キャンプの楽しみ方のひとつとして、テントではなくクルマの荷室やシートで仮眠をとる「車中泊」が、キャンパーの間で注目を集めています。
今回、普段はテントでキャンプを楽しんでいる2人の女子キャンパーに、車中泊を実際に体験してもらいました! 車中泊に慣れていない彼女たちは、はたして快眠できるのか!? その様子に密着取材します!
普段はソロスタイルの女子キャンパー
- マイさん
- 「@my.camp.style」のアカウントで、1万人のフォロワーをもつインスタグラマー。アカウント名の通り、自分のキャンプスタイルを貫く姿勢が支持されています。
普段はミリタリーテイストのテントで、-10℃のなかでも寝てしまうツワモノぶり。これでも、キャンプ歴は1年ほどだというから驚きです。
- ROSAさん
- 「@live_with_the_earth」のアカウントで同じくインスタグラムを使いこなす女子キャンパー。友人からキャンプに誘われたことがきっかけで、その魅力に惹きつけられました。
焚き火を使った料理を作るのが得意で、凝ったキャンプ料理も手際よく作ってしまいます。いつか、雪が降り積もる中でキャンプをする「雪中キャンプ」にも挑戦したいそう。
今回宿泊した「ソレイユの丘」とは?
今回車中泊を体験したのは、神奈川県横須賀市にある「ソレイユの丘」。様々なアトラクションがあり、農業体験、パン作り、クッキー作り体験などもできる総合公園です。
2019年の冬にキャンプ場を再整備したので、まだ真新しい施設を利用することができます。テントを張れるフリーサイトのほか、クルマの乗り入れができるオートキャンプサイトやバンガローも備えています。
チェックイン後、まずはキャンプサイトを設営!
まずは2人の積載術を拝見! 今回は流行りのコンパクトミニバンタイプ、Honda FREED+ を利用しました。
5人乗りにしてラゲッジスペースが高さ1,255mm×最大幅1,080mm(開口部)と、広々とした空間が特徴です。 一泊で、2人分の荷物であれば、後方の視界もバッチリ見える余裕の積載となりました。
午前10時ごろキャンプ場についた2人。広々とした場内に興奮しつつも、まずはキャンプサイトの設営をスタート。重たいキャリーを2人で協力して降ろします。
ROSA:スーツケースが上のスペースにぴったりでした。テントやシェルフ(棚)、薪などは下のスペースに入れます。キャンプ場に来る途中で買い出しをすることを考えて、クーラーボックスはフタが開け閉めしやすいように上に荷物は載せません。
次にスーツケースの中身を見せてもらいました。
マイ:左は衣類やチェアといった大きな荷物を入れて、右はガス缶や食器、ハンマーといった小物を収納しています。モコモコした布が好きなので、毛布代わりにキャンプにも必ず持って行っちゃう。だけどかさばるので、圧縮袋で小さくしてしまっています。
ROSA:100円ショップで買った収納袋を使って、衣類や小道具を分けてしまっています。毛布やブランケットはかさばりやすいのですが、丸めるとスペースに収まりやすくなることに気づき、最近は丸めて収納していますよ。
テントはマイさんのお気に入り、テンマクデザインというアウトドアブランドから発売されている人気テント「サーカス TC」を使用。
マイ:今日は車中泊なので、寝る場所としてのテントは必要ないんですが、くつろぐためのリビングスペースとして、このテントを張ることにします。
15分ほどで、リビングルーム代わりのテントを設営完了しました! まずは飲み物を飲んでほっと一息つきます。
FREED+は今回のような可愛らしいパールホワイトのほかに、シックなシルバーメタリックやポップなライトブルーなど9色展開されています。ミニバンタイプではコンパクトなサイズなので、小回りが利き、スムーズに駐車でき、狭い道を通ることも多いオートキャンプサイトでもあんしんして運転できるのがメリット。
荷物を下ろしたので、次はベッドメイキング
荷室と後部座席をフラットにして、人が横になれるスペースを作ります。最初に運転席・助手席を一番前までスライドさせて、後部座席の座面を持ち上げます。さらに、上の写真のように、背面を倒します。
背面を前に倒しきると、フラットになり、完成! 説明書がなくても勘でできちゃいました。慣れれば数分でできる上に力もいらないので、女性ひとりでも簡単です。
今回は2人一緒に車中泊をするので、後部座席をフルフラットにします。
より快適にするために、ROSAさんが持っていたインフレータブルマット(エアマット)をちょっとデコボコするところに敷きます。インフレータブルマットは、バルブ(空気孔)を開ければ、何もせずに途中まで空気が入り込んで膨らむ優れもの。
半分程度空気が入ったら、あとは口で膨らませます。インフレータブルマットはかさばらないので、車中泊のときに持っていくと便利ですよ。
最後に、純正アクセサリー「ラゲッジクッションマット」を敷いて、車中泊スペースが完成!
