好きな場所とタイミングで休める車中泊は、自由を満喫できる新しいレジャーとしても注目されています。ドライブ中に見つけた気になるスポットを巡るといった、気軽に計画変更ができる自由度の高さも魅力のひとつです。
でも、暑さ寒さにはじまって、トイレやゴミの問題、プライバシー&防犯対策といった心配ごとも。フリークの皆さんはどう解決しているのでしょう?
そこで、車中泊がライフスタイルの一部になっている“車中泊の達人”3人が、ありがちな厄介ポイントをテーマにクロストーク。車中泊ビギナーの不安を吹き飛ばす解決方法やお役立ちギアにも迫ります。
目次
まずは“車中泊の達人”3人の愛車をご紹介
今回お話をうかがう日常的にクルマを寝床にしている“達人”は、車中泊専門誌編集長の大橋さん、カエライフでの連載でもお馴染みの車中泊漫画家の井上さん、そしてアウトドア女子カルチャーを牽引する森さんのお三方。
大橋さんとその愛車紹介/ナッツ「キャネル」(日産「NV200バネット」がベース)
- 大橋 保之さん/カーネル編集長
- 車中泊を楽しむ雑誌『カーネル』の編集長にして、アウトドア情報メディアサイト「SOTOBIRA」も運営する。プライベートでは日産「ウイングロード」、会社用には日産「NV200バネット」がベースのライトキャンピングカーを駆って、公私問わず車中泊。
福岡県を拠点にするキャンピングカーメーカー・ナッツが、日産「NV200バネット」をベースに製作したキャンピングカー「キャネル」。車内には水道や電源、ポップアップルーフなどを装備する本格派。ちなみにポップアップルーフの中について、詳しくは「SOTOBIRA」のこちらの記事にてご紹介。
井上さんとその愛車紹介/スズキ「エブリイワゴン」
- 井上 いちろうさん/車中泊漫画家
- 免許返納した父親から譲り受けたスズキ「エブリイワゴン」で、寝泊りはもちろん、仕事までこなす漫画家。日本全国を旅しながらギャンブル漫画を中心に執筆し、カエライフでも『高速道路SA・PAグルメ旅!車中泊漫画家・井上いちろうが喰らう』を連載しています!
Twitter @haibiitirou
マイホームを捨てた約1年半前から、井上さんの家であり足となった。扇風機をはじめ、生活に必要なギアが満載の、まるで大人の秘密基地のようなレイアウトです。車内では運転席に設置したタブレット用アタッチメントを駆使して漫画執筆の仕事も精力的にこなしているそう。
井上さんの連載記事はこちら↓↓↓
森さんとその愛車紹介/Honda「バモス ホビオ」(愛称・なまけもの号)
カエライフ連載『森 風美のただいま軽バン改造中』の主人公。より気持ち良い空間になるよう現在進行中でDIYカスタム。後部座席に設置された自作のフルフラットスペースをはじめ、随所に女性らしい工夫が凝らされています。詳しくは連載記事にてご確認下さい!
森さんの連載記事はこちら↓↓↓
「トイレ・お風呂・食事」にまつわる車中泊トラブル・あるあるトーク
まずはトイレやお風呂、食事といった、生きるうえで欠かせない行為を達人たちはどう工夫しているのでしょう? ビギナーが真っ先に警戒するポイントですが、実はあまり心配する必要はないようで…。
一方で、最近ブームになっている車中泊は、その行為自体を目的としている人も増えていて、レジャーの一種としても確立しつつありますよね。
ペット可のホテルを探さなくても、愛犬と一緒に気軽に旅行ができるのもうれしいポイントです。
自炊はせずに地元のグルメを楽しむのが正解!
ただし、車中泊はテント泊や野営とは、過ごし方が少し違うんですよね。特に食事の楽しみ方。
とはいえ、車中泊をする場所がキャンプ場のときは、野外に調理キットを持ち出して自炊しちゃいます!
僕の食事はほとんどSA&PAかコンビニ。中央自動車道にある東京・八王子の石川PA(上り)なんか、第二の家といえるくらい常連です。八王子ラーメンがおいしくてね(笑)。
ゴミはなるべく出さないで持って帰るのがセオリー
僕はなるべくゴミを出さないよう、汁物はテイクアウトしません。みなさん、ゴミはどう処理してます?
RVパークとは…より安心で快適に車中泊が楽しめる場所として、日本RV協会が認定している駐車場です。詳しくはこちら。
とはいえ、ゴミに関していえば、家まで持って帰るのが一番シンプルかもしれません。2泊程度ならさほどの量は出ませんし。
トイレとお風呂はなんとかなる!?
お風呂は1泊2日程度なら入らなくても大丈夫です。朝起きたタイミングで、水で髪を洗い流さなくてもいいスプレータイプのシャンプーをふりかけて、スッキリしてから観光に出かけています!
