか?
YURIE:自分のクルマを持ったのは2017年。それまでは実家の小型車を借りてキャンプギアを運んでいました。
自分のクルマがほしいと思った理由は2つあって、1つはキャンプギアが増えて、荷物がかさばるようになってきたこと。その頃に買ったテントなんて、住んでいる部屋よりも大きくて(笑)。それでもっと大きなクルマが必要になりました。
もう1つは、私のライフスタイルの変化です。インスタグラムは以前からやってたんですが、キャンプの投稿を続けていたら、だんだんインスタグラム経由でアウトドア関連のお仕事をいただくようになりました。会社でデザイナーとして働きながら、空いた時間にフリーランスとして活動しているうちに、忙しくてキャンプに出かけられなくなってしまって。
YURIE:キャンプ関連のお仕事はすごく楽しいけれど、遊びに行く時間がなくなったら本末転倒です。 仕事も遊びも思いきりやるにはどうしたらいいかを考えたら、VAN LIFEが思い浮かびました。バンが1台あれば移動できるし、たくさん荷物が積めるし、そのまま旅して泊まることもできる。
試しに中古車を見に行ったら、このバン(日産バネット)が50万円くらいで売られていて、思わずその場で買っちゃいました。旦那が「自然が好きだから、太陽(Sun)と海(Sea)で、サンシーにしよう」と名前を考えて、ナンバープレートも「34」で申請して、この「サンシー号」が誕生しました。
サンシー号ではかなり本格的なDIYをされていますよね。これはご自分で?
YURIE:私はすごくラッキーで、プロの方たちに手伝ってもらったんです。ちょうどこのクルマを買った頃、DIY用品の販売を行う「DIY FACTORY」からお仕事の声をかけていただいていたので、思いきって「最近クルマを買ったので、VAN LIFE仕様のDIYをやりませんか」と提案しました。その企画が通って、DIY FACTORYのスタッフさんたちと一緒に、クルマを塗装したり、車内に設置する棚や可動式のベッドを作ったりと、丸1ヵ月くらいかけてゼロからのDIYをしました。
そして、今年開催された車中泊イベント「カートラジャパン2019」の中で、現役大工でバンライファーの鈴木大地さんと一緒にサンシー号をリノベーションするプロジェクトに参加させてもらいました。私がイメージスケッチを描いて、大地さんがプランニングをして、カートラジャパン開催中の3日間で一緒に作業を完成させる企画です。これでサンシー号がさらに快適な空間にバージョンアップしました。
好きなものに囲まれて、クルマの中は最高の秘密基地
クルマを買ったことで、YURIEさんのアウトドアライフは変わりましたか?
YURIE:サンシー号を手に入れてから1年後の2018年、会社を辞めて本格的にフリーランスになりました。
時間をより自由に使えるようになったので、その日の気分でどこかへ行って、RVパーク(車中泊ができる駐車場)に停めてそのままクルマの中で寝たりとか、キャンプサイトまで行ってテントを建てたり。
クルマ旅ってほんとに気楽なんですよね。基本的なキャンプギアはいつも車内に積んでいるので、準備も予約も不要。ちょっとした空き時間ですぐに出かけることができます。
YURIEさんは自身のアウトドアライフを「ソトアソビ」と表現されています。これにはどんな思いが?
YURIE:アウトドアっていうと、なんだかハードル高そうな感じがするじゃないですか。いい道具をたくさん揃えて、知識をつけなきゃっていう。私は別にアウトドアの達人でも博士でもなくて、ただ全力で遊びたいだけなんです。だから気軽なソトアソビ。今でもずっと、自分をアウトドア初心者だと思ってます。
YURIEさんにとって、クルマとはどんな存在でしょうか?
YURIE:今はサンシー号がかわいくて仕方ないです! 海外旅行に行ったときなど、「このペナントはサンシー号に似合いそうだな」と思って、お土産を買ってきたりします(笑)。クルマを超えた、大切な相棒です。
近い将来、カーシェアリングがもっと一般的な世の中になったとしても、きっと私は一生自分のクルマを持ち続けると思います。レンタカーで走るのとはまったく気分が違うんですよね。それは所有欲でもあるし、自分らしい空間の中に身を置けることの心地よさでもある。
旅先で、すてきなホテルや温泉宿に泊まるのも好きですが、それと同じくらいサンシー号の中で眠るのが大好きなんです。言うなればここは、私だけの「秘密基地」です。
文/小村 トリコ
写真/木村 琢也
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