このマットは純正品なので、当然ながらクルマのサイズにぴったり。フラットで快適なベッドのできあがり! 車中泊キャンプに欠かせないアイテムです。
マイ:このマットがあるのとないのでは、ぜんぜん違うね!
ROSA:これだったらぐっすり眠れそう。
車中泊をする際は寝心地以上に重要なことがあります。それは、プライバシー。外から誰かに見られるかも……という不安は眠りを妨げますし、防犯上も好ましくありません。ゆっくり車中で休むためにも、「プライバシーシェード」を取り付けます。
両サイドとフロントを吸盤で取り付けるタイプで、こちらも5分程度で設置できました。
ただし、何度も使っていると吸盤が取り付けにくくなることがあるので、ウェットティッシュなどで事前に吸盤と窓から埃を拭き取ると、よりスムーズに設置できます。
キャンプでは、寝床を明るいうちに準備することが肝心。例えば山間部のキャンプ場だと、山の陰に日が隠れて、日の入り時間よりも前に暗くなり始めます。気がついたら辺りが暗くなっていて設営が難しくなった、なんてこともありますので、注意してくださいね。
無事に設営完了! ソレイユの丘を散策
正午ごろ、キャンプサイトも車中泊のセッティングも完了。ゆっくりできる時間ができたので、ソレイユの丘を散策してみました。
園内にはレストランやファストフードも充実しています。大好きなソフトクリームを食べている2人に、普段キャンプでどう過ごしているのか聞いてみました。
マイ:眺めがいい場所があれば写真を撮ります。ここは菜の花畑があるし、近くに海もあるので、撮影にはピッタリな場所だと思いました! あと、焚き火が好きなので、空いた時間があればすぐにでも火おこしを始めちゃいます(笑)。
ROSA:私もよく焚き火をします。焚き火をしながらお湯を沸かして、大好きなコーヒーを飲む時間が至福です。ここは温浴施設もあるので、お風呂にも入れちゃう。女性キャンパーに優しい場所だと思いました。
普段は野営スタイルを楽しんでいる2人ですが、温泉や眺めの良さを特に気に入った様子。インスタグラマーでもある2人は、撮影スポット満載の園内で、取材の合間にも撮影会で盛り上がっていました。
ソレイユの丘は24.6ヘクタール(東京ドーム4個半相当!)と広大で、四季折々のさまざまな花を楽しめます。取材したのは2月ですが、すでに菜の花が鮮やかに咲いていて、とても素敵な写真が撮れました。
4月下旬〜5月上旬にはネモフィラ、夏にはひまわり、さらに秋にはコスモスと、1年を通してキレイな花を見ることができます。季節とともに移り変わる景色のなかで、休日をゆっくり過ごしたい人にオススメです!
「これやりたい!」とアイシングクッキー作りにトライ!
園内のパンフレットを見て、アイシングクッキー作りの体験教室が気になった2人。予約なしでもOKだったので、さっそくトライすることに!
クッキーはあらかじめ用意されているので、デコレーションを楽しみます。2人が決めたテーマは、「キャンプ」。楽しみながら、真剣にクッキーにデコレーションを施していきます。
最近はこういった体験教室を開催しているキャンプ場が増えています。子ども連れの方やグループでキャンプに行く場合は、体験教室を開催しているキャンプ場を選ぶと、いろいろと楽しみが広がりますね。
真剣な表情で描くのは……?
30分ほどで完成!
マイさんは「テントとクマさん(右側)」を、ROSAさんは「メルヘン焚き火と桜(左側)」を描きました。
ROSA:赤色がなかったので焚き火に見えないかも……と思いましたが、ちゃんと焚き火に見えますね。食べるのがもったいないな……。
作業時間は60分ほど。1人1,500円で最大7点を作って持ち帰ることができるので、お土産にもぴったり。
暗くなる前に夕ご飯を調理。ポイントは時短!
夕方5時ごろになるとあたりは暗くなりはじめ、風も強くなってきました。暗くなると調理が格段に難しくなるので、早めに夕ご飯を作ります。
キャンプ料理のコツは、とにかく時短! 食材は自宅で事前にカットし、ゆでたまごや下ごしらえしておいた食材を使って手早く調理するのだとか。
マイ:キッチンが充実していない外での調理は、いつもより時間がかかるんですよね。なので、食材のカットや下ごしらえを事前に済ませておきます。特に今日のように風の強い日はさっさと調理を済ませないと、身体が冷えて辛いので、時短メニューの工夫はキャンプで重要なポイントですよ!
30分ほどの調理で完成! マイさんはハンバーグのワンプレート、ROSAさんは温野菜入りビーフシチューをメインに、温かいスープをプラスした献立。時短なのに、本格的なのは驚きの一言です!