特にステイホーム期間中は厳しかったですよ。やっぱり車中泊をする場所を探して常に移動しているので、風当たりがちょっと強かったかな。“他県ナンバー狩り”なんて物騒な動きもありましたし…。やむなく一時期はホテル暮らしをしたほどです。
寒さより暑さが大変! 厳しい暑さには耐える覚悟が必要
※イラストは井上さんの下記連載記事より
今年、空調服を手に入れたのですが、使ってみたらとっても涼しいので、クルマでも使えるか試してみたいなと思っています。
ただし、現行の商品だと“ワンボックス”以外の一般車にはまだまだ大きめなサイズ。よりコンパクトになれば、エンジンを切った車内でも使いやすいので、車中泊の世界が一変すると思います。
あと、山間部や北に移動すると朝晩の暑さが多少はラクになりますよ。でも、僕みたいにクルマで暮らしている人は少ないから参考になりませんね(笑)。
「シチュエーション」にまつわる車中泊トラブル・あるあるトーク
車中泊における日常的な行動は意外と問題にならないと判明しました。しかし、停める場所やクルマの状態によっては大変な思いをすることが…。
ただし、真夏の炎天下や真冬の極寒のときには、自分の体調を最優先してエアコンを使用するかどうか判断することも大事です。そもそも、そういった悪天候になりそうな場合は、無理をして車中泊せずに、ホテルや旅館に切り替える、という選択肢も頭に入れておいてもらえると良いかと思います。
SA・PAは騒音に悩む可能性あり!?
僕は慣れましたが、夜の高速道路はトラックの騒音が凄いんです。各SA・PAではトラックから離れた場所にクルマを停めるようにしてますね。一般車両となんとなく棲み分けはされているようなので、一度観察してみてください。
人の声が一晩中聞こえているというのは、実はクルマから出るエンジン音以上に厄介ですよね。
以前、大きなライトの近くに停めてしまい、起きたらクルマのクリーム色のボディに虫がいっぱい…なんてこともありました。夏場は車内の虫対策も欠かせないですよね。私はモスキートランタンやフマキラーの「おすだけベープ」を愛用してます。
プライバシーや防犯は? 窓をブラインドしてプライベート空間を確保
僕の車はキャンピングカー仕様なので窓にカーテンを装備していて、閉めれば外からは中が見えないようになっています。
クルマを停めっ放しにしていると、ほとんどの人が車内に誰もいないと思うらしく、高い頻度でウインドウを鏡代わりにされますね。知らないおっさんが僕の目の前で髪の毛を整えて去っていく…(笑)。
とはいえ、特に女性1人の場合、いざというときのために外から室内が見えないようにしたり、しっかり施錠したりといった注意は必要ですね。
※森さんがコメントしているカエライフの連載記事はこちら
ガソリンはまめな給油を心がけると吉!
地方だとガソリンスタンドが想像以上に少ないうえ、営業時間も短め。次のGSで入れれば良いや〜、なんて甘く考えていると泣きを見ます。実際に僕はJAFを呼んで、お財布と時間に結構なダメージ受けた経験があります(笑)。
いずれにせよ、保険やJAFの連絡先はもしものときにすぐ車内で確認できるようにしておいたほうがベターですね。
達人たちが出くわしたトラブルってどんなこと?
日常的に車中泊をする達人たちでも避けられないトラブルがあります。もっとも気をつけたいのが事故。長時間の運転をしていると、意外なシーンに遭遇することも !?
避けられるタイミングなら避けますが、急だと変に反応しちゃうとこちらの運転が危なくなっちゃう。ゴツい鹿に飛び出されたときも驚いたなぁ。
今は車中泊カルチャーが過渡期なのでしょうね、さまざまな問題が露見しているタイミングということで、ウェルカムじゃない場所が増えています。もう少し成熟すれば明確なルールが設けられるとは思うのですが。
一度、アメリカのRVパークに泊まったことがあるのですが、ずっとそこに住んでいる家族もいらっしゃって、ひとつのコミュニティができているのも印象的でしたね。
車中泊の楽しみ方を達人たちがアドバイス!
※カエライフの「ポータブル電源」特集記事はこちら
【実例】おすすめのポータブル電源。キャンプ&車中泊の達人6名に聞いてみた!
2020.06.25もちろん、週末車中泊もあり。家に居てはわかりにくい、不自由さのありがたさが理解でき、視野も広がると思います。ポータブル電源やソーラーパネルさえあれば、大抵のことは乗り切れると思いますよ。
車中泊スポットを取り巻く環境は日々変化するので、記事の更新日時など、情報の鮮度も意識するといいと思います。車中泊できると思って行ってみたら泊まれなかった! ということもあり得るので…。
それから、車中泊旅だからと言って、無理してクルマに泊まる必要もないので、ゆっくり寝たいと思ったらホテルをとってください。楽しむための車中泊が辛くなっちゃったら本末転倒ですもんね!
車中泊は決して特別な趣味ではありませんから、気負わずにドライブやアクティビティの延長として楽しんでください!
クロストークを終えて…
ビギナーから見れば少々難易度が高く感じる側面もある車中泊ですが、達人たちにとってはとても楽しいレジャーの一貫といった様子。特にトイレやゴミ、お風呂などの生活面は不安を感じる必要がなさそうです。
ただし、ちょっと意識すべきは駐車ポイント。「とりあえず、ブラックマークと呼ばれるタイヤのスリップ痕がある駐車場は避けてください。マナーの悪いドライバーの遊び場になっている可能性大です」という大橋さんのアドバイスを参考に、今度の週末あたり、ぜひチャレンジしてみては?
取材・文/金井 幸男
写真/長野 竜成
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