ROSAさんは、前日に4時間じっくり煮込んだビーフシチューを持参。当日は温めるだけで、マイさんにも食べてもらっていました。
ROSA:大好きなマイちゃんや、大切な友だちのために料理をするが好きなので、いつも張り切っちゃうんです。
と、照れながら言うROSAさんが印象的でした。
料理が完成し、時間は夜7時。焚き火にあたりながら、今日のキャンプの振り返りから恋バナまで、女子トークが繰り広げられています。自分たちで作ったおいしい料理を食べながら、気心の知れた人と語り合う時間は格別です。
ソレイユの丘は直火(地面の上で直接火をつけること)禁止なので、今回は焚き火台を使っています。最近は直火禁止のキャンプ場が増えているので、焚き火台が必要かどうか、事前にチェックしてくださいね。
キャンプ場には最低限の灯り、もしくは真っ暗な場合もあるので、ライトを多めに持っていくと明るく過ごすことができますよ。
寝るだけじゃもったいない! 好みの車内にカスタマイズ
食事を終えて温泉に入ってあたたまり、あとはゆっくり寝るだけ。多くのキャンプ場では消灯、就寝時間が決められていて、ソレイユの丘では夜10時です。
2人は初めての車中泊。午前中に車内をベッドメイキングしましたが、「ちょっと可愛くしたいね」の一言で、クルマの中を自分好みにするカスタマイズの時間が始まりました!
まずは、持ってきていたピローやモコモコしたクッションを持ち込んでみます。
クルマのリアサイドにはフロアライトを灯して車内をより明るく。
マイ:クルマに付いているライトを点灯し続けるのもバッテリー上がりが心配なので、電池式のランタンが便利だと思いました。暖色系のライトは気分的に癒やされるし、多めにセッティングすると、おうちみたいにリラックスできちゃいます。
純正アクセサリーのルーフラックにランタンを吊り下げます。キャンプでは小物や割れ物を乗せることが多いルーフラック。車中泊のときは、ランタンを吊り下げるのに重宝します。
ラゲッジクッションマットの上には、インフレータブルマットとモコモコとした毛布を敷いて、下からの冷気を遮断。とても参考になります!
ROSAさんは飲み物も用意。コーヒーや甘いものではなく、カフェインレスのあたたかいお茶や白湯などがあれば、眠りも妨げられません。
寒い季節には、湯たんぽを使うとさらに便利! 使い方としては、お湯を入れて事前に寝袋の足先に入れておきます。そうすると、寝袋に入ったときにじんわりとあたたかく、寒い時期特有の「しばらく寝袋内があたたまるまでモゾモゾ」する必要はありません。
外は風が強かったけれども、クルマの中は暖かい空間になりました。暖かく寝られる工夫だけでなく、車内を明るく、可愛くカスタマイズしたマイさんとROSAさん。この日は、夜10時30分ごろにはぐっすり眠れたようです。
そして、朝。車中泊をしてみた感想は?
撤収も完了し、チェックアウトを済ませて今回のキャンプは無事終了。クルマに乗って帰宅です。最後に、初めて車中泊をした感想を聞いてみました。
マイ:思った以上に快適でした。特にこの季節(2月頃)は背中からの底冷えがあるので、夜は眠れなくなることが多いんです。でも、クルマの中は冷えがあまりなかったですね。外は風が強かったので、テントだとちょっと不安だったかも……。ラゲッジクッションマットは、フカフカして気持ちよかったです。
ROSA:ぐっすりと寝ることができました。車中泊は狭くて寝づらいのかな……と思っていましたが、実際に寝てみたら気になりませんでした。プライバシーシェードのおかげで外から誰かに見られるといった心配もなく、安心。初めて車中泊をする人にオススメしたいです。
テント泊の良さと車中泊の良さって?
マイ:お気に入りのテントは、張るだけで楽しくなっちゃう。自然をより感じられるテントは、すごく気持ちがいいんです。特に朝、テントから出たときに晴れていたら最高! でも、テントって高額だし、メンテナンスが大変なんですよね。だから、キャンプを始めたての人は、まず車中泊から始めていいかもしれません。
ROSA:キャンプって何が起きるかわからない。思ったより寒かったり、風が強すぎたり、大雨が降ってきたり……だから、そういったときはクルマに逃げ込むのが一番。テントも万能じゃないから、最悪の場合は強風でフレームが折れることもあります。私もマイちゃんと同じで、テントで寝るのがとても好きだけれど、天候が不安なときはテント泊じゃなくて車中泊に切り替えるのもいいなって思いました。
快適な空間でぐっすりと眠れたおかげで、楽しいキャンプができた2人。車中泊は初心者や女子キャンパーだけなく、上級者にもメリットが多そうです。手軽で快適な車中泊キャンプを、みなさんもぜひ体験してみてください。
文/小川 迪裕
撮影/千葉 沙恵子
取材協力:ソレイユの丘